民主党のかねての主張で一つ適切な点があるとすれば、財務省の天下りに反対する、という点だろう。そもそも今回の人事は、財務官僚と日銀官僚が早くから結託し、
自らのたすきがけ人事システムを守ろうとしたものである。それに政府・与党が乗っかって決定したことは、誰の目にも明らかだ。だからこそフィナンシャル・タイムズ(3月13日付)は
今回の不同意を、むしろ日本社会の進歩と評したのである。
そうした中で、メディアの論調はどのようなものだったろうか。その主たるものは、「日銀総裁ポストの空白を生むな」というものだった。いうまでもなく、空白を生まないことが望ましい。
しかしあえて言えば、不適切な人材をすみやかに任命するのと、1、2週間の空白ができても素晴らしい人材を任命するのと、どちらが望ましいだろうか。明らかに後者だ。
最も重要なのは、適切な人材を登用することだ。つまり成果目標と要件を明確にしたうえで、しっかりと論議を重ねることなのである。しかしメディアも、
日銀のあるべき成果目標などについてほとんど議論してこなかった。与党も野党もメディアもきちんとした議論ができなかった点にこそ、日本売りの真の原因があると考えねばならない。
ここまで混乱した以上、日銀に期待すべき成果(アウトカム)とそのために求められる幹部の要件(クライテリア)について、この際徹底的に議論すればいい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080317/stt0803170848001-n3.htm