無回転シュートのメカニズム見破ったり!
W杯の「ぶれ球」仕組みわかった! 山形大准教授発表へ
本田圭佑選手のFK(フリーキック)成功の裏に、公式球の形状あり――サッカーW杯南アフリカ大会で、ボールが不規則な軌道で飛ぶ
「ぶれ球(無回転シュート)」が注目されている。山形大地域教育文化学部の瀬尾和哉准教授(流体力学)がその不思議を解明しようと、
ボール周りの空気の流れを解析。今大会の公式球は空気抵抗が小さく、シュートの速度が落ちにくいため、ぶれが生じやすいことを突き止めた。
来週ウィーンで開かれる国際スポーツ学会で発表する。
瀬尾准教授はまず、無回転のボールが飛ぶ時の空気の流れを調べる風洞実験をした。その結果、ボールの後方に馬蹄形(ばていけい)の渦が
次々と不規則な方向に現れることをとらえた。ボールが一定の速度より落ちなければ、この渦がボールに振動を与え続け、その結果ぶれ球が生まれやすい、
と瀬尾准教授は説明する。
さらに瀬尾准教授は、今大会の公式球「ジャブラニ」(アディダス製)による相乗効果も大きいと指摘する。
W杯の公式球は六角形と五角形の計32枚のパネルを組み合わせた手縫い製から、前回ドイツ大会は14枚、今回は8枚のパネルを
熱圧着したものになり、表面の凹凸が減った。空気抵抗が小さいためシュートが減速しにくく、ぶれの持続性が上がったという。
日本代表の本田がデンマーク戦で決めたFKもぶれ球だった。相手キーパーが球の軌道を予測して構えたのとは逆方向のゴール左上に決めた。
瀬尾准教授は「減速が少ないので、キーパーの手元までぶれ続けることが各国の試合で確認できた。特性をさらに解明すれば、
ヨーロッパ勢が決めているボールの選定など、ルールの改定に主体的にかかわることも可能になるかもしれない」と話している。
http://www.asahi.com/sports/fb/TKY201007090470.html