★☆★ スレ立て依頼所[100908] ★☆★

このエントリーをはてなブックマークに追加
【柔道】鈴木桂治が1回戦で一本負け。


焦点の定まらない視線をはわせ、足取り重く畳を降りた。鈴木桂治の再起の舞台は3分とたたずに突然の幕。
人垣を作る報道陣の耳に届くか届かないかの、か細い声で鈴木はうめく。「今まで自分は何をやってきたのか。夢であってほしい」

初戦の相手、ウォイナロビッチは上背も横幅も立派。目の前の鈴木をたいらげるような威風があった。
だが、鈴木の背中が小さく見えた理由は、それだけではあるまい。

立ち上がりから頭越しに奥えりをたたかれ、圧迫を受ける鈴木といえば、窮屈な足技で相手の足をなでるだけ。
体だけでなく柔道までが縮み上がり、真後ろに下がったところを小外掛けであおむけになった。
「この勝負弱さは、誰に言われても直るもんじゃない」。2分34秒。背中が畳を打つ快音とともに、鈴木の“夜明け”は遠のいた。

青畳を跳躍し、アテネ五輪で頂点に立ってから6年。代表最年長の30歳に往事の精華は戻らない。
この1年は、母校国士舘大で教鞭(きょうべん)を執りながら、疲労にきしむ体にムチを打ち国際試合を転々。頭に混じる白いものは苦悩の足跡でもある。

「ここで負けたら先の道は見えない。今の柔道でも勝てるというのを見せないと」。再起と背水を同時に背負った今大会の惨敗が、鈴木の中に残したものは…。
「まだ体がむずむずしている」。最終日に行われる無差別級の出場枠は残り2つ。退くも進むも鈴木の気持ち一つである。(森田景史)
http://sankei.jp.msn.com/photos/sports/martialarts/100909/mrt1009091239012-p1.jpg
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100909-00000566-san-spo