【ダンガンロンパ】霧切響子はクーデレかわいい【FILE.19】
たかが
>>1乙よ。 靴下に手を入れた訳じゃないわ。
霧切さん好き
8 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/07(月) 21:06:52.21 ID:2qVTeD86
新スレを立てた
>>1は……超高校級の
>>1乙、そう呼べるんじゃないかしら?
>>1乙
前スレがもう落ちちゃったみたいなので、
投下間もなく読めなくなった
>>985-990のSSだけ先にまとめに上げておいた
他のSSの保管はオマエラに任せる
ママチャリ乗ってる霧切さんが見たい
探偵といえばママチャリよりベスパだろう
探偵といえばスケボー
スケボーに乗る霧切さん可愛い
風でスカートがめくれそうだね、僕が後ろに乗って押さえてあげるよ
ベスパも可愛いけど、霧切さんならワルキューレみたいなゴツいバイクに跨ってもサマになると思うんだ
バイクで二人乗りもいいけど
サイドカーなんかも様になると思うの
どっちがサイドカーに乗るかが問題だ
普通なら苗木くんだろうが、霧切さんがちょこんと乗るのも捨てがたい
霧「捜査の基本は足を使うこと。というわけで苗木君、聞き込み頑張ってね」
苗「」
的な安楽椅子探偵を想像した
霧切さんギャンブルも強そうだよな。苗木くんとEカードやったり限定じゃんけんやったりするのを想像した
>>19 サイドカーにちょこんと乗っかって的確なナビを飛ばす霧切さん…
それも可愛いな
しかし苗木君の脚がペダルに届くのかという問題が(ry
更新履歴はチェックしようぜ
霧切さんにレザーのライダースーツを着てほしい
うわー明後日が待ち遠しい!
とか言って明後日に届かなかったりして・・・・
Vitaの新シリーズとReloadのパッケージ版を別々で注文してるけど
台風の影響で遅れたとか言われたら悲しいわ
台風はなあ…地方は入荷遅れるかもしれんな
台風は過ぎてるけど……東京から配送されるのかな?
カップ麺ver霧切さんに願懸けしとこうかな
みんな霧切さんのココロンパするためにVITA本体まで買うの?
凄い情熱と資金力だな
Vitaでスピンオフも出るからね
他にも欲しいゲーム出るし問題ない
ここで投資することが後々さらなる霧切分の供給に繋がる
という考え方もあるべ
ダンガンロンパ自体やったことないPSPも持ってない
だからこれをきっかけにvita買う
GEOの特典の霧切さん以外に普段と髪型違う霧切さんの絵ってある?
ポニテと中学生と幼児の頃以外で。
>>24 更新履歴は確認して、まだまとめられてなかったのでまとめたんですが…
規制かかってて18まとめの方に載せてなかったため勘違いされたんでしょうか?
何にせよ、私のミスで
>>13さんにはお手数おかけしてしまい申し訳ありませんでした。
@FAUST_editor_J:
全国的に品薄状態だった星海社FICTIONS最新刊『ダンガンロンパ霧切 1』(北山猛邦/小松崎類)ですが、
今週末にかけてドーンと解消される見込みです。
書店へGO! #ダンガンロンパ #danganronpa
重版かかってるんだな
善きかな善きかな
>>37 それはいいニュース!
小説の霧切さんって本当にかっこいい
原作もアニメももちろんカッコいいけど
Reload買うために1.2売ったけど5000円になって結果的にプラスになったけど、
これデメリットないよな?
あとわざわざPSP版みんなとっとくの?
リロードがまだ手元にないから何とも答えようがありませんなぁ
霧切さんの苗木くんへの感情って、異性に対するというよりなんか家族に対してのような気がする
一応残しとくかな
1はクリアするけど、2はやるか分からんし
霧切さんなんか気持ち悪いアンチが多過ぎでかあいそう
霧切さん目立ち方の割にはかなりアンチ少ないほうだと思うべ
>>37 重版かー、こりゃ目出度いな
二巻が待ち遠しいが、十二月くらいかね? クリスマス合わせで
>>44 いくら人気でも、本編であれだけ反感かいそうな行動してるのに不思議だよなw
アンチ?ケロイドとか言ってる連中のこと?
そんなどうでもいい話より霧切さんを愛でようぜ
>>45 二巻の作中時間が丁度クリスマスだしそこに合わせてきそうだな
二巻の発売までの間はReloadをじっくりやりこめばいいかしら?
江ノ島フィギュアと同じ会社から同じクオリティの霧切さんフィギュアが
出る予定とか無いのかな?
あったら速攻予約するのに
霧切本編でも裏切りとか言われてるからいつ裏切るのかと思えば裏切ってなかった
>>49 江ノ島フィギュアのとこはすでに次に狛枝を出すって言ってるから
当分の間出す可能性は低いと思う
霧切さんのフィギュアはPhatカンパニーってところから出るよ
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/08(火) 21:28:23.64 ID:SuZ1GbKy
苗木クンと霧切さんの安定感は素晴らしい。
>>51 そうなんですよね
Phatの1/8スケールの奴ももちろん欲しいんですけどね
霧切さんの直立ってなかなかの仁王立ち
アルジャーノンは中学生Ver霧切さんを出せば差別化できてノープレですよ
新スレ記念にSS投下します
時間軸は、コロシアイ学園の前だけど細かい設定とかガン無視です。
56 :
新スレ記念SS:2013/10/08(火) 22:34:40.31 ID:M6mId7HC
title:小さな来訪者
「あ…………どうしたものかしら」
「にゃぁ〜」
「あなた、どこから来たの?」
私は時々気分転換にここへ来る。静かで日当たりの良い、校舎の裏側に位置する場所。
今も、時々吹く風に心地よさを感じながら木陰で本を読んでいる最中だった。過去形――
というのも、どこから来たのかは分からないけど今私の膝の上には銀色の毛色が特徴的な
猫が居たからだ。
「にゃぁん」
――ゴロゴロ……ゴロゴロ……
「……勝手に来られても、勝手に甘えられても困るのだけど」
どうやら私はこの子に懐かれてしまったらしい。私には懐かれるような要素など無いと
思うけど、それでもこの子は私が差し出した手に顔を擦り付けている。まるで、どこかの
クラスメイトのようだ。
多分この子は野良猫だとは思うのだけど、手袋越しでも分かる毛の柔らかさが気持よく
てつい、撫で回してしまう。そして、何よりこの銀色の毛――
「ふふっ……私とお揃いね」
あまり動物と戯れるような機会は今まであまり無かったし、予測できない行動などに少
しだけ苦手意識があったけれど、こういうのもたまには悪くないかもしれない。
「霧切さーん! 何してるのー? 授業始まるよー!」
「今、行くわ…………それじゃ、またね」
私が予測できない行動をするのは彼もまた同じだった。だから一緒にいて退屈しない。
「……? どうしたの霧切さん?」
「苗木君、あなた小動物みたいね」
「え? いきなり小動物扱いってちょっと酷いよ、霧切さん! あ、待ってよ霧切さん!
置いて行かないでよー!」
明日もここに来たら、あの子に会えるかしら?
― END ―
いざ投下しようとしたらパソコンフリーズして、原稿保存してないのに
ブラックアウトまでしてパソコン強制終了せざるを得なくてテンパりましたorz
初めての短めですが、駄文失礼しました!
おーちゅーおーちゅ
ナエギリSSは増えるべき
固定フィギュアもいいけど可動フィギュアが欲しいです
霧切さんは意外といろんなポーズをとらせる楽しみがあるキャラだと思う
figmaかねんどろいどに期待しよう
>>56 乙
猫と戯れる霧切さん絵になるな
猫耳霧切さんとかバニー霧切さんとか
そんな風ないろいろ崩壊してる立体物が出たっていい
希望とはそういうことだ
ダンガン霧切2巻はよ
霧切さんが家族が欲しいって苗木君にねだるのまだー
暖かい家族に餓えてそう
>>60 figmaは要望集まってるんだっけか
実現してくれたら嬉しいが、当分先のことになりそうだなあ
おは霧切
ダンガンワ―!
っていつでも使えるの?
照れ切さんでダンガンワ―っていい感じ、かも?
男の手も握った事のない霧切さん
霧切さん、僕の手を握ってごらん(ポロン
霧切さんと素手で指切りしたい
この霧切さんの圧倒的人気
ラジオってもう終わりなのかね
最後にもう一回くらい日笠呼んでほしいが
前回はネタバレにつき霧切さんのこと全然話せなかったし
霧切さんに無視されるのと、罵倒されるのみなさんどちらがお好み?
僕は……蹴られたいかも(笑)
どんな表情の霧切さんも好きなんだけど、目を細めてる表情になんかドキッとする
>>72 スピンオフの宣伝も兼ねて呼んで欲しいもんだな
まあなかなか都合がつかんのだろうが
霧切さんの声で喋ってくれないんじゃ出ても嬉しくない
ココロンパしたい
>>63 子供みたいに駄々こねて最後うつ伏せのまま寝るネタが思い浮かんだ
あれの元ネタがなんなのかは知らないけど
ラジオでまた人気投票やるんだな…
霧切さんは今回も上位いけるのかな
まあアニメ効果で普通に1位か2位は取れそうな気がする
霧切さん女子人気も相当高いから..
苗木霧切のワンツーだと予想するべ
女子80%の人気投票で無印キャラ2位はなかなかだよね
クールな女の子は同性ウケもいいんだろな
女ファンは男キャラにいれるんじゃないの?
2の人気投票だとペコなんか女からの票の方が多かったべ
男よりは女のほうが同性に投票するイメージ
姉ちゃんは霧切さんかジュンコが好きだって言ってる
あれ、今気づいたけどエビテンって11日頃出荷ってことは明日届かないってことか。
明日届かなくて、明後日は家に居れなくて……orz
個人的には正直人気投票はもうお腹一杯なんだが、まあ恐らく今後のあれこれにも影響するだろうからな
オマエラも投票しておこうぜ
>>86 残念だけどリロードのアンケートにも
好きなキャラへの投票があるはずだよ
1周間に1票投票できるってことは、複数回投票できるということか
3にも霧切さん出て欲しい
つーか絶対絶望少女にも出てくれ
個人的な想像だけど、ストーリーモードは苗木妹と腐川メインで、マルチプレイの対戦とかで1、2のキャラ使えるとかだったらいいな
ま た 人 気 投 票 か
キャラスレ荒れるし正直やめてほしいよな
人気投票はいけるところまでいかんとな
1位になりたいべ
霧切さんが何位でも俺の中では一位だから大丈夫
苗木君はともかく、女の子1位は守りたいところ
まぁゲームもあるし大丈夫だろうけど
苗木君と霧切さんで1位2位になれば問題無いべ
98 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/10(木) 01:13:44.35 ID:z/tsSvk2
今のまま人気投票やっても結果は変わんないだろうし
やる意味あるのかな?
1しか知らないから、苗木君と霧切さん以外に選択肢無いや
もち、2のキャラ知っても霧切さん一筋だけど
霧切さんにインビトロローズ上げたらお姉さまを思い出して微妙な反応されそう
すぐには買えんからお前らのスクールモードの報告期待してるぜ
ネットで偶然見た「なんやこのキャラかわいい」と思った画像が霧切さんだった。
どうも俺はこのタイプのキャラに弱いらしい。というわけで記念カキコしに来ますた。
ほなさいなら。
>>90 北山氏からも「さん」付けなんだなw
次巻からはミステリ的な歯ごたえも上がっていきそうで期待
結お姉様とハッピーなエンドは可能性薄いのかね
2巻もうすぐなんだ
もうすぐってどんくらいやねんw
>>90 こんなひどい目〜ってリアルタイムで片棒担いでる人の台詞かw
二次創作物の性転換させてるやつ結構あるけど、何が良いの?
いくらナエギリとかでも完全に別物だと思うし面白くない
見ないけど、あんまり良い気がしないんだよね……
リロード買ってきた
特典の霧切さんマジかわええ
特典霧切さんキスしたい唇すぎる…
>>110 GEO描き下ろし
色がつくと艶っぽくていいねえ
>>111 お!両三つ編みでイン・ビトロ・ローズ持ってるやつですね!?
それ欲しかったんですけどねぇ……
ポスター期待してエビテンで予約したから羨ましいっす!
帰りが待てない(´・ω・`)ウズウズ
両方三編みはおねーさまの墓参りでもするのかと思っちゃう
vitaの高精細有機ELで霧切さんの可愛さ百倍増し
エビテンパックの湯呑みがデカすぎる件について
別にいいけど
デレ切さんはよ
しばらくはReload漬けかなー
書いてる途中のSSはお蔵入りになりそうだ
ぁああ早く帰って霧切さんに会いたい!
霧切さんのスカートのダークゾーンは相変わらずだった…
南無三
GEOに特典霧切さんとReload取りに行ったらみんなのくじがあったので一回だけ引いたらA賞ゲット
霧切さん祭りで狂喜乱舞
みんなのくじが入荷するって書いてなかったし入荷する店じゃ引けなかったから嬉しい
おめでとう
残ってるところには残ってるんだなー
くじのモノクマタオルってバンプレストのロゴついてる?今日激混みの武蔵野線でそれっぽいの使ってる人見かけたんだが
>>120 超高校級の幸運ですね!
Reloadいま届いてめちゃ嬉しい!
けどvitaがまだ来てないから遊べないw
特典の湯のみって飾るもの?使うもの?……人それぞれだよね?
GEOの特典である薔薇切さんがサンプル画像以上に素晴らしすぎて感動した!
ゲームの中にあったBD、DVDの宣伝も霧切さんメインだし
改めて1章の学級裁判やるとアニメ以上に霧切さん大活躍だな
大事なところはほぼ苗木より当ててるw
特典絵は唇がたまらんね
あとほんのり桃色の頬
ゼロからアイテムを集め直すのもなんだか新鮮だわ
…霧切さんにビトロあげたいのに出ねえ…
花束かボージョボー人形で我慢しとけ
GEOの特典の絵って,画像が配信されたりしないもんかね?
壁紙にしたいんだ
ファイルだけじゃ物足りないんだよ...
こんなんどこで見つけてくるんだ
>>132 保存しました!
本当にありがとうございました‼︎
>>132 /\___/\
/ ⌒ ⌒ ::: \
| (●), 、(●)、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, | < やるじゃん
| ト‐=‐ァ' .::::| \_____
\ `ニニ´ .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\
140 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/10(木) 23:10:35.18 ID:NIvU+C/p
ダンガンロンパ殆ど知らないのに霧切さんを初めて見て興味が湧き、
この
>>132が今日発売のリロード盤の特典(ゲオの)になってたので衝動買いしてしまった
因みにこのキャラスレは少し前から覗いてました 苗木君も良いですね
この霧切さんは昔の自分みたいな後輩に、結お姉さまみたくビトロ渡そうとしてるんだろう
そして相手からは半ば強引に響子お姉さまと呼ばれ……キマシ?
ついでにその現場を苗木君が見て誤解してくれれば、それだけで妄想が捗るな
桜色の頬から見て、これはプレゼントしてもらったビトロを手にしているところと俺は推理するね
ほかだと唇こんな色してないから俺は渡す方だと思うぜ
お洒落してるし渡すところなんじゃね?
わざわざおめかしをする気合いのいれようが可愛い
>>147 ドラキュラになった霧切さんが,苗木君(の血及びその他諸々)を美味しく召し上がるんですね,分かります
血を吸われたい
霧切さんがやたらと凛々しくてかっこかわいい
ドラ切さんかわいい
霧切さんの魔女っ娘も見てみたいです
GEO特典イラストのインビトロローズが大人のおもちゃ的なアレにみえてしまう・・・
スクールモードの報告はよ
まぁ霧切さんは本編で大正義だからイフもあまり必要ないんだが、関係が進むのを見れるのは良い
いいなドラキュラ霧切さん
首筋に噛み付かれたいです
>>143 >>147 ものすごく小さくしか見れないけど、どうすればちゃんとしたサイズで見れますか?
吸血鬼と狼男って主従関係にあるらしいなw
>>157 元画像を全表示
携帯全画面表示を押せばアップでみれたよ
苗木く
ミス
苗木くんも霧切さんもちーたんもみんな可愛いな
未完成ですが、ちゃんと続きを書けるようにSS投下させていただきます。
【※捏造設定ありのナエギリSS】
コロシアイ学園を出た後。
外は絶望じゃなくて、ごく普通の平和な日常が広がっていたという設定。
ケンイチロウさんのこと知らないくせに、チラッと話の中で出しました。
投下分には出してませんが。
それでも大丈夫な方は駄文ですが暇つぶしにでもなれば幸いです。
1章 明日になれば
――なぜ、私は泣いているのかしら。
淡い紫がかった長い銀髪、そして白い肌。それらに相反するように身につけられた黒
い手袋は強い存在感を放っていた。彼女の名は霧切響子。『超高校級の探偵』と呼
ばれていた女性である響子は依頼人への報告書や事件の資料などを整理していた。
しかし、自身も知らず知らずの内に濡らした睫毛を揺らして一度手を止める。
響子はロンドンに探偵事務所を開いていた。依頼は多すぎず少なすぎず――生活
をする上では充分すぎるくらいだったが――幸か不幸かほとんどが難しいものではな
かった。
彼女が構える事務所内に置かれているのは、ソファやデスクなど必要最低限のもの
だけであり、個人事務所にしてはかなり広く見える。それは自宅を兼ねているからだ。
響子は涙を拭い、ふとデスクの端を見ると無造作に置かれていた手帳が視界に映っ
た。それに手を伸ばし、パラパラとめくると、明日の日付が振られている箇所を指でな
ぞる。
――もう、そんなに経つのね。
あの学園を出てから6年の月日が経とうとしていた。
響子がバカ正直だと言ってよくからかっていた、少し頼りないけれど、とても優しい少
年の顔を彼女はもう6年も目にしていない。
仕事は充実している。生活も不自由なくやっていけている。しかし、響子は今の不自
由のない生活に満足が出来なかった。変わり映えしない淡白な生活。ただ、時計が
時を刻む音をここで聞いてきた。
自分で選んだ道だったはずだ、間違ってはいないし後悔もしていないと、響子は幾
度となく自分に言い聞かせてきた。だが、その行為は矛盾している。一切の後悔のな
い者は自分に言い聞かせることなどしないだろう。そんな6年間送ってきたが、それが
今日で終わるかもしれないのだと彼女の手帳が示している。
――明日は彼に……苗木君に会える、かもしれない。
手帳にはただ 『約束の日』 とだけ小さく、けれどもはっきりと書かれていた。
※名前にタイトル入れたつもりが消えました「SS:あなたの隣で」以下続き※
――僕は、君の隣にいたい。一緒に行きたい。
あの時の気持ちは6年が経とうとしている今でも変わらない。
変わるわけがない。
冷たいようでいて、本当はとても優しくて……だから自分一人で抱え込もうとする彼女
を、僕は好きだった。支えたかった。
だから僕は、背伸びしてみようと思った。
彼女との――霧切さんとの約束を守るために。
6年前であれば決して似合うとは言えなかったであろう、黒のスーツを見事に着こな
し、頭に特徴的な癖毛を持った青年――苗木誠は今、空港に来ていた。
彼は、足早にカウンターで手続きを済ませて、搭乗までの一連の流れを終わらせる。
機内に入り、チケットに記された座席を確かめながら席を探してそれが見つかると彼は
ドサリと腰を下ろして息を吐いた。慣れない手続きに疲れたのだ。
飛行機に乗ること自体は初めてではないが、最後に乗ったのはもう随分前になる。確
か中学の修学旅行だっただろうか――誠は、ただ周りの流れに従って乗り込んだこと
を思い出す。もう、彼は充分に大人なのだから、当たり前ではあるが初めて全て一人
で手配したことに対し、誇らしげにならずにはいられなかった。そして思う。
――これじゃあ、まだ子供っぽいと笑われるかな。
フッと自嘲気味に笑うと、誠は手にしていたチケットの文字を感慨深げに眺めてぽつり
と呟いた。
「明日だ。明日、霧切さんに会える……」
チケットの到着地には 『LONDON』 と無機質な字が記されていた。
2章 約束の日(1)
誠を乗せた飛行機は予定通り12時間かけてロンドンの地へ降り立った。空港内にあ
る時計を確認すると、現地時刻は13時過ぎ。すぐに手持ちの時計の時刻をそれに合
わせると、彼はスーツの内ポケットから1通の手紙を取り出した。
6年前に別れた直後、響子が誠に送った唯一のもの。白地に薄く桜の絵が描かれた
便箋には、綺麗に整った字でロンドンのとある住所のみが記されていた。当時の誠は
それが示すものが何なのかすぐに分かった。彼は約束が有効である証だと感じて、そ
れを糧に6年間を乗り越えることが出来た。
その約束の日が今日であることを再認識すると、誠の胃の辺りがぎゅっと締め付けら
れるような緊張感に襲われる。6年間、顔を見ることも声を聞くことも叶わなかった彼女
がこの国に居るのだ。緊張で彼の顔が強張った。
住所が示す場所――霧切響子の探偵事務所を目指して誠は空港を出ると、出口
に並んでいたタクシーに乗り込んだ。流暢な英語で行き先を運転手に伝える彼の手
には、辞書も英会話の本も翻訳機も無い。もちろん、誠が日本以外に住んでいたとい
う事実はない。しかし、長年現地に住む人間のように彼が流暢な英語を話すことが出
来るのは、6年の間彼がどのように過ごしたかを垣間見せる。
ロンドンのタクシー運転手は厳しい試験をくぐり抜け、ストリートの名称など熟知したプ
ロばかりだ。誠が乗ったタクシーも例に漏れることなく、最短経路で目的地まで彼を送
り届けてくれた。走行中は、誠は運転手から出身やロンドンに来た目的などを尋ねられ
たり、観光スポットを紹介されたりと暇を持て余すことにはならなかった。おかげで待ち
遠しかった目的地までの時間を短く感じられ、降車する際に彼は運転手へのお礼の
意を込めてチップ分余計に代金を支払った。
タクシーを降りると、目の前には数種類の赤茶色い煉瓦を積んだ、いかにもロンドン
らしいと感じられる建物があった。深い焦げ茶のドアの上部は白くアーチ型にあしらわ
れており、中央にはアンティーク風の外灯が取り付けられている。洒落た外観に、ただ
観光で来ていたのなら、誠もそれを見てお洒落だ、などと笑っていられたかもしれない。
しかし、誠はロンドンらしい外観よりもドアに控えめに掛けられた小さなプレートの方を凝
視していた。
※みづらくてごめんなさい。以下続き※
Detective bureau Kirigiri
霧切
小さなプレートの英字、『Detective bureau Kirigiri』 は 『探偵事務所 霧切』
と訳せる。そしてその下には漢字で「霧切」とある。それらを目にした瞬間、誠の胸が高
鳴った。
そのプレートは誠にとってはこの上ない存在感がある。しかし、恐らく一般の目に留ま
ることはほぼ無いだろう。それほどプレートはささやかなもので、色はドアとほぼ同じ色だ
った。
彼は、過去に彼女が自分にだけ話してくれたことを思い出す。
――霧切家は敢えて自分たちの存在を隠している――それが誇りってものでしょう?
