地球の生命に欠かせないアミノ酸などの有機物が、隕石(いんせき)が海に衝突する際の化学反応で簡単に合成できる
ことを、物質・材料研究機構と東北大学のグループが実験で確かめた。
現在分かっている原始地球の大気組成に基づいて、生命物質の合成に成功したのは世界で初めて。科学誌ネイチャー・
ジオサイエンスに8日発表する。
アミノ酸などの起源については、米国の化学者ミラーが1952年に、アンモニアやメタン、水蒸気を詰めたフラスコ内
で放電、アミノ酸などを合成した有名な実験がある。しかし、原始の大気は、当時考えられていたようなアンモニアや
メタンが主成分ではなく、二酸化炭素と窒素、水蒸気だったとする説が有力。この組成では、ミラー実験のような化学反応
は起きないことから、生命物質の由来は再び謎となっていた。
グループは、窒素ガスで満たした金属筒に水と炭素、鉄などを封入。超高速でプラスチック製弾丸を衝突させて筒の
内部を瞬間的に約6万気圧に上げ、隕石の海洋衝突を再現した。その結果、アミノ酸の一種のグリシンや、脂肪酸、
アミンといった、生物の体を構成する基本分子が生成した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20081208-OYT1T00001.htm