153 :
名無しピーポ君:
40年間、化学メーカーに勤めたおじいさん。
楽しいこと、苦しいこと、いろいろあった。今では全てが良い思い出。
定年退職して、さあ気楽な年金暮らし。
でも現実は甘くない。病気がちの妻のために貯金、年金はなるべく手をつけないでおこう
警備員のアルバイトをするおじいさん。
子供達は独立したが、孫達がハムスター目当てに立ち寄ってくれるのが楽しみ
ちょっと寂しい生活だけど、真面目に生きていればきっと良い事があるさ、
そうつぶやくのを妻とハムスターは何度か聞いていた。
ある冬の日。 妻のかわりに買い物で出かけるのが日常となったお爺さん。
おっと、ハムスターのえさも忘れずに買っておこう。
両手に買い物袋をぶらさげ、ATMを操作していると、後ろの女がさわってくる
スリ!?声をあげようとすると、女のほうが「泥棒!」
床に倒されて押しつぶされるおじいさん。苦しい
私は泥棒じゃない 苦しい 苦しい うるさい、黙れ!叫ぶお巡りさん
苦しい 苦しい 苦しい …
意識が遠のく中でおじいさんが想ったのは、泥棒呼ばわりした女性のことではなく
自分を苦しめているお巡りさんのことでもなく、
家で自分の帰りを待っているであろう妻とハムスターのことだった…