その言葉と、眼前のプレートが誠の頭の中で繋がる。そして次第にそれは実感となっ
て誠の中に湧き出してくる。
――ここ開ければ、霧切さんが居るんだ。
誠は震える手で、ドアの右側に取り付けられた小さなインターホンを押した。ドアの向
こうで響いたその音は、誠の耳にはやけに大きく聞こえた。
そして――ドアが開くまで数秒――彼にとって永く、ゆっくりに感じられる数秒間、ドア
の動きに伴い、誠の心臓がうるさいくらいに脈打つ。
ドアの隙間から懐かしい淡い紫がかった銀髪が誠の目に入る。彼は息をするのも忘
れ、徐々に見えてくるその姿に目が釘付けになっていた。
「――苗、木君…………」
――会えた。ああ、やっと会えたんだ……。
「久しぶりだね。霧切さん――約束を果たしに来たよ……約束、覚えてる?」
「私から言い出した約束だもの。もちろん覚えているわ……とりあえず中へ入って」
「うん、お邪魔するね」
懐かしい香り、懐かしい姿、懐かしい声――誠は泣きそうになるのを、喜びで叫び
だしたくなるのを抑え込んで、かつてと変わらない無邪気な笑顔を彼女に見せた。
2章 約束の日(2)
「身長、少し伸びたみたいね。体格も――結構鍛えたのかしら? 6年も経てば、苗木
君でもこんなに変わるものなのね」
当時は、時々可愛いとさえ思うこともあった少年が、今は立派な青年になって目の前
にいる。響子は、懐かしいけれど、あの頃の誠からすると大分成長したことが見て取れ
る彼の身体を上から下まで観察していた。
響子は、ドアを開けた向こうに彼が居た時は、夢を見ているのかとかさえ思った。い
や、未だ目の前の誠の姿は自分の妄想ではないのかとさえ彼女は疑う。
二人が6年間会うことがなかったのは、響子自身が誠を拒絶したからだ。いくら約束
をしたからといっても、彼が本当にここへ来ると響子は思っていなかった。
「正直……あなた、かなり格好良くなったと思うわ」
「本当に? ありがとう。霧切さんにそう言ってもらえてすごく嬉しいよ。身長の方は5cm
だけ伸びたんだ。贅沢を言えばもう5cmくらい欲しいんだけど……さすがにこればかり
は努力じゃどうにもならなかったよ」
誠が苦笑しながら理想の高さであろう位置へ手をかざす。6年で少し外見は変わっ
たのかもしれないが、彼の困ったような笑顔は、正真正銘の苗木誠なのだと響子を安
心させた。
「そう。もう、私より高いのね。ヒールの靴を履いていない時に限るけれど」
響子が意地悪そうに笑うと、誠は肩をすくめて見せる。
「できれば、ヒールは控えめにしてくれると嬉しいかも。霧切さんは、本当に……あの頃
からさらに綺麗になったね」
「そうかしら。自分のことはよくわからないわ。でも、ありがとう」
「うん。ずっと元気にしてた? ちゃんと食事はとってる?」
「ええ、無病息災といったところかしら。食事も日本からカップ麺を定期的に取り寄せて、
忙しくない限りはできるだけとるようにしているわ」
「……ねぇ、まさかとは思うけど、いつもカップ麺を食べてるわけじゃないよね?」
「毎回ではないけれど、ほとんどの食事はカップ麺で済ませてるわよ? 時間が無いと
きはカロリーバーを食べることが多いわね」
何故か自慢げ且つ、「だからどうしたの?」と言わんばかりの顔で言い放った響子に
誠は額に手を当てて嘆息する。彼女ほどの優秀な女性が、カップ麺ばかり食べている
という事実について誠は異議を唱えずにはいられなかった。
「6年間ほぼカップ麺ばかりって……霧切さん、僕は呆れるのを通り越してちょっと悲し
いくらいだよ。残念すぎて泣きそうだよ」
「……苗木君は不思議な事を言うのね。 必要なだけのカロリーはカップ麺で充分に
得られるし、何より短時間で用意できるのよ? それにこの国の料理より味も美味しいし、
かなり効率的で問題はないでしょ」
「いや、問題あるから。カロリーはともかく栄養偏っちゃうだろ? それに、別に料理は自
分で作ればいいことだし。そんな食生活だといつか体壊しちゃうよ」
昔から響子は変なところが抜けていたり、基準がおかしかったりする。特に自分のこと
には無頓着で危険さえ顧みない響子を自分が支えなくては――と彼女のそばに居た
誠が思うのは必然だったのかもしれない。
「栄養はサプリメントで補っているつもりよ。それに、料理は作れないということはない
けど時間も手間もかかるし、何よりこの手だから少し苦手なのよ」
彼女は一旦言葉を切り、胸の前に手袋を着けた手を持ってくると左手で右手をさす
った。そして、続きの言葉を発することを一瞬ためらうように目を伏せたが、すぐにいつ
もの調子に戻った、ように見えたがそれは口調だけだった。
「でも――あなたがここに居るということは、これからはあなたの作る料理が食べられる
と思ってもいいのかしら?」
響子は強気に尋ねるが、その瞳には不安をちらつかせている。誠はそんな彼女の瞳
を見つめて優しく微笑んだ。不安を覗かせながらの彼女の言葉が誠は嬉しかった。そ
れだけ自分という存在が響子の中では大きいのだということが分かったからだ。
「最初に言ったよね? 約束を果たしに来たって……」
誠は一旦言葉を区切ると、一度目を閉じて静かに深呼吸をする。再び開かれた目
は真っ直ぐ響子の目を捉えた。その目から響子は、覚悟・決意といった彼の感情を読
み取ることが出来たが、冷静で居られたのはそこまでだった。
「――響子さん」
「は、い……」
初めて彼に下の名前で呼ばれて、響子の肩がぴくりと揺れた。響子は自分の頬が熱
を帯びるのを感じていた。今、誠の目の前にいる彼女は探偵としての霧切響子ではな
く、一人の女性としての霧切響子だった。
「6年間、僕の気持ちはずっと変わらなかった」
――変わるわけがない。そんなことは6年前から分かっていた。
「僕の中にはいつだって君が居たんだ」
――君のために、君しか考えられないから。
「……だから約束通り、強くなって、ここへ来たよ」
――僕の愛しい人の所に。
「僕は君のパートナーとして、君の隣で一緒に歩いていきたい……君の"家族になるよ
うな人"に立候補させてください――」
――この瞬間をずっと、ずっと夢見てきた。
この日を、この瞬間を二人とも待ち望んできた。そしてようやく、叶った。
静かに誠の言葉を聴いていた響子は、人前では絶対に見せることのない涙を目に
浮かべている。そして、それは溢れ――零れ落ちた。
「私も……私も誠君と歩いていきたい――よろしく、お願いします」
言い終わるよりも早く、響子は彼の方へ倒れ込み、細い両腕を誠の大きくなった背中
に回した。誠も彼女を受け止め、二人は6年という時間を埋めようとするかのように、き
つく、きつく抱き合うのだった。
※とりあえずここまで。まだまだありますが、いずれ投下します※
おおナエギリの廻合か
イチャラブ期待してるべ
あっ、半角全角ごちゃまぜなってる。。
続きを投下するときは気を付けます
スクールモードどんな感じなんだろ
SS乙なんだが、改行をもうちょっと読みやすくしてもらえると有難い
霧切さんの「私も……」の破壊力が凄まじいな
久しぶりに聞いてこっちの精神がBREAKしたよ
>>172 特に165とかですよね?
すみません!投稿してから気づきました
次から気を付けます!
>>173 あの声は堪らん…
霧切さんのデレが100%前面に出ている作中でも貴重な場面よの
>>143 マジ感謝!
エビテンの他にゲオでも予約してたが
これで心置きなくキャンセルできる
ところでナエギリ生誕祭の続きはまだかのう
スクールモードどう?
>>177 気長に待たせていただこうぜ兄弟
しかし改めてやり直してみると、アニメは本当にいろいろ足りなかったことを
ひしひしと感じる次第
>>178 難易度的にはモノクマがアイテム大量にくれるし課題クリアは楽だよ
2のネタバレも少しあるから2やってないなら後回しがいい
全員の通信簿を埋めないと霧切さんのエンディングにはいけないからがんばってね
あと全部通信簿を埋めない状態でクリアしてみるとなおいいと思うよ
Vipとかの二次ss見てると、霧切さんを酷い目にあわすのが流行ってるのか?
>>182 そんな事ないけど、まぁ霧切さんは正ヒロインだからね
救済するまでもなく幸せだしいじめたくなるんだべ
二次創作なんかどうでもいい
あいつら枕とかケロカスとかガキみたいな悪ノリしてるだけだし
>>181 2でスクールモードをやったことがあるならわかると思うけど
通信簿が全部埋まっていないと一人の好感度がMAXの状態でも個別のEDにはいけない
個人的には全員の通信簿を埋めない状態でクリアするのも見といたほうが楽しめると思う
霧切さんのポニーテールに感激
霧切さんエンドってどんな感じ?
VITA持ってない…
Vita買うのはちょっと敷居が高いよな…
こういうのこそDLC配信してほしいんだが
スクールモードに突入したぞー
霧切さんとキャッキャウフフ今すぐしたいけど
今日はもう寝るお前らおやすみ
まだ二章だわ
裁判の霧切さんはやっぱりカッコイイ
どうしてもお金がないなら中古で買うか
一ヶ月後のvitatvを買えばいいのではないか
発売後すぐにこのスレに来るなら買えばいいのにとは思うけど
>>191 うん、だからソフトだけ買ってある
GEOで
らーぶらーぶ出来るの?
らーぶらーぶ出来なかったら怒る
あくまでクールキャラを崩さずちょうどいいデレ具合だった
宣伝ムービーにあった庭園デートの花のかんむり作る選択肢がすげーかわいい
そしてミステリィクルゥズも大変素晴らしかった
恋人っぽいエンド?
>>195 スクールモードについてはネタバレになるから
あまり書き込まないほうがいいよ
休みしかゲームをやれない人もいるから
せめて日曜まではネタバレはなしにしようよ
霧切さんがインビトロローズ渡すSSがその内来るのかな
苗木「かわいいっていうのはまるっきり嘘じゃなくて」←正直にかわいいですって言いなさい
立候補する?をフルボイスで聴きたい
このスレをはじめとした良質なナエギリSSばっか読んでるせいで、
本編の苗木がじれったくてしょうがない
そういうゲームじゃないから仕方ないが、もっと攻めろと言いたい
>>201 ありがとうございます!
あなたは神ですね
やっと今から桑田さんのお仕置きに入るー
俺、言弾撃ちこむの下手すぎワロタorz
家族になりたい
霧切さんとのスクールモードに期待してvita買ったけど、
マジな話、PSPのクソ荒いグラからの進歩ぶりに感動すら覚える
vitaなかなか凄いよね
あんまり期待しないでダンガンロンパと買ったけど、YouTubeとかニコニコもなんだかんだ便利だし、ゲーム途中で、攻略ページ検索出来るし
そして霧切さんが美しい…
絶対絶望少女に出番あるかな
>>206 しかし霧切さんのスカートの中は相変わらずの暗黒なのだった…
なんで霧切さんて人気の割にはアンチスレ一つも無いんだろう?
高画質ギリさんに見惚れてしまってなかなかスクールモードに辿り着けないのがもどかしい
これが焦らしプレイってやつか…!
>>208 人気的に出さない手はないだろうけど、どうかね
外伝はあくまで外伝としてあんまり本編とがっつり交差しない方がいいようにも思う
お兄ちゃんとエンディングで再会するんだろうしそこで霧切さん出てくるんじゃない
PSP知らないから画質の違いが実感できない
アクションする霧切さんもちょっと見てみたい気はする
>>216 ここで言う事じゃないんだけど、また舞園さんいないんだね
やっぱり濃いメンツに囲まれてるとどうしても影が薄くなるのか
>>217 多分だけど3回目もあるとおもう
G賞のデフォルメフィギュアで舞園さんも江ノ島もいないし
3回目の舞園さんはA賞かB賞のフィギュアになる可能性もあると思うよ
とりあえず今回は霧切さん好きにとってはスルーしても問題ない感じかな
クリアファイルは書き下ろしっぽい?
まあアニメの絵だし霧切さんメインじゃないし、そこまで食指は動かないけど
スクールモードクリアした
ネタバレになるから詳しくは書かんけど、
これとGEO特典のためだけにリロード買って良かったと思えたよ
まだスネギリさんを愛でたところだ
スクールモードが待ち遠しいべ
>>216 E賞はアニメ雑誌のピンナップ流用か
霧切さんが積み上げられた机の上でキリッとしてるやつも欲しかった
あとこの前上がってたハロウィン絵
アニメ関係の絵だと苗木と霧切さんが背中合わせに座ってる絵がいい
霧切さんが珍しく柔らかく微笑んでて
phatカンパニーの公式見たら、もう四月までは発売予定出てるのな
ということは霧切さんは五月以降か? 先は長いな…
その画像が出回った時は指切り直後辺りだったからテンション上がったなぁ
一週間もしない内に怒りで再びテンションを上げる羽目になったけど
スクールモードの内容使ったSSが来るのかの
やはり「戦刃むくろに気を付けて」はいい
妙に声が艶っぽくてゾクゾク来る
スクールモードは選択肢でいろいろ霧切情報が判明したな
これからやるスクールモードも楽しみだが,俺はそれ以上にSSが楽しみだべ!
欲を言えば、もっと風情のある場所でらーぶらーぶしたかったべ
浜辺とか
遊園地とか
以前あったアイランドSSは良いものだった
実は未だに続きを待ってたりする
ようやっとスクールモードに突入
ミニキャラ霧切さんがかわええ
霧切さんの可愛い所教えて
外観
仕草
考え
全て
238 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/13(日) 21:02:06.41 ID:7i1SCrVB
純愛
スクールモードクリアした
まさか霧切さんのあんなものが手に入るとは
なお今回も五股までできる模様
和食が定番→シリアルでいいじゃない
お茶しよう→コーヒーにはうるさいわよ
あとモノクマボトル、ニワトリに大喜びだった
ちなみに舞園さんの話題出したら不機嫌になった
ゲームやり直して思ったけど霧切さんって本当に探偵が好きなんだな
3章で天秤作用の話をしたり 4章の密室殺人について得意げに話してくれたり
最近だとダンロン霧切も 推理自体を楽しんでる感じがする
一緒に、ミステリー、サスペンスドラマ観たいベ
購買で宝探しとか植物庭園で花冠とかおすすめ
EDの一緒に探して、は親父の事を一緒に探してって言ってるのかな?
記憶のことじゃないかな
コナンvs霧切響子がみたいべ
>>245 絶望時代の日向を、知恵比べの末に捕獲するようなスピンオフが出たらそれっぽくなるかも・・・。
普通に殺人事件対決でもいいし
コナンサイドにはアポトキシンというご都合アイテムがあるし・・・
いいね、コナンコラボ見てみたいわ
しかしダンガンアニメとコナンでは局が…
んあースクールモードいいなー
しかしVITAは高い・・・
霧切さんなら
コナン=新一に辿り着くんだろうな
灰原と霧切さんってなんとなく似てるよね
声とか雰囲気とか
だって同じ声優だし
さらっと嘘つくなよw
バーローと日向も似てるな
だって同じ声優だし
さらっと嘘つくなよw
なんかわろたww
>>247 霧切さんが都合のいいお薬の力でロリギリさんに!
…うむ、実に夢がある展開だ
ロリ切さん誘拐して、ちっぱい揉みたい
おまわりさんこっちです
お巡りさんの到着を待つまでもなく、
ロリギリさんの機転で脱出されて警察に突き出されそうだw
護身術をバリツと呼ぶ霧切さん
やっとスクールモードまで来た
満面の笑みで万歳するチビキャラ霧切さんが可愛くて困る
ダウンしてぐったりしてるチビギリさんも可愛い
…などと思うのは俺だけだろうか
ミステリゥクルゥズの正体が予想を上回る代物で正直動揺している
紐…だと…?
>>267 さすがにスクールモードのネタバレ画像を貼るのはどうかと思う
自分でプレイしてみるべきでしょそれは
>>270 このスレの中でもVITAが高いからソフトも買わないって人がいるよね
そんな人がこの画像を見たからソフトを買わなくてもいいという人がでる可能性がある
実際にこのスレでGEOの特典の画像を手にしたからソフトを買わないって人がいるみたいだし
まとめるとリロードの追加であるスクールモードの中でも購買動機になるパンツ画像を張るのはどうかということ
別にパンツの話題をするだけならわざわざ画像を貼る必要性がないでしょ
あんまり過敏になるのもどうかと思うがな
これだけで購買意欲無くなるって奴は才色兼備から買わんよ
まあ緩すぎず締めすぎずの程々で行こうや
>>272 ×才色兼備から
○最初から
霧切さんが才色兼備なせいで思わず誤変換してしまった
才色兼備ワロタ
音楽室で舞園さんの話を出すと不機嫌になるのがいいわ
あの三人の三角関係っぽいの大好き
>>267 ヾミ || || || || || || || ,l,,l,,l 川〃彡|
V~~''-山┴''''""~ ヾニニ彡| 霧切のパンツ・・・・・・!
/ 二ー―''二 ヾニニ┤ これは確かに霧切のパンツだが・・・
<'-.,  ̄ ̄ _,,,..-‐、 〉ニニ| 今回 まだ 下の名前の
/"''-ニ,‐l l`__ニ-‐'''""` /ニ二| 指定まではしていない
| ===、! `=====、 l =lべ=|
. | `ー゚‐'/ `ー‐゚―' l.=lへ|~| そのことを
|`ー‐/ `ー―― H<,〉|=| どうか諸君らも
| / 、 l|__ノー| 思い出していただきたい
. | /`ー ~ ′ \ .|ヾ.ニ|ヽ
|l 下王l王l王l王lヲ| | ヾ_,| \ つまり・・・・
. | ≡ | `l \__ 我々がその気になれば
!、 _,,..-'′ /l | ~''' このパンツは
‐''" ̄| `iー-..,,,_,,,,,....-‐'''" / | | 霧切母や 学園長の物ということも
-―| |\ / | | 可能だろう・・・・・・・・・・ということ・・・・!
| | \ / | |
>>276 つまり婿養子になった 霧切誠のパンツという可能性もあるという事だな・・・ゴクリ
パンツの話題を真面目に語っててワロタ
どうせそのうち誰かがパンツ画像まとめたリンクとか本スレに貼ったりするべ。
それが早くなっただけや。
……2発売の頃からダンロンスレにいた訳じゃないから、2のときもそういうことが起こったのかとか知らないけど。
霧切さんのパンツを毎日洗う苗木
>>277 天才だろ。苗木君のミステリィクルゥズとな。
苗木くんのパンツ普通じゃないやん…!
学園長のだとしても問題だし……!
パンツ見ただけで購買意欲無くすとかどこの日向だよw
「カップラーメンは好き?」と質問した時の反応に思わず吹いてしまった
お洒落な霧切さんのことだから、下着もたくさん持っていることだろう
つまり今回出てきたパンツがミステリィクルゥズのただ一つの形の限らない
俺達の数だけ多種多様なミステリィクルゥズが存在するのだ
※需要あるのかわかりませんが続き一部投下します※
3章 空白の6年間(1)
6年前――誠は響子から、自分は3日後にロンドンへ行くのだと急に告げられた。そこで探偵として活動するのだと。その言葉を聞いた瞬間、誠は真後ろから頭を鈍器で殴りつけられたような衝撃に襲われた。その顔はサッと青ざめ、暑くもないのに大量の汗を滲ませていた。
「え? なんで……? そんな話、急すぎるじゃないか! それに3日後って……」
「……実は結構前から決めていたのよ。もう住む所も手配してあるの」
その時響子は気まずそうに誠の顔から視線を外した。その様子から誠は、彼女がまだ迷っているのではないかと考えた。自分になら止めることが出来るのでは――と。
「……行かないでよ」
「え?」
「ロンドンになんて行かないでよ。僕は……君に会えなくなるなんて嫌だ。だから――」
「苗木君……ごめんなさい……」
「――っ! どうして……?」
「……ごめんなさい、言いたくないわ」
――このままここに居たら私はあなたに甘えてしまう……そしてあなたを危険にさらしてしまう……私は、あなたを失いたくない。
響子は、理由を話すことで誠が自身を責めるのを避けようとしていた。そして自分が、誠を言い訳に逃げることを本人に知られたくなかった。しかし、誠もだてに超高校級の探偵と一緒に過ごしていたわけじゃなかった。
「僕が、原因なの? ……じゃなきゃ、君は僕に謝る必要もないし、理由だって言えるはずだよね。それに」
――すごく、つらそうな顔をしている。
誠は知っていた。いつもポーカーフェイスを崩さない彼女が、つらそうな顔を見せるときはたいてい自分が関わっていたことを。
響子は知らなかった。いつもニコニコと笑う、平凡で頼りなさげな彼が、こんなにも自分を、自分以上に分かっていてくれたことを。
しかし、ここでは肯定してはならない。響子は必死に冷静を装った。
「違うわ。あなたが原因というわけではないの」
「……それじゃあさ――僕も連れて行ってよ」
「え? あなた何を言って……」
「僕は、君の隣にいたい。一緒に行きたい」
響子は彼が冗談を言っているのかと、思った。しかしその瞳はまっすぐ響子を捉えており、口調も真剣そのものだった。第一バカ正直な彼がこんな冗談を言えるわけもなかった。つまり――誠は本気だということだ。
「霧切さん、僕はね……」
誠は静かに、しかし強い意志を込めた口調で話し出す。
「君のことが好きなんだ。ずっと隣で君を支えていきたいんだ。……霧切さんは、僕のこと嫌い?」
「――っ、嫌いだなんて……むしろ私も、あなたのことが――苗木君のことが好きよ」
「だったら―― 「でも一緒に連れては行けない」」
誠は遮られた言葉に意表を突かれ動揺した。彼には響子に拒絶される理由がわからなかった。
「私は……あなたのことが好き。だから、一緒に居られないの」
「どういう、意味? 意味が分からない……」
「私は探偵なの。いつだって危険が付きまとうわ……。そんな危険に、好きな人を巻き込もうと思う人間がどこに居るの?」
「そんなの! そんなの関係――「あるのよ」」
響子は誠に反論させなかった。ここではっきりと拒まなければ、彼は本当に付いて来そうな勢いだった。
「たとえばあなたは、暴漢に襲われて対処できる? 相手は、刃物を持っているかもしれないし、もしかしたら拳銃を持っているかもしれない……そうでなくとも何か体術を心得ているかもしれない。あなたはそういう危険を対処できる?」
「そ、それは…………」
響子に正論を突きつけられ、誠は言葉を失う。そして、彼女が自分を拒む意図も理解できた。確かに体力・知力・能力すべてが平均的な誠には、実際に響子の言うような
危険に遭遇した場合、成す術もなく命を落とすかもしれない。いや、確実に落とすだろう。そして何より、響子の命まで危険にさらしてしまうかもしれない。
誠は、自分に力が無いせいで彼女に拒絶されたのだと分かると愕然とした。しかし、感情は理屈ではどうしようもできなかった。
「でも……でも、君と離れたくないんだ……君が居なくなったら、僕は、僕は……」
――どうなってしまうかわからない。
誠は俯いたままぽつり、ぽつりと気持ちを吐露する。
響子は、自分が生まれた時から探偵であることに、誇りを持ってはいても、疑問は抱いたことさえなかったが、ここへ来て初めて探偵である自分を恨めしく思った。
今にも泣きだしそうな彼を見て、胸が締め付けられ息苦しさを響子は感じる。すると、無意識に彼女の口は誠にある提案を出していた。
「ねぇ、苗木君。6年後――6年後の今日までに、もし、他に好きな人が出来たならそれでいいし……そのまま私のことは忘れてくれて構わないわ」
「え……何を、言ってるの?」
――本当に私は何を言っているの?
「けれど、6年経っても変わらず私のことを好きだと言ってくれるなら、その時は――私の所へ来て……本当に危険なんて関係ないくらいに、強くなって……」
――どうして6年後なんて数字が……でも、6年もすれば彼は忘れてくれるはず。
響子は自分が馬鹿げたことを言っていると自覚していた。口をついて出て来た6年という年月の間ずっと、彼を縛り続けられるわけがない。
だからこそ、誠には自分を忘れて危険のない場所で幸せになってほしいと彼女は考えた。6年もあれば新たに好きな人の一人や二人出来てもおかしくはないだろう。
つまり、約束は果たされることはなく、誠を危険に近づけることもなくなる、そう響子は思ったのだ。もしくは、この約束自体を彼は受け入れないかもしれないとも彼女は考えた。
しかし――
「――ったよ」
「え?」
「分かったよ。約束、するよ」
あっさりと自分の予想を裏切る誠に響子は目を見開いて驚いた。そんな響子のことはお構いなしに、誠は真剣な表情で言葉を続けた。
「6年で、僕は君に釣り合う人間になる。霧切さんと一緒に居られるなら、どんなことだってする。……だから、絶対に約束は守る」
響子にはそれに上手く返す言葉を見つけることが出来なかった。ただ一言、静かに呟くしかできなかった。
「そう。ありがとう――苗木君……」
※3章(1)終わり※
スクールモードどんな感じなの?
苗木「黒だなんてとんだビッチじゃないか!」
霧切「苗木君、あれは父の下着よ」
苗木「やっぱり霧切さんは清純だった…!」
このスレは良質なSSが多いですよね
おは霧切
SS楽しい
もっと増えろ
やり方理解せずに適当にスクールモードやってたら霧切さん寝込んで反省した(笑)
全然モノクマの指定するものが期間中に作れない……最初からやり直した方がいいかな
ラスト3枚のチケットも霧切さんに使って全部選択肢霧切さんの機嫌損ねてへこんだわ
前スレSSの続きも待ってるべ
ゴミ集積場に降りてみたら苗木が自分が捨てた靴下をいそいそと履いているのを目撃した霧切さんの反応が見たい
謝罪も忘れて「知らなかったわ…あなたが超高校級の変態だったなんてね」って冷ややかな目で見下しそう
なにそれ修羅場
てか靴下ネタの霧切さん本当に可愛いな
お姉さまとかから靴下がばっちいことを教えられたのかな?
霧切さんはああ見えてむっつりだと思う
ああ見えて…?
※改めて注意:大前提として学園の外は平和だったという捏造設定です※
※よく知りもしないケンイチロウ殿の名前を使わせていただきました※
以下続き
3章 空白の6年間(2)
「ねぇ、誠君」
「何?」
誠はロンドンに着いてから真っ直ぐにここへ来たため、昼食をとっていなかった。それを聞いた響子が用意してくれたものを食べているのだが、それはやはりカップ麺だった。
せっかくの彼の一世一代のプロポーズの余韻も台無しである。しかし、それでも誠はこうして響子と一緒に居られるのが何より嬉しかった。ちなみに響子は、誠がちょうどロンドンへ着いた頃に、
彼が今食べているものと同じカップ麺を食べたらしい。そのカップ麺をすすっている誠に響子は尋ねた。
「あなたの6年間を聞いてもいいかしら? 私は淡々と探偵の依頼を受けていただけで代わり映えしない日々を送っていたのだけれど……」
――あなたは、色々あったのでしょう?
