電機メーカー各社の半導体事業が苦境に陥っている。
携帯電話やゲーム機などデジタル機器向けの需要が伸びず、想定以上の市況悪化に見舞われているためだ。
2008年4〜6月期業績では東芝が四半期ベースで3年ぶりに最終赤字に転落するなど、各社の業績を軒並み直撃した。
景気減速を反映し、厳しい状況がしばらく続くとの見方もあり、業界再編が再び頭をもたげてくる可能性も出てきそうだ。
エルピーダメモリが7日発表した4〜6月期業績は156億円の営業赤字(前年同期は37億円の営業黒字)だった。
営業赤字は3四半期連続。
パソコンなどに使われる主力商品のDRAMは数量が前年同期より増えたが価格が回復せず、採算ラインを割り込んだ。
安達隆郎取締役は「市場の一部で在庫が増加するなど、今後も厳しい状況が続きそうだ」と渋い表情を見せる。
東芝は営業赤字241億円のうち、半導体部門の営業赤字が302億円(前期は235億円の営業黒字)に達した。
村岡富美雄専務は「極めて不本意な結果。社会インフラやパソコンは好調だったが、半導体が想定以上に悪化した」と嘆く。
携帯音楽プレーヤーなどに使われるNAND型フラッシュメモリーの価格下落が想定以上だったことに加え、
システムLSIが携帯電話向けを中心に需要が減少し、価格下落を招いた。
最先端の300ミリウエハーの工場稼働率は「4月は80%だったが、現在は70%を割り込む」(村岡専務)という。
システムLSI中心のNECエレクトロニクスは同期に、
17億円の営業黒字(前年同期は22億円の営業赤字)を確保したが、研究開発費などを切り詰めたのが主因。
40億円の営業赤字(前年同期は19億円の営業黒字)に転落したルネサステクノロジも
「研究開発費などを減らさないと(通期の)収益が確保できない」(伊藤達会長)と今後、固定費削減に手を付ける考えだ。
日本の半導体業界は1990年代後半と2000年代前半の2回にわたって大規模な再編を経験した。
ルネサスの伊藤会長は「今の状態が長引けば(業界再編の)話は出てくるでしょう」と第3次再編の可能性を指摘する。
(小熊敦郎)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0808/08/news033.html