『犬』執着ぶれず 元次官襲撃小泉容疑者、きょう拘置延長請求
元厚生次官ら連続殺傷事件で、殺人と殺人未遂容疑で再逮捕された無職小泉毅容疑者(46)が警視庁と
埼玉県警の合同捜査本部の調べに対し、保健所に飼い犬を処分されたことだけが動機ではないという
趣旨の供述をしていることが分かった。犯行時に借金が五百万円ほどに膨れ上がっていたことも判明。
捜査当局は十五日、拘置の延長を請求して動機や事件の背景を引き続き調べる。
◆達成感にひたる
「長年計画していたことをやり遂げた」
小泉容疑者は事件から一カ月が経過した今も、達成感にひたっている様子で、被害者への謝罪の言葉はないという。
小泉容疑者は十一月十七日にさいたま市南区の山口剛彦さん(66)夫婦を殺害、翌十八日には
東京都中野区の吉原健二さん(76)の妻靖子さん(72)を襲撃した疑い。
出頭後、「三十四年前、保健所に飼い犬『チロ』を殺された仇(あだ)討ち」と動機を供述し、犬の話になると
感情を高ぶらせることもあったが、今は落ち着いているという。供述は「チロだけなら殺さなかった。
動物愛護の点から許せなかった」と微妙に変化したが、保健所に対する強い憤りと犬に対するこだわりでは、ぶれがないという。
捜査幹部は「普通の人から見れば動機に飛躍があるが、彼にとってはそうではないようだ。信じ切っているから、
この先も供述内容は変わらないかもしれない」と話す。
◆「孤立」の影響
五軒の襲撃を計画していた小泉容疑者は吉原さん宅襲撃後、警備強化でその後の犯行を断念。
同十九日、犯行に使ったレンタカーを返却した後、二十二日に出頭するまでの間、家財道具が処分された
空き家のような自宅アパートで一人、大半の時間を過ごしていたという。
小泉容疑者は東京都内のコンピューター関連会社を退職後八年間は定職に就かなかった。
この間、友人と呼べるような人もいなかったという。合同捜査本部は、社会から孤立した生活が事件に
影響を与えた可能性についても調べを進める。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008121502000034.html