確かに色々あった――誠は過去を振り返る。しかし、彼は敢えてしれっと嘘をついた。ある目論見を思いついたのだ。ごく自然に、笑顔を彼女に向ける。
「うーん、別にこれといって何もなかったよ」
明らかな嘘をつかれて響子は眉を顰めた。彼女は誠の目論見通りの言葉をいつもの落ち着いた口調で言い放った。
「私に嘘をつくなんて……誠君のくせに、生意気ね。大体さっきあなたは、”身長だけは努力じゃどうにもならなかった”って言っていたじゃない。つまりそれは他の部分では努――」
「ぷっ、ふふふふっ……あはははっ」
「……何を笑っているのかしら?」
誠は彼女の反応が自分の予想通り過ぎて、彼女が話している途中にもかかわらず、つい噴出してしまい声に出して笑った。
一方響子はいつもだったら……いや、6年前であればすぐに謝罪の言葉を述べているはずの誠が、謝るどころか自分の話を遮って大笑いし始めたことに内心驚きを隠せない。
「いや、ごめんごめん。響子さんの"誠君のくせに、生意気ね"って台詞を聞きたくてわざとバレるような嘘をついたんだけどさ、あまりに、君の反応が予想通りすぎて、ふっ、ははははっ」
涙目になりながら相変わらず笑い続ける誠から、そこまで聞かされて響子は彼に手玉に取られたことに気付いた。
いつもの響子であれば、バカ正直な誠程度のいたずらや嘘はすぐに気づき、逆に騙し返すくらいのことはしているはずなのに、すっかり彼の罠にはまってしまった。
6年ぶりの再会と彼からのプロポーズの影響でまだ、本来の冷静さを欠いたままだったのかもしれない。それでも響子は、表情には出さないものの悔しいものは悔しかった。
「本当に、生意気になったものね。そんな人には、この貴重なカップ麺は食べさせられないわ」
仕返しのつもりだろう。彼を非難するとすかさず、響子は誠の食べているカップ麺を没収しようと手を伸ばす――が、失敗した。ひょいっと、いとも簡単に誠は彼女の仕返しを躱したのだ。
「ごめんって。そんなに怒らないでよ。それに、僕も無駄に6年過ごしたわけじゃないからね。簡単には取られないよ」
「……別に怒ってないわ」
かつてはからかう側だった響子が、6年経って誠に再会してみたら反対にからかわれた上に仕返しすらも躱された。誠が明らかに色々と成長したということは分かっているし嬉しいのだが、この状況は面白くなかった。
そんな響子にも構わず、楽しそうに笑っていた誠は笑い止むと、ふと遠くを見るような目をして呟いた。それは彼自身にも再認識させる為に放たれたようにも感じられる。
「僕の6年間ね。うん、本当に色々あったよ……」
スクールモードで判明したが、霧切さんカップ麺嫌いだって
なんか好きになれないんだと
3章 空白の6年間(3)
懐かしそうに目を細めながら、誠は自分の過ごした6年を語りだした。
「朝比奈さんと十神君に色々と協力してもらったんだ。二人が居なかったら、こうやって自信満々に君をからかう僕なんて存在してなかったと思うよ」
「朝比奈さんと、十神君に?」
「うん……たとえば、体力とか運動能力とかを鍛えようと思って、僕は朝比奈さんに相談したんだよ。ほら、彼女スポーツマンだし、それに大神さんと
仲が良かったじゃない? だから良いトレーニングとかを知ってると思ったんだ。だから朝比奈さんと二人で一緒に過ごした時間が結構多いかも」
「そう、朝比奈さんと二人で……。それはとても充実した時間だったでしょうね」
響子が少々ぶっきらぼうに反応した。その表情はいつものポーカーフェイスを保ってはいるが、少し引きつっているようにも見える。ほんのわずかな、
響子の表情の変化に誠は気づいた。
――気のせい、じゃないよね? なんか響子さん怒ってる。
誠がどうしたものかと響子の顔を見つめていると 「それで続きは?」 と無表情で促されたのでとりあえず彼は話を続けることにした。
「ええっと、そうだ。基礎体力とかは朝比奈さんとプールに行ったりして鍛えてもらったんだけどね、「ふぅん……二人でプールにね……」」
誠の言葉を遮った、冷たく静かな声に彼はゾクリとした。
「あの……響子さん?」
「何かしら? 誠君」
「もしかして朝比奈さんに嫉妬してる?」
誠がストレートに尋ねると響子は「別に」と答えながらも刺すような目つきで彼を睨みつけた。蛇に睨まれた蛙ってこんな気持ちなんだろうなと呑気に思いながら、
誠は懸命に笑顔を顔に張り付けてごまかしてみた。響子と話していると、6年前の頼りない苗木誠の姿がぶり返しつつあった。
「と、とりあえず感想とかは後で聞くから、続き話すね」
「ええ、お願い」
「う、うん。えっと、ある日僕は朝比奈さんに、体力だけじゃなくて格闘っていうか何か体術みたいなものを大神さんに習ったりしたことがないか聞いてみたんだ。
もし彼女が知っているなら、そういうのも学びたいなと思ってね」
「異性と格闘技……」
誠は、響子が再び何かを呟いていることにもちろん気づいていたが、先に宣言した通り最後まで話し終わるまで触れないでおくことにした。
「結局のところ、朝比奈さんはそういう格闘とか武術といった類のことは知らなかったんだけど、代わりに大神さんの知り合いのケンイチロウさんっていう格闘家を紹介されてね。
実際に彼に会って相談したら、快く僕のトレーニングに付き合ってくれることになったんだ。それ以来朝比奈さんとのプールトレーニングと並行して格闘技術とか護身術みたいな
ものとかを教わったよ。これは6年間ずっと続けてたことなんだ」
「意外とあなた根性があるのね。大変だったでしょう?」
その「大変」なことを自分が強いてしまったという罪悪感から、響子の表情が少し曇った。しかし、誠は彼女を見て笑うのだった。
「大丈夫だよ。すごく楽しかったし、毎日を充実させることが出来たんだから。響子さんは何も気にすることないよ。僕は楽しかった6年間を君に話すんだ。君にも笑って聴いてほしいな」
「……あなたには適わないわね。わかったわ。続きを聴かせてちょうだい」
諦めたように響子が笑うと、満足そうに誠も笑顔で続ける。
「うん。あと、十神君にはずいぶん広範囲な分野でお世話になったな」
「よく協力してもらえたわよね」
「僕も最初は断られると思ったんだけどね、”好きなだけ俺を利用していいぞ”だなんてびっくりすること言われたんだ。正直、これは十神君じゃなくて、別の誰かなんじゃないかって不安になったよ。
まぁ、正真正銘の十神君だったんだけど」
誠がそこまで言うと、意外にも響子は声に出して笑っていた。
「ふふっ……あなたもだけれど、十神君もいろいろ変わったってことなのかしらね」
「はははっ。そうかもしれないね。……それでね、色んな分野の専門家を呼んでもらって本当にたくさんの知識を身に付けたり、飛行機やヘリの操縦、ナイフや銃とか武器の扱いを覚えたり爆弾や
化学兵器についても学んだり、他にも色々……ものすごく十神君にはお世話になったよ」
――え? 今彼は何て言った? 何かおかしな単語がなかったかしら。
響子はスラスラと話す誠に疑問と戸惑いの眼差しを向けずには居られなかった。十神家が関わるにしても、武器だとか爆弾だとかスケールが大きすぎる。それに平凡代表のような苗木誠という少年が
関わっていたと言うのだから尚更だ。さすがの響子もスルーできずに尋ねた。
「誠君、ちょっと待って。私の予想をはるかに上回る単語がぞろぞろ出てきた気がするのだけど……」
「あー、武器とか爆弾とかの下りでしょう? 僕がたまたま、そういうの知ってたら役に立つかなぁって冗談半分に十神君の前で呟いたら翌日にはその道のスペシャリストを紹介されてね。
僕もこんな機会滅多にないと思って、興味本位でご指導ご鞭撻をお願いしちゃったんだ」
響子は呆気にとられた。自分が6年間、何の面白味もない生活を送っている間、彼はなんて濃厚な生活を送っていたのだ。差がありすぎる――と。
「もちろん地理とか経営学とか外国語とか……一般的な勉強もしたよ。今では英語・ドイツ語・ロシア語・中国語そして日本語の5か国語を話せるようになったよ」
誠は響子が今まで見たことのないような得意気な表情をして6年間で身に付けたものを挙げていく。確かに響子は誠に「強くなって」と言って別れたが、彼がそこまで貪欲に知識や技術などの
能力を自分のものにするとは思ってもみなかった。
「苗木君のくせに……何でもないわ」
「生意気でごめんね。……ていうか僕がさっき、からかったことをまだ根に持ってたんだね」
「別に、違うわよ」
誠は響子が言わないでおいた台詞をわざわざ言って謝る。6年という時間は彼に相当な自信をつけさせるには充分な時間だったようだ。
そして、彼は今までの調子とは一転し、少しだけ申し訳なさそうな顔をして静かに話す。
「ごめん――本当に生意気だとは思うけど、実は君と別れて4年経ったくらいの頃に、僕は探偵になったよ。事務所も開いて、日本を発つ直前までそれなりに活動してたんだ」
「え? 探偵にって……あなたが?」
今まで誠が話した内容、特に十神が関わった部分も充分突拍子もないことばかりだったが、これは群を抜いて響子を驚かせるものだった。戸惑い動揺している様子の響子を見つめながら誠が再び口を開ける。
「僕は響子さんに釣り合う人間になりたかった。君ができることを、僕もできるようになりたかった。危険を対処できるだけじゃなくて、危険から君を守れる男になりたかった。
だから僕はたくさん努力して、探偵になったんだ。君に近づきたくて」
「誠君の気持ちはすごく嬉しいわ。けれど、正直……あなたが探偵になったなんて言われても複雑なだけだわ……確かに強くなって私の所へ来てほしいとは言ったけれど、
無駄に危険に足を踏み入れてほしかったわけじゃない」
響子は、彼が探偵になったという事実を拒絶することも受け入れることもできないような葛藤に襲われた。複雑だが、嬉しいと言ったのは確かに彼女の本心だった。こんなにも自分は彼に想われているのだ、と。
しかし、この稼業は常に危険が付きまとう。いくら彼が体を鍛え知識を蓄えたからといっても、わざわざ危険に近づいてほしくなかった。そして、強ければ危険な目に合わないというわけではないのだ。
せっかくあの学園生活から解放されたのだから、誠には平和に過ごして欲しいというのが響子の願いだった。
「響子さんがそういう風に思うってわかってたから先に謝ったんだ。でも、聴いて響子さん。それは君の勘違いだよ」
「……私の勘違いって、どういうことなの?」
響子が誠の言葉の意図を図りかねて聞き返すと、彼はニヤリとした。
「だって、響子さんが僕にそうさせてるんじゃなくて僕がやりたくてやってるんだ。響子さんだって、もし僕が”危険だから探偵なんて辞めて”なんて言っても、そんなの無視して活動するでしょ?
ずっと探偵として生きてきたから、探偵稼業を誇りに思うから、そしてやりたいからやるでしょ? 僕だってやりたいからやってるだけだよ」
響子は大きくため息をついた。彼の言うことは概ね正しい。響子が誰かに何か言われて探偵を辞めるなどあり得ないことだった。その誰かが例え誠であってもだ。誠に自分のことを指摘された響子には
反論の余地がなかった。そして降参だと示すように両手を軽く上げて誠を見る。
「苗木君のくせに生意気よ――私にあなたの6年間を否定する権利もないし、する気もないわ。複雑なことは確かだけど、自分がやりたい放題やってるのにあなたには駄目だと言って縛り付けるなんて、
とんだわがまま女にもなりたくないし。だから私は、私の意見ばかりをあなたに押し付けないことにするわ。つまり――誠君、ここまで言えばわかるわね?」
「うん。許してくれてありがとう、響子さん」
空白の6年間。お互い会うことは出来なかったけれど、二人とも相手のことばかり考えて過ごしてきた。空白の6年間は、絆をより強くした6年間だったのだ。
そして、その絆を表すかのように誠が手にするカップ麺はすっかり太く長く伸びていた。
※3章終わり※
>>276 その理屈で言えば、“霧切のパンツ”=霧切さん本人の他に父母とお祖父さま
あとロリ切さんと中学生切さんが当時履いていたパンツという可能性も……
夢が広がるぜ!
>>298 1周目はレベル上げと他キャラとコミュるのに使った方がいい
2周目が本番と考えるべき
しまった。霧切さんの苗木の呼称に「苗木君」が混ざってもうた。
「誠君のくせに……なんでもないわ」
「誠君のくせに生意気よ」
に訂正できないけど訂正。
311 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/15(火) 11:57:03.55 ID:tWuACQHq
謎っぽい選択肢を喜ぶよね
甲冑欲しいとかニワトリがいるとか、霧切さんの知的好奇心を
くすぐると喜ぶ
あと恋愛小説否定派だった
嘘っぽいしリアリティに欠けるかららしい
経験がないのに
「こんなこと(ヾノ・∀・`)ナイナイ」
とか言っちゃう霧切さんかわいい
SS乙
改行は読点か句点を目安にしてもらえると読みやすくて有難いです
>>313 改行色々悩んでるんですが、そうですね!
承知いたしました!
2ch投下がまだまだ不慣れな故、ガンガンご指摘いただけたら改善していきます
ロリギリさんはたぶんお尻に可愛らしいプリントの入ったパンツ
俺の占いは一割五分当たる
スクールモードやって分かったが、霧切さんは苗木くんが
「ぼくは霧切さんに見合う男になるよ!」
とか言い出したら多分曇る子
霧切さんてプレイヤー視点だと未熟な面もあって可愛いなと思えるけどかなり身勝手なキャラだよな
自分は苗木に殆どやってる事話さない癖に、苗木が一回話さなかっただけでブチ切れるし
俺が苗木だったらとてもじゃないが付き合ってらんないわ
>>319 考えるんだ、互いにボッチ同士だからこそ気があったと
なんか数日前にアンチスレ出来たからそっちいくと良いと思うよ
まあファンスレでやる話じゃないな
スルー推奨だべ
霧切さんは好きだよ
ただプレイヤー視点だから好きになったけど、当事者だったら無理だなあと思っただけ
確かに見返したらアンチっぽいな、すまん
324 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/15(火) 17:57:16.45 ID:xnZY2CLb
週末に霧切さんのスリーブが出るんだね
かっこいい制服の霧切さんとイチャイチャしたい
スーツ切さんより制服切さん
大人の霧切さんは声かわいくないからヤダな
霧切さんの制服は女子のパンク系ファッションっぽい
>>317 料理は好き?と訊いた時の反応からするに、むしろもっと相手から押して欲しいと思ってるようにも思える
>>324 存在しか知らなかったけど今週末だったか。
Chaosやる気はないけど、一般的なスリーブサイズ(MTGやデュエマ)だろうし、折角だから一つぐらい買っておこうかな。
そういえばこのスレ内でカードゲームプレイヤーってどのくらいいるんだろ。
そういや霧切さん…というかダンガンロンパが他所様のカードゲームに出るんだっけか
カードゲームは昔MtGを多少齧ったくらいだな
霧切さんは紫=青+赤がイメージカラーだからきっとイゼット団員に違いない
331 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/15(火) 21:58:12.50 ID:yMtI9t20
Chaosとやらに小松崎氏の描き下ろしはあるんかの
…アニメ名義だから無いか
この後苗木くんが「可愛いのはまるっきり嘘ってわけでもなくて」とか弁明するのがまた良い
少年少女のやり取りってかんじが可愛いすぎる
スクールモードの霧切さんは互いの好みを知りたいし、
知ってほしいという中学生の初恋みたいな初々しさを感じる
あとカップラーメンという単語に死神の足音を聞く霧切さん萌えるわ
>>330 ラヴニカなら青白のアゾリウスっぽいかなぁ
霧切さんの場合、青黒あたりを好みそうだけど
マンガのことは詳しくないからあなたが教えて…と言われてキュン死しかけた
知識欲旺盛すなあ
ミステリ以外で霧切さんにマンガ紹介するとしたら何紹介するのがいいかな
とりあえずカイジとかか?
バーテンダー
まだ早いか
霧切さんの薄い本見せて軽蔑されたい
>>332 あんま詳しくないんだけど、この手のごった煮系カードゲーム(様々なアニメ作品が一つのカードゲームに タイプのカード)はそもそもアニメ内や雑誌の版権絵など既存絵を切り抜いて絵にしてるのばっかりな筈。
だから、アニメタッチの書き下ろしすら多くないぐらいだったような。原作新規絵なんてもってのほか……みたいな感じだと思う。
確かサインカード(キャストのサイン)がめちゃくちゃ低い確率で封入されるはず
霧切さんが好きそうな漫画っていうと、やっぱ伏線バリバリに張って鮮やかに回収するようなタイプの作風かね
苗木の好みは多分ド王道な少年漫画だろうけど、そういうのは果たしてお気にめすだろうか
>>339 まぁそんなもんっすよね…
霧切さん、それは媚薬だよ!
絶版本は冬に総集編で再録するって>にのこや
エロはともかく女性にも結構人気ありそうなんだね霧切さん
薄い本の話はほどほどにな
ここ全年齢だから
一章は11037とドアノブの破損で裁判前からクロが分かってた感じだったしなぁ・・・
>>349 ワロタwww
これが噂のゼツボウモードか。頑張って解放しよっと
腐川かもしれない
>>349 吹いたw
霧切さんが苗木君に言わせないで、自分で答えとか言ってたら学級裁判猛スピードで終わってると思う
初めて2をプレイしてるんだけど、霧切さんが居ないと寂しさと不安が半端ないというか
頼りがいのあるやつが、一応居るのに居ないみたいな錯覚に陥ってる
改めて霧切さんの偉大さを噛みしめている
1はアニメでネタバレ知ってたせいで苦労しなかったってのもあると思うけれど
霧切さんぺろぺろ
>>336 アラン・ムーアのウォッチメンとか
mangaじゃなくてCOMICだけど
絶対絶望少女のエピローグとかで登場するのかなー
霧切さんが表情を隠しきれなくなるのはよ
こまるが苦労の末辿り着いた時、見たのは超高校級の探偵に尻に敷かれていた兄の姿だった
「苗木君」って呼んでいる以上霧切さんが妹を呼ぶとしたら
「こまるちゃん」かな?「こまるさん」かな?
ではお義姉様で
霧切「妹さん」
>>362 こまる「こまるでいいよ,お義姉ちゃん!」ニコッ
って返されそうだな
こまる「お兄ちゃんどいてそいつ殺せない」
霧切「私の事はお義姉さまと呼びなさい」
こまる「は?」
>>364 絶対絶望少女はこんな感じの明るいエピローグだと良いな
愛しのお兄ちゃんと再会したら・・・って流れで
葉隠ジェノ十神朝日奈「結婚おめでとう苗木」
苗木「有難う皆」
こまる「必ず幸せになりますからね」
霧切「(どうしてこうなった…!)」
こまると苗木の結婚EDか
SUICAの残金がなくて改札に引っ掛かる霧切さん可愛い
霧切さんと苗木君は公式でも相思相愛ってことでいいんですよね?
霧切さんって運動得意なんかな
ゼロ見る限り、かなり動ける方ではある模様
霧切さんのスクールモード遠まわしに家族になろうって言ってるよう
なもんだな
そうなん?
なんか霧切さんのエンディングは恋愛色弱いって聞いたけど
霧切さんに限らず全キャラ恋愛色うすいと思うよ
>>370 いつぞやのだんろん部の、バスケユニフォームの霧切さんもなかなか味わい深いものだった
スポーツに勤しむ霧切さんも見てみたいものよ
スクールモードは舞園さんが圧倒的だよ
まぁ、本編では死んでるんだけど
舞園さんのはえらいロマンチックだったな
スクールモードのED明確にくっつくの何組かあるけどね
霧切さんのEDは鈍感と意地っ張りの50日じゃここが限界ですかねって感
あの二人らしい終わり
「家族になるような人」になる気満々の苗木
>>375 ダーツは手袋してるからやり辛いらしいけど、バスケの時は普通に手袋してるんだよな
ビリヤードも会話からして着けたままだろうし
スクールモード何周してもEDらしいものが見られない…
全員の通信簿埋めなきゃならんの?
そうだよ、ジェノサイダーもお忘れなく
>>382 ありがとう
苦行だけど貢ぎ物の為にモノモノマシーン回してくる
>>383 いまさらかもしれないけどプレゼントを渡さなくても
3回会話すれば通信簿イベントは見れるよ
好感度の初期値が15で会うだけで好感度は+2されていく
好感度が20以上になったときにイベント イベント後に好感度が15になる
イベント中の選択肢に正解すると好感度が+3、失敗すると-2される
>>380 体育の写真の時の霧切さんは、いつもの鋲付きのものとは別の手袋付けてるんだよな
日常生活用とは別に運動用の手袋を持ってるのかもしれん
>>385 「鋲」て…せめて「スタッズ」って呼ぼうぜ
>>378 つまり本編準拠、あるいは本編補完という感じか。
その内手袋外して手と手を絡め合ったりするんでしょうね
共有者か占いかと思ったが占いか
Reload結構売れたみたいだな
これで3も安泰かな
苗木「霧切さん、Reload購入した?僕はグランドセフトオート買ったけど」
霧切「ポケモンを購入したわ、苗木君の分も買ったから今から通信交換しましょう」
苗木「えー…」
>>395 ランキング1位を選ぶのがデフォの苗木きゅんが、ポケモン買わないはずがない!
…………え、Reload?
>>392 おかしいな…そのものズバリ占い師のキャラが他にいたような気が…
いや気のせいか
霧切さんは可愛いものが好き
……アンティークドールって可愛いか?むしろお寺に持っていきたくなる。
ココロンパまでたどり着いた!
説明もなくいきなり始まったからびっくりしたわー
2やってたら説明があるのかな?
2もいきなり始まるよ
霧切さんは旧家のお嬢様だし
かわいいお人形といえばアンティークドールなのだろう
苗木「AKBのシングル箱買いしちゃった!やっぱりさしこが一番可愛いよね!」
霧切「・・・」
ハムスターとかああいう小動物なんかは霧切さん的にはどうなんだろう
霧切さんはポケモンに例えるならアブソルだと思う
霧切さん、こまるちゃんに弱そうなイメージがある
逆にこまるちゃんはグイグイ来そうなイメージがある
こまる「霧切さんってお兄ちゃんと付き合ってるんですか!? ていうか付き合ってるんですよね!?」キラキラ
霧切「なっ、何を言ってるの!? 苗木君とはそんな関係じゃ……///」オロオロ
みたいな感じで。
ゴスロリ似合いそう
コーヒー好きだってことは事はホームズの国には行ってないのかな
>>404 霧切さんとエーフィが一緒に描かれてるファンアートはよく目にするな
キリギリサン
キリキザン
似ていませんか?
キリンリキさん
マンガは読まないみたいだけど、ゲームはやるんだろうか
携帯ゲーム機で喜ぶあたり
ゲームのやり過ぎかどうかは分からないけど
眼鏡切さんを思い浮かべたわ
>>411 あの石丸が喜ぶからなー
ゲームは個人の好みとは関係なさげ
花のかんむりの反応可愛い
>>411 マンガと同じように、詳しくはないけど知識の一環として興味はあったりするのかもしれない
苗木君に教えてもらえばいいよ
霧切さんとナルガクルガ狩りたい
確か1巻は最初に出てた発売予定より実際の発売日が1、2週間くらい早かったはず
2巻がどうなるかはまだなんとも言えないが
遅ればせながらダンロン霧切1読んできた
一体何巻で完結するんだろうか...
ロリ切ちゃんが順調にランクをひとつ飛ばしで上げていって,ゼロクラスになる直前の事件でお姉様が焼死→霧切ちゃん火傷endとなると仮定したら,5巻くらいなのかな?
おねーさまが誰か霧切ちゃんを救ってあげて欲しいと祈りながら死んでしまいそう
ま、まだお姉様が死ぬなんて決まったわけじゃないから!
希望を捨てちゃ駄目だ!
424 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/18(金) 00:44:36.18 ID:kWfjUyop
ダンロンキャラの中でキャラスレ的に霧切さんの人気が異常
そりゃキーパーソンでありメインヒロインですから
お姉様やっぱり死ぬんかな
苗木くんと会わせてみたいような会わせてみたくないような
427 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/18(金) 01:41:26.92 ID:6c4dUNCW
ダンロンシリーズ皆勤賞なのは霧切さんだけ
絶対絶望少女と3にも出て欲しいなぁ
インビトロローズを渡すと1人でおねえさまを思い出してそう
おねーさま死んだのかなぁ
スクールモードやってるけど本当にいじっぱりだわ霧切さんwwwなんでこんなに素直じゃないだ…
霧切さんはたまたま助かってるだけで何回も死んでる場面あるよね
ダンロン霧切でも殺されててもおかしくなかったしゼロでも二回ぐらい死ねてた
超高校級の幸運なんじゃない?
霧切さんおはよう
ロリギリさんとお姉様が手錠で繋がれてる挿絵を見て、
同作者の某作品を連想したのは俺だけだろうか
朝から晩まで霧切さんのことが頭から離れない
これビョーキ?
チェスが得意だとドヤ顔されて、俺も得意だから親近感急上昇w
チェスで霧切さんのプライドをズタズタにしたい
犯人に拘束されちゃう霧切さん
>>438 だがそれは犯人を油断させるための演技であった切さん
>>436 逆にズタズタにされるオチしか見えないんだが
苗木君はどうしてご家族はみんな身長高そうなのに、彼だけチビなのか
霧切さんは身長とかどうでも良さそうだけどね
まぁ、小柄な苗木君がちょこちょこ霧切さんの後ろをついて回る絵面は好きだけどw
霧切さんと苗木君の身長差カップルはむしろ好印象
霧切さんはヒール込みの身長だから靴脱いだらあんまり変わらんだろうけど
ヒール込みの身長っていうのは、ヒールじゃない人たちの身長はどうなるの?
ヒール込っていうより靴の厚み込って考えた方がいいのかな?
そしたら苗木君160cmより低くなっちゃうね
でもあの設定は全然リアリティ無いから霧切さんの苗木君のカップルが素晴らしければそれでいいか。
>>443 公式ファンブックに女子の身長はヒール込みって書いてあったから男子はそのままの身長なんじゃないかな
>>444 男子の身長があまり変わらないという意見には賛成するけど
設定資料集のセレスのところで
「身長が設定上、割と高めなのは他のキャラも同様ですがヒールも含めているからです」
と書いてあるから靴も身長に含めていると思うよ
霧切さんは身長高めな方がイメージに合う
霧切さんがヒール込みで+5cm、苗木君がスニーカーの靴底込みで+1cmと仮定しても、
霧切さんの方が3cm高いな
スニーカーって大体ソール2cmくらいじゃない?
ってことは苗木君158cmかわいいw
霧切さんは162cmってとこか
身長は数値だけ見れば霧切さんの方が高いけど
2の方の設定資料集に載ってた1や2のメンバー間での身長の比較をみると
実際には苗木くんの方が霧切さんよりはアンテナの分、少し背が高いよ
ふと気付いたんだ
2で苗木君と十神君の偽者が出たんだから3は霧切さんの偽者が出るに違いない
いいかしら、苗木君…
世間一般ではアホ毛は身長に含まないのよ…
そのアホ毛、斬らせてもらう!
>>449 処刑時の座高差がかなりあるから、霧切さん短足すぎるね…
短足切さんだったかー
え?でも立ち絵ではかなり脚長くなかったっけ?
美脚キャラだし
短足大根足の霧切さんprpr
設定画見ればわかるけど、霧切さんはめちゃくちゃ脚長いよ
身長比だと多分江ノ島とかよりも長い
苗木君を寄せ付けない座高+めちゃくちゃ長い脚…
ヒールが大してかさ上げしてないんかね
>>450 それは俺も思った
ただ某詐欺師みたく激太りした偽切さんは勘弁な
七海っちも当初は霧切さんに似ているって言われてたべ
2巻の舞園さん、4巻の苗木っちに続いて6巻には霧切さんのキャラソンがありそうな予感
>>461 そのキャラソンが某けいおんみたいな激しい感じだとオモロイんだがw
マイクもつと性格かわる霧切さん・・・
「私の歌を聞きなさい!苗木君!」
>>462 むしろ,歌いつつ霧切さんのキャラを維持するってのは難しいだろうから,
「マイクを持つとキャラが変わる設定だから」ってことで誤魔化さないとキャラソンは出せそうにないと思う
いや,でも日笠さんなら上手くキャラ保ちながら歌ってくれるか...?
進撃の巨人のEDは霧切さんが歌ってることにしてるわ
>>465 懐かしい…
まぁまぁ歌詞もシンクロしてるし、霧切さんのキャラソンはあの歌でいいんじゃないかな
そんなことより、美しき残酷な世界の日笠さんの声と、霧切さん演じてる日笠さんの声って
全然別だよね。流石プロ
尚、エミリアや箒だと何故か素が出る模様
わざと演技指導してない噂もあるが
見てるの十神っちじゃね?
