そこは不思議な伝統を持つ奇妙な村でした。村の人々は次々と都に出て行く
若者達に嘆きつつも、どうにか村を守ろうと必死でした。
ある日、都から数え切れないほどの人がやってきて、通告も何もなく村の人々
は住んでいた場所を一夜で奪われてしまいました。
村の人々は言いました。「どうしてこうなった」と。
都の人々は言いました。「役人がすべて悪い、だから出て行け」と。
抵抗する機会も与えられないまま、村を追い出されてしまった人々は、避難所
での生活を余儀なくされました。
自由の身となった都の人々は、村での暮らしにとても満足していました。
「何をしても許される!今日は限界まで走るぞ!」
そこは一生懸命に耕した畑でした。
「ここに観測所を建てよう」「ここでお祭りをしよう」「嫌儲村なんて名前は
変えよう」「精子を貯めよう」
皆が皆、好きなことを好きなだけやり、楽しく暮らしていました。