手先が勝手に動き、認知障害などの症状を示す遺伝性の神経難病「ハンチントン病」は、
傷ついたDNAを修復する酵素の不足が原因で発症することを、東京医科歯科大学の岡沢均教授らが突き止めた。
酵素を補えば進行を抑えられる可能性がある。科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」電子版に発表した。
ハンチントン病は、発症すると脳が萎縮(いしゅく)し、やがて死亡する。
患者の細胞では「ハンチンチン」と呼ばれるたんぱく質を作る遺伝子が通常より長いなどの特徴があるが、なぜ発症するかは不明だった。
岡沢教授らは、患者に特有のハンチンチンが、切断されたDNAを修復する酵素と結びつき、働けなくしていることを発見。
通常は生後約100日で死んでしまうハンチントン病のマウスの脳で、この酵素を作る遺伝子の働きを強めてやると、寿命は130〜140日に延びた。
岡沢教授は「ハンチンチンと酵素の結合を邪魔する化合物や、酵素の補給方法が見つかれば、有効な治療法になる」と話している。
◆ハンチントン病=欧州では10万人中4〜8人が発症する。日本での発症率はその10分の1とされる。
発症時期はさまざまだが、30歳くらいが多い。症状はゆっくりと悪化し、社会生活を独力で送ることが困難になる。根本的な治療法はない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100507-00000742-yom-sci