<東日本大震災>石巻の母校へ「聖護院カブラ」千枚漬け贈る
毎日新聞 1月21日(土)11時10分配信
京都学園大(京都府亀岡市)職員、佐藤竜二さん(40)らが今月、東日本大震災で多数の児童が
亡くなった宮城県石巻市立大川小の児童を訪ね、京野菜「聖護院カブラ」の千枚漬けを届けた。同
小卒業生の佐藤さんは震災で両親を亡くした。「子供たちは生き残ったことを負い目に感じず、前向
きに歩んでほしい」と願いを込めた。
佐藤さんは同市出身で大学院進学を機に京都に移り住んだ。地震発生直後から実家と連絡が取
れなくなり、約10日後、仙台市の兄から母(当時72歳)が遺体で見つかったと知らされた。その後、
父(同76歳)も遺体で見つかった。4月上旬に地元に帰り、変わり果てた景色に言葉を失った。「葬
式をあげただけでも救われた。遺体が見つからず持っていき場のない思いを抱えた人がたくさんいる」
震災後、京都学園大教授がキャンパス内などの畑で取れたカブラで京都の冬の味覚・千枚漬けを
作り、被災地に贈る活動を始めた。教授から声をかけられた佐藤さんが母校と連絡を取り、受け入れ
を快諾してもらった。漬け込み作業に地元の小学生や住民に交じって佐藤さんも参加。出来上がっ
た約50キロを大川小の児童、教職員約40人分に小分けし、教授とともに18日、空路で宮城入りして
、同小が間借りする石巻市内の小学校に届けた。22日にも、大川小校区の仮設住宅3カ所に千枚
漬けなどを届ける。
全児童の約7割の児童の命が一瞬にして失われた母校。千枚漬けを受け取った児童の笑顔を見て
、「亡くなった子供たちの魂が安らかであるように」と祈るような思いが込み上げた。「震災が古里の
大切さを改めて教えてくれた。子供たちには、離れても思い続けている人がいることが伝われば」と
話した。【花澤茂人】
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