交流サイト(SNS)「フェイスブック」上で登録した友達の数と、脳の特定部位の大きさに相関関係があるとの
研究結果が、19日発行の学術専門誌「英国王立協会紀要B」で発表された。
ただ、フェイスブックの友達数を増やすことで脳の一部が大きくなるのか、単に生まれつき友達を増やそうとする
性格の持ち主にそうした相関関係があるのか、現時点では分からないという。
研究チームに加わったユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の金井良太氏は、「興味深い問題は、
時間が経つにつれて、この構造が変化するかどうかだ。これが分かれば、インターネットが脳に変化を与えるか
どうかの疑問に答えるのに役立つだろう」と話した。
今回の調査では、フェイスブックのアクティブユーザーの学生125人と、結果を照合するため、別の学生40人の
グループの脳をMRI(磁気共鳴画像化装置)で検査した。
その結果、扁桃体などの4つの部位にある灰白質の量とフェイスブックの友達数に強い相関関係が確認された。
この4つの部位は、記憶や情緒反応、社会的交流にかかわるとされている。なお、調査対象となった学生の
フェイスブックの友達数は平均300人だった。
UCLのジェレイント・リース氏は「SNSの影響力は強力だが、脳に対する影響については未知な部分が大きい」と
指摘。「今回の研究は、脳に対するSNSの影響に関する問いなどに、神経科学のツールを用いて答えることが
可能なことを示している」と述べた。
一方、英オックスフォード大学のハイジ・ヨハンセン・バーグ氏は「フェイスブックの友達が今日100人に到達すれば、
脳が明日大きくなるということはない」として、面白い研究結果だが、フェイスブックが人間を賢くさせる便利な方法だと
いうことを意味するわけではないと指摘している。
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-23695520111019