岡山県北部で出没が相次いでいるツキノワグマについて、県は新年度、生息頭数の再調査を行う方針を決めた。
東中国山地のツキノワグマは環境省のレッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されている。
県内には10頭前後生息すると推定されていたが、2010年度の出没情報は過去最多の199件で、
県は「もっと生息しているのは明らか」と見ており、正確な頭数把握が求められている。
県自然環境課によると、10頭と推定されたのは00年度の「(第1期)ツキノワグマ保護管理計画」策定時。
県の委託を受けた県環境保全事業団(岡山市南区内尾)職員が、出没情報の度に現地で足跡などを確認して割り出した。
頭数は第2期、第3期の同管理計画策定時にも引き継がれた。兵庫、鳥取両県を含む東中国山地全体では、約200頭と推定されている。
しかし、10年度に199件、11年度も12月31日までに79件の出没情報が寄せられた。
11年度の捕獲頭数は12頭で、うち8頭には過去に捕まったことを示す耳標が付けられていなかった。
今回の調査は「標識再捕法」と呼ばれる方法で実施。山中などで捕らえたクマをいったん放し、再捕獲された割合などから生息頭数を推定する。
兵庫、鳥取両県ではすでに実施しており、3県が同じ手法で調査することで東中国山地全体の生息頭数の再調査にもつなげる。
同課は「人との共存のためにも、クマの個体数の把握は必要。速やかに行いたい」としている。
ツキノワグマを巡っては、岡山県は今年度、餌となるドングリなどの豊凶調査を新たに行ったほか、同事業団職員の美作市駐在も開始。
新年度から適用する第4期の同管理計画は、クマの殺処分の手順を簡略化し、人里で捕獲されたクマは原則として山に返さず処分する方向で検討している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120119-OYT1T00256.htm