>>162つづき
この背景には高齢者・障害者への配慮がある。
歩道橋にエレベーターを後付けしたり、スロープを設置する対策もあるが、エレベーター設置には用地買収費も含めると「1カ所あたり億単位の費用がかかる」(都建設局)。
さらに、維持管理は区市町村に依頼するため、調整が難航しがちで、都内でまだ5カ所にしか設置されていない。
スロープも車いすの利用を考えると長さ60〜100メートルが必要で、これも用地買収を考えると後付け設置は至難の業。
そこで「平面が一番のバリアフリー」として、都では利用者が少なく横断歩道が近くにある歩道橋については地元との調整がつき次第、撤去する方針を打ち出した。
歩道橋がなくなったことで、地元住民からは「通りがすっきりした」「(階段が撤去されて)歩道が広がり、通りやすくなった」との声が寄せられているという。
都は「どうしても必要なものを残して、歩道橋の数はこれからも減らしていく」と話す。
工学院大学の谷口宗彦教授(都市建築デザイン)は「段差が高齢者・障害者にとってバリアなのは確かで、高齢化社会の進行で歩道橋が減るのは時代の必然ともいえる。
歩道橋撤去後の信号の整備では、目や耳の悪い人への対応が望まれる。
交通量の特に多いところでは歩道橋へのエレベーター設置を求めるなど、歩行者が安全に渡れるような手段を確保していくことが大事だ」と話している。