【ロンドン=木村正人】債務危機の暗雲が欧州全体を覆う中、22日、バルカン諸国のクロアチアと北欧フィンランドで欧州統合の未来を占う投票が行われた。旧ユーゴ内戦の後遺症を引きずるクロアチア
は欧州連合(EU)加盟を国民投票に託し、フィンランドは大統領選で単一通貨ユーロ圏支援の是非を問う。懐疑派の声が大きくなっているものの、欧州統合推進派が多数を占める見通しだ。
ロイター通信などによると、クロアチアの首都ザグレブで21日、「EU加盟は違法だ」と叫んでEU旗を燃やすデモ隊が警官と衝突し、5人が逮捕された。
ユーロ危機を受け、世論調査でEU加盟に反対する声は3割以上にのぼる。それでも「政財界にはびこる腐敗を断ち切り、経済を発展させるにはEU加盟以外に道はない」と賛成派は55〜60%を維持している。
国民投票は即日開票され、22日深夜(日本時間23日午前)にも大勢が判明。加盟が承認されれば、同国議会とEU加盟国の批准を経て来年7月にEU28カ国目の加盟国となる。1990年代の内戦で崩壊した
旧ユーゴ諸国からの加盟は2004年のスロベニアに次いで2カ国目。EUの拡大はルーマニアとブルガリアが加盟した07年以来。
債務危機の拡大でEU域内の金融機関による貸しはがしや貸し渋りの余波はハンガリーなど周辺国に及んでいる。クロアチア経済も今年は0・2%のマイナス成長が予測され、失業率は18%近くに達している。
続く
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120122/erp12012219420005-n1.htm