告発します ≪四代目≫

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853名無しさん@お腹いっぱい。
明らかになった金正男入国の「新事実」
武器密売ルートの一端明らかに

 北朝鮮の金正日総書記の長男、金正男氏=写真=とみられる「危険な男」一行が偽造旅券で成田空港から不法入国しようとして東京入国管理局に拘束され、強制退去処分を受けた衝撃的事件から約1カ月。夕刊フジは事件直後、米中央情報局(CIA)が日本側に極秘提供した金正男氏の声紋と男性のが一致した−などとする大宅賞ジャーナリスト、加藤昭氏の緊急リポートを掲載して注目されたが、その後、加藤氏の独自取材で明らかになった新事実を「番外編」として報告する。◇

 まず5月1日、金正男一行が拘束される場面。日本政府の「入管当局が偽造旅券を見破った」という発表とは異なり、事実は次のようなものだったという。


 日本の公安当局は、外国の諜報機関から「金正男らが成田に向かう」との緊急情報を受け、入国管理局と厳戒体制を敷いた。通称「ジャバラ」と呼ばれる可動式の投降機出口を固めたのは数人の入管審査官。彼らは通報のあった4人の男女を識別して声をかけた。


 「少々お尋ねしたいことがあります。こちらにお越しください」


 「エッ、どうして?」


 金正男は大阪弁まじりの日本語で答えたとの説がある。一行は空港内の特別審査室と呼ばれる“取調室”に連行され、尋問を受ける。韓国の諜報機関の情報では、そこではこんなやり取りが交わされたという。


 審査官「これは偽造パスポートですね?」


 金正男「本当ですか。今まで本物と思っていた。信じられない」


 審査官「これをどこで入手したのですか?」


 金正男「ドミニカ共和国。妻や世話係の分まで含め、8万米ドル(約960万円)も支払った。正規旅券と信じ込んでいた」


 これまでの報道では、偽造パスポートの入手価格は「2000米ドル(約24万円)」と伝えられている。目的は不明だが情報操作が行われたフシがある。


 次に、審査官は人物特定に関する質問を放った。


 審査官「あなたの本当の姓名は『金正男』といい、お父上は北朝鮮の最高指導者、金正日総書記ではありませんか?」


 金正男「……そうです……」


 金正男は興奮したり回答の拒否もしなかったが、警察庁や警視庁、法務省の公安当局者は色めき立った。金正日総書記の後継者と目される人物から情報収集できる千載一遇のチャンスとし、金正男を「徹底的に絞り上げる方針が練り上げられたようだ」(在京の某国諜報機関メンバー)。


 拘束当夜、4人は茨城県牛久市の法務省東日本入国管理センターに移送された。入所の際、徹底した所持品検査と身体検査も規則に従って行われたという。5月2、3の両日、尋問は熾烈を極めた。前出の韓国諜報機関の関係者が語る。


 「4人は別々の部屋に完全隔離され、身元調査、入国目的とルートが徹底的に追及された。さまざまな角度のスチール写真やVTR映像、指紋や声紋を使ってデータ収集が図られた。『北の皇太子』は拘留中に文字通り丸裸にされ、日本の公安当局は“日朝交渉の切り札”になりうる重要な情報を入手したようだ」


 公安関係者から信じ難い情報が飛び込んできた。尋問から、北朝鮮の軍事機密に関する情報の一端をつかんだというのだ。


 「金正男のメモ類の分析で、北朝鮮からイランやイラクなど、中東諸国に流れる武器密売ルートの存在が明らかになったようだ。北の武器輸出はうわさには上っていたが、その一端が解明できたとなれば、十分に切り札になるはずだ」


 別の事情通も口をそろえる。「金正男のスーツケース内の1億円ともいわれる大金の出処の追及が発端だった。当初、『麻薬を売った金か?』などと追及され、北朝鮮の資金の流れについてヒントを得たようだ。武器売買の決済が大阪の金融機関に設けられた秘密口座で行われているという話もあったと聞いている」


 これが事実なら、日本側が切り札の入手を隠すため、「男性らの身元確認はできない」とトボけるのも理解できないこともない。


 ただ、金正男や北朝鮮は甘くはない。「なぜ、偽造旅券で入国するのか?」という入管審査官の問いに、「日本と平和条約は締結されていない。日本は敵国だから、偽造旅券の行使を含め、何をしても構わないというのが、われわれの考え方だ」と言ったという。


 こんな考え方の「危険な男」に対し、日本政府が入手したとされる切り札は通用するのか。今後の日朝交渉の行方が見ものだ。(敬称略)