やっぱり服がイマイチだなあ…
1の時のが普通に可愛いわ
明らかに胸部が成長している
スーツ似合ってるけど、個人的にはパンツスーツが良かった
主にヒップライン的な意味で
可愛い服着て欲しい
私服はクール系で1の衣装に近いんじゃね?2の衣装は仕事着みたいなもんだし
アニメ勢で最近1をクリアしたんだが
学園で過ごしてる時代の霧切さんと苗木君はどんな感じだったのだろう
そういうの描かれた媒体ってありますか?
>>478 強いていうなら小説のゼロ
但し、霧切さんと苗木君の絡み(非エロ的な意味で)はないし出番もそんなにない
2の霧切さんは多分10代のハズなのに・・・2キャラの方が一応先輩だったり
ゴスロリ似合うよ
割となんでも似合いそう
とりあえずお嬢様的な制服と1の制服と希望が峰の制服とスーツ全部似合ってるともうけど
確かにパンツスーツのほうが良かったなとは思う
霧切さんは寝る時は髪型どうしてるんだろうか
運動時はポニテにしてるけど その場に応じて髪型変えるのかな?
霧切さんって性欲あるのかな?
性知識は豊富そうだけど
ジャージも着こなす霧切さんマジファッションリーダー
というわけでパジャマ姿公開はよ
霧切ママが気になる
父も母もいないみたいだけど母親はなんでいなくなったのかな
あのパパと一緒にいたし多分死別したんじゃないかな
霧切さんは母親似だと思う
>>488 同意!
アニメ最終話の追加シーンを作ってるとか聞いたけど、どんな風になるかな?
生物室の下り入れてほしいな
正直最終話だけ直してもなぁ…
母ギリさんは霧切さんを産んで間もなく亡くなったんじゃなかったっけ
>>491 仁さんが家を出て行ったきっかけが霧切さんのお母さんの死だから
霧切さんを産んで間もなく亡くなったってことはないよ
家族を欲しがる霧切さん
家族が増えるよ!
やったね響子ちゃん!
それじゃ、厄介になるべ
家族がほしいなら俺に任せるべ
それは違うべ!
>>485 霧切さんの寝巻は
・ジャージ
・かわいいパジャマ
・下着のみ
・シャネルの5番
どれだ
最後で江ノ島に負けて苗木を処刑したら葉隠との濃厚SEX確定だな
葉隠大勝利じゃん
>>500 個人的にはぶかぶかのYシャツとかが良いんだけど、霧切さんなら非常時に備えてジャージかな
霧切さんは意外とジャージも似合いそう
3章の夜時間中にドアを開けたままにしている時なら、部屋の前を通った時に寝間着姿の霧切さんを覗くこともできた…かもしれない
>>500 とにかく動きやすければ何でもいい,ぐらいの考え方じゃないかな
どれかの服装に固執することはないと思う
でも,苗木君を意識してたら,可愛いのを選ぼうとするとは思う
日常生活では可愛いパジャマ
本編のような非常時には動きやすさ優先の格好と予想
常時あのブラウスだと思うけどな
霧切さんってちょっと乙女なところはあるけど、
可愛いパジャマとか着るキャラではないだろ
>>508 「同じ服でも一週間は問題ないから」とか平然と言ってのけちゃうしな...
う〜ん,公式で霧切さんの寝てるときの姿とか公開してくれないかな〜,コロシアイ学園生活じゃない時の寝てる姿を
霧切さんは裸族派
「一週間〜は」必要に迫られれば同じ服でも耐えられるって意味で、
服装に拘わりがないってわけではないんじゃないかね
本編衣装のおしゃれ具合を見るに
>>509 「一週間は〜」ってどの時に言ったっけ?
霧切さんは女の子っぽいパジャマ着てると思う
真面目に考えたら多分、朝比奈さんとほとんど同じ格好だと思う
流石にブラウスは皺になるから有事でもなければ着たまま寝ないだろう
それでだな、霧切さんは自分が大胆な下着を身に着けている自覚があるのか気になり始めた
今まで親しい友人もそんなにいなかったから案外無自覚なんじゃないか?
まさかロリギリさんの頃から身に着けてるとは思えないし、成長すればそりゃ好みだって変わるだろう
だけどあれは・・・ちょっと大人の階段一段飛ばしで登ってる気がしてならない
あのパンツはお姉さまの影響かもしれない・・・
てかよく考えるとみんな替えの服とか下着持ってきてるんかなw
モノクマに用意されてるとか?
全寮制の学校来るのに着替えくらいは持ってきてるんじゃない?とマジレス
>>511 言われてみれば確かに...
見当違いなこと言ってスマン
>>512 ダンガンロンパ霧切で言ってたよ
綺麗にしてないなら十神に臭いと言われてるはずだから
>>516 そういえば2年間暮らしてるんだったな…w
いくら十神でもレディに臭いとは言わないだろ
腐川っち・・・
>>514 おいちょっと待てお姉様もあんな大胆なぱんつだと言うのか貴様
あると思います
霧切さんってなんであんなに可愛いんだろう
見えないお洒落にも気を遣うのが乙女の心意気よ
なんだかんだで女の子であることを捨てていないところが可愛い
スーパーダンガンロンパ2をやっとクリアした!
苗木君もだけど、霧切さんが登場した時の盛り上がり具合というか
テンションの上がり具合やばいわwww
出てくるのなんとなく知ってたけど、発狂しそうになった!
でもちょっと、日笠さん声の出し方霧切さんにしては柔らかい感じが強すぎる気がするー
アニメくらいが丁度いいかな
俺はむしろ声色の違いに成長だとか関係性の変化だとかを感じてニヤニヤしたべ
2霧切さんは穏やかになったわ乳でかくなったわでもう
今度はIF呼んでるんだけど、盾子ちゃんが「恋のライバル」って霧切さんのことを
言っているのは、記憶喪失前の霧切さんは苗木君を気にしていた節があったという
解釈で良いのかね?
十神も丸くなったしな
人気投票どうなってるのかなぁ
ファミ通版の最終話読んできた
なんかやたらとペース早いなと思ったら、苗木君が論破しない、ラストの霧切さんの台詞省くとか散々だった
苗木君以外の視点を描いたり、本編よりも感情豊かな霧切さんが見れて面白かったのに
最後の最後で裏切られるなんて絶望的だよ!
あなたみたいな人と一緒なら私はむしろ楽しみよ←これないの?
年頃の女の子が未来もずっと一緒的な発言をする衝撃的で好きな台詞なのに
小説とエースの漫画に期待
ダンガンロンパ霧切は12月かな
霧切さんって自然に接近してきて苗木君を意識させたりしそう
女の子の匂いだ的な
霧切「当ててるのよ」
>>531 コミックスでの追加を期待するしかないな
学園生活時代の写真て、霧切さん必ず右側に映ってるけど何か意味あるのかな?
ただの偶然かもだけど
普通に偶然だろ…
学園時代にどんなキャッキャウフフがあったのか…
まあ恐らく公式で語られることはないんだろうが
なんで仁さんがこんなに可愛いロリ切さんを捨てたんだよ!?
A,あまりの可愛さに仕事が手につかなくなるから
ロリギリさん、中学生ギリさん、高校生ギリさんと既に公式で描かれてるんだよな
残るは小学生ギリさんか
>>547 学園長「娘が学園に来て愛でてたせいで絶望シスターズに気付かなかった
本当にすまないと思っている!(某ジャック・バウアー風に)」
スクールモードで音楽室にいったとき「舞園さんに歌ってもらおう」って
選択肢選んだら最悪な印象になる時点で察したな
霧切さんが好きすぎて辛い
ゲーム本編終わったけどスクールモードが2周めだけど何か下手くそで
上手く出来ないわ。
霧切さんカップラーメンverを猫に倒されて発狂した
舞園さんに歌ってほしいでテンション下がるとは思わなかったな、こういう状況
だから元気だしていこうみたいに同意してくれるとおもったわ
>>547 苗木「絶許」
スクールモードで霧切さんの一番好きな台詞は購買部で人形について触れた時
あの「覚えておいてね、苗木君」は明らかに乙女アピールしているとしか思えない
もうね、そのシーンを想像するだけでね、涎が止まりませんなぁ!(悶死)
霧切さんのMMD好きなんだけど、本当だったら絶対ダンスとかしないよね
歌ってった言ったら不機嫌になっちゃうし
やっぱり霧切さんの趣味って読書とかチェスとか……頭使う奴が好きそう
>>551 学級目標が達成できないっていうことなら、はやめにツールをつくればいいよ
>>552 目的地ついていきなり他の女子の話題はちょっとね
>>554 MMDで霧切さんがタンバリン叩いてる奴は可愛すぎた
苗木くんの表情とかも良かった
今日の夕飯が秋刀魚の塩焼きだったから,
霧切さんと苗木君が,秋刀魚の塩焼きの骨と必死に格闘してる姿を妄想してみた
まあ,本当に霧切さんが秋刀魚の骨ごときで手こずるのかは知らないけど...
スクールモードを見るに日本文化に馴染み無さそうだからな、霧切さん
箸で豆摘まんだり、魚の骨とるのとか慣れないうちは苦手そう
で、苗木君やお姉さまが手助けして拗ね切さんに
手袋してるからはしは苦手そうな気もする
しかし四六時中はとにかく水泳の時も手袋してたし
よっぽどあの火傷跡にコンプレックスがあるみたいだね
霧切さんの手って感覚と発汗機能失われてるかな
561 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/21(月) 00:05:57.01 ID:Pv/mFrGA
霧切さん日本人じゃなかったかぁ
ごめんあげてしまった
6章で全国中継されていると分かっていながら手袋を外したときの霧切さんの新境を思うとかっこよすぎてつらい
モノクマに煽られても無視を貫くところからも強い精神力を持っているな
>>561 日本人じゃない描写なんてあったですか?
仕事上海外ぐらしが多かっただけじゃ?
チャプター6の学級裁判での江ノ島さんに対する霧切さんの
「最低に厄介な変態ね」
って台詞がそそるんだけど俺だけかしらw
やっぱり関係を踏み込む時は霧切さんの素手を見るのかな
>>560 感覚は無いわけじゃないんじゃね
タイピングとかは問題なくこなせるし、まあ日常生活に支障はきたさない程度だろう
しかしスクールモード見ると、やっぱり細かい指先の動作は苦手っぽいな
三つ編みを編むのも実はけっこう苦労してたりするんだろうか
>>552 霧切さんが歌って踊りたかったんじゃない?
膝曲がらなさそうだけど
ダーツは苦手だけどビリヤードは得意らしい霧切さん
しかし霧切さんとビリヤードって凄く絵になりそうだ
海外の喫茶店とかにはビリヤードの台などがおいてあるんだったっけか?
細かい作業に苦戦する霧切さんを自然にフォローするんですよ
>>570 あの手だし,しかも手袋つけてるから指先による微調整は苦手なんだろうな...
でも,銃の扱いには支障はないよな,きっと
ゲーセンのガンゲームでとんでもないスコア出して,苗木君に向かってドヤ顔かます霧切さんを想像した
スーダンクリアして思ったがあれだけの医療技術あるなら霧切さんの両手皮膚移植
できるんじゃないの?
おねえさまを忘れないようにするためだよ
>>574 医療技術が高いことが分かるシーンあったっけ?
教訓だから治療できても「このままでいい」って思ってそう
インビトロローズをもらった時におねえさまを思い出してそう
おねえさまはやはり死んだのか
おねえさまの事をいつか話す時は来るのだろうか
580 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/21(月) 11:25:13.40 ID:ZvibtIPu
ダンガンロンパ霧切2巻の発売日は11月29日みたいだね
作者もくじのフィギュアを持ってるほど気に入ってるんだなw
誰かの代わりなんて嫌みたいに思ってるらしいけど、苗木君への感情は
自分を許容してくれる父性を求めてるような気がするんだよなあ
結局仁さんには求められなかったものを苗木くんに見出そうとしてるような気がする
霧切さんとお姉さまも気になるが、やたらキャラの濃い七村さんも地味に気になる
>>308の続きですー。
面白くないかもしれませんが、投下します。
4章 幸せは日常の中で(1)
誠と響子は今後の生活について話し合っていた。響子の自宅兼事務所に誠が転がり込む形で住むということ自体は二人ともなんとなくそのつもりで居たらしく、特に問題はなかった。
しかし、寝室を別々にするかしないかで二人の意見が食い違っていた。1つ空き部屋はあるにはあるのだが、寝室として利用するには充分な広さではない。
一方、現在響子が寝室として利用している部屋は新たにベッドを追加しても余裕がある。その事実から、響子は誠に同室で寝るように言ったのだ。しかし、誠は首を縦に振らなかった。
「僕は空き部屋で適当に何か敷いて床で直に寝るからいいよ」
「それじゃ、ゆっくり体を休められないでしょ? それとも何? 私と同室じゃ問題でもあるの?」
誠の提案に納得できるわけもなく、響子は彼を睨みつける。鋭い眼光を向けられて誠は苦笑いを浮かべた。
「えっと、ある意味問題があるというか……」
「なんとなくあなたが考えていることは分かるけれど……家族になるのだから問題はないはずよ? むしろ慣れてもらわないと困るのだけど」
響子は少し頬を染めて誠に訴える。響子の言うことは分かってはいるのだが、プロポーズを済ませたと言っても、交際過程を飛ばしているため誠は正直そこまで心の準備が追い付かないでいた。
しかし、響子のそんな顔を見せられてしまったら少し心が揺らぎそうになる。
「そうなんだけど、でももう少し経ってからでも……」
「誠君、あなた……家主に逆らうの?」
――変わったのは外見ばかりで、中身はヘタレのままじゃない。
響子は、やはり自分が主導権を握るのが一番良いのだと痛感した。欲を言えば、男性である誠の方に色々と積極的にリードをしてほしい、
というのが正直な彼女の気持ちだが、彼は言葉の面では積極的なところもあるが、行動の面では少々奥手すぎた。
また、家主である自分が強気に出た方が早く話が進むと彼女が判断した上での発言だった。
「はぁ……返す言葉もございません。わかった、響子さんに従うよ」
「最初からそう答えていればいいのよ。……とりあえず、今日はまだベッドが無いから私のベッドで寝ていいわよ」
「えっ? さ、さすがにそれには従えないよ! 家主を、女の子をベッド以外に寝せるなんて――」
「何を言っているの? 私はベッドで寝ないなんて言ってないわよ」
「あ、そうですよね。はははは……」
――なんだか、響子さんは僕のことを精神的に殺す気なんじゃないかと思えてきたよ。
誠は乾いた笑いを浮かべながら、額に冷や汗を滲ませていた。一方響子は動揺している誠を見て、最初にからかわれた際の仕返しがようやくできたとひそかに満足していた。
そして、それは響子の淡白だった毎日が幸せな濃い毎日に変わった瞬間だった。
4章 幸せは日常の中で(2)
誠は悩んでいた。イギリスの男性は『紳士』である、というイメージがあったのだがそれは一昔前の話だったらしい。
誠はこちらに来たばかりで、生活必需品が充分に無かった。それらを揃えるために、彼は響子と一緒に買い物に来ていたが、
昼時になったため丁度近くにあった、ファーストフード店で食事をとることにした。
「僕が注文するから、響子さんは先に席に着いてて良いよ」
「ええ、わかったわ。向こうの角の方が空いてるからそこに居るわね」
誠は、あまりファーストフード店に馴染みがないという響子を先に席に着かせ、昼時なだけあって結構な人数が並んでいたその後ろに誠は立った。
席へ向った響子を目で追って、少し顔が緩んだ。
「やっぱり、後ろ姿も綺麗だなぁ……ただの平凡な人間だった僕があんな綺麗な人と一緒に居られるなんて幸、せ………………」
誠は幸せをひしひしと感じながら、呟いていたが最後まで言い終えることが出来なかった。先ほどまで、緩んでいた顔もスッと無表情に変わる。
彼の目の先にはもちろん席に着いたところの響子が居る。それだけなら何も問題はなかった。しかし、彼女が席に着いた途端にどこからともなく若い一人の男が響子の前に現れ、話しかけていた。
恐らく地元の人間だろう。長身で顔立ちもスタイルも良い、いわゆるイケメンというやつだ。
誠の胸の中で、ドロドロとしたものが湧き上がる。今すぐ彼女の元へ行きたいが、せっかく並んで少しずつ前に進んでいる所を離れることも出来ない。
――だ、大丈夫。響子さんならすぐにああいう男はあしらうに決まってる。
誠は響子の性格からそう考えて見守っていたが、目の先の光景は全く異なっていた。誠はあり得ないと思った。
響子が、見知らぬ男に話しかけられて追い返すそぶりさえ見せずにあろうことか少し頬を赤らめて笑みさえ浮かべていた。
その光景は誠の感情をかき乱し、列に並んでいることさえ忘れて男に殴りかかりたい気持にさえなった。しかし、それには及ばなかった。
男は響子に手を振りながら離れ、こちらへ向かってくるとそのまま店外へ出て行った。誠はちらりと男から視線を向けられた気がした。
「……はい。コーヒーとフィッシュバーガー」
「ありがとう。誠君、どうしたの? 店員の対応が嫌だったのかしら。まぁ、日本のサービスには少しだけ劣るかもしれないけど、これも慣れていかないといけないことかもしれないわね」
「別に……店員は関係ないよ」
「……それじゃあ――」
「さっき、君に話しかけてた男の人誰?」
誠の不機嫌な理由の推理を続けようとした響子の言葉を遮り、理由そのものだと分かる質問を彼はぶつけた。
響子は少し面食らったような顔をしたが、すぐに表情を戻す。
「見ていたのね」
「響子さんなら、ああいう輩はすぐに追い払うと思ってたんだけど。僕にだってめったに見せない笑顔まで向けてさ……彼、スタイルも顔立ちも良かったもんね。
そりゃ、響子さんみたいな綺麗な人にはああいう人が似合うのかもしれないけど――」
「何言ってるの? あの人は以前、私に依頼をしてきた人よ」
「……へっ?」
「たまたま、私を見かけて、その時のお礼を改めてしたいと思って話しかけたって言っていたわ。でもちゃんと報酬をもらったから断っていただけよ」
「で、でも響子さんが他人に微笑むなんて滅多にないじゃない」
「そ、それは……彼が今日はボーイフレンドと来ているのかとか、結婚式はいつなのかとか思いがけない話をするから……その、恥ずかしくて……」
「え、そうだったの!? ご、ごめん! 勘違いなんかしちゃって」
響子から話を聞いて、誠の顔はみるみるうちに赤くなった。しかし、誠の勘違いはあの光景を離れた所から見れば、当たり前なことだろう。
それでも誠は勝手に勘違いして勝手に不機嫌になったことが恥ずかしかった。
「フフッ……誠君も嫉妬するのね。それもあんなにあからさまに不機嫌になる程に」
「そ、そりゃ響子さんが僕以外の男と談笑してるなんて考えるのも嫌だもん! ていうか無駄に近づいてほしくないくらいだよ。80cm以内には近づかないで欲しいかも……」
「意外だわ。あなたの独占欲がそんなに強かっただなんて」
「僕だって意外だよ」
「ちなみにだけど、私はあなた以上に独占欲が強いつもりだから……気をつけてちょうだいね」
「え……?」
「それと、あなたと会えなかった6年間、私だって、あなたのことをずっと好きだったの。あなた以外なんて考えたこともないわ。だから滅多なことは言わないで」
「ごめん。わかった」
誠はひとまず安心して昼食を食べたが、その後買い物の続きを済ませて帰宅すると、叫ばずにはいられなかった。
「なんでだよ! 少し目を話す度に男に話しかけられるとか、何なの? いや、依頼人だった彼以外はさっさと響子さんがあしらってたから別にいいんだけど……いや良くないって!
あんなにしょっちゅうナンパされるって、僕もうなんか犯罪に手を染めてしまいそうなくらい頭に血が上ってやばいんだけど!
それだけ響子さんが綺麗で魅力的な女性だっていうことだから嬉しいし誇らしいんだけど、ああ! もうなんか嫌だ!」
「そんなことを言われても……一応私もむやみに話しかけられないように気をつけているつもりなんだけど、日本で通用してもここでは通用しないみたい」
誠は頭を抱えて悩んだ。イギリス人なんて全然紳士ではないと知ってしまった今、彼が行き着いた解決方法はこれだった。
「僕、外出するときはもう絶対響子さんから目を離さないようにする。いや、手も離さない。響子さんが嫌がってもこれだけは譲れない!」
「……はぁ、もう好きにしてちょうだい」
響子は頭が痛い、とでも言うように額に手を当てて嘆息しているが、その頬は心なしか赤く染まっているように見えた。
※4章終わり※
乙
続きも楽しみに待ってるべ
>>581 すげーわかる
無自覚だけど時折苗木君に父親を重ねてたりするんじゃないかな
そういう大人になりきれないところたまらん
子供の頃からあまり変わってない気がする
火傷の経験のせいでキツクなったくらいか
父親の愛情を十分に受けることが出来なかった娘はどうたらこうたらってジョジョ六部でなんか言ってたな
ロリ切さんが火傷するシーンはどうなるんだろう
叫び声の後フラフラのロリ切さん
>>589 お姉様を火の中から助け出そうとして霧切さんが火傷した,ってのだけはマジで勘弁して欲しいんだけどな...
でも,他の理由が俺には思いつかない...
教訓にするため的な事を言ってるから凄くマイナスな印象がある
裏切られたとか
どんな経緯であれ、火傷のシーンはクライマックスだろうな
明かされるのはまだまだ先になるだろう
>>585 乙乙
スクールモード効果でまたSSも盛り上がると嬉しい
火事が起きて崩れそうな場所から助け出そうとするも
霧切さん一人では助けるどころか一緒に落ちてしまうから
お姉様が自分から手を離してしまったとか?
好きだったけど両手がグロいのが判明して一気に萎えたわ
傷物はポイーでFA
霧切さんが手を見られて震えるの見たい
何かの拍子で手袋が脱げてモブ男さんモブ女さんに気味悪がられて傷つく霧切さんはちょっと見たい
>>597 ちょっと妄想してみた。
モブ男「おい見ろよwwこいつの手ww」
モブ子「何あれ〜wwキモーイww」ケータイパシャパシャ
霧切「…………グスン」
その手の下衆な誹謗の類なんて相手にしないだろう
内心多少は傷ついてるかもしれんが
枕元でちょっと涙目な霧切さんかわいいブヒィィィ
SSまとめの中で、苗木×霧切の激甘SSはどれがお勧め?
もう読んでるこっちが恥ずかしくなるようなあまったるいのがいいわ。
個人的には苗木君から霧切さんへプレゼントを渡すやつがいい。
>>598 苗木「みんなやめろよ!!」
〜霧切さんの部屋〜
苗木「霧切さん気にしないで。霧切さんの手、僕は綺麗だと思うよ。」
霧切「苗木くん…」
苗木君まじ聖人
霧切さんかわいい
よほどの底辺校でもない限り高校にもなって手の傷とかで嘲笑することは・・
霧切
「私の火傷を嘲笑するのは、きっと、苗木君に片思いしている女の子ね
どうやっても私に敵わないものだから、こそこそ人の悪口言って必死に勝ったつもりになっているの
私には、そういう連中の嘲笑からは、嫉妬に狂った負け犬の、最後の遠吠えが聞こえてくるわね」
苗木
「うん、そうだね…(霧切さんコワイよぉ…!)」
>>601 「女の子」がお勧め
てか基本食べ物関連は良作多いよな
連作SSまとめに置いてあるやつは総じてハイレベルだ
>>597 モブ女「何あれ気持ち悪……」
モブ女「モブ男もそう思うよね?」
モブ男「う……うん……そうだね……」
霧切(あの男の子絶対私に気があるわね)
609 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:00:43.18 ID:2wdKkWM1
SS投下させていただきます。
十神君が腐れ外道ですので、ご注意。
それでは、以下本編。
「おい、霧切。お前に話がある」
そう私に突然十神君が話しかけてきた。正直、驚いた。彼は私を目の敵にしているようだったから。
「……何かしら? 私に改まって話がある、だなんて珍しいわね」
彼の表情はいつもどおり、相手を見下しているような高慢さを帯びている。でも次に放たれた言葉は全くいつもどおりじゃなかった。
「そんなことはどうでもいい。それより本題に入るが――お前に俺の子どもを産む権利をくれてやる」
「……何を、言ってるの?」
「何だ、聞こえなかったのか? お前ごときが俺に二度も同じことを言わせるな。十神家の跡取りを産ませてやると言ったんだ。
世界中の女が泣いて喜ぶことだぞ。光栄に思うがいい」
彼の歪んだ笑みが、声が、いつも異常に気に障った。私らしくもなく、少々苛立ちを声に込めてしまう。
「突然話があるだなんて珍しいと思ったら、今度は冗談? 今日のあなた、かなりおかしいわよ。体調でも悪いのかしら?
