徳川家筋の葵紋が入った豪華な将棋盤が、テレビ東京系で6月に放送された「開運!なんでも鑑定団」で評価額「50万円」と鑑定された。
不満が残る所有者や、この盤での対局を秋のイベントの目玉の一つと考えていた日本将棋連盟が2日、専門家に再調査を依頼したところ「(低評価の根拠とされた)紋の付け替えの跡はない」と「鑑定団」の鑑定を覆す結果が出た。
福井市の連盟会員川井三郎さん(72)が所有する将棋盤はカヤ製で、縦37.5センチ、横34.3センチ、盤の厚さ12センチ、高さ22.3センチ。
側面などが漆塗りに蒔絵(まきえ)模様を施された豪華なつくりが特徴だ。江戸中期の18世紀のものとみられ、盤の四つの側面にそれぞれ三つの葵紋があり
うち一つは紋をかたどる貝の代わりに金を張った「金貝(かながい)」という装飾がされている。
番組では尾張徳川家に輿入(こしい)れした姫の調度品とされたが、一部の紋が「後年になって付け替えられている。
手が加わらなければ輿入れ元が特定でき、学術的価値として1千万〜1500万円ついてもおかしくない」とされた。
それに対し同連盟は「バラエティー番組なので」と評価額については細かく言及しないものの、付け替えの有無については重大視。2人の専門家に再調査を依頼していた。
専門家らは2日、福井市を訪れ、一部がはがれるなどした「金貝」を中心に調べた。
紋の内側と外側の地蒔粉(じまきふん)と呼ばれる金属粉を比較し、加工跡を探知する特殊なライトも使ったが、加工個所は見あたらなかったとした。
連盟によると、葵紋入りの将棋盤は徳川美術館(名古屋市)などが所蔵する以外、個人所有は珍しいという。
江戸期に婚礼調度として紋を付け替えて使い回すケースはありえたが、付け替えがなかったとすれば、どんな経緯で伝わってきたのか謎は深まる。
川井さんは「来歴の特定など、まだまだ残る不明な点を明らかにしたい」と話した。
同連盟は、11月14日に開かれる名古屋開府400年祭の「将棋の日」のイベントで、この将棋盤を使った対局を予定している。
http://www.asahicom.jp/national/update/0902/images/TKY201009020461.jpg http://www.asahi.com/national/update/0902/TKY201009020451.html