GK、世界水準は足元に 川島はパス成功率で見劣り
2010年7月8日9時48分
4強のつばぜり合いを見ていると、GKの技術の高さに驚かされる。シュートを防ぐ能力だけではない。足技だ。日本
に比べ、いかに彼らが「11人目のフィールドプレーヤー」として機能しているかを数字が浮き彫りにする。
大会の公式データで4強の正GKと日本の川島永嗣のパス成功率を比較すると、最も高かったカシリャス(スペイン)
が82%。ノイアー(ドイツ)も71%に達した一方、川島は42%で最下位だった。ロングパスに注目すると、さらに興味
深い傾向がわかる。
パス全体に4強に占めるロングパスの比率は、川島が80%で最も高かった。最も低いのがカシリャスの38%で、ス
テケレンブルフ(オランダ)は52%、ノイアーは58%だった。こうした数値からは各チームの戦い方がうかがえる。
スペインなどは後方からの攻撃の組み立てを重視し、GKも最終ラインのパス回しに加わることが多い。だからロング
パスを選択する割合が低くなる。日本は1トップ本田圭佑を軸とする速攻に頼ったため、川島もロングパスを多用した。
ただし、ロングパスに限った成功率も川島は36%と極端に低い。前線の高さやキープ力も影響するため、川島の技術
だけの問題ではないが、こうした数値をみると、オシム前日本代表監督の嘆きが思い起こされる。
「FWだけではない。日本はGKも人材不足」。オシム前監督は日本のGKの足技のつたなさを問題視していた。「G
Kは相手のマークを受けずフリー。彼らが周りとパスをつなげれば、攻撃の起点づくりが楽になるのに」。練習で、よく
GKをフィールドプレーヤーに交ぜてパス練習をさせていた。「お前たちもフィールドプレーヤーの一人」と口酸っぱく言っ
ていた。
川島は、さらなるレベルアップを求めてJ1川崎からリールス(ベルギー)に移籍する。欧州で足技も磨くことができれ
ば、日本のGKたちにとって新たな刺激になる。(中川文如)
http://www.asahi.com/worldcup/news/TKY201007080118.html