それなら、こんなところで無駄な時間を費やしてないで早く体を休めることをお勧めするわ」
「ふざけるな。俺が冗談など言うわけがないだろう」
「……じゃあ、何を考えているの?」
「フン。お前は他の女どもと違って頭は回るようだし、容姿も悪くない。何より余計な干渉をしてこないからな。
だから、我が十神家の跡取りを産ませるにはお前が一番マシだというだけだ」
かねてより、十神君に良い印象を持っていたわけじゃないけれど、今回は酷すぎる。さすがの私も彼の他人を軽んじる態度は度が過ぎると思った。
「十神家には確か、特殊な世襲制度があったわよね?」
「そんなものは、俺の代で終わらせる。次期当主は俺だからな。俺の好きなようにするさ」
「そう……悪いけど、いえ、悪いだなんて思わないけどお断りするわ。そういうことだから、さよなら」
「なっ……おいっ、待て!」
これも珍しい。私を制止する彼の声は焦っていた。それでも、私が振り返るわけがない。彼にもなにか事情があるのかもしれないけれど、
私は苛立ちを抑えられず、歩くスピードにそれは表れていた。その苛立が、第三者の目がそこにあったことを気づかせなかったことを知ったのは翌日になってからだった。
610 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:01:39.15 ID:2wdKkWM1
朝、すっかり私は前日のことなど忘れていた。けれどそれは教室へ入った時に否応なく思い出された。ドアを開けたと同時に私に向けられた視線が物語っていた。
昨日のことが噂になっていたのだ。
「霧切さん、おはようございます」
「おはよう、舞園さん」
教室のおかしな空気を物ともせずに、普段通り舞園さんが私のところへ来て挨拶をしてくれた。少しだけ安堵して息を吐く。でも、それは長くは続かなかった。
「あの、霧切さん? 十神君にプロポーズされたって噂になってますけど……」
「……プロポーズではないわ」
「似たようなことは言われたんですね」
私は今度は安堵とは別の感情から息を吐いた。気を使って小声で話してくれているものの、周りの視線がどうにかなるものではなかった。
「舞園さん、ちょっと来てくれる?」
私は不愉快な空気の教室から舞園さんを屋上へ連れだした。この時間の屋上には誰も居ない。色々聞きたいこともあったから、
「……誰が言い出したの?」
当然私が知りたいのはそれだ。誰かが見ていただなんて気づかなかったのは私の落ち度だ。けれど、いちいち言い触らされるのは良い気はしない。
「確か、最初に言い出したのは腐川さんだったと思います。ひどく混乱しているようで、腐川さんのことだからってみんな最初は気にしてなかったんですけど……泣いてたんです、彼女」
「……そう。さっき姿は見えなかったようだけど?」
「”もう生きていけない”って言って、寄宿舎に帰って行っちゃいました。しばらく学校はお休みするそうです……それにしても、あの十神君がプロポーズだなんて意外ですね」
「だから、プロポーズなんかじゃないって言ってるでしょう」
大体の経緯は把握できたけど、かなり面倒だと私は思った。放っておけば自然に収まるだろうとも思ったけど、私にはこのことをあまり知られたくない人物が居た。
「とりあえず、状況を教えてくれてありがとう。こんなところまで連れてきて悪かったわね」
「そんな、気にしないでください。それより、教室の雰囲気がちょっとアレですけど……どうします?」
「……そうね、別にどうもしないわ。放っておけば自然に収まるでしょ」
611 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:02:28.86 ID:2wdKkWM1
私の予想は当たった。放課後にはもう、すっかり過ぎたことになっていた。なのに、一番願っていたことはどうしてこうも上手くいかないのだろう。
私はいつもどおり、苗木君と一緒に帰ろうと彼の所へ行った。
「苗木君、帰りましょう」
「え、あ……良いの?」
「何が」
「だって霧切さん十神君と……」
「あなた、鈍感にも程があると思うわよ……とにかく、もう遅いから帰るわよ」
私が押し切るように言うと彼は肯いて、慌てて帰り支度を始めた。一番気にしてほしくない人が気にするなんて、皮肉なものだと思った。
苗木君と肩を並べて寄宿舎へ帰るのは、もう私の日常だった。いつも苗木君は色んな話をしてくれて、ころころ変わる表情が退屈しなくて、
私はこのひと時をかけがえのないもののように感じていた。そして、今こそいつもの様に色んな話をして欲しいのに、彼は気まずそうに黙りこんでいる。
「ねぇ、何か言いたいことがあるなら言ったらどうかしら?」
「べ、別に言いたいことなんて……!」
「……私と話したくないってこと?」
「違っ……! そうじゃなくてさ……あの……十神君にプロポーズされたって聞いたんだけど、どうして断ったの?」
「……嫌だったからに決まってるでしょう。何か問題でも?」
「いや、ほら……霧切さんと十神君って結構似合うかもなぁって思ったりして。はははっ……」
――パンッ!
私の思考が停止するとともに、大きな音が響き渡った。私が、苗木君の頬に平手打ちした音だ。私はすぐに我に、返らなかった。
苗木君が大きい瞳を更に大きくしてこちらを見ている。
「……あなたにだけは……あなたにだけは、そういうこと……言われたくなかったわ……」
「霧、切さん……?」
しまったと思った。私の視界がぼやける。苗木君の前で涙など卑怯以外の何物でもない。私はその場に居ることに耐え切れず、彼を置いて走りだした。
612 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:04:25.78 ID:2wdKkWM1
僕はひりひりと痛む頬に手を添えながら、遠ざかる彼女の姿をただ見ていた。情けないことに、どうして霧切さんが怒って……泣いてしまったのかわからない。
初めてだ。初めて霧切さんが人前で泣いた。つまり、きっと……僕は余程のことをしてしまったんだと思う。でも、どうしたら良いか分からなくて、
ぐるぐると思考を巡らせながら寄宿舎へ戻ったけど、やっぱり何も分からなかった。
翌日、いつもどおりの時間に目覚まし時計が鳴ったけど、僕はそもそも寝ていなかった。寝れなかった。霧切さんのことが気にかかって。
――とにかく、謝らなくちゃ。
教室へ向かう僕の足取りは、まるで重りを付けているように遅い。でも行かなきゃ駄目だ。霧切さんに謝らなくちゃいけないから。その想いだけを頼りに、
着いた先のドアを開いて彼女が居るであろう席の方へ視線をやる。いつも通りに舞園さんの話を聞いている霧切さんの姿があった。
少しだけ僕はほっとすると、自分の席へまず荷物をおいて深呼吸する。そして、霧切さんの所へ近づいた。
「あの、霧切さん……おは――」
「ごめんなさい、舞園さん。ちょっと用事を思い出したから席を外すわね」
僕の言葉は最後まで紡がれることはなく、霧切さんの視線は一度も僕に向けられることがなく、彼女は僕のすぐ横を通り過ぎていった。
「……苗木君?」
「あ、おはよう舞園さん」
「おはようございます」
にこりと微笑んで挨拶をしてくれる舞園さんに少しだけ心が救われた気がした。
「霧切さんと何かあったんですか?」
「う、うん。多分……」
「多分?」
僕の曖昧な回答に当然舞園さんが不思議そうに聞き返してきた。改めて自分の情けなさに泣きなくなってきた。
「えっと、昨日一緒に帰ってる時にね――」
僕は舞園さんに相談することにした。彼女なら、何か分かる気がしたから。僕のその勘は当たったけど、僕は自分の愚かさを突き付けられることにもなった。
「それは……ちょっと私も最低、としか言えないかもしれません」
「え?」
「苗木君、本当にそんなこと思ってたんですか? 霧切さんと十神君が付き合えばいいって思ってたんですか?」
「純粋に、二人ならお似合いかなって……」
「はぁ……もう、どうしてそんな……」
613 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:05:46.26 ID:2wdKkWM1
舞園さんが凄く大げさなため息を付いて顔を覆った。どうしてそういう反応をするのか僕には分からなかった。
すると、舞園さんはパッとこちらに顔を再び向けた。怒っている、ように見える。
「苗木君は霧切さんのこと好きですよね?」
「え? きゅ、急に何を……」
「好・き・で・す・よ・ね?」
「は、はい」
「なのに、どうして霧切さんに十神くんとお似合いとか言っちゃうんですか? 馬鹿なんですか?」
「え……馬鹿って……馬鹿かもしれないけど」
「馬鹿なのは分かりましたから、どうして自分が霧切さんを好きなくせに、そんなことを言ったのか教えて欲しいんですけど」
「だって、僕なんかが霧切さんに釣り合うわけもないし……」
「はぁ…………」
また舞園さんが凄い溜息をついた。僕にでも分かった。舞園さんは僕に怒っている上に呆れている。
「あのですね、苗木君。霧切さんは苗木君のことが好きなんですよ?」
「………………え?」
一瞬、舞園さんが何を入っているのか分からなかった。少し時間を置いて漸く理解出来たけど、そんなことあり得ないとしか思えない。
「それは、あり得ないでしょ」
「あり得ないとかあり得るとかじゃなくて事実なんです。いい加減気付いてあげたらどうなんですか?
好きな人に他の人とお似合いだ、だなんて言われたらショックに決まってるじゃないですか。泣くに決まってるじゃないですか。
霧切さんだって女の子なんですよ? わかってます?」
捲し立てるように思いもよらぬことを次から次へと言われて、僕は混乱せざるを得なかった。霧切さんが僕を好きだなんて、夢物語だと思ってたから。
そんなことを急に言われても、すぐに受け入れられるわけがないんだ。
「いいですか、苗木君? もう、苗木君が絶望的に鈍感なのはわかりましたから。だから私がストレートに説明してあげてるんですけど、とりあえず屋上に行ってきてください」
「え、なんで屋上?」
「屋上に霧切さん居ますから。ちゃんと謝って、謝って、告白してきてください」
「はぁっ!? そ、それはちょっと……無理だよ!」
「良いから私が言ったとおりにしてください! 絶対大丈夫ですから。私が保証しますから!」
「わ、わかった」
すごい剣幕だった。頷かずにはいられなかった。舞園さんに言われたことは正直、まだ信じられない。けれど、霧切さんを放っておけなかった。
謝りたかった。仲直りしたかった。僕は――霧切さんが好きだから。
614 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:06:27.28 ID:2wdKkWM1
僕は階段を駆け上がって、切れる息を落ち着けながら屋上へ通じるドアノブに手をかけた。緊張からか、それとも階段を駆け上がってきたせいか上昇した体温にドアノブがやけに冷たく感じる。
それをゆっくりひねって開けて隙間を覗くと、思いがけない人物がいた。
「……十神君?」
僕は小さく呟いた。彼の見つめる先には霧切さんが居る。僕は、ドアを前回にせず覗き見るような形で二人の様子を伺った。
「……はっきりと断ったはずだけど、どういうつもり?」
「分からないからだ。十神家の跡継ぎを産むということは、お前にも十神の財が渡るということだ。何不自由ない暮らしができるんだぞ?
誰が考えても良い話だろう。なのに何故お前はの俺が選んでやっているというのに断るんだ」
「……別にお金にもあなたにも興味が無いから。ただ、それだけよ」
「――っ、じゃあ興味を持たせてやる」
「え? ――んっ!?」
僕は目を疑った。あの十神君が、霧切さんの唇を無理やり奪っていた。そして次の瞬間には、霧切さんが十神君を突き放していた。
見たことのないような明確な憎しみ、嫌悪を込めた目で霧切さんが彼を睨みつけている。
「はぁっ、はぁっ……何、するのよ。あなたがそこまで最低だとは思わなかったわ」
「フン……興味を持たせてやるといっただろう」
一連の流れを見ていた僕は頭に血が上って、自分でも何がなんだかわからなくなっていた。気がついたら、ドアを開けて歩きだしていた。
「十神君」
「……苗木、なんでお前がここにいる? 部外者は失せろ」
「ごめん、僕だって関係者だから……十神君、残念だけど霧切さんには先約が居るんだ。僕が、その先約だよ。だから、もうそういうことを霧切さんに言うのやめてくれる?」
「な、んだと?」
「苗木君、何を言って……」
「そういうことだから。行こう、霧切さん」
「ちょ、ちょっと苗木君!」
呆然と立ち尽くす十神君を無視して僕は霧切さんの手をとってその場から彼女を引きずるように離れた。
615 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:07:46.66 ID:2wdKkWM1
「ねぇ、さっき言ってたことって……」
「そうだよ、僕は霧切さんのことが好きなんだよ」
「……本当?」
「うん。本当。昨日はごめんね……本当は霧切さんが誰か他の人と付き合ったりするのなんて考えたくもなかった。
でも僕、自信がなくて……でもやっぱり霧切さんのことが好きで好きで仕方がないんだ」
「嘘、じゃない?」
「嘘じゃないよ。僕の、心からの気持ちだよ」
僕が正直に話すと、霧切さんがまた、僕の前で泣いていた。
「――して」
「え?」
「キス……して。お願い……さっきのを苗木君で忘れさせて。私も苗木君のことが好き……なのに……初めてだったのに……んぅっ」
僕は彼女の願いどおりに、唇を重ねた。凄く柔らかくて、頭の中が大変なことになりそうだったけど、その感触をゆっくり堪能するように重ね続けた。
数秒だったかもしれなけど、恥ずかしくて長く感じられた。
「――かい……て」
「ん?」
「……もういっかい、して?」
その言葉に、タガが外れたように僕は再び霧切さんの唇に口付けた。
何度も、何度も……「もう一回」とねだる霧切さんのお願いを何度でもきいた。互いの唇しか認識していないみたいに何度も何度も。
時間を忘れて、何度も唇を重ね合わせ続けた。
「授業、サボっちゃったね」
「別に……1時間くらいどうってことないわ」
「……さっきの霧切さん凄く可愛かった」
「忘れてちょうだい」
「嫌だよ、忘れられないよ!」
「……そういえば、どうして屋上に来たの?」
「舞園さんが、教えてくれたんだ。屋上に行けば霧切さんに会えるって……そしたらとんでもないもの見ちゃったけど」
「…………思い出させないで……あの時の苗木君、顔が怖かったわ」
「うん……完全に頭に血が上ってた。初めて十神君に、っていうか他人に殺意が芽生えたよ。今でも許せない」
本当に十神君はやり過ぎたと思う。あとで大神さんに相談してふっ飛ばしてもらおうかな。本気で僕はそう考えていた。
「私は、もう忘れたいから……あなたも忘れてちょうだい。じゃないと、さすがの私もつらいわ……」
「そっか……霧切さんがそう言うなら、わかったよ……霧切さんが居ない所で制裁しておくね」
「……今サラッと何か恐ろしいこと言わなかったかしら?」
「はははっ。そんなことないよ」
「そう……まぁ良いわ。そろそろ、教室へ戻りましょうか」
「うん」
僕と霧切さんは二人で一緒に教室へ戻ると、舞園さんが笑顔で迎えてくれた。本当に舞園さんには迷惑をかけちゃったな。ちゃんとお礼をしなきゃね。
僕と霧切さんは、恋人になった。
― END ―
乙
すげえ展開だな
まあ、あんまり他キャラを外道にはすべきじゃないと思う
そのキャラが好きな人もいるだろうしな
まあSSは来てほしいけども
617 :
SSだよ:2013/10/21(月) 23:41:33.07 ID:2wdKkWM1
>>616 十神君全然好きなんですけど、パッとこのストーリーが思い浮かんじゃいまして……
以後気をつけます!
フィギュアの続報はそろそろ来ないもんかな…
もう来年春くらいの発売予定もぼちぼち出始めてるし
乙
十神君が霧切さんをお前が一番マシだからと孕ませようとするのは薄い本で見たなw
その本は苗木君の子供を産んで苗木君が死んで十神君と結婚してた
>>620 似たようなネタの薄い本があるんですねw
初めて知りましたw
僕の考えるストーリーには苗木君以外と霧切さんをくっつける気はありませんけどねw
やっと今スクールモードクリアできて目が覚めてしまったw
デレ切さん最高だ!
おっと、明日仕事だぞ(´・ω・`)
ダンガン2巻って来月末なのかな
そういやダンガンロンパ霧切って犯人側は殺人の方法まで購入できてたけどそれは犯罪被害者救済委員会に殺人の方法を考える知恵者がいるってことだよな
お爺さんだろうなぁ
霧切一族はどういう家系なんだよwって感じもする
お爺様はないんじゃね
ゼロ読むかぎり慕っていたし
>>626 家族にも秘密なのかも
だから霧切さんは知らない
スクールモードネタのSS投下します。
勢いで書いたので、生暖かい目で見守ってください。
「……んん……んっ!?」
ベッドで寝ていた僕は、朝5時ごろになんとなく目を覚ました。
開けた目に飛び込んできたのは綺麗な紫がかった銀髪の女の子の寝顔――僕の気になる女の子の寝顔が目の前にあった。
「え……? えっ?」
――なんで霧切さんが僕のベッドで寝てるの!?
たらたらと変な汗が滲み出る。思考が正常に働きそうにもなかったけど、無理やりにでも働かせて記憶をたどってみた。
けれど僕の記憶の中には何ら不思議な点はなかった。昨夜も部屋に一人で居て、確実に一人でベッドに潜り込んだことを思い出せた。
おかげでますますこの状況を説明できるものを見出せず混乱した。
「んっ……」
「うわっ!」
すやすやと眠っている霧切さんの口から少し声が漏れる。同時に僕にしがみついてきた。迂闊だった。
僕は混乱してその場か離れるどころか、起きた直後の状態からまったく動けなかったせいでさらに動けなくなってしまった。
――ムニッ
――あわわわわわっ! どうしよう! どうしよう! 何か柔らかいのが当たってる!
――き、気持ちよさそうに眠ってるけど……これは、起こさなきゃまずい!
「あれー? 起こしちゃうの? 苗木君、霧切さんを起こしちゃうの?」
「――っ!? モ、モノクマ!? な、なんだよお前! 急に出てきて!」
僕が霧切さんを起こすために彼女の肩に手を掛けた時、ベッドの前に突然モノクマが現れた。
この状況を明らかに面白がっていて、不快極まりない。
「ボクが急に出てくることなんて別にいつものことじゃない! それよりさ、起こしちゃうの? チャンスだと思わないの?」
「チャ、チャンスだって……? そんなこと思うわけないだろ! あ、分かったぞ! これもお前の仕業だろ!」
きっとモノクマが霧切さんに睡眠薬とか飲ませるかどうにかして、ここに連れてきたに違いない。そう思ったけど、あっけなくモノクマに否定された。
「何言ってんの? 不順異性交遊を認めてないボクがそんなことするはずないじゃん! うぷぷぷぷ! とんだ言いがかりだよね、全く。
監視カメラで見てたけどさ、夜中に霧切さんが自分で君の部屋に来たんだよ」
「はぁ? そんなわけないだろ! まぁ、来ることはあり得るかもしれないけど……僕が寝ている横に霧切さんが潜り込んで一緒に寝るなんて、
どう考えてもあり得ないじゃないか!」
「あのねぇ、面白そうだったから今ボクはここに来たけど、それ以外は全部霧切さんが自分の意志で行動したことなの。
責めるなら霧切さんを責めてよね。あーあ、テンション下がるなぁ……もう飽きたから好きにやっちゃってよ。ボク帰るね」
「お、おい! ちょっと待てって!」
僕の声は虚しく宙に響いただけだった。それにしても、モノクマとのやり取りがあったにも関わらず霧切さんが起きる気配がない。
いつもの彼女なら、すぐに起きそうなんだけど。
――ギュゥッ
「〜〜〜〜っ!」
まずい。まずい。霧切さんの腕に余計に力が入ったせいで、僕の身体と霧切さんの身体一層密着してしまった。
このままだと絶対に間違いを犯してしまいそうだ。
「き、霧切さん! 起きて! 霧切さん!?」
「……んんっ……ふ………………?」
「霧切さん?」
「……苗木君? ……おはよう」
「あ、おはよう……じゃなくて!」
やっと霧切さんがやっと起きてくれた。けれど、まだ意識がはっきりしてないみたいで目がトロンとしている。
そして相変わらず僕はしがみ付かれたままだ。
「あの、とりあえず離れてくれない?」
「離れる……? …………あっ」
やっと現状を把握したらしい霧切さんが、大きく目を見開いた。
そして「ごめんなさい」と呟きながら身体を離してくれたけど、その表情はいつもの霧切さんに戻っていた。
「霧切さん? なんで僕の部屋に、というか僕の横で寝てたの?」
「…………あなたに、関係ないわ」
「いやいやいやいや! 関係あるよ!? ありまくりだよっ!?」
見事にすっとぼけたことを言う霧切さんに僕はつい大声を出してしまった。
この様子だと、悔しいことにモノクマが言っていたことは本当だったらしい。
「……わかったわ。言えばいいんでしょ、言えば」
「できればお願いします」
僕から少し視線をずらして拗ねたように言う霧切さん。いつも強気で冷静沈着な彼女にしては珍しく、歯切れの悪い様子で話してくれた。
「昨日、あなたと音楽室に行ったでしょ?」
「確かに行ったけど、何か関係あるの?」
「……その……あなたからその時に、日本の学校の怪談話をいくつか聴かせてもらったじゃない?」
「えっと……うん……」
「それで……あの……」
「霧切さん、もしかして怖くなって一人で寝れなかったとか?」
「――っ!」
僕の問いかけに霧切さんがビクッと肩を揺らした。どうやら当たりのようだ。
「え、本当に? 霧切さんが? “根拠のないものに怯えるなんて私には分からない”って言ってたよね?」
「…………」
「……霧切さんがそんなに意地っ張りで怖がりだったなんて意外だよ」
朝の訳の分からない状況の原因が、こんなに予想外なことだとは思いもしなかった。つい、僕は溜息をついて目を伏せてしまった。
「ご、ごめんなさい。軽蔑したわよね……」
「全然そんなことはないけど。むしろ、霧切さんの新たな一面が見れて嬉しいっていう気持ちの方が大きいかな」
「そ、そう。それなら良いけど」
でも、納得いかない点が一つだけあった。
「まぁ、霧切さんが実は怖がりだったていうのは置いといて、なんで僕の部屋に来ちゃったの?
怖くて寝れないにしても、舞園さんとか朝日奈さんとか……同性の人の部屋に行くべきでしょ?」
「ドアが開いてたから」
「え、ドア開いてた!?」
「ええ。それと、ここに来てから毎日あなたと過ごして……
あ、あなたなら家族になるような人として付き合っていっても良いと思うようになって……それで……」
「え? そ、それってつまり――」
「あなたに、興味があるって言ったでしょ? それについて自分で必ず明らかにするとも言ったわ。
それで、分かったのだけど……私、あなたのことが好きみたい」
何だろう、この展開は。まだ早朝だというのに、色んな予想外なことが起こりすぎた。
でもそれ以上に、今目の前に居る、顔を赤らめてもじもじしながら僕を好きだと言ってくれる霧切さんが可愛すぎた。
「ぼ、僕も! 僕も霧切さんのことが好きだよ!」
「本当に? 同情とかでそういうこと言われても傷つくだけよ?」
「同情だなんて、まさか! 好きじゃなかったら毎日君を誘ったりなんかしないよ!」
「そう、よね。バカ正直なあなただものね……良かった…………ねぇ、今日はどこへ誘ってくれるの?」
頬を染めたままの霧切さんが、僕に柔らかい笑みを向けて問いかける。
本当に綺麗で、可愛い。こんな人と僕なんかが付き合えるなんて。
「娯楽室に行こうか? ダーツでもする?」
「……手袋だと投げにくいわ」
霧切さんの表情が曇った。けれど、僕はわかっててわざと言ったんだ。だって――
「家族になるような人の前では、手袋はいいでしょ?」
僕の言葉に、霧切さんがハッとして、けれど不安そうな顔で僕を見た。
「……でも、この下はとても醜いのよ。自分でもそう思うのだから――」
「僕は霧切さんの全部が好きで、全部を知りたいし受け入れるよ……だから醜いだなんて思うわけがないでしょ?
僕を信じて……それと、娯楽室は貸切にしてもらうから」
霧切さんはまだ少し迷っているようだった。珍しく動揺の色が表情に見える。
「そうね。あなたになら、全部見せてもいいわ……だから、ちゃんと最後まで責任とってくれないと許さないわよ?」
「もちろん、霧切さんと家族になることを約束するよ」
「ありがとう、苗木君」
僕と霧切さんは微笑みながら暫く見つめ合って、モノクマの朝のアナウンスが流れるまで二人で心穏やかな時間を過ごした。
◇◆
「霧切さん、ダーツ凄く上手いね」
「そう? 初めてやったけど、苗木君が下手すぎるんじゃないかしら?」
楽しそうに笑う霧切さんが新鮮だった。良かった、すごく楽しんでもらえたみたいだ。
終わり
駄文失礼いたしました。
GJ!
朝からいいもの読めたぜ
音楽室での怪談に対する反応は、小説での反応を思い返すとニヤニヤくるなw
>>623 全く同じ理由でトリプルゼロの月下おじさんが怪しいと思ってる
触れてきた事件もダントツに多いから逆に考えることだってできるはず
ロリギリさん以外にもダン切2巻は気になる事が多い
ダブルゼロに挑戦する羽目になってまで用意した現金10億円とか
やたら多い凶器の中に自動車が含まれている所とか
1巻の気絶薬がその他である点から考えて、自動車で殺人するって事なんだよな
お祖父さんが黒幕ってのは勘弁してほしいな
>>627で行くと何も解決しないまま完結なんてことになりそうだし
>>630 GJ!!
いいらーぶらーぶだ
>>632 自動車と人の首にロープをくくりつけておいて、
車を運転することでロープは首を締め付けていくとかかな
>>630 GJ!
変態の霧切さんのSSも書いてくだしあ
モノクマ「コロシアイして君と苗木君だけが生き残ればこの学園のアダムとイヴになれるよ!」
変態霧切「ちょっと苗木君以外の皆を殺人示唆焚き付けてくるわ」
こうですね、分かりません
霧切「苗木君、私のこの手袋の下は家族になるような人にしか見せるつもりはないわ!」ドヤァ
苗木「今、見せてるよね?」
霧切「そう、苗木君だから見せているのよ。ここまで言えばわかるわね?」
苗木「ごめん、霧切さん。君が何を言っているのか僕にはわからないよ」
霧切「仕方ないわね……じゃあとりあえずここに名前を書いて判を押しなさい」
苗木「何その急展開。あからさまに指名記入欄以外が厚紙で隠されてる怪しい用紙に名前なんか書けないよ!」
苗木「よく見たら隣に《霧切響子》って書いてあるけど……嫌な予感しかしないけど!」
霧切「何も怪しくないし嫌な事だってないわ! これは私と苗木君の愛を証明する用紙よ!」ドヤァ
みたいなノリとかのやつですかね
ちょっと違うかな
色んなジャンル考えてみれば幅が広がりそう
>>632 あの予告は面白いスタイルだよなあ
どんなトリック用意してるのかワクワクする
霧切「苗木君!私の隣に座りなさい!」
苗木「えっ?どうしたの突然!?」
霧切「さあさあ!早く座りなさい!」
苗木「分かったけど……」
霧切「さあさあ!そのまま横になりなさい!」
苗木「だから何で!?意味が分からないよ!まあ座るけど!」
霧切「何をしているの?」
苗木「えっ?」(まずいな。霧切さんからの印象が悪く……)
霧切「私の膝枕で寝なさい!全く苗木君は可愛いわね!」
苗木「う……うん……」(良くなった!?)
霧切「さあ!そのまま寝るのよ!」
苗木「恥ずかしいよ……」
霧切「前向きに検討するわ」
苗木(これ絶対やる気無い奴だ!)
霧切「苗木君!これから私が言う質問にははいと答えるのよ?」
苗木「うん……」(またこれ!?訳が分からないよ!)
霧切「はい!」
苗木「はい」
霧切「苗木君は霧切響子を愛していますか?」
苗木「はい」(早速これかよ!!)
霧切「私を永遠に愛すると誓いますか?」
苗木「はい」(おかしいよ!こんなのおかしいよ!いや嫌じゃないけどね!?)
