武雄市の入院患者射殺事件で、殺人罪などに問われた指定暴力団道仁会系組員
今田文雄被告(61)の第2回公判が1日、佐賀地裁(若宮利信裁判長)であった。
被害者の宮元洋さん=同市山内町、当時34歳=の妻篤紀さん(36)が意見陳述に立ち、
「暴力団による同様の事件が繰り返されないためには、選択肢は死刑しかありません」と涙ながらに訴えた。
篤紀さんは「家族はそれぞれ洋君に恥じないよう頑張っているが、今でも暗い、底の見えない闇の中にいる」
と述べ、子どもたちが時折、無表情で呆然 (ぼうぜん)と立ちつくしていることや、
家族を支える立場になった篤紀さんが安全のため車から電車通勤に切り替えたことを明らかにした。
篤紀さんは「洋君の代わりにここで訴える事しかしてあげられない」と述べた上で、
無期懲役には仮釈放があることから、「たとえ死刑執行が最終的にされなくてもよいので、この先、
安心して暮らすために犯人が永久に世間に出られない判決をお願いします」と声を震わせた。
また、公判では初めての被告人質問があり、今田被告は宮元さんについての情報を犯行前に
入手していたと主張。今でも「企業舎弟だと思っている」といい、「相手の顔は知らなかったが、
病室のドアを開けたら怒鳴られたので企業舎弟に間違いないと思った」などと述べた。
公判後、佐賀地検の渡口鶇次席検事は「被告の主張は荒唐無稽(むけい)。
宮元さんが撃たれる前に怒鳴っていないことは証拠で立証されており、暴力団関係者である
客観的事実もない」とコメントした。
次回公判の21日に結審、6月10日に判決が言い渡される。
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