都庁記者クラブに於ける東京都青少年健全育成改正案についての記者会見に提出した
川端裕人のメッセージを公開
(略)
条例案を策定した方々は、いわゆるゼロリスクを求めていらっしゃるのではないでしょうか。
「ゼロリスク」というのは耳当たりの良い言葉ですが、食生活であろうと犯罪であろうと、リスクゼロを指向すると、
あるところから先は、リスクを減らすための努力のわりには効果が薄く、その反面多くの有害な副作用が発生
します。たとえば、犯罪がゼロの社会が望ましいとして、それを実現するにはどうすればよいでしょう?
いっそ国民全員が警察官になればよいでしょうか。あるいは「厳罰化」をどんどん進めるべきでしょうか。
しかし、はたしてそれで本当に犯罪はなくなるでしょうか。私たちや子どもたちは幸せになれるでしょうか。
「なにがなんでも犯罪ゼロ」をめざした時に起きてしまうであろう、本末転倒な悲喜劇は、
想像をたくましくするまでもないでしょう。
もちろん、わたしは犯罪が横行する社会を肯定しているわけではありません。大切なことは、
わたしたちが、いかなる社会的コストを払っても、子どもを無菌室で育てることができないを望み得ない
不完全な世界に住んでいることを認識し、その世界に遍在する決してゼロではないリスク
(しかし、この国では、他国と比べて充分に小さい)
と向き合いつつ、日々子どもたちと接し、愛し、見守ることだと考えます。
行政に規制を丸投げすることで得られる安心は、むしろ、安全を犠牲にすることになるかもしれず、
子どもたちが、将来自律的に自らの幸福を獲得できる力を持つための障害にすらなりかねません。
ゆえに、本条例の改正は必要ありません。
東京都世田谷区に住む、ひとりの小学生児童、中学生徒の親として、あらためて本条例案に反対いたします。
http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2010/12/post_8ba0.html#more