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緊急時の使用を認可された他の分散剤に関するEPAのデータを見てみると、あくまで実験室でのテスト結果だが、
湾内に流出した油を分解する能力においてCorexitを上回っている分散剤が12種類ある。
しかしBP社は、COREXITは代替物質に比べてはるかに研究が進んでいると主張している。確かにそれは事実だ
――しかし、BP社の元幹部Rodney Chase氏が現在、COREXITの製造元である米Nalco社の取締役を務めていることが、疑念を生じさせている。
人々の懸念が強まるなか、COREXITの使用量は100万ガロン(約378万5000リットル)以上に達した。
現時点での使用量は、121万ガロン(約458万リットル)だ。この段階に至って、EPAは5月20日(米国時間)に方針を変えた。
EPAによると、今のところ分散剤による被害はみられないものの、使用量が膨大であり、不確定要素も多いことから、代替物質を見つける必要が生じたという。
EPAはBP社に対し、COREXITより毒性が低く、同等の効果が得られる代替物質を72時間で見つけるよう指示した。
BP社は3日後、適切な代替剤は無いと回答した。EPAはこの回答は十分ではないと指摘し、使用量を大幅に削減するよう命じたほか、自らも評価を行なうとした。
EPAの毒性基準と照らして低毒性とされる分散剤には『JD2000』など5種類あるが、BP社は、EPAからの指示以前にはこれらの試験も行なっていなかったという指摘もある。
ただし、BP社がEPAの指示に対して指摘したとおり、簡単なテストでは、細かいが重大な点を見逃す可能性がある。
たとえば、『SEA BRAT #4』という、一見基準を満たしていそうな分散剤があるが、その成分の一部は分解されてノニルフェノールになる可能性がある。
ノニルフェノールは内分泌攪乱物質の1種であり、食物連鎖を経て生物濃縮が進むおそれがある。
ただし、ほとんどの分散剤メーカーは成分を公表していない。
Nalco社も、これまでCOREXITの成分を明かしていなかったが、EPAが交渉を重ねた結果、ようやくEPAに成分を公表した。
COREXITの成分は、6月8日(米国時間)にEPAによって公開されている。
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