「あなたの会社が暴力団と無関係だと認証する」「取引先が暴力団と関係ないか調べます」−−。こんなうたい文句で金銭を要求する文書が企業に送りつけられるケースが全国で相次いでいる。
昨年10月に各都道府県で暴力団排除条例が出そろい、暴力団関係企業との取引を行うと社名公表もあり得ることを懸念する経営者心理を突いたとみられるが、
詐欺まがいの勧誘や高額の金銭を支払わされそうになるケースもあり、警察や業界団体が注意を呼びかけている。【浅野翔太郎も】
日本証券業協会(東京都中央区)によると、三重県内のロータリークラブ役員の男性が昨年10月、「全国暴力団関係評価認証機構」を名乗る団体から県内に作る支部の代表者への就任話を持ちかけられ、
「必要経費」として1000万円を求められた。
同機構のパンフレットによると、大阪市天王寺区に事務局を置いた財団法人になる予定で、顧客の企業・法人に暴力団と無関係であることを認証するマークを付与することを主な事業としていた。
この役員の男性は、就任の話を不審に思い、警察に連絡したうえ、現金は支払わなかった。
この機構は、暴力団と無関係と認証する年間5万円のライセンス料や社員1人あたり1000円の審査料を求めるファクスを大阪の会社に送りつけていた。
このファクスには、「調査データベースへの協力関連会社」として毎日新聞などの報道機関の名前を無断で掲載していた。
同機構の連絡先は使われなくなっており、証券業協会は「詐欺の可能性が高い」として昨年末、会員企業に注意を喚起する通知を送った。
一方、全国暴力追放運動推進センター(文京区)によると、福岡県の企業にも昨年10月、「暴力団犯罪関係者調査社」を名乗る団体からファクスが送られてきた。
取引先などに暴力団と関係がないかを調べるとし、1枚1000円の調査チケットの販売を持ちかける内容だった。
この会社の電話番号は大阪市内になっていたが、現在は連絡が取れない状態という。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120122-00000014-mai-soci 同センターの相原秀昭担当部長は「公的機関が暴力団に関する情報を提供することはあっても、営利目的で『暴力団と無関係』と証明することはありえない。暴排条例につけ込んだ詐欺の可能性がある」と話している。