お花畑の消失
信州・取材前線:ニホンジカ被害ルポ(その2止) 希少植物に打撃深刻 /長野
◇防護柵、一定の効果 植生回復、クロユリは姿消す
●南アルプス
3000メートル級の高峰が連なる南アルプスは世界南限の高山植物種の群落を持つ。だが、中
部森林管理局などによると、北部の甲斐駒ケ岳から南部の光岳までのほぼ全域で、シカの食害な
どによるお花畑の消失やかく乱が目立つという。北部の仙丈ケ岳(3033メートル)では08年から、
南アルプス食害対策協議会と環境省が、馬の背周辺の標高2600〜2700メートルで防護柵の設
置を始めた。今季は1カ所を増設する予定で、計11カ所の総延長は1270メートルに達する。
昨年8月、現地を訪れた。かつて「花の仙丈」と呼ばれ、クロユリなどが咲き乱れた光景は見られ
なくなり、馬の背ヒュッテから馬の背の尾根にかけて、登山道沿いに防護柵が続く。ただ柵の外側
は裸地が目立つのとは対照的に、内側は植物が豊富なのがひと目で分かった。信州大農学部の
渡辺修准教授は「シカが食べないマルバダケブキ以外の植物も、内側では少しずつ出てきてい
る」と柵の効果を話した。
(略)
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20100703ddlk20040259000c.html