140人に不要な心臓手術…奈良・山本病院 読売新聞 1月7日(金)14時43分配信
診療報酬詐欺や肝臓手術による患者死亡が刑事事件になった奈良県大和郡山市の
医療法人雄山会「山本病院」(2009年7月廃院)で、必要のない心臓の手術が
140人の患者に行われていたことを大阪市など4市がそれぞれ鑑定を依頼した専門医が確認した。
手術の全過程を記録した動画が見つかり、手術すべき病状でなかったことが裏付けられたという。
問題の手術は、心筋梗塞を防ぐため、心臓の冠動脈にステントという金網状の筒を内側から入れ、
エックス線で透視しながら血管を広げる心臓カテーテル治療の一種で、ステント挿入術とも呼ばれる。
手術は主に山本文夫元理事長(53)(詐欺罪で服役中)が担当。病院の手術室のエックス線撮影装置には
自動録画機能があり、奈良県警が詐欺事件で押収し、奈良県に返還した記録の中に、手術の様子を撮った動画のディスクが含まれていた。
ステント挿入術で診療報酬を請求できるのは、冠動脈の内径の75%以上が詰まっている場合だけ。ところが、山本病院の動画を、
大阪市の依頼を受けた大学病院の循環器内科医7人が検討すると、ステント挿入が必要でないことが次々に判明。
116人のうち、98人が「不要な手術だった」と結論づけた。
同様の検討は堺市、京都市、大阪府東大阪市でも行われ、計42人の手術が「不要」と判断された。
大阪市の担当者は「全く詰まりがない患者への手術も動画に残っていた。明らかな不正だ」と言う。
ステント治療の専門家は「ステント挿入には動脈破裂や血栓などの危険が伴う。故意で行ったとすれば傷害罪が成立しうる」と指摘する。
山本病院は、ホームレスなど生活保護の患者を中心に受け入れていた。大阪市などは、
生活保護で支払った診療報酬を「不正、過剰請求の疑いがある」として債権届を出し、立証作業を進めてきた。
読売新聞は、山本元理事長に書面で釈明を求めたが、7日午後1時までに返答はなかった。
◆心臓カテーテル治療=太ももの付け根や腕の動脈からカテーテル(細い管)を使ってステント(金網状の筒)を入れるなどし、
動脈硬化によって狭くなったり詰まったりした心臓の冠動脈を広げる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110107-00000582-yom-soci