熊本市のアパートに一人で暮らす40代のタカハシマサルさんには月2回、特別な日がある。なじみの風俗嬢を自宅に呼ぶ日だ。
その日はヘルパーに手伝ってもらって風呂に入る。重度の脳性まひで手足がほとんど動かないからだ。
施設で20年近く生活した後、一人暮らしを始めた。「食事や入浴は必要だから介護を受けられる。性は生死に直接関係ない。
でも障害者にだって意思も欲もある」。人間としてありのままに生きたいと思った。
熊本市には障害者専用の風俗店がある。客が申し込むと、まず男性従業員が自宅に来て、障害の程度や体のどの部分を
押さえてはいけないかを聞き、「カルテ」の人体図に書き込む。予約した日は車いすで乗れるリフト車で迎えに来てくれる。
ヘルパーも同伴して出かける。
ホテルに着くと、ほどなく女性が部屋に来る。その一人、すらりとした美人のセリナさん(28)。「こげん体だけん」
と気にする客もいるが、セリナさんは笑顔で接する。好きな歌やお笑いの話もし、着替えを手伝う。帰りは従業員が客を車で家まで送る。
セリナさんは客が部屋から出て、待機するヘルパーに会う時の顔が好きだという。「とてもいい顔。喜んでもらったのが分かる」。
ときどき、感謝のメールも届く。「不自由な手で大変だろうと思う」と気づかう。「おしゃれに気を配る男性もいる。
障害がある人もない人も、私たちにとっては、普通の男性」と語る。
障害者向け営業について、店の代表ヒガシアキオさん(42)は「送り迎えで一人の客に半日がかり。事前訪問や運転手の手配も
必要で人件費がかかる。実は、やればやるほど赤字なんです」という。他にも経営する店が複数あってその収益で成り立たせている。
(文中カタカナは仮名)
ヘルパーの介助で食事をするタカハシさん。いつか、クリスマスに女性とケーキやお酒を楽しみたいという=熊本市の自宅
http://mytown.asahi.com/kumamoto/k_img_render.php?k_id=44000381001080001&o_id=3814&type=kiji 以上抜粋。全文はこちらで
http://mytown.asahi.com/kumamoto/news.php?k_id=44000381001080001