三浦市三崎の海南神社のご神木とされる大イチョウが「竜にそっくり」と話題を集めている。
曲がりくねった幹や枝ぶりが、まるで昇り竜のよう。今年のえとの辰(たつ)と重なり、それぞれの願いを胸に手を合わせる人が後を絶たない。
大イチョウは高さ約15メートル、幹回り約5・6メートルの雄株。鳥居をくぐってすぐの場所にあり、目の前に水神と竜神を祭る小さな社が立つ。
鎌倉幕府の初代将軍源頼朝が祈願成就の記念として手植えしたとのいわれがあり、樹齢800年と伝わる大木だ。
「竜に似ているという声が寄せられるようになったのは、ほんの数年前からです」と禰宜(ねぎ)の米田郷海さん(38)。
社を覆うように曲がりくねった幹のくぼみや枝ぶりが、目や口、ひげのような形に見える。
「偶然か必然かは分からないが、ご神木ならでは。お宮の竜神様が姿を現したのかもしれない」。
開運や厄よけなどの御利益があるとされる「パワースポット」としてテレビでも取り上げられ、平日に訪れる参拝者は3割増えたという。
季節によってその表情は変化する。枝先に青々とした葉を付ける夏には「青竜」のように、葉が黄色に色づく秋には「金竜」のように。
葉の少ない今の時期はシルエットが際立つため、比較的分かりやすい。
参拝者から要望もあり、今年から大イチョウをモチーフにした竜のイラスト入り絵馬を用意した。
社の脇には奉納された絵馬がずらりと並び、裏には「受験がうまくいきますように」「九九をがんばりたい」。
御利益を願うのは老若男女を問わない。良縁を期待するものから、子どもの健康を願うものまで。
なかには「2カ月に1棟ペースで契約できますように」と営業マンの切実な願いが込められた絵馬もあった。
宮司の米田光郷さん(68)は1枚ずつ絵馬を手に取り、参拝者の願いに思いをはせる。「竜は発展の象徴。
昇り竜のように世の中の閉塞(へいそく)感を吹き飛ばすくらい勢いのある年になってほしい」
【あし】京急線三崎口駅から京急バスで「三崎港」下車、徒歩3分。
http://news.kanaloco.jp/common/user/news/photo/1/120123/7_003007.jpeg 竜の形に似ていると話題になっているご神木の大イチョウ=三浦市三崎の海南神社
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