主婦がカレー、脱サラしケバブ 就職難に若手ら開業
厳しい就職難が続くなか、自分で仕事を始めてしまおうと、車を使った移動店舗の飲食業を
始める人が県北地域などで目立っている。
一般店舗に比べて開業資金が格段に安くすむこともあり、飲食業の経験がない若い世代の
参入も。自分の店を持つことを夢に、今日も県内を駆け巡っている。
4月から熊谷市役所の近くで、タイカレーの移動販売を始めた寄居町の鈴木三保さん(28)は
1児の母。以前は半導体の研究所などで派遣社員として働いていたが、出産を機に退社。
子育てがひと段落し、再び就職先を探したが、「子持ちの主婦じゃ、会社に電話しただけで断られた」。
職業訓練校にも通い、中小企業診断士などにも相談した。そこで思い出したのが、個人旅行
で訪れたタイの屋台料理。しかし、店舗を借りるとお金や時間もかかる。
手っ取り早く、車を使った移動店舗で、ランチ専門のタイカレーの店の開業を思い立った。
中古車店で売れ残っていたピンク色の軽ワゴン車を購入。後部座席を取り外し、自分でカウンター
を取り付けた。料理は群馬県大泉町でアジアの食材を売るタイ人にカレーのレシピを教えてもらい、
工夫を重ねた。開業資金は約80万円。固定の店舗に比べれば破格の安さだ。
(中略)
熊谷保健所によると、管内(熊谷市、深谷市、寄居町)で主に営業している車利用の食品
移動店舗は28業者。焼き鳥やタコス、クレープ、おからドーナツなどの店がある。
また、寄居町商工会によると、寄居町内には脱サラをしてトルコ料理のケバブの移動販売をしている30代
の男性や、林業を辞めてコロッケの移動店舗を始め、評判を呼んで自宅に店を構えた人もいるという。
同商工会経営指導員の白川真さん(34)は「今年の夏ごろに町内の移動店舗を集めて、にぎわいイベント
も考えている。いつかは移動店舗を卒業して、寄居町に店を開いてもらえるように応援したい」と話していた。
http://www.saitama-np.co.jp/news04/15/05.html