舞園「ふふふ……」
苗木(今おぞましいほどの殺気が!やめて!舞園さんやめて!)
霧切「では、誓いのキスを」
苗木「いいえ」
霧切「……」
苗木(は!?思わず言ってしまった!キスのチャンスを自ら逃すなんて!不覚ッ!)
補習にて
苗木(やばいやばいやばいやばい)
苗木(死ぬ。こ れ は 死ぬ)
霧切「苗木君!」
苗木「霧切さん!?」
霧切「今助けるわよ!!」
モノクマ「あ−!ちょっとちょっ霧切「うるさい!」グシャァ
霧切「この手を掴みなさい!」
苗木(そして、掴んだその時……)
苗木(僕は空を飛んだ)
江ノ島「おいおいおいいいいいい!人間に助けられるなんて絶望的ィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」
何度やっても、霧切さんが怒を怒らせて無視されちゃうくだりが
泣きそうになるくらいつらいな
こういう時に限って大神さんは引きこもっちゃうし
>>644 原型公開されてるね
それにしてもこのコレクションフィギュア全6種なのにBOX買いすると8個入りか
こういう商品では普通なのかな
霧切さんに無視されるくだりは正直興奮した
でもあのイベントで霧切さんが好感度を下げたのは一時的なものに思える
てかむしろあのイベント終了後は好感度が一気に上がったと思える
霧切さんを怒らせるのも照れさせるのも、苗木君だけだと思うから
あのイベントで特別感みたいなのを実感できる気がする
アニメの地下でのシーンで、苗木君は地面に座ってるからちょうど、
霧切さんの太ももが視界に入ると思うんだけど、彼は何も思わないのかな?
子供みたいにスネる霧切さんが可愛くてむしろ好感度上がったよ
あの中で霧切さんが心を開きそうなキャラって苗木っちぐらいだからなw
>>652 うーむ…使い回し絵ではあんまり購買意欲が…
>>649 あらためてみるとやっぱり体格がガッチリしてるなぁ
服装でそう見えるだけかな
スリーブとはなんぞ
>>655 両方じゃないかな?
もともとそれなりに体格がよくて,服の効果でさらに体格がよく見える,って感じ
>>656 遊戯王カードとかのカードを保護するための袋みたいなものだよ
誰か苗木君×霧切さんで見てるこっちが恥ずかしくなるような
コッテコテのらーぶらーぶ物のSSを書いてくれないかね。
体重軽いからなあ霧切さん
体格良く見えるのはゴツいジャケットのせいじゃないかと
霧切さんて腕組みが似合うけど、腕組むのって心理的な距離を取る拒絶のサインなんだよね
響子はついに舞園殺しの犯人を突き止めた
後は推理を犯人にぶつけ、罪を認めさせるだけだった
殺人犯の男は、最初は犯行を否定しようとしたが、
響子の容赦ない追及により、認めざるを得ないところまで追い詰められた
突然、男は殴りかかってきた
だが、男がこんな態度に出ることは、幾多の修羅場を潜り抜けてきた響子には予想済みだった
響子は得意の格闘術で男を投げ飛ばした が、瞬間、男の手が響子の手袋にかかった
気を取られる響子 そこにスキが生まれ、男の鉄拳が頬にヒットした 男はさらに殴りつけようとしてくる
霧切「や、やめて!顔はやめて!!」
とっさに顔をかばおうとする響子 だがそれによって今度は腹に痛打を受けることになり、防戦一方になった
響子はたまらずうずくまったが、男は手を止めなかった
(誰か…助けて…!) 朦朧とする意識の片隅で響子は苗木の声を聞いた
苗木「やめろ!」
苗木は敢然と立ち向かったが、小柄な苗木では男の敵では無かった
だが、何度も食らいついてくる苗木の前に、このままでは1対2になり分が悪いと判断したのか、
男は苗木を突き飛ばし、逃げ出していった
残された響子はうずくまったままだった
「大丈夫霧切さん?」 苗木が肩に手をかけようとすると、
響子は何も言わず、苗木の胸に抱きついた
苗木君よりも身長が高いことが女としてどうなのか
…と若干凹みがちの霧切さんも捨て難い
>>663 それはマジでオーガにしか目がいかないからやめろww
>>663 何度見てもいいケツだ
なぜこれをアニメ本編に出さなかった
いくら霧切さんだからって顔は蹴られたくないだろw
顔は止めて!
霧切さんは鼻血が出ても犯人を逃がさないタイプだと思うよ
ロリ時代でも死を覚悟して犯人を追い詰めるし
犯人と格闘して生傷がついても大した事ないわとしれっと言いそう
霧切さんは「お母様・お父様・おじい様」って呼んでたのかな?
お父様だけしっくりこないけど、小さいころはそう呼んでたのかな?
苗木君と霧切さんっていつになったら下の名前で呼び合うのかな
苗木「響子さん」
霧切「誠君」
・・・なんか別のキャラの名前呼んでるみたいだな
二人の時に手袋を外せるくらいになれば
ヒント:結婚
恋人繋ぎしたい
霧切さんに悪夢を見せて汗びっしょりでバッと起きるの見たい
戦場殺しの裁判でアルターエゴが助けてくれなくてグシャっとか
>>672 苗木「あのさ響子」
霧切「何かしら誠」
呼び捨てで呼んでもいいのよ
霧切「ダーリン♪」
苗木「ハニー♪」
ゼロでは地の文で響子呼びだったな
ダンロン霧切も同じように響子呼びでも良かったと思うのだが
>>679 霧切仁が先に霧切表記だったから都合上響子だったんじゃないかな?
霧切響子っていう名前は秀逸だと思う
見た目とも性格ともぴったりフィットしている
霧切さんと付き合ったらリードしてくれそうで楽だよね
霧切さんは殺人事件とかは得意そうだけど浮気調査なんかは苦手な感じがする
あとロリ時代はどんなパンツ履いてたんだろう
お姉さまもいずれ「霧切ちゃん」から「響子ちゃん」にシフトするのだろうか
686 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/23(水) 16:47:10.05 ID:GgxH3Mwi
霧を切る
霧=前が見えない(事件)
切=を晴らす
SS投下します
駄文です。
頭が回らなくて描写が残念になりましたが……
設定としては、全設定無視!といった感じでしょうか。前半だけ苗木君がおかしいです
それでも良ければ、お読みいただければ幸いです。
朝日奈と大神は早朝トレーニングを済ませて、一旦寄宿舎へ戻ろうと廊下を歩いていた。
「やっぱり、朝のトレーニングは心身ともに引き締まる感じがして最高だよね! さくらちゃん!」
「ああ、そうだな。しかし朝日奈よ、トレーニングが無駄になってしまいそうになるくらいドーナツを食べるというのは、少し見直した方が良いぞ」
朝日奈の腕の中には紙袋いっぱいのドーナツがあった。袋のふちからもドーナツが顔を覗かせている。
「えへへへ。体動かした後はやっぱりドーナツが手放せなくて。でも、さくらちゃんが言うなら少し控えるようにするよ! 私頑張る!」
「ふっ……それが良い」
いつものやり取りに、心を和ませていると、大神がふと足を止めた。まだ早朝なので、ほとんどの生徒は各自の部屋に居るはずだが、彼女の耳に小さな足音が聞こえたのだ。
「……ん? 朝日奈、足音が聞こえなかったか?」
「え? ううん、私は聞こえなかったよ? ……あ、さくらちゃん! あそこ!」
「むっ……! 子供だと……?」
寄宿舎二階へ続く階段前の方へ向かう、小さな子供の姿が一瞬二人の目に映った。大神と朝日奈は驚いたように顔を見合わせると、お互い言葉を交わさず意思が分かったらしく、
同時に子供が向かったであろう倉庫の方へ駆け出した。角を曲がると、やはり子供がいた。
「ねぇ、お嬢ちゃん」
朝日奈は子供の後ろから声をかけた。その子供は女の子だった。突然後ろから聞こえた声に驚いたのか一瞬びくりと身体を震わせてからこちらに振り向いた。
見た目から推定すると4〜5歳くらいといったところだろうか。
「あなたは、だれ?」
「第一声がそれって……まぁいいや。私は朝日奈葵だよ。こっちは大神さくらちゃん」
「あさひなさんとおおがみさん?」
「うん、そうだよ」
「朝日奈、この娘あいつに似ていないか?」
「おお! さくらちゃんも思った!? 私もそう思ってたんだよ! 妹さんかな? ねぇ、あなたのお名前聞かせて?」
朝日奈は、少女に目線を合わせるためにかがんで尋ねた。そして少女は、確かにその名前を答えた。
「わたしの名前はきりぎりきょうこ」
「へ?」
「なんだと?」
朝日奈と大神は顔を見合わせずにはいられなかった。左右で三つ編みにされた紫がかった銀髪に、子供ながらに整った顔立ち――二人とも霧切響子の血縁者か何かとは思っていたが、
まさか本人の名前を名乗られるとは思いもよらなかった。
「ええっと、あなたの名前が”きりぎりきょうこ”なの?」
「うん」
「霧切響子っていうお姉ちゃんが居るとかじゃなくて?」
「わたし、お姉さまなんて居ないわ!」
「さ、さくらちゃん、どういうこと!?」
「我にも分からんが、霧切の血縁者に違いないだろう。名前はともかくしっかりと”きりぎり”だと言っているんだ。部屋も近いし、本人に聞いてみたらどうだ?」
「そ、そうだね!」
「きりぎりきょうこ」と名乗った少女は朝日奈と大神を不思議そうに見上げている。何を言っているのか把握できないでいたのだ。
「ええっと、きょうこちゃん、でいいのかな?」
「うん」
「ちょっと、一緒に来てくれるかな」
「はじめて会った人にかんたんに付いていくものじゃないって言われてるけど……」
「えー……この状況でそんなこと言われても」
すると大神が今度は少女に目線を合わせて尋ねた。
「娘よ、お前はそもそも何故ここに居るのだ? しかもこのような早朝に」
「わからないの。気づいたらここに居たの。今日はお父さまに本をよんでもらうやくそくをしていたのに……」
少女はそういうと俯いて目を潤ませる。
「……仕方ない、とりあえず霧切の部屋に行こう」
「そうだよね。 よし、きょうこちゃん! たぶん君の家族だか親戚だか何なのか分からないけど、多分きょうこちゃんが知ってる人の所に連れて行ってあげるからおいで?
すぐ近くだから大丈夫!」
「うん、わかったわ」
朝日奈は少女を元気づけるように明るい声を出して、その小さな手を引いた。
――ピンポーン
「霧切ちゃーん! 居るー?」
インターホンを押したにもかかわらず朝日奈は大きな声で部屋の主に呼びかける。そして間もなくそのドアが開いていつも通りの見慣れた顔が覗いた。
「あ! 霧切ちゃんおはよう!」
「……おはよう。こんな早朝にどうしたの、朝日奈さん」
「あのね! 大変なんだよ! 見てこの子!」
朝日奈が視線を落として、自分の後ろから誰かを引っ張った。それに合わせて霧切も視線をそちらへ向けて、動きも思考も固まった。
「…………え?」
その視線の先の小さな少女。朝日奈に肩をつかまれながら、霧切を見つめ返すその少女は霧切と同様に驚いたようなかをしていた。
「あ、やっぱり霧切ちゃんの妹とかなのかな!? この子はお姉ちゃんなんかいないって言ってたんだけど、そっくりだしやっぱり霧切ちゃんの妹なんだね!」
すべてが解決した、と喜ぶようにハイテンションで捲し立てる朝日奈に霧切はついていけていなかった。
「ちょ、ちょっと待って朝日奈さん。私、妹なんていないわ」
「えっ!? じゃ、じゃあこの子は?」
「……心当たりがない、というわけではないけど。でも、そんな……まさか……ありえないわ」
霧切が動揺した様子で呟いていると、少女の口から予想外な言葉が発せられた。
「……お母さま?」
「「え?」」
「ううん。お母さまじゃない……すごく似てるけど、若い? あなたは、だれ?」
霧切は少女に尋ねられて、目線を合わせる。顔立ちや髪の色、使われているリボンなどを間近で観察して何か確信を得たようだった。そして静かに答えた。
「私は……霧切響子よ」
「え? わたしとおなじ名前だわ!」
その少女は霧切りの名前を聞いて手で口を覆って驚く。そのそぶりはまさに霧切が驚いたときにする動作とそっくりだった。
「……同じ名前? そう、やっぱりそうなのね」
「ええっと、霧切ちゃん? 何かわかった?」
「ええ。たぶんこの子、小さいころの私自身だわ。信じがたいことだけど、そうとしか考えられない。この容姿も、この服も見覚えがある。
というか私が子供のころに来ていた服そのものだわ。それに……私を見てお母さまと勘違いするだなんて……」
「は……? ええぇぇぇええっ!?」
寄宿舎中に響き渡るほどの大声を上げて朝日奈が驚いた。その後ろで大神も少なからず困惑しているようだった。
「ど、どうしたの!?」
朝日奈の声に驚いたのだろう。霧切の隣の部屋のドアが勢いよく開き、そこから苗木が顔を出した。
「大神さん、朝日奈さん……何があったの!? あ、霧切さんも!」
「ええっと、ほら、この子……」
困惑したままの朝日奈に促されて視線を下に向けると、小さな少女が警戒するような目で誠を見ていた。
「えぇっ!? 何この天使! じゃなくて、もしかして霧切さんが縮んじゃったの!?」
「私は目の前に居るじゃない。ていうかその子を見て迷わず私だと認識した上に、かなり恥ずかしいこと口走るってどういうことかしら」
「あ、あはは。そうだよね、霧切さんなわけがないよね」
「……その子も私であることは間違いないわよ」
「……は?」
「だから、その子は子供の頃の私自身よ」
「あなたは、将来のわたしなの?」
ようやく、霧切の正体を認識した少女が霧切を見上げて尋ねた。やはり、幼くとも霧切響子という人物の頭の出来はずば抜けているらしい。
「ええ、そうなるわね」
「なんだ、そうだったのか。どうりで似てるわけだね! だって本人ってことだもんね。うん! 納得したよ! って納得するわけないだろ!?」
「おい、苗木。困惑するのもわかるが、少しは落ち着かぬか。この子が怯えているではないか」
「あ、ごめん」
改めて苗木が少女を見ると、大神が言うとおり少し怯えている様子で霧切の後ろに隠れていた。
「そうだよ! 苗木! 響子ちゃんが可愛いのは分かるけどさ! あ、もしかして苗木はロリコンだったの!?」
「そ、それは違うよ!」
「……響子ちゃんって……私に言ってないっていうのは分かるけど、ちょっと照れくさいわね」
「霧切、それでこれからどうするのだ?」
「……そうね、癪だけど学園長のとこへ連れて行ってみるわ……たぶんこの子あの人と暮らしてる頃の私だと思うし」
伏し目がちになりながら霧切は幼い自分を見つめると、かがんで目線を合わせた
「……お父さまに会いたい?」
「お父さま? お父さまが居るの!? 今日は、お父さまに本をよんでもらうの!」
「そう。じゃあ、行きましょうか」
「じゃあ、あとは霧切ちゃんに任せて大丈夫な感じなのかな?」
「……とりあえずは任せて」
父親に会えると分かったことがそんなに嬉しいのか、目を輝かせている幼い自分の小さな手を霧切は掴むと複雑な心境になりながら寄宿舎二階へ歩き出した。
――こんなわけのわからないことで、あの人に会わなければならないなんてね。
「あれ!? 霧切さんと小さい霧切さんは!?」
「あれ、苗木どっか行ってたの? 霧切ちゃんたちは学園長の所に行ったよ」
「ええ!? せっかく山田君からカメラ借りてきたのに! あとで戻って来た時に撮るしかないか」
「え、なんか苗木が色んな意味で怖い」
しょんぼりと肩と頭のアンテナを落として落ち込む苗木に、朝日奈は少し引いていた。大神も苗木の見たことのないような様子に困惑しているようだった。
691 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/23(水) 16:55:07.09 ID:eS40i4u5
――コンコン
「はい、どうぞ」
霧切がノックをして開けたそこは学園長の個室だった。思いがけない人物の来訪に学園長――霧切仁は目を丸くしていた。
「ど、どうしたんだ? 君から私を訪ねてくるなんて」
「私だって別にあなたなんか訪ねたくないわ。ただ、ちょっとハプニングがあって」
「まぁ、そうだろとは思ったよ。とりあえず、中へ入ったらどうだ」
仁が霧切に促すと、それに従って彼女が部屋に入る――と同時に、信じられないものを目の当たりにして仁はつい大声を上げた。
「きょ、響子!? 小さい頃の響子じゃないか!? え、どういうことだ響子!?」
「……どちらを指しているのか分からなくなりそうね……私にもよくわからないけど、一階の廊下に居たみたいよ」
「お父さま? お父さまだ!」
幼い響子が仁を目にした途端、一層目を輝かせて彼のもとへ一目散に駆け寄った。霧切はその光景に異様な居心地の悪さを覚えながら、それを見守る。
足元にとてとてと駆け寄ってきた幼い響子に仁は困惑しつつも、すぐに笑顔になりその小さな体を抱き上げた。
「響子、どうしたんだ? 本当に響子なのか?」
「きょうこは、きょうこよ。変なお父さま! あれ? お父さま、きゅうに年をとったみたい!」
「はははははっ。そうだね、私も年をとったさ」
――何なのこれ。よくわからないけど不愉快だわ。
――あのくらいのころの私って、あの人のことがあんなに好きだったのかしら?
「お父さま、きょうは本をよんでくれるってやくそくしてたでしょ?」
「うーん? どうかなぁ? 多分それは私であって私じゃないと思うけれど……今日は少し忙しいんだよ」
「ねぇ、随分そっちの私がお気に入りのようだけど、この状況を楽しんでいる場合じゃないでしょう? 本当にその子が過去の私なら、
信じがたいけど過去のものが時間を超えてこちらに存在していることになるわ。それって良いことではないんじゃないの?」
無性に苛立った。目の前の娘を放っておいて、突然現れた幼い自分をすぐに可愛がり出す彼を霧切は無意識のうちに睨みつけていた。
それを見て仁はしまった、というような顔をして幼い響子を下ろすと、霧切に謝った。
「あ、ああ……すまない」
「……それで? どうするの?」
「どうすると言われてもな……私はさっきも言ったが今日は少し忙しくてな。お前たちは今日は休日だろう?
とりあえずは、新しく何かわかるまでこの子の面倒はお前が見てくれないか?」
「そう。やっぱり放り出すのね」
「違う。そうじゃない……お前が怒るのも仕方ないかもしれないが――」
「もういいわ。それに別に怒ってないし……あなたが言った通り今日の所はその子の面倒は私が見ることにするわ」
「……すまない」
霧切は彼を無視するように、仁の足元に呆然と二人の様子を見ていた幼い自分をひっぱった。
「え、お父さまは本をよんでくれないの?」
「忙しくなってしまったみたいよ。あの人はいつだってあなたや私に構ってられないのよ。だから私と今日は過ごしましょう」
「……うん」
霧切は部屋を出ようとドアノブに手を掛けた時に動きを一瞬止めて一言だけ呟いた。
「何か分かったら教えてちょうだい。それ以外は関わらないで」
そして返事を待つことなく彼女は部屋を後にした。
霧切が一階へ戻ると、幼い響子がクイッとつないでいた手を引っ張った。
「どうしたの?」
「私、お腹が空いたみたい」
少し恥ずかしそうに、霧切を見ながら幼い響子が言ったあと、彼女のお腹から可愛い音が鳴った。それにクスリと霧切は笑ってしまう。
自分自身なのに、可愛いだなんて思ってしまい、これってナルシストなのかしら――と少々思い悩む。
「そうね、私も朝食はまだだったわね。食堂へ行きましょうか」
「うん! あ、あの……」
「今度は何?」
「何て呼べばいいの?」
「……私こそあなたをどう呼んだらいいのか分からないわ、とりあえず今は特に困ってないし、必要になった時にそれは考えましょう」
まさか、自分自身に自分を「お姉さん」などと呼ばせるわけにもいかないし、名前も論外だった。通常異なる年齢の同じ人物がこうして会することなどあり得ないから、
いくつかの問題が浮き上がるのは当然だった。
それらの問題は置いて、霧切は幼い響子を食堂に連れて行った。
「あ! 霧切ちゃんと響子ちゃん!」
「それ、ちょっとどうにかならない?」
「え? だって霧切ちゃんは霧切ちゃんだし、響子ちゃんは響子ちゃんだもん」
食堂に入った途端二人の姿を目にした朝日奈が駆け寄ってきた。まだ、人の姿は少ないが、どちらも一人の人物を指す名前をそんな風に連呼されたので周りに変に思われてしまうだろう。
と言っても、幼い響子が居る時点で変に思われてしまうのは否めない。
「まぁ、いいわ。それより私は食事を持ってくるからこの子を見ててくれないかしら?」
「うん、いいy「僕がその子を見るよ!」」
突然朝日奈の言葉を遮って苗木が現れた。
「どうしてそんなに、食いついてくるの?」
「ほら、僕って妹がいるから子供の世話とか慣れてるし」
「知らないわよそんなの。それより、変なこと考えてないでしょうね?」
「考えてないよ! ちゃんと責任もって面倒見るから、霧切さんは食事の準備に行っていいよ!」
「霧切ちゃん! 私が監視しとくから大丈夫だよ!」
「……とりあえずお願いするわ…………このお兄さんとお姉さんと一緒に待っててくれる? 私は朝食を持ってくるから」
「うん、わかった」
霧切は幼い響子に言い聞かせると、厨房の方へ歩いて行った。
「ええと、響子ちゃん?」
「あなたは、だれ?」
「僕は、苗木誠だよ。誠お兄ちゃんって呼んでごらん」
「……まことお兄さま?」
――ブバッ
「ちょっと! 苗木大丈夫!? すごい鼻血出てるよ!?」
「だ、大丈夫……これは心の汗だよ」
「ごめん、言ってる意味が分からない」
「とりあえず響子ちゃん、席に着こうか」
幼い響子の手を引く苗木は満面の笑みを浮かべていた。それをハラハラしながら朝日奈が見守り、3人は席に着いた――が問題が発生した。
「これじゃ、テーブルの上のお料理が上手く食べられないわ」
幼い響子の小さな体には椅子の高さとテーブルの高さが全く合っていなかった。脚も宙にぶらぶらと浮いている。それに至極不満なようで、幼い響子はすこし頬を膨らませていた。
「じゃあ、こうしようか」
「えっ? ひゃぁっ!」
ひょいっと苗木は幼い響子を抱き上げて自分の膝の上に乗せた。そして、しっかりと腹部に腕を回し固定する。
「これなら高さもちょうど良いでしょ?」
「うん、ありがとう。でも、今度はまことお兄さまが料理を食べられなくなってしまうわ」
「僕は先に食べたから君は何も心配しなくて大丈夫だよ!」
相変わらずにこにこと笑顔を向ける苗木に、幼い響子も慣れてきたようだった。隣に居た朝日奈もいくらか安心できた。
そして、少しの間をおいて、霧切が厨房から朝食を持って戻って来た。そして、苗木が幼い響子を抱きかかえている姿を見て一瞬目を見開き、続けてぼそりと呟いた。
「……セクハラ」
「え? 今セクハラって言った!? 今霧切さんセクハラって言ったよね!? 違うからね? セクハラじゃないからね?」
「き、霧切ちゃん、響子ちゃん小さいから仕方ないよ」
「朝日奈さんが膝に座らせたらいいじゃない」
「ごめん、私食後のドーナツを食べないといけなくて」
霧切は二人の言い分を聞いて嘆息しつつも、とりあえずは納得して幼い響子の前に朝食を置いた。
メニューはいたって普通のベーコンとスクランブルエッグ、サラダ、パン……そして霧切自身にはコーヒーを、幼い響子にはオレンジジュースを用意してあった。
「あはは、さすがの霧切さんも小さい時からコーヒーだったわけじゃないんだね」
「そんなの、当たり前でしょう」
二人の霧切響子が食事を終えると、幼い響子が苗木の袖を引っ張っていた。どうやら最初は怯えていたにもかかわらず、だいぶ彼に懐いたらしい。
「ねぇ、まことお兄さま」
「――ッ!?!? ゲホッゲホッ……!」
幼い響子の発言に霧切は盛大にむせた。少々涙目になりながら苗木の方を見る霧切に苗木は驚きながら声をかけた。
「え、ちょっとどうしたの霧切さん! 大丈夫!」
「……コホン。”まことお兄さま”って、何?」
「まことお兄さまが、そう呼べって言ったの」
「苗木君、あなた……」
「ち、違うよ! 僕は呼びやすいように”誠お兄ちゃん”って呼んでとは言ったけど、予想に反して響子ちゃんが勝手に丁寧な呼び方をしてるだけだよ!」
「……響子ちゃんって、やっぱり慣れないわ」
「あ、こっちの響子ちゃんね」
「分かってるわよ。とりあえず事情は把握したわ……それよりその子が用があるみたいだけど」
「そうだったね。どうしたの響子ちゃん」
「ここには、本はあるの?」
「図書室があるから、本はたくさんあるよ。何か読みたいものでもあるの?」
「お父さまにね、本をよんでもらう約束をしていたの。でもだめになっちゃった……」
幼い響子は余程仁に本を呼んでもらえないのがショックだったらしく、再び目を潤ませ始めた。
霧切は仁が絡むとどうしても嫌な感情が湧きあがってしまい、幼い響子のその姿は少々耐えがたいものだった。
「ねぇ、あなた。霧切家の人間ならそういう風に人前で簡単に泣いては駄目よ。おじい様に教わったでしょ?」
「……うん。ごめんなさい」
落ち込んでいたところにさらに霧切叱咤が降りかかり、さらにしょんぼりとしてしまう幼い響子。そこにあわてて苗木が口をはさむ。
「まぁまぁ、霧切さん。今日くらいは状況も状況だしそんなに怒らなくても……」
「そんなことは関係ないわよ。何故そんなにその子をかばうの?」
「え、だって響子ちゃんまだ子供だし」
「その子供だった私が言うのだから、良いでしょ? 霧切家の教育方針については放っておいてくれる? あなたには関係ないわ」
「いやだからさ、今は普通の状況じゃないんだから響子ちゃんだって不安でしょ? 周りが支えてあげないでそんな怒ってばかりいても仕方ないでしょ?
