元レスキュー隊員・仙波王仁の被災地ボランティア日記(番外編)
筆者 - 仙波王仁
2011年 4月 16日(土曜日) 02:35
3月27日に盛岡市を発ち、仙台市、新潟市を経由し、28日午後10時に関越自動車道で東京に着いた。
30日夜、映画『ポチの告白』の監督である高橋玄さんに食事をごちそうになり、愛媛ナンバーのワンボックスカーで
宿に戻る途中、警視庁新宿署のパトカーに停止を命じられた。「東京に何をしに来ているのか」と尋問されたため、
「被災地にボランティアで救助活動に行き、その帰りに東京に寄って、カンパしていただいた方々にお礼を述べている」
と回答した。
すると、警察官は「車の中を見せろ」と言う。理由を聞くと、「被災地で物を盗んできた可能性があるため」と言う。
実に失礼な話である。
しかし、私は被災地で実際に震災のどさくさに紛れて泥棒をはたらく者を何度も見かけたため、警察官の言うことも
理解はできる。そこで、ワンボックスカーのドアを開け、中を見せた。シュラフ(寝袋)、ヘルメット、泥のついたブーツ、
たくさんの水と携帯食料など、救助活動の道具だらけで、不審な物は一切見られない。それは警察官も認めた。
ところが、続いて身体検査までさせられた。さらに、警察官は「運転席まわりも見せろ」と言う。私は憤慨した。
「本来であれば、車の中を見せたり、身体検査をさせたりする義務などないのに、あえて協力した。にもかかわらず、
『運転席まわりも見せろ』とは、どういうことか。それが善意で被災地に行った者に対する仕打ちか。これ以上の検査は
屈辱以外の何ものでもない。断固として拒否する!」
警察官は応援を呼び、私は何台ものパトカーにまわりを囲まれた。
「これでは事実上の強制捜査だ! 帰らせろ!」
私が何回言っても、警察官は聞く耳を持たず、「運転席まわりも見せろ」の一点張り。