ロンドン(CNN) 家族同然の愛情を注いできたペットと、あの世でも一緒にいたい――飼い主らのそんな願いにこたえて、人間と動物を同じ墓に埋葬するサービスが、英米などで増加の兆しを示している。
英南西部コーンウォール州でペット向けの火葬場と墓地を経営してきたペニー・ラリーさん(66)は4年前、近くに住む高齢の女性から、自分が死んだらペットの猫7匹と同じ墓に入りたい、との依頼を受けた。
初めて聞くアイデアに戸惑いながらも、ラリーさんは人間の遺体を埋葬するための認可を取り、女性の「最後の望み」をかなえることができた。
3年前、64歳で病死したラリーさんの夫のかたわらにも、かわいがっていた馬と犬、猫、カナリアが眠っている。ラリーさんの墓地ではその後、30人余りがペットとともに埋葬された。
増え続ける希望者に対応するため、さらに100区画余りを用意している。
キャロル・マンディさん(54)は、夫のロバートさんとともにその1区画を予約した。ここにはすでに、2年前に死んだ愛犬が埋葬されている。
「ただの犬じゃないか、と言われるのはもうたくさん。動物は無条件に私たちを愛してくれるし、私も精一杯の愛情を注いできた。変人と呼ばれてもかまいません」と、力を込める。
英国内で現在、飼い主とペットが一緒に入れる墓地は数カ所しかないが、つい先月も東部リンカンシャー州で新たな計画が認可されたばかり。
ラリーさんによれば「最近、そういうことが可能だと分かって、関心を持ち始めた人も多い」という。
同様の傾向は近年、米国でもみられるようになった。ペンシルベニア州のヒルクレスト・フリン葬儀場では、ペットとの埋葬について、初めて問い合わせがあったのが2006年。
その後、ペットと飼い主を同じ墓に入れるケースは急増し、昨年は70件近くに上ったという。
専門家らによれば、遺体のかたわらに動物を埋葬する習慣は古代エジプトまでさかのぼるが、「魂を持つのは人間のみ」というキリスト教の教えが定着するにつれ、タブー視されるようになった。
しかし最近、故人の希望に沿った多様な葬儀、埋葬を認めるべきだとの風潮にともない、新たな形で復活したと考えられる。
http://www.cnn.co.jp/business/CNN201002270001.html