……ね、響子ちゃん。僕がお父さんの代わりに本読んであげようか?」
「ほんとう? まことお兄さま」
「うん、もちろん本当だよ」
「ありがとう!」
霧切から逃げるように、顔を逸らして幼い響子を甘やかす苗木。そして、落ち込んでいた幼い響子も苗木の提案が嬉しかったらしく少し頬を染めながら喜んでいた。
「……そう、あなたもその子がお気に入りのようね。勝手にすればいいわ」
「き、霧切さん?」
霧切は、苗木の声を無視して自分の部屋へ向かって歩を進めていった。少々気まずい感情に襲われ、どうしようかと苗木は悩んでいたが、袖を引っ張られて意識を引き戻された。
「まことお兄さま?」
――ブバッ!
「まことお兄さま!? はなぢ!」
「はははは、大丈夫だよ! これは心の汗なんだ!」
「苗木……」
冷めたような目で朝日奈が苗木を見つめる。
小首を傾げながら上目づかいに尋ねる幼い響子は、苗木の心臓にとても悪いらしかった。
「よし、図書室へ行こうか」
連投規制か?
LV0 憧れの舞園さんが死んだ、どうでもいいよ…
LV1 ふーん…どっちかってーとバトルロワイヤルなのか?この探偵っぽい人のは男なのか?
LV2 江ノ島さんとか…ちょっといいかも…もう死んだけど
LV3 やっべセレスさんマジヤッベ
LV4 やべぇ大神さんとか不二咲さんとか朝日奈さんもすげぇ可愛い… 探偵だけ邪魔だ
LV5 マジこの探偵どうにかなんねぇのか?苗木君、後は分かるね?とか、マジウゼェ…
LV6 霧切さん結婚してくれ!
LV7 やべぇ霧切さん最高!霧切さんとカップ麺さえあれば生きていける!
LV8 霧切さんと結婚した!僕は霧切さんと結婚したぞ!!
LV9 やっぱロリ切さんは最高だわ
>>695 ずばりそうでした!
>>694の続き貼ります
自室に戻った霧切は未だ苛立ちを処理しきれず、それを発散させるためか部屋の中をうろうろ歩き回っていた。
「なんなのよ。あの人も、苗木君も……」
本当はとっくに分かっていた。その苛立ちの正体が何なのか。霧切は幼い自分に嫉妬していたのだ。
自分に嫉妬するなど、これほどバカバカしいことはないと思った。そして、とっくに自分から切り捨てていたつもりだったはずなのに、
まるで父親を取られて悔しがっているような気持ちに戸惑っていた。
「ほんと、バカみたい……図書室、行こうかしら……」
◇◆
正直気は向かないが、それでも向かった図書室の扉を開けると幼い響子が苗木の膝の上で眠っていた。苗木の手には恐らく推理小説と思しき本が握られている。
どうやら、読んでもらっている途中で寝てしまったようだった。
「苗木君」
「あ……霧切さん。響子ちゃん寝ちゃったよ」
「朝日奈さんは?」
「ああ、さっき眠くなったからって部屋に帰って行っちゃったよ」
「そう。苗木君……その、面倒掛けたわね。ごめんなさい」
「いや、別にいいよ。それより、響子ちゃんは霧切さんの部屋に連れて行った方がいいかな?」
苗木に言われて幼い響子の顔を見ると、すっかり熟睡してしまっているようだった。
早朝から訳の分からない状況に陥ってしまい不安や緊張から疲れが出てしまったのかもしれない。
「そうね、お願いするわ」
幼い響子を抱きかかえた苗木と霧切は肩を並べて廊下を歩きだす。端から見たら若い夫婦かつ、親子に見えるかもしれない。
「いつかこういう風になれたらな……」
「苗木君? 今、何か言った?」
「えっ? ううん、何も言ってないよ! それよりさ、響子ちゃんは過去の霧切さんなんでしょ?
どうやってこっちに来ちゃったのか分かれば過去に帰す方法も分かると思うんだけど、何も聞いてないんだよね?」
「そうね……気づいたらここに居たらしいけど。それにしても時間を超えるなんて、本当に訳が分からないわ」
幼い響子を戻す方法について考えながら、寄宿舎まで長い廊下を歩き、ようやく三人は霧切の部屋にたどり着いた。
霧切が鍵を開けるその横で苗木に抱きかかえられている幼い響子が「んー」と、時々声を上げて苗木の肩に顔をうずめる。
「僕は響子ちゃん置いたらすぐ出るから」
「あら、別に居ても良いのよ? むしろ一緒にこの子を帰す方法をもうちょっと考えてほしいわ」
「そう? じゃあ、そうするよ」
開けられた霧切の部屋に入ると、苗木は彼女のベッドに幼い響子を寝かせた。その上から掛布団とそっとかけてやり、優しく額を撫でて微笑む。
「……ねぇ、苗木君」
「何?」
「その子と私、どっちが好きかしら?」
「はい?」
突然の霧切からの質問に、誠が腑抜けた声を出してしまう。どっちも自分であるはずなのに、何を言っているんだこの人は――と苗木は思った。
「……ごめんなさい、忘れてちょうだい」
「どっちも好きだよ。だってどっちも霧切さんじゃないか」
「忘れてって言ったのに」
「霧切さん、どうして怒ってたのか不思議だったんだけどさ、今ようやく分かったよ。幼い自分自身に嫉妬するなんて、霧切さんも子供みたいなところがあるんだね」
「……悪かったわね」
ぷいっと顔を逸らして霧切が拗ねる。幼い響子に影響されて少し感情が表に出やすくなっているのかな――と考えながら苗木は霧切に近づいた。
「学園長――お父さんのことも考えてたでしょ?」
「え? ……どうして?」
「食堂でさ、”あなたもその子のことがお気に入りのようね”って言ってたから。僕のほかに響子ちゃんを可愛がった人がいたってことでしょ?」
「……バカみたいよね。いざ、目の前であの人がこの子に笑顔を向けて抱き上げたってだけで、こんなに苛立つなんて。散々あの人のことは何とも思ってないって言ってきた私がよ?」
「そんなことないと思うけどな……」
「……」
霧切が黙り込み、会話が途切れた時だった。
――ピンポーン
「誰かしら?」
霧切はドアを開けると、そこにはたった今話に出てきた父親の姿があった。つい、霧切は険しい顔になり、冷たい様子で尋ねた。
「……何の用?」
「もちろん、響子……あ、小さい響子のことだよ。入ってもいいか?」
「…………いいわよ」
霧切の許しにホッとしたのか仁は笑みを浮かべながら入った。
「ああ、苗木君もいたのか。いつも響子が世話になってるね」
「いえ、僕の方こそいつもお世話になってます」
「ねぇ、父親面をしにここに来たんじゃないでしょう? 第一父親だなんて微塵にも思ってないけど……早く本題に入ってちょうだい」
苗木と仁が気まずそうに顔を見合わせると、仁は苦笑いを浮かべながら話し出した。
「すまなかったな。では、本題に入るが急に昔のことを思い出してな」
「昔のこと?」
「ああ……響子、君が突然姿を消したことがあったんだよ。私と君と君の母親の三人で川の字になって寝てたことがあるんだ。
確か、何か理由があって三人で寝ることになったんだが……まぁ、それはいいか。とにかく、早朝目が覚めたら真ん中で寝てたはずの君の姿が消えていたんだ」
「……全く身に覚えがないのだけど」
右手を顎にやりながら霧切は記憶をたどってみるが、全く覚えがなかった。よく考えると、霧切は父親を慕っていたころの記憶などほとんど覚えていなかった。
それでは身に覚えが無くても仕方がないのかもしれないと、諦めて嘆息する。
「それで、いつどういう風に戻って来たかは覚えているの?」
「私もその頃は探偵として働いてたからな。能力をフルに活用して探しても見つからなかった。
だがな、翌朝私と君の母親の間に何事もなかったかのように眠っている君が居たんだよ」
「え?」
「いくら問いただしても、どこにどうやって行ったのかも、どうやっていつ帰ってきたのかも君自身分かっていないようだったよ」
一旦言葉を区切って、いまだぐっすり眠っている幼い響子を仁は見つめる。
そして次に苗木の顔を見ると、新たに何かを思い出したようで、ハッと目を見開いた。
「そうだ、その時響子がしきりに言っていたことを思い出した」
「何を言っていたの?」
「ええと確か……”なえぎまことお兄さまが、将来わたしのおむこになる人なの!”だったかな?」
「「は?」」
「その時は、いまいち何を言っているのか分からなかったが、そうか……この時すでに苗木君に響子は会っていたのか……うん、苗木君、君になら響子を任せられるよ」
「いや、学園長話が変わってきてますよ!?」
「そ、そうよ! それは今関係ないでしょ!? 何言ってるのあなたは!? ふざけないでちょうだい!」
「いや、関係あるかもしれない」
改めて真剣な顔つきになった仁が苗木と霧切を交互に見つめる。二人は、仁の言い出した話があまりに恥ずかしいことだったため、動揺して目を逸らした。
「あの時私たちの前から君が消えた時も現れた時も、寝ていた時だった。そして君の母親と私の間に寝ている時の話だ――つまり、君たちも三人で寝てみたまえ」
「あなたを頼ったのが最初から間違いだったようだわ……出て行ってちょうだい」
「お、おい! 私は真剣に……」
「良いから出て行って!」
霧切は仁を押し出すとバタンと大きな音を立ててドアを閉めた。ついでに鍵まで閉めた。
「あの、霧切さん?」
「……あの人の言ったことは忘れましょう。何の役にも立たなそうだわ」
「僕は婿入りする予定なんだね」
「――なっ! さっきあの人が言っていたことが事実だったとしてもそれは子供の戯言じゃない! そんなもの真に受けないでちょうだい」
「うーん、まぁ僕には妹も居るし……別に苗木家が代々続く一族ってわけでもないと思うし、僕は婿入りでも全然大丈夫!」
「今、そういう話はもういいから……とりあえずこの子をどうにかしないと……」
静かに幼い響子が眠る隣に座って霧切はその子の顔を見ながらため息をついた。それにならって苗木も霧切の隣に座る。
「ねぇ、一応試そうよ」
「何を?」
「三人で寝ればいいんでしょ?」
「あの人の言うことが本当だって言うの?」
「他に手がかりも方法もないから試すだけ試せばいいと思うけど。別に無理なことをするわけじゃないし」
「……あんまり気乗りしないけど、仕方ないわね」
「じゃあ、ずっとここに居るわけにもいかないし、一度僕は出てくるね。また夜になったら来るから」
「ええ、分かったわ」
「まことお兄さま、どこかに行っちゃうの?」
「うわぁっ!? 響子ちゃん起きてたの?」
後ろからかぼそい声が聞こえて、苗木と霧切は驚いて振り返った。たった今目が覚めたのだろう。しかしまだ眠たそうに目をこすっている。
「いま、おきたわ」
「そっか、ちょっと僕は出てくるから、響子ちゃんは霧切さんの言うことをちゃんと聞いてお利口にしてるんだよ?」
「いやよ!」
「え?」
「……私って、自分に嫌われているのかしら……自分にすら嫌われるって……」
予想外の幼い響子の反抗に苗木は驚き、少々ショックを受けたらしい霧切は俯いてプルプル震えていた。
「二人ともいっしょでなきゃ、いや!」
「よ、よかったね霧切さん! 嫌われてないよ!」
「べ、別にショックなんて受けてないからどうってことないわ」
「でもどうして二人そろってないといけないの?」
「……お父さまとお母さまみたいで安心するの」
苗木は「そっか」と呟いた後に霧切に向きなおった。霧切はかなり複雑そうな居心地の悪そうな表情で幼い響子を見ていた。
「霧切さん、ご両親のこと大好きな子だったんだね」
「そんなの……もう覚えていないわ……母のことは確かに好きだったと思うけど……」
「とりあえず、今日は響子ちゃんの言うこと聞いてあげようよ、ね? 霧切さん」
「……あなたが良いなら、別にいいけど」
「うん、なら決まりだね! 響子ちゃん、何かしたいことはある?」
「どこかでお散歩したいわ!」
「じゃあ、中庭でも散策しようか。ね、行こう? 霧切さん」
「ええ」
苗木は幼い響子の左手を、霧切は幼い自分の右手をとって三人で中庭の散歩をした。
幸い、学園を歩き回っている生徒は少なかったのでこの異様な光景を見られることはほぼ無かったが、どう見ても幸せそうな家族のようだった。
その後は、再び霧切の部屋に戻り、彼女による探偵の極意なる授業を苗木と幼い響子は受けさせられ、辺りが暗くなったころには、三人仲良く夕食を食べた。
風呂には、さすがに苗木が一緒に入るわけにはいかないから霧切が幼い響子と一緒に入り、とうとう就寝時間がやってきた。
「幼い自分の体を洗うなんて、ある意味貴重な体験だったわ」
「はははっ! そりゃ、そうだろうね」
「ふぁ……」
「響子ちゃん、眠いの?」
「うん」
「私たちのことは気にせず寝てもいいのよ?」
「いやよ! 三人でいっしょに寝るの!」
イヤイヤと首を振って一人で寝るのを嫌がる幼い響子につい苗木と霧切は笑いがこぼれてしまう。
「……学園長に言われなくても、一緒に寝る羽目になってたのかもね」
「そうね……それにしても、本当にこの子私なのかしら? 私こんなに人に甘えてた記憶なんて一切無いのだけど……
ねぇ、あなた家でもそんなに甘えてるの?」
「ううん。家ではきりぎり家のにんげんとして、しっかりしなきゃいけないから……
でも、今はいいの。まことお兄さまと、将来のわたしには甘えてもいい気がするの」
ふっと笑いながら「そう」と呟く霧切。それを見ていた苗木もそろそろ眠気に襲われていたが、眠りに就くことが少しだけためらわれる。
「女の子の部屋で女の子と一緒に寝るのも緊張するけどさ、それより寝てしまったらこの子が明日の朝には居ないのかもしれないんだよね?」
「そうね……でも私という存在は一人で充分だと思うのだけど……苗木君は私だけじゃ不満なのかしら?」
「そんなことはないけど……」
「考えても仕方ないわ。嫌でも明日は来るし、嫌でもこの子は帰さないと今の私がどうなるか分からないわ」
「そう、だよね。うん、ごめん」
「じゃあ、電気消すわよ?」
「うん。霧切さん、響子ちゃん……おやすみ」
「おやすみなさい、まことお兄さま……きょ、きょうこお姉さま」
「――っ! お、おやすみなさい」
三人は川の字に並んで、眠りに就いた。不思議と穏やかな気持ちで苗木と霧切は眠ることが出来た。
――翌朝
「……本当に居なくなっちゃったね」
「そうね」
「間に居た一人が居なくなるだけで、なんか緊張する」
「それは、あなたがけだものってことかしら?」
苗木と霧切はほぼ、同時に目を覚ました。お互い中心を向くように横になっていたが、間に居たはずの幼い響子の姿は無く、ダイレクトに二人で一緒に寝ている状態だった。
恥ずかしさを紛らわすために勢いよく苗木が起き上がる。
「んー! よく眠れた気がする。それにしても少し寂しいな……響子ちゃん」
「……ねぇ苗木君」
「何? 霧切さん」
「あの子は居なくなってしまったけど、正真正銘、霧切響子はここに居るわ」
「うん、そうだね」
「それで、お願いなのだけど……」
「何? 何でも言ってよ。僕にできることなら何でもするよ」
「……私のことも、響子って名前で呼んでくれないかしら」
「えっ?」
「嫌、なの?」
寂しそうに苗木を見つめる霧切の瞳が揺れる。同じベッドの上に居るせいで、苗木はおかしな衝動に駆られそうになるのを抑えこむ。
「嫌じゃないけど……急に恥ずかしいっていうか」
「……ま、まこ…………誠君、お願い」
「――っ!! わ、分かったよ……えっと、きょ、響子さん?」
「ふふっ……顔が真っ赤よ」
「きょ、響子さんだって!」
「ええ、そうね……ありがとう、誠君」
「僕からも一ついい?」
「何?」
「学園長と仲直り……というか許してあげてよ」
学園長という言葉を聞いて霧切は眉間にしわを寄せる。しかし、ふーっと息を吐くといつもの表情に戻し、苗木に理由を問いただした。
「響子ちゃんの様子からさ、確かに学園長は君を愛していたことは明らかでしょ? それでも君を置いていってしまったのにもきっと事情があるんだ……
たとえば君の探偵としての素質を見抜いて、君のことはお祖父さんに任せた方が才能を十分に伸ばせると考えた、とかさ……」
「…………それでも、私は……ちゃんと説明してほしかった。直接あの人の口から、どうして置いて行くの?って聞きたかった……
けれど、何も言わずにあの人は出て行ったのよ」
「そうだけど、別に嫌いっていうわけじゃないんでしょ?」
「…………」
「ねぇ、昨日響子ちゃんと三人で過ごしたでしょ? その間僕はずっと、いつか響子さんとあんな風に過ごしたいなって、家族になりたいなって考えてた」
「家族に……?」
「うん。君と家族になりたい。だから君のお父さんは僕のお義父さんになるから、仲良くやっていきたいんだよ」
微笑みながら霧切を諭すように話す苗木に、少しだけ霧切は昔好きだった父親の面影を思い出して重ね合わせた。そして、霧切はそれに応えようと決めて微笑んだ。
「まったく――あなたには適わないわ、誠君。もう悩むのも面倒だし、いいきっかけ……なのかもしれないわね――ありがとう」
どうしてなのか。何のためになのか。幼い響子が時を超えて本人たちの目の前に現れた理由は誰にも分からない。
しかし二人の関係――いや、三人の関係をを進めるのに幼い彼女はどうやら一役買ったようだった。
― END ―
後半からですが、仁さんの「お前」は「君」に修正しましたー
ゼロを参考に。
駄文失礼しました
おつだべ!
ロリ切さんも微スネ切さん可愛いかった
苗木君も多少変態なほうが安定感あるね
乙
前半の苗木は確実にこのスレの住人達が取り憑いているな
>>696 Lv5と6の間に何があったww
改めてダンロン2のエピローグ見てみたけど霧切さんの声、霧切さんって言うよりリアスっぽい
超高校級の日笠陽子って電波を受信したけどスレ違いだから書かない
「苗木君のクセに生意気ね」ってスクールモードでも聞けるんだな
あの台詞聞くたびにニヤニヤしてしまう
リアスって誰だよ
>>709 某オカルト研究部(あってるかわからないけど)の部長
>>709 ダンガンロンパと同時期のアニメのヒロイン
スクールモードで個人的に見たかった展開
苗木(武道場に来た(中略)僕ら以外に誰もいないようだけどどうしよう?)
→桜の花が綺麗だね
霧切さんの方が綺麗だよ
霧切さんは可愛いよね
正解は各自で想像してください
武道場は欲しかったな
どうでもいいがISで
霧切さん、七海ちゃんのダブルヒロイン出てるんだな
ダンロンではどっちも人気だが ISでは・・・
なんでやシャルちゃんかわええやろ
正直同じ声優とは思えないほど霧切さんと声違うよね
ロウきゅーぶでも共演してたな
ま た 花 澤 か
1でも照れてるときの声は凄く柔らかいべ
2の登場シーンとかの絵ってなんか違和感ない?
顔がつぶれてる感じがするというか、なんというか……
角度のせいかな?
2は細部が荒くなってたスチルが多かった気がするべ
>>713 植物園の選択肢で「花見しようか」選ぶと武道場に行く流れになるな
武道場に行った後の会話も見たかった
>>722 同意
スクールモード、もう少し会話を広げてくれてもいいのに……
ダンロン霧切2巻まだかな
イチャイチャしたい
セミナー受けてる途中だったというのに、やけにリアルな霧切さんが
はっきりと頭の中に浮かんで押し倒してたわ。
反応もやけにリアルでしっかり日笠ボイス……
俺の霧切脳がとうとう進化したか
自信満々霧切さん
弱いところを見たい
霧切さんのノドチンコが見たい
霧切さんのアキレス腱が見たい
霧切さんの膝の裏が見たい
苗木君
ここまで言えば
分かるわね?
きりぎり
本当にどうでもいいことだが、五・七・五になっていることに今気付いた
苗木くん
のーくーせーに
生意気よ
なえぎくんのく−せに−
な−まい−きよ−
霧切さん的には苗木っちのどこらへんがなまいきなんだろう
性転換モノって需要あるの?
腐女子が描きそうなイメージだけど……
>>723 だな
まあ充分霧切さんを堪能はさせてもらったが
とっておきの一杯を淹れてくれる霧切さんや手料理を振る舞ってくれる霧切さんも見たかったべ
>>735 「苗木君のくせに生意気ね」
訳:
苗木君、変に気を回すなんてあなたらしくないわね。
私はバカ正直なままの苗木君が一番良いと思ってるわ。
こう見えて私も苗木君の事、結構頼りにしてるのよ?
だから苗木君も、もし困った事があるのならもっと私を頼りにしてほしいの。
だって私たちは……仲間……そう、仲間なんだから。ね?
でもやっぱり私としては苗木君ともっと(以下略
クーデレでツンデレでヤンデレなのか、霧切さん
面倒臭い女ですよ大好き
シャフ度が似合いそう
霧切さんは強い子だけど支えてあげたくなる
なんて言ったら生意気よ、と言われるんだろうが
泣きたい時は泣いても良いんだよ的な王道な台詞をいつか言ってもらわないと
おねーさまや父親で相当溜まってると思うんだよ
1と2の間で何回か泣いたんだろうね
死別した父親やクラスメイトに関する記憶が戻ったらかなりキツいだろうしな
子供ができても探偵になるための教育は自分からはしなさそう父親のことが
あるから子供が自発的になりたいと言えば別だが
探偵の生き方に縛られる必要は無いって、誰かさんも言ったしね
苗木はそこんとこちゃんとフォローしたんだろうな!?
>>747 親父さんの言葉だっけ
記憶の戻った今、霧切さんはこの言葉をどう受け止めているのだろう
探偵である=生きてることだから、探偵は続けてるか世界が復興したら再開するんじゃないかな?
生き方に拘るかどうかは別として
しかし霧切さんもハードで不運な人生送ってるよな
苗木の「超高校級の不運」なんて比じゃないくらい
苗木君を助手にしよう
3は苗木君と霧切さんたち出るのかな?
無印の主人公、じゃなくてダンガンロンパシリーズの主人公って認識してるんだけど
4章のマジギレ切さんマジで怖い、スクールモード解禁の最大の壁だわ…
自分だって秘密あるんだからそんなにキレないで下さい俺そんな属性無いからへし折られてしまいます;;
霧切さんとのキャッキャウフフが遥か遠くに感じるよ…
>>752 3やるなら2までとは地続きの設定だと辛いと思うんだよなぁ
霧切さん達のその後も何らかの形で語ってもらいたいとは思うけど
>>754 やっぱりそう思うか
3って1・2にはストーリつなげづらそうだよね
霧切さんの表情崩したい
本人たちが出てこなくても子孫なんかが代わりに重要キャラとして登場すれば
いいよあるいは先祖とか
胸に顔コツンとか似合いそう
あるいはダンガンロンパ1.5的な小説とか
760 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/25(金) 17:31:24.90 ID:vXKOrXsd
霧切さん絶対絶望少女に出てくることを願うぜ
3は2のオーガみたいに存在だけちらつかせることはありえるけど難しいだろうなぁ
761 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/25(金) 17:41:33.54 ID:gKl+bIJn
>> 758
それに賛成だ
胸に顔コツンして何も言わずちょっとしたらすぐ離れて先行っちゃうとか
霧切さんが出る出ないよりも先にモノクマが世代交代しそうな雰囲気さえあるから
希望ヶ峰学園に代わるものがないと超高校級のキャラも作れないしなぁ
3の舞台は再建された新希望ヶ峰学園
しかしそこには学生時代の霧切さんにそっくりな人物が!その正体は?
1.実は娘 2.実はアンドロイド 3.実はコスプレ 4.他人の空似(絶望的だね!)
>>764 4は2の狛枝で使われたようなものだから、1か2を匂わせてミスリードさせたうえで
5.何らかの理由で霧切さんの失われた記憶を植え付けられた、他人の女の子
という線を押してみたり。
で、黒幕を疑われる怪しいキャラが実は霧切さんの変装で、自分の記憶とその女の子の本当の記憶を探ってて、
最終ステージで登場、とかw
霧切さんに子供の作り方教えて!って言ったらどうなるかなぁ?
実技指導してくれるかなぁ?
霧切さんは知識だけは豊富そうだから丁寧に教えてくれるよ
詳しいけど実際に経験したことはあるの?って聞いたら拗ねて口聞いてくれなくなるな
霧切さんなら俺の横で靴下に手を入れてるよ
お前らはどのシーンの霧切さんが好き?
>>763 何のやつですか?
>>771 原作だったら全部
アニメだったら地下に落ちてきて、起き上がる瞬間と「万能キー(ニコリ)」の所
773 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/25(金) 23:10:58.15 ID:HAt8r2Nb
>>763 苗木クンと霧切さん…良い笑顔じゃん!!
775 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/25(金) 23:27:14.50 ID:HAt8r2Nb
だ、ダンガンロンパってどんなゲームだっけ?ってなる絵柄ばかりなのが逆に凄い。
>>774 ノンアルコールワインをもってる霧切さんええのう
これは昔 小松崎氏が描いた4コママンガ表紙のアレを元にしてるのかな?
そろそろ霧切家の人間が増えそう
従姉妹とか
母親違いの妹か?
また学園長の株がさがるべ!
でも霧切さんの義理妹なら見てみたいベ
霧切さんって苗木君を起こす前にキスとかしてその後まったく知らんぷりで普通に起こしたりしそう
>>780 腹違いの妹なら似てないんじゃないか?
学園長と霧切さんって瞳の色くらいしか似てないし
>>774 フード被った苗木君がなかなかかっこいい
あの頭にシャトルが直撃してる霧切さんはもう単行本になってるの?
