中国南西部・雲南省。その北西部に位置する湖、拉市海(ラーシーハイ)に近い村で農業を営む
チャン・チェングイさん(53)は03年、村内で初めて、家畜などの排せつ物からバイオガス
を発生させる装置を導入した。同時に、太陽熱温水器やエネルギー効率の良いコンロ、雨水タン
クも購入。これだけの投資を可能にしたのは、環境保護を掲げる米非政府組織(NGO)「ザ・
ネイチャー・コンサーバンシー」からのローンだった。
平均年収数万円という住民らにとって、バイオガス発生装置(1万5000―3万円)や太陽熱温水器
(4万円)は高価な買い物だ。ローン制度を利用すれば、最大約15万円の貸付とともに、技術支援を
受けることもできる。
チャンさん一家は、一連の装置を導入したことによって「100日分の労働時間」が節約できるように
なったという。バイオガスによる発電で家庭内の電力をまかない、残りかすは肥料として活用。温室で
の果物、野菜栽培に専念することで、収入は以前の3倍に増えた。「おかげで子どもたちも大学で教育
を受け、希望する職業に就けた」と、チャンさんは目を細める。
チャンさんの成功例が呼び水となって、村の農家は次々にローンを利用し始めた。この地域ではすでに、
820世帯がバイオガス発生装置を、600世帯が太陽熱温水器を購入。プロジェクトの対象は省内の
420村に及んでいる。使われる薪の量を4分の1まで減らすのが、プロジェクトの最終的な目標だという。
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http://www.cnn.co.jp/science/CNN200907120017.html (依頼36)