米、ポーランドと新MD協定合意 短距離型に修正
2010年7月5日0時57分
【ワシントン=望月洋嗣】
クリントン米国務長官は3日、米国とポーランドが射程が短い迎撃ミサイルSM3の配備を軸とする
新たなミサイル防衛(MD)協定に合意したことを明らかにした。米国は射程の長い迎撃ミサイルを
ポーランドに配備する協定を結んでいたが、ロシアの意向を受けて修正した形だ。
東欧などを歴訪中のクリントン長官は同日、訪問先のクラクフでポーランドのシコルスキ外相と
共同会見し、新MD協定について「イランの脅威から欧州全域を守るものだ」と説明。イランの短、
中距離ミサイル開発が想定よりも早く進んでいるとの認識も示した。
米国はブッシュ政権当時の2008年に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)にも対応できる地上配備型
の迎撃ミサイル10基をポーランドに配備する計画を決定したが、ロシアが「我が国の核戦力を無力
化する」と反発し、米ロの関係悪化を招いた。米ロ関係の「リセット」を進めるオバマ政権は、米ロの
核軍縮推進も視野に昨秋、東欧のMD計画を見直した。新たな協定では、SM3搭載のイージス艦
や地上型の移動式SM3が配備される計画だ。
クリントン長官は「これは純粋に防衛を目的とするシステムで、ロシアを狙っても、脅かしてもいない」
と強調。北大西洋条約機構(NATO)のMD計画にロシアの参加を求め、協力を探る考えも示した。
http://www.asahi.com/international/update/0705/TKY201007040364.html