【パリ=稲田信司】スペイン政府は16日、新たな雇用を生み出し、失業率を抑えるため
の労働市場改革案を閣議決定した。詳細は明らかにされていないが、企業が現行よりも従業員
を解雇しやすい仕組みなどが盛り込まれており、主要労組は9月29日にゼネストを設定し
、見直しを迫る構えだ。
現地の報道によると、改革案では、解雇の際に賠償金がもらえる正社員などの対象を広げ
る一方、企業側が勤務時間をより柔軟にできる仕組みが示された。コルバチョ労働相は「
労働市場を活性化し、雇用機会を広げる」と改革の意図を強調するが、最大野党・国民党の
ラホイ党首は「中身があいまいで、実際に雇用創出に役立つかどうか不明だ」と指摘した。
スペイン政府は5月、欧州各国の財政再建を促す国際通貨基金(IMF)などの要請に
応える形で、公務員の給与カットなど厳しい財政緊縮策をまとめたばかり。だが、欧州単一
通貨ユーロの加盟16カ国のうちで最悪の失業率20%を回復させるには景気対策が優先
されるべきだとする労組側は反発を強め、すでにゼネストの準備に入っている。
一方、金融市場ではギリシャに次ぐ財政破綻(はたん)の危機を懸念する声が高まって
いる。IMFのストロスカーン専務理事が18日にスペイン入りする予定で、同国の経済紙
は救済策が協議される可能性を伝えている。
http://www.asahi.com/business/update/0617/TKY201006170266.html