陸自に対テロ部隊 300人規模新設 来月、イラク派遣も
防衛庁は平成十五年度末の自衛隊の部隊改編で、陸上自衛隊初の対テロ・ゲリラ専
門部隊となる「特殊作戦群」を発足させる。陸自にはこれまで、世界の多くの国々の
軍が保有しているテロ、ゲリラなど「非正規戦」の脅威に対抗する専門部隊が欠けて
いたが、特殊作戦群の月内発足で日本の防衛体制が国際水準に近づく。最初の任務と
して、小泉純一郎首相や石破茂防衛庁長官らのイラク訪問に備え、四月上旬に隊員数
人を現地へ派遣し、警護に万全を期すことを検討している。
特殊作戦群は防衛庁長官の直轄部隊。レンジャーなど全国の隊員から選抜した精鋭
約三百人により習志野駐屯地(千葉県船橋市)に新設される。任務は多様で、ゲリラ
や外国のコマンド(特殊)部隊を撃退するほか、アルカーイダなど国際テロ組織が大
規模テロを仕掛けてくるのに備え、首相の指示に基づいて省庁間協力を活用し、要人
の警護や重要施設の警備に当たる。友好国の特殊部隊間の独自のネットワークからテ
ロ情報も入手する。
さらに、海外派遣の自衛隊部隊の安全確保に協力し、有事には通常部隊を助け、敵
の勢力圏に入り込んでの抵抗や偵察も行う。敵軍やテロリストに拘束された要人、捕
虜の救出も任務となる。
これらの部隊の特性から、対テロ作戦を専門とする隊員が首相のイラク訪問などの
場合の警護準備に当たる見通しだ。
特殊部隊は米国だけでなく、日本周辺でもロシア、中国、韓国、北朝鮮、台湾のす
べてが保有。八年には北朝鮮の特殊部隊二十六人が韓国に侵入。韓国軍は六万人の兵
を動員し約五十日間、捕捉作戦を展開したが、民間人ら十六人の犠牲者を出した。防
衛庁はこの教訓や国際テロが急増する情勢を踏まえ、特殊部隊が必要だと判断した。
隊員は厳しい訓練をこなし、「一つのチームが一個師団の戦果を上げる力を発揮す
ることもある」(米軍筋)と評される米陸軍特殊部隊の「デルタフォース」や「グ
リーンベレー」を参考に、武器、通信、衛生、言語などの専門能力を習得し、小人数
のチームを編成して行動する。
2004/03/19 (産経新聞)