借入先の農協が、隣に斎場を進出させて営業妨害し、融資を返済出来なくなったとして、
山梨県上野原市の葬祭会社「花光祭典」の藤本光太郎社長(60)が
クレイン農業協同組合(本店・同県都留市)を相手取り、
約1億5600万円の損害賠償を求める訴訟を甲府地裁に起こした。
訴状などによると、同社は2000年10月、上野原市上野原の国道20号沿いに
斎場「メモリアルプラザ光」をオープンさせたが、3年後の03年11月、クレイン農協の
100%子会社「クレイン協同サービス」が、隣に「JAクレインセレモニーホール」を開業した。
藤本社長は同農協から営業資金の融資を受けていたが、「年間利用者が約70件から約40件に減った」
として返済をストップ。債務は約7300万円に上る。
昨年12月、同農協の融資の担保に入っていた藤本社長の自宅を競売にかけると
通知が甲府地裁から届いたのを機に、今年5月に競売手続き停止の仮処分を申し立て、
今回の訴訟にも踏み切った。訴訟では債務の帳消しと、農協子会社の斎場に
利用者を奪われたことによる損害賠償を求めている。
藤本社長は「農協から融資を受けているのに、隣に葬祭ホールを建設してきた。嫌がらせとしか思えない」と話した。
同農協の石井幹夫組合長は「組合員から斎場建設を要望する声が強くあり、
上野原市内で適地を探した結果、現在の場所になった。営業妨害の意図はなく、
藤本社長の債務はきちんと返してもらうべきものだ」と話した。
斎場の近くに住む会社員男性(59)は「クレイン農協の斎場が進出してきた時は
『隣にもう一つできるのか』と驚いた。花光祭典をつぶそうという意図を感じた」と話す。
農協子会社のクレイン協同サービスは、斎場のほか農産物加工施設や
ガソリンスタンドなどを経営している。東京商工リサーチによると、09年1月期の売上高は1億7274万円、
税引き後利益は1235万円だった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090622-OYT1T00040.htm