有価証券運用の「損失隠し」で揺れる光学機器メーカーのオリンパスの個人株主が、同社に対して損害賠償請求に乗り出した。
損害賠償額が、総額2000億円を超えるともいわれ、債務超過が懸念されている。
オリンパスの有価証券報告書によると、2011年3月期の純資産額は1668億円。
もっとも、この数字も水増ししたものとみられ、仮に実際に債務超過になると上場廃止になってしまい、影響は甚大だ。
金融商品取引法では有価証券報告書などの虚偽記載による株主の損害について、
会社や当時の役員、監査法人などへの損害賠償請求を認めている。
オリンパスに届いている株価急落による損害賠償請求は今のところ1件。
米国預託証券(ADR)を購入した個人投資家が米連邦地裁に起こしたもので、原告側は集団訴訟とすることを目指している。
「請求総額が明らかになっていない」(同社広報・IR室)が、企業法務に詳しい仲江武史弁護士によると、
「米国ではまず提訴し、その後賠償額を請求するケースがあります」と話している。
株価急落による損害賠償請求の動きは、国内の株主に広がる可能性がある。
現在は金融商品取引法によって株価下落と損害の発生の因果関係の立証責任が緩和されているからだ。
金商法では、虚偽記載の公表日からさかのぼって1年以内に有価証券を取得し、公表日まで継続保有した株主は、
公表日前1か月間の市場価格の平均額から公表日後1か月間の市場価格の平均額を控除した額を損害の額とすることができるとしている。
オリンパス株は、マイケル・ウッドフォード氏が社長を解任された2011年10月14日の株価が2045円。
これが過去の損失計上の先送りに関する発表があった11月8日には734円にまで下落した。
連日ストップ安を繰り返し、監理銘柄(確認中)指定見込みを公表した11月10日にはとうとう500円を割り、484円に下がった。
金商法の規定を適用すると、虚偽記載の公表日を11月8日とした場合、
株主は10月7日〜11月8日までの平均株価から、11月8日〜12月9日までの平均株価の差額を損失分として請求できることができる。
損害請求額は2000億円前後になるとみられるが、仲江弁護士は「まだ確定できませんが、その程度になるのだと思われます」と話す。
http://www.j-cast.com/2011/12/02115079.html?p=all