野生化した猫によるアマミノクロウサギ(国指定特別天然記念物)などの
希少動物の捕食被害を防ごうと、奄美大島の5市町村議会は、
飼い猫の登録などを義務付ける「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」案を可決した。
世界自然遺産登録を目指す奄美では、希少動植物の生態系の保護が課題で、
条例による効果が期待されている。10月1日から施行する。
条例では、猫の取得から30日以内に自治体に手数料500円を支払って個体登録し、
配布される鑑札を首輪などに付けることを飼い主に義務付けている。
また、〈1〉マイクロチップの装着や避妊・去勢手術に努める
〈2〉放し飼い防止や野生生物への危害防止に努める
〈3〉飼えなくなったら譲渡先を探す――ことなども盛り込んだ。
環境省奄美自然保護官事務所が2007年頃から09年にかけて、
林道上の野生化した犬や猫のふん87個を調査した結果、25個からアマミノクロウサギ、
22個からトゲネズミ(国指定天然記念物)、18個からケナガネズミ(同)の毛や骨などが確認された。
狂犬病予防法などがある犬と違い、猫への規制は少ない。飼い猫の適正飼養の
条例が制定されているのは、世界自然遺産登録が決まった東京都小笠原村など全国でも6自治体だけだ。
「きちんと猫を飼うことで、野良猫が徐々に減るのでは」――。奄美市など5市町村は09年12月から、
同事務所や保健所と検討を重ね、足並みをそろえて6月定例会へ提案。11日までにすべて可決された。
飼い猫以外への「餌やり禁止」も検討したが、住民から反対の声が寄せられ、条文から削除して提案。
ただ、奄美市議会では「餌やり禁止を盛り込まないと効果がない」との意見があり、
「みだりに餌や水などを与えてはならない」との条文を追加、可決した。
市環境対策課の伊東義久係長(54)は「野良猫などに餌を与えるのなら、きちんと飼ってほしい。
元々は人間が捨てた猫なのだから」と呼びかけている。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/kagoshima/20110720-OYS1T00251.htm