劇空間への変容鮮やか 「ガラスの仮面 二人のヘレン」
北島マヤと姫川亜弓、演劇の天才少女2人が、幻の名作劇「紅天女」をめぐって競い合いながら成長する姿を描くマンガ「ガラスの仮面」(美内すずえ作)。
連載開始から30年以上たってもまだ完結しない、この大河ドラマをもとにした音楽劇の第2作だ。
2年前に好評を得た前作と同じく青木豪脚本、蜷川幸雄演出、寺嶋民哉音楽。マヤ役の大和田美帆、亜弓役の奥村佳恵、月影千草役の夏木マリが引き続き出演する。
彩の国さいたま芸術劇場大ホールに入ると、何もない、広々としたステージが見渡せ、けいこ着姿の俳優たちがウオーミングアップをしている。
ばらばらだった動きが次第にダンスになり、日常の風景がみるみる劇空間に変容してゆく。空っぽだった舞台に血が通い、
俳優が登場人物として呼吸を始める様子を見せる、鮮やかな演出だ。蜷川は、演劇というものが持つ素朴で力強い魅力を、まず提示する。
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY201008200243.html