“酷”勢調査 記入漏れ・誤記多発 市町村職員悲鳴
全国の自治体が回収を進めている国勢調査の調査票で、記入漏れや誤記が多発している。
今回の調査から「封入提出」が採用され、国勢調査員が回収時に確認しなくなったのが原因だ。
宮城県内でも、調査票を点検し完成させる市町村の担当者が、制度変更に伴う負担増に徒労
感と国への不満を募らせている。膨大な数の調査票を扱う都市部では今後、深刻な問題になる
可能性もある。
宮城県内のある町の国勢調査担当部署は終日、職員のため息が絶えない。「学歴が書いて
いない」「名前だけで、出生の年月がない」「名前すらない」…。マークシートの記入の仕方にも
ミスが多く、机の上は消しゴムのかすであふれている。
調査票の回収は10月1日に始まった。各自治体によると、20の調査項目のうち、学歴や仕事
内容、配偶者の有無などの記載漏れが目立つという。担当者は連日、電話などで聞き取りをし、
調査票を完成させる作業に追われている。
約1万2000世帯の調査票を回収する利府町では、若手職員ら約20人の点検チームを設置。
通常業務の終了後、作業に当たっている。町幹部は「土日返上の職員もいる。あと1カ月はこの
状態が続きそうだ」と語る。
約2000世帯の色麻町では、職員や臨時職員ら5、6人が従事する。担当者は「完全な調査票
は50枚に1枚ぐらい。きちんと仕上げるのに1世帯で30分かかる場合もある。電話で問い合わ
せても不在の世帯が多い」と嘆く。
各市町村から県への調査票提出期限は、自治体の規模によって12月上旬から来年2月中旬
までに設定されている。
約46万2000世帯を抱える仙台市など大規模自治体は、郵送で提出された調査票を調査区
ごとに仕分けている段階。今後、開封が進むにつれ、不完全な調査票の問題がクローズアップ
されることも予想される。
ある自治体の幹部は「調査員によるチェックが機能しなくなったのだから、国は調査項目をもっと
絞り込むべきだった。例えば国民全員に学歴を尋ねる必要があるのか。現場を知らなすぎる」
と国に矛先を向ける。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101016-00000011-khk-l04