特攻隊員だった桐生市出身の荒木幸雄さんの物語
『ユキは十七歳 特攻で死んだ?子犬よさらば 愛しきいのち?』
(毛利恒之著、ポプラ社)を題材にした手作りの紙芝居が17日、
デイサービスセンターのサンホープケアパーク仲町=市内仲町一丁目=で披露された。
市内の女性が制作したもので、約30分かけて上演した。
紙芝居を制作、朗読したのは大田黒惟代さん、関敦子さん、松林正子さん、三森英子さんの4人。
元高校教諭の根岸美義さん=市内天神町二丁目=が代表をつとめる
「桐生からいのちと平和を発信する会」に参加し、平和を伝える朗読活動をしてきた。
根岸さんの短歌の会に参加している同センターの利用者がいたことから、上演が決まったという。
紙芝居のタイトルは「おじいさんが語る戦争の話?ユキは十七歳 特攻で死んだ?」。
毛利さんの著作をベースに、小学生の孫に祖父母が語る形にした。
著者の承諾が得られる水準にまでストーリーを組み立てるのに苦労したそうで、
完成までに1年半ほどかかった。描いた絵は19枚。
戦争の時代を生きてきたお年寄りたちは、幸雄さんが桐生の実家に帰ってきた場面や、
戦闘機に乗って離陸するシーンなどの絵を見つめながら、約30分間の語りにじっと耳を傾けていた。
上演途中に思わずむせび泣く人や、終了後に「うちの夫は(戦争から)無事に帰ってきたけど、
将来のある若い人が命を落とすなんて…。二度と戦争なんかしちゃいけない」と
言葉を詰まらせながら感想を語る女性もいた。
紙芝居にも登場する幸雄さんの実兄・荒木精一さんも利用者・職員とともに初鑑賞。
「戦争は悲劇だ。いまもそれを引きずっている」と話していた。
女性たちは「今、こうして幸せに暮らせるのは、幸雄さんたちのおかげかもしれない。
戦争は絶対にしてはならない」「絵はつたないし、感情が高ぶってしまう語り口だけど、
できれば小学生の前で上演し、平和の大切さを語り継いでいきたい」などと話していた。
紙芝居の問い合わせは松林正子さん(電22・5973)へ。
http://www.kiryutimes.co.jp/news/0218/0902182.html