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日本郵政が決算発表 郵便事業が最終赤字に転落
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日本郵政が14日発表した10年3月期連結決算は、最終(当期)利益が前期比6.5%増の4502億円だった。
郵便事業会社(日本郵便)が最終赤字に転落した一方、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が最終増益を確保し、
金融2社に収益を依存する体質が一段と鮮明になった。鳩山政権は、郵政民営化路線を転換して、
ゆうちょ銀の預け入れ限度額などを大幅に引き上げる郵政改革に乗り出したが、
金融2社に政府の間接的出資を残したまま収益力強化を図る改革は「民業圧迫」との批判が根強い。【坂井隆之】
売上高にあたる経常収益は、6.0%減の18兆7736億円と大幅な減収だった。
満期を迎えた定額貯金や保険契約の流出による残高減少が響き、
ゆうちょ銀が11.2%、かんぽ生命が6.0%それぞれ大きく減少した。
一方、最終損益は、郵便事業会社が474億円の赤字(09年3月期は298億円の黒字)に転落。
日本通運との宅配便事業統合の見直しに伴う損失797億円を計上したことが響いた。
これに対し、ゆうちょ銀は29.3%増の2967億円の黒字、かんぽ生命が83.0%増の701億円の黒字と大幅に増加した。
09年3月期は金融危機後の株価急落で保有株式の処理損失を計上したが、10年3月期は株価回復が追い風となった。
連結最終利益に占める金融2社の比率は81%と、依存体質は09年3月期(63%)から一段と進んだ。
政府は今国会に提出している郵政改革法案で、日本郵政に郵便、貯金、保険の「全国一律サービス」を義務付けた。
郵便事業は今後も厳しい状況が続くとみられ、限度額引き上げによる金融2社の収益力強化で
「全国一律サービス」を維持する考えだが、金融業界では「官製金融」肥大化への懸念は根強い。
14日会見した日本郵政の藤本栄助専務執行役は、限度額引き上げついて、「極端な影響はない」と慎重な言い回しに終始。
11年3月期の最終利益は、4100億円と減益を見込むが、郵政改革の影響は反映させていないという。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100515k0000m020096000c.html