テレビの人気のバロメーターといえば、ドラマやバラエティーでも視聴率だ。だがテレビアニメ、特に深夜の
アニメで関係者が注目するのは、本編ブルーレイディスクの売り上げ。1万枚がヒットと見る理由、その背景
について追った。
ある大手メーカーの社員は「深夜アニメで例えば視聴率が10%あれば、テレビ局はうれしいかもしれないが、
メーカー側はそうでない」と話す。深夜アニメは、メーカーが主導で動くのが普通。テレビ局を含む複数の企業が
出資して制作コストを分け合い、売り上げを分配する。視聴率はその利益に貢献しない構図になっている。
利益の源泉で、人気のバロメーターになっているのが本編アニメのブルーレイの売り上げだ。フィギュアなどの
グッズも利益に寄与するが「あくまでも副次的なもの。本編の人気があってこそ」という。だがテレビアニメの
ブルーレイは、2〜3話を収録して1枚で5000〜7000円。しかも最低でも10〜12話あり、全てそろえるためには
5〜6枚を買う必要がある。その出費は、家庭用ゲーム機を上回る数万円になる。
1本で約2時間あり、数千円で売っている映画のブルーレイを考えると割高に感じるが、「アニメに価格はあまり
関係ない。好きな作品ならば手元に置いて何度も見たいし、知人と一緒に見て語りあいたい」(神奈川県在住の
30代アニメファン)と話す。こうしたファンの購買欲がテレビアニメの市場を支えている。
メーカー側が見るヒットのボーダーラインはまちまちだが、おおむね「1万枚」という数字が浮かび上がる。「採算
ラインは制作費によって変動するから一概には言えない。しかし、ブルーレイ1万枚を売れば間違いなくヒットと
いえる」(別の大手メーカー社員)と明かす。
10〜11年のブルーレイで、人気だったのは「化物語」と「魔法少女まどか☆マギカ」の2作品。前者は、1巻の初週
販売数が約2万9000枚だったが、最終6巻では約5万1000枚に伸ばした。「魔法少女まどか☆マギカ」の1巻は、
せりふに誤りが見つかり、店舗から回収になったにもかかわらず約5万3000枚を売り上げた。
しかし、テレビアニメのブルーレイで1巻につき1万枚を超える作品は年を通じてもかぞえるほどしかないほどの
「狭き門」となっている。
http://mantan-web.jp/2011/05/08/20110508dog00m200008000c.html