皇居にほど近い閑静な住宅街の一角。
アルベルト・ボッターリ・デ・カステッロ大司教(駐日大使)は、緑が生い茂るこぢんまりした庭園で鏡割を行い、
訪れた各国大使やカトリック関係者ら約350人に、自ら日本酒をふるまった。
各国のローマ法王庁大使館は、ローマ法王就任を祝うパーティーを毎年行う。
日本でいえば天皇誕生日の祝賀行事にあたるだろう。
バチカン市国は面積0.44平方キロと世界最小の独立国。
全世界で10億人余とされるカトリック教徒の総本山だが、このパーティーには宗教も立場もさまざまな人たちが集まった。
イスラム教の聖地メッカを抱える、サウジアラビアのトラッド大使がいた。
大使は「われわれは1つの神を信仰しており、人権保護や平和への願いなどの価値を共有できる」と言う。
ユダヤ教徒の国、イスラエルのベンシトリット大使は「先の法王の訪米を見ても影響力の大きさは明らかだ」と感服し、
イスラエルとバチカンの対話も進んでいることを明かした。
大使以外の出席者も多士済々だ。
国際協力機構(JICA)の緒方貞子理事長は「バチカンは世界各地の情勢をよく理解し、普遍的な価値を有している」と評価する。
アフリカの子供たちの支援についてバチカンと話し合っているという元サッカー日本代表、北沢豪さんの姿もあった。
法王庁大使館のレオン・バディケベレ・カレンガ参事官が升酒をなめ、
「日本は素晴らしい。特に(よい酒が多い)仙台と新潟はね」と、ウインクを送ってきた。
ガーナ大使に転出することが決まっており、この祝賀会はいわば最後の大仕事だ。
日差しが強くなった。レバノン生まれの作家、石黒マリーローズさんの
「共有できた時間と場所を戦争のような方向に使わず、友好に向けて使うべきでしょう。
このパーティーのように」という言葉が、耳に残った。
【画像】
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http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080430/erp0804301838008-n1.htm