前スレ最後のナエギリ生誕祭の後編をずっと待ち続けている俺ガイル
>>785 同じく
自分は投稿し過ぎ感があるのでSS控えようかな。
他の方のSSを全裸で待機しとこうかな。
職人さんにもリアル都合とかあるんだし、
急かさず待たせていただこうぜ
全裸で
788 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/26(土) 14:00:19.92 ID:jMHCklUy
探偵の家系じゃなかったら普通の高校生になってたのかな
霧切ママがどんな人だったのかちょっと気になる
霧切さんの銀髪はママ譲りなんだろうか
なんとなく銀髪は突然変異のイメージがある
>>790 他のキャラはわりと普通の髪色だしね
江ノ島とか左右田は染めてるものと考えている
お母様が銀髪の外人さんだったのかもしれん
やっぱり続きものなのでSS投下します
前半ナエギリ要素が薄くなってますがご了承ください
連投規制により中途半端な所で切りますが、こちらもご了承ください
>>585の続きです
5章 探偵 苗木誠
新たな生活も落ち着き、響子はしばらく休業していた探偵の仕事を再開した。かつてのように誠と二人でこなしていたが、昔と違うのは誠が助手ではなく響子と同じ探偵であること。
しかも、響子が思っている以上に誠は腕の良い探偵となっていた。
初めて一緒に仕事をした日、依頼の内容は密室殺人事件の解決だった。響子は時々調べて分かったことを口に出すものの、それをどういう風に考えて事件を解決に導くかは、
ほとんど誠に任せていた。探偵になって、活動もしていたという誠の実力を見てみたかったのだ。
事件の被害者は男性で、彼は鍵のかかった部屋のベッドの上で胸をナイフで一突きにされて絶命していた。第一発見者は被害者の友人である男性と女性の二人だった。
被害者には家族がなく、二人が一番親しい間柄だったらしい。
彼らが被害者の部屋を訪れた際には鍵はかかっており、事前に連絡を取っていたというのに全く反応が無かった為、二人は不審に思った。そして、アパートの管理人に頼んで鍵を開けてもらい、
二人が部屋に入ったところで被害者の死体は発見された。これが事件の大まかな詳細である。警察は密室の謎が分からずお手上げ状態に陥ってしまった。
そんな警察に我慢ならず、被害者の友人である女性が響子に依頼を出したのだ。しかし、その依頼は響子が今まで受けてきたものと同様に、さほど難しいものではなかった。
◇◆
誠と響子は殺人現場であるアパートの一室に来ていた。玄関を入ってすぐ廊下が左側と前方の二方向に伸びている。左側へ行けば書斎があり、前方を行けばリビングがあった。
その奥に被害者が殺害されていたベッドのある寝室は位置していた。アパートと言っても全体的にかなり広めで、新築のような印象を受ける。
事件発生からしばらく経っているため、死体こそは無いが現場はその時の状態をほとんど保存されたままだった。また、現場を調べると同時に話を聞くため、
被害者の友人である男性と女性を響子は呼び出していた。
「彼は日本料理が好きでしたか?」
誠はキッチンを調べている際に、珍しいものを見つけて女性に尋ねた。
女性からすれば、その質問は前触れもなく事件にも関係のなさそうな内容だったので彼女は不思議そうな顔を誠に向けつつも丁寧に答えてくれた。
「いいえ、彼はあまり外国のことには詳しくないし……アジア圏は特に、違いもあまりわかってなかったくらいですから、
日本料理が特別好きっていうこともなかったはずです。それが事件に何か関係が?」
「はい。ちょっと気になることがあって。ちなみに彼はアルコールには強かったですか?」
「まったく強くなかったです。お菓子とかに少しでもアルコールが入っているものを食べただけで、必ず寝てしまう程ですよ……
だからアルコールが入ってるか知らずに飲むか食べるか以外には彼がお酒を口にすることは、ほとんどありませんでした」
「そうですか。じゃあ、これについて何か知っていることは?」
誠がキッチンで見つけた珍しいものとは、奈良漬だった。
特別、日本料理が好きなわけでもなく、お酒もかなり弱いという人間の家にあるというのは少々不自然なものだ。
「何ですか? その茶色いものは……ドライフルーツ?」
「いえ、これは日本の昔ながらの食べ物なんです。極微量ですが、アルコール成分も含まれてて」
「そうなんですか。変ですね……彼がそういうものをわざわざ買って食べるとは全く考えられないんですけど……
あ、でもあの人は日本料理が好きですよ。だから彼なら何かわかるかもしれません」
彼女はもう一人の友人である男性の方に目をやった。誠が促されてそちらに視線を移すと、彼はぼんやりと事件のあった寝室の方を見ているようだった。
彼の様子を見て誠は考える――しばらく時間をおいてから彼には話を聞こうかな。女性から一通り話を聞いた誠は礼を言うと、頭を切り替えた。
そして事前に聞いていた死体に関する話を思い出す。その話によると、死体発見時被害者の身体はまだ温かかったらしい。
被害者の死体発見現場のベッドがある寝室へ誠が移動すると、そこには先に響子が居た。
「誠君、死亡推定時刻をずらすための偽装工作でもない限り、時間の経った死体が温かいということはないわ。
聞いた話だとそんなことが出来るような道具とかはなかったらしいし、このベッドを見てもそういうことが出来るとは思えない」
「ちょうど僕もそれについて考えてたところだよ。犯人はそこまで考えが回らなかったのかもね。それと、ベッドの上で一突きにされていたらしいけど、
争った形跡が一切ないってことは被害者はその時、寝ていたんだと考えられるよね。奈良漬が関係していることは間違いないかも」
「奈良漬?」
予想の範疇に無い物の名前に響子は顔を上げた。それは、ここロンドンで目にすることはおろか、その単語を耳にすることさえ無いに等しいものだった。
響子が眉を顰めるのも無理はない。誠は奈良漬を見つけたことと女性から聞いた話について淡々と響子に説明する。
「さっき、キッチンで見つけたんだよ。被害者は別に日本料理とか好きってわけでもない上に少しでもアルコールを摂取すれば必ず寝ちゃうらしいから、
ほぼアルコールは口にしなかったらしいよ。だから、知らずに食べた後に寝ちゃって、その間に刺されてしまったんだろうね」
「奈良漬だなんて、意外なものが利用されたのね」
依頼を受けた時点で、争ったり抵抗したりしたと思われる形跡は無いという事前の情報を二人は聞いていた。
その情報を得た時点で誠は、被害者の自由が何らかの形で奪われていた可能性を視野に入れていた。そして実際に現場でベッドの様子と不自然な奈良漬の存在を目にし、
友人の女性の証言を聞いてそれらが確実に事件に関わっていると誠は気づいた。
引き続き、ベッドの状態以外に何か不審な点が無いか調べていく。ベッドの横にある木製の引き出しがついたチェストが誠の目に入った。一見事件には関係なさそうだ。
しかし、それでも一応見ておくのが探偵としてのセオリーだ。そして、それが実は事件に関係があったという証拠らしきものを発見することが出来た。
「響子さん、これ見て。この傷、結構新しいと思うんだけど……それこそ事件が起きた頃に付いたような傷に見えるんだけど。どう思う?」
一番左上の引き出しの中を開けたそこには、落ち着きのある赤茶色の塗装に白く細い直線が目立っていた。それだけじゃない。
他の引き出しには物が入っているのに、その引出しだけは空だった。代わりに見つけたのがその傷である。
「……そうね。あなたの言うとおり、最近できた傷だと思うわ。明らかに不自然ね……それと誠君、あなたの足元」
「え?」
「よく見て。薄くて見づらいけど、足跡があるわよ」
響子に言われて、誠はベッドとチェストの間部分を凝視してみる。確かにうっすらと、足跡があった。もちろん誠や響子のものではない。
「よく見つけられたね、こんなに薄いのに。さすが、響子さんだ。でも、犯人の足跡だとは断定できないよ」
「それはどうかしら。この部屋をよく見てみなさい」
誠は素直に響子の言葉に従う。
寝室のドアから入ってまず、左側にはクローゼットがある。ベッドはその正面、ドアから見ると右奥の方にある。そのベッドの右隣に先程の傷を見つけたチェストがあった。
この部屋の家具と言えばこれだけだ。そして、誠はベッドの下も覗き込んだ。
「あ……そういうことか」
「気づいたかしら?」
「うん。大きな見落としをしてたよ。普通、ベッドに近づくとしたらドアから近い方だよね。その証拠にベッドの左側の方に被害者の靴とスリッパが置いてある。
だから、チェストが置いてある方に足跡が付くことはあまり考えられない。警察がむやみに足跡を付けるなんてこともあり得ないし……
つまりチェスト側のこの足跡を付けた人物といえば犯人である可能性が高いね」
少しだけ助言をしたと言っても、見るべきものを見て考えられるべき可能性をしっかりと導き出した誠に響子は満足した。
嬉しいのか、誇らしいのかほんの少しだけ彼女の口角が上がった。
「犯人はチェスト側に来なければならなかった……そしてこの傷は明らかに刃物で引っ掻いたような傷だ……」
誠は響子の視線に気づかないまま、考えを整理し始めた。その横顔はもう立派な探偵のものだと響子は感じた。
「探偵になったんだ」なんて、彼に聞かされた時は驚いたがこの姿を実際に目にすることで響子は本当に探偵としての苗木誠を受け入れることが出来た気がしていた。
そんなことを考えていると、誠は考えがまとまったようで、パッと顔を上げて響子に歩み寄る。
「まだ、不確定要素はあるけど僕の推理を聞いてくれる?」
「ええ、ぜひ聴かせてちょうだい」
「じゃあ話すね。えっと、まず犯人は、アルコールが弱い被害者を眠らせる為に奈良漬を食べさせて、被害者が気づかないうちにナイフをこのチェストに隠したんだと思う。
そして、何らかの口実で被害者自身にこの部屋の鍵を閉めさせベッドへ行くように仕向けたんだ。どうやって仕向けたのかはまだ分からないけどね……
それで被害者が眠ってる間に今度は他の人と訪れて、その時に思惑通りベッドで寝ていた被害者をチェストに隠していたナイフで刺殺。
恐らくナイフを取り出したときに、引き出しに刃が当たって傷が出来たんじゃないかな。あと、この足跡もその時に付けてしまったもの。
大きさから男性の可能性が高いし、考えらえる犯人っていったら彼しか居ないと思うんだけど、どうかな?」
「その推理で良いと思うわ。私も同じように考えていたから」
誠と響子が意見を確かめ合いながら寝室を出ると、誠はふと視線を感じてその方向を見た。被害者の友人である男性が不安そうに見つめていたのだ。
彼は最初、誠と響子のことを凄腕の探偵、と女性から聞かされていたらしく、頭に描いていたイメージに反して誠達があまりに若かったことに驚いていた。
その二人が日本語で話していたのが聞こえて、何を話しているのか気になったのだろう。
「顔色が悪いようだけど大丈夫ですか?」
「あ、ああ……友人を殺されたショックで最近寝付けなくてね。そうだ。悪いんだけど僕はこれから用事があってさ、もう行かなきゃならないんだ。
だから死体発見時とか他の詳しいこととかは、あとは彼女に聞いてくれるかい?」
「えーと……わかりました。じゃあ最後に一つだけ聞かせてください」
「何かな?」
「日本の漬物がここのキッチンにあったんですが、それについて何か知りませんか?」
「え、奈良漬が何か関係あるのかい? 何故聞くのかわからないけど、どうせあいつが生前に興味本位で買ったものだと思うよ。珍しいものはすぐに買いたがる節があったからね」
「わかりました。変なこと聞いてすみません」
「いや良いんだよ。早くあいつを殺したやつを見つけてくれればそれで……あの日は彼女の誕生日だったから、二人でサプライズを考えてたのに……ちくしょうっ……!」
「そうだったんですね……かならずご期待に応えますよ」
相変わらず顔色の悪いままで足早に部屋を出て行った男性の背中を見つめ、誠は呆れたような顔をしていた。
「ねぇ、響子さん」
「何?」
「彼の足見た?」
「当然よ」
「それとさ、僕は漬物としか言ってないのに彼、”奈良漬”って言ってた……ずいぶん迂闊な人だね。それにしてもここの警察ってちょっと頼りないんじゃない?」
「否定はしないわ……それで、どうするの?」
「あとは一応ここの管理人さんと彼女に確認しようと思うよ」
誠は管理人から事件発生以前に男性の姿を見たかどうかを確認し、女性には死体発見は男性と同時に発見したのかを確認した。
いずれも、すでに予想していた通りの回答を得ることができ、最後に誠は依頼主である女性に一言かけた。
「あなたの気持ちを考えると、この事件の真相はつらいと思うのですが……それでも良いですか?」
「……わかりました。構いません。私よりも、殺されてしまった彼の気持ちの方が大事ですから」
その後、あっさりと事件は解決へと至り犯人も警察に引き渡されることになった。
依頼主である女性は、短期間に二度の悲しみに襲われることとなったが、それを必死に隠しながら誠と響子に感謝の気持ちを伝えた。
探偵である二人に、悲しみを帯びた笑顔を向けたところで隠せるわけがないと承知していながらも「ありがとう」と笑って伝えたのだ。
◇◆
「本当に探偵として活動してたのね」
「急にどうしたの?」
事件解決後、事務所へ戻って報告書や資料整理など仕事に関することを一通り終えた響子がソファへ座って独り言のように呟いた。
当然誠は不思議そうにしながら、響子の言葉に耳を傾ける。
「あなたが”探偵になった”なんて、言葉だけじゃ信じられなかったのよ。正直似合わないし」
「ははっ……似合わないのは僕も自覚してるよ」
「誠君は教員とか保育士とかしながら子供にもみくちゃにされて、へらへら笑っている方が似合うわ」
「へらへらって……僕そんなイメージなの?」
少し誠が複雑に思いながら尋ねると、響子はクスリと笑って「冗談よ」と目を細める。その横に誠も腰を下ろして一息つく。
――子供、ね。保育士とかが似合うかどうかはともかく、確かに僕に探偵は似合ってないよな。
響子は隣に座った誠の方に少し体を向けて話しだした。
「今回の事件は……というか依頼のほとんどはそこまで難しいものは滅多に来ないけど、あなたの探偵としての実力を見るには充分だったと思う。
誠君は本当に探偵になったんだって実感できたと言えるくらいには、認めてあげるわ」
「まぁ、君には足元にも及ばないけどね。せいぜい探偵の中でもの平均的な能力って所かな」
いつでも自分を凡人扱いしたがるのは誠の悪い癖だと響子は思った。すでに十神の協力で様々な技能を身に付けた誠は凡人の域をとっくに超えているが、今度は『探偵』としては凡人だと言う。
そんな誠に響子は少し呆れてしまう。そして、今回の誠の働きぶりを思い返しながら反論した。
「そんなことはないと思うけど。捜査の手際も良かったし、小さな手がかりを事件と結びつけられるのも早い方だと思うわよ。誠君はもっと自信を持ちなさい」
「うーん、そうかな? まぁ、そもそも響子さん以外の探偵を知らないから平均自体分からないけどね」
「私が言うのだから信じなさい。それと、相手を気遣いながら聞き込みをする所とかは誠君らしくて良いと思うわ。私は、あまりそういうのは気にしたことがないから……
だから、あなたと私は二人でちょうどいいのかもしれないわね」
「響子さんは、気にしないというわけでもないでしょ。ただ真相の解明の方を優先させるだけで」
「……相手を傷つけるようなことも平気で言うのだから気にしないのと一緒よ」
溜息交じりに言う響子は、まるで誠のようになりたいと言っているようだった。変わらないようでいて、考え方や感じ方など響子もいろいろ変わったということだろう。
実際、昔の彼女と比べればかなり柔らかい性格になったといえるかもしれない。それには少なからず、誠が影響していることは間違いなかった。
「僕が居るから、大丈夫。二人なら大丈夫だよ」
「そうね。頼りにしているわ」
ニコリと笑う誠につられて響子も目を伏せて微笑む。すると無意識だろうか、響子がソファに置いていた左手に誠が右手を乗せて軽く握る。
少しだけ驚きつつ誠を見ると、相変わらず無邪気に笑っている。
「ところでさ、僕って子供に囲まれてるのが似合うの?」
「そうね……なんとなくだけど、問題児とかを手懐けるのが得意そうだわ。実際学園に居た頃はあの人たちと上手く付き合っていたし」
自分でそう言いながら響子の思考が少し過去へ飛ぶ。最悪な学園生活だったが、それさえなければ良い仲間たちだった。
そして個性の強すぎる彼ら全員が、苗木誠という人間に信頼を寄せていたのだから、彼女の言うことはあながち間違いではないだろう。
「ははっ。それだと、みんなが問題児みたいな言い方だね」
「それは違うわ。あなたが素敵な人ってことよ」
その時誠は響子の言葉よりも、目の前の光景に息を呑んだ。一瞬、響子の手を握っていた右手に力が入る。
ふわり、という表現がぴったりなくらいの響子の柔らかい笑顔がそうさせたのだ。毎日一緒に居ても、不意に向けられる彼女の笑顔には誠の耐性が一向に付く気配はなく、
それを目にする度に彼はドキリとさせられていた。
「……響子さんって心臓に悪いや」
「どういうこと?」
響子は誠の言う意味がわからず首を傾げた。それを見て誠は口元がニヤつきそうになるのを抑えながら彼女に迫るように身体を近づける。
そして、かつて響子から忠告された時の状況を再現するかのように、彼女の耳元に口を寄せた。
「響子さんが綺麗で可愛いってことだよ……僕、響子さん似の子供になら囲まれてもみくちゃにされてもいいんだけど……ねぇ響子さん、ここまで言えばわかるでしょ?」
「――っ! な、何を急に変なことを言ってるのよ……まだ籍も入れてないのに」
「あっ、忘れてた。じゃあ、今日の僕の初仕事を労って一つお願い聞いてよ」
「……今度は何かしら」
「子供とか関係なくさ、いつだって僕は響子さんが欲しいんだけど……ダメ?」
「…………」
「響子さん?」
「…………」
「うわ! 響子さん凄く顔真っ赤だよ、大丈夫?」
響子は誰のせいでこんなことになっているのかと、誠を睨みつけるが、耳まで真っ赤にして震えながらの状態では何の効果もなかった。
つい先日、誠のことを「ヘタレのまま」だと響子が思ったのは間違いだったようだ。
「…………バカ」
やっと口を開いた響子が彼から目を逸らしながら放った言葉は、いつも強気な彼女には珍しく、消え入りそうなくらい小さな文句だったが誠にはそれで充分だった。
――離したくない、離れたくない……愛しいこの人とずっと一緒に居られますように
二人の願いに危機が訪れることなど、まだ誰も知らなかった。
※5章終わり※
切り良く投下できて良かった……!
細かい設定とか矛盾点とか見つけてもスルーでお願いします。
このssって顔だけはやめてのやつ?
乙乙
完結まで頑張ってくれ
802 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/26(土) 20:19:06.94 ID:3Sa+8Fhe
乙〜♪
乙乙
ダンロン霧切2もあと一ヶ月くらいか
このスレはまだまだ戦えるな
今朝日奈さんを攻略?したけれど、霧切さんや舞園さんの時よりストレートに恋愛ぽい……
だったら霧切さんも……って思うけど霧切さんの性格的に、やっぱりあれが精一杯なのかもね
あの奥ゆかしさがいいんじゃないか
スクールモードの霧切さんは、クールに振る舞いつつも不器用ながら距離を詰めたいと思ってるのが感じられて、
そこが堪らん
つまりあれでオッケー
霧切たそ「顔はやめて〜」
「…だから、苗木君の話を聞かせて。」
「それなら…いくらでも付き合ってあげるわ。いいでしょう?」
↑
可愛い
苗木君に下心が無さすぎで女性の方から好意を伝えてくれないと
まったく進展しないということがスクールモードでわかりました
「私だって可愛いものは好きよ」
「覚えておいてね、苗木君」
↑
可愛い
というか霧切さんは正面から告白するよりも搦め手使ってきそうだな。いつ
のまにか結婚届にサインと判子されてて、「今頃気づいたのもう遅いわよ」
みたいな
>>811 同じ購買部で、苗木君も香水に興味あるの?覚えておくわ
みたいなやり取りもあったな
これはプレゼント交換の流れだな!
>>810 でも俺的にはむしろ少年少女の純粋な恋愛って感じがグッとくる
霧切さんが大人びてるぶんよけい可愛くみえる
記憶を失う前も霧切さんは苗木くんに惹かれてたりしたんですかね
IFだけれども、江ノ島さんの「恋のライバル」っていう表現は
少なからず、記憶があるときの霧切さんは苗木君に興味は持っていた、
ということだとは考えられないだろうか?
例の集合写真で苗木の隣にくっ付いてるのを見るに
まあ接点が無かったと考えるのは難しかろう
2次創作ssの霧切さんの不遇さは異常
>>818 この笑顔は何度見てもたまらんものがあるな…
ちくしょうぴったり寄り添いやがって
苗木君の体操服の似合い具合は異常w
>>819 ヤンデレになったりぶっ壊れたり死んだことにされたり苗木君に振り向いてもらえなかったりな...
ほとんどのSSでろくな目にあってない
やっぱり,霧切さん好きな人がSS読むならこのスレが一番だよ
霧切さんってどんなキャラかって聞かれたら何て説明する?
まあ仕方がない本編ではすでに勝ち組だからゴールする一歩手前だし
舞園さんの影さえ吹っ切ってくれれば終了じゃない
>>822 寧ろそんなSS殆ど読んだ事ないから気になる
そういう作品もより良いSSを書くための礎になるかもしれない
イチャラブしかダメって言われたらシリアスの立場がない
変態な霧切さんのSSを求む
イチャラブな霧切さんSSはどれも似たようなものだが、
変態な霧切さんSSはいずれもそれぞれに変態なのである
>>825 「ダンガンロンパ SS」で調べるとたくさん出てくるよ
俺も大半のSSは何らかの礎になってくれると思ってるし,イチャラブ以外もいいとは思ってるよ
ただ,ここ以外のとこには霧切さんを潰しにかかってるようなのがあったりすんのよ,「霧切さんを愛でる」の真逆を行ってるようなSSが
だから,このスレのSSを読むのが,霧切さんを愛でたい人には1番いいんじゃないかな,ってこと
霧切さんのおしおきムービー見直してて気付いたんだけど
後ろ姿の時のリボンが右にある……
自分は割と真面目なSSしか書けない……
書くとしたら「ロリ切さんマジ天使」みたいに、苗木君がおかしくなるくらいで
書いてみたい気持ちはあるのだが
霧切さんは完璧超人過ぎてとっつきづらいから、もっと隙があった方が良かったね
例えば、実は「片づけられない女」で、部屋は散らかしっぱなしのゴミの山で、
仕事の無い日はパジャマのまま、一日中ゴロゴロしている
料理は一切しないで、カップめんとコンビニ弁当を食い散らかしながらネットとゲーム三昧
という設定だったら、もっと親近感が湧いたのに
>>829 黒板の名前も「切霧」になってるしな
まああれは白昼夢みたいなもんってことだろう
VIPのSSだと霧切さん大抵変態ストーカーだからな…w
>>831 ちょっとダメな人なら愛着沸くけど
そこまでいくと…なぁ?
インド人扱いされてたりな
…ターバンしたオリエント切さんは見てみたい
VIPなんて行かないからまったく話について行けない
やっぱりありのままの霧切さんが一番ですわ
>>838 あーこれ苗木君が吸われちゃいますね間違いない
>>838 手袋咥えてますけどもしかして外しちゃうんですか
>>837 ダンロンのSS探してるとVIPの多くない?
このスレのナエギリSSのクオリティの高さは異常
このスレの霧切さんも…いや何でもない
たまには苗木っちの以外のキャラと絡むSSも見てみたい
苗霧セレの三角関係もわりと好き
>>838 この霧切さん、首の後ろで髪束ねてるのか
新しい髪形だな
「SS あなたの隣で」
>>163-168 >>287-289 >>304 >>306-308 >>583-585 >>793-799 の続きです。
6章 探偵と幸せ
誠がロンドンへ――響子のもとへ来て二人で暮らし、一緒に仕事をするようになってから半年ほどが経った。
普段、食事は誠が栄養バランスを考えた料理を用意し、毎回響子はその料理に舌鼓を打っていた。彼の料理は、盛り付けや味が共にクオリティが高くレパートリーもやけに多かった。
6年間のうちに料理も勉強したのかと響子が尋ねた時は、役に立ちそうなことは何でも覚えた――とだけ誠は答えた。
「今日は、牛肉の赤ワイン煮とかぼちゃスープとサラダ、それにフランスパンにしようと思ってるんだけど、どう?」
誠はいつも響子に事前にメニューを教える。人にはその日の気分というものがあるから、誠なりの気遣いだった。その気遣いに響子は感謝しつつ、
「楽しみにしているわ」と返すのがすっかり日常になっていた。
「誠君、作りながらで良いんだけど、さっき受けた依頼の内容を聞いてくれる?」
「確か、今世間で話題にもなってる"現代版切り裂きジャック"についての依頼でしょ? 今のところ犯人の顔や名前どころか性別も判明してなくて、昔あった連続猟奇殺人事件の犯人とされる、
ジャック・ザ・リッパーの手口に犯行が酷似してることから"現代版切り裂きジャック"って言われてるやつ。彼からこの依頼が来るだろうとは思ってたけど、予想よりも結構早かったね」
「……まだ、何も伝えてなかったのによく分かったわね。どうしてわかったの?」
「実は読唇術も覚えてるんだ。分かるのは日本語と英語だけだけど」
誠は当たり前のことのように、茹でたかぼちゃをミキサーにかけながらサラリと言ってのけた。響子はこの半年の間に、誠が身に付けたというあらゆる技術に何度も驚かされており、
度が過ぎている――とまでは言わないが「何を目指しているのかしら」と言いたくなることが頻繁にあった。
依頼は誠が言った通り"現代版切り裂きジャック"の事件についてだった。誠が言った依頼主の『彼』とは、この事件を担当する警部だ。時々響子は警部の依頼を秘密裏に受けていた。
立場上彼は堂々と探偵に依頼などできない為、オフの日に知り合いと会うという体でカフェなどに待ち合わせることが多かった。新たな情報を提供してもらう時なども同様に直接会って話をするのが習慣となっている。
連絡先はもちろん知っているが、第三者に情報が漏れることを防止する目的もあった。
今回もカフェで響子は警部から依頼を受けたが、誠には離れた席で見張りを頼んでいた為、まだ依頼内容を知らないはずだった。
すぐに誠に依頼内容を話さなかったのは、やはり第三者を警戒してのことであり、それは誠も承知している。
しかし、今度は読唇術ときた。響子は、距離的に難しくないだろうかと思ったが、もう彼の能力に関して突っ込まないことにしている。
しかし、それでも少し疑問に思った点を誠に聞いてみた。
「前私が、ファーストフード店であなたの知らない男性に話しかけられた時には話してる内容なんて知らなかったじゃない」
「それは……嫉妬してて、全然冷静じゃなかったから……」
「半年の間そんなことが出来るなんて聞いたことなかったわ」
「特別使う機会が無かったし、警部の顔が見える位置に座ったのって今日が初めてだったから」
半年前の勘違いのことを掘り返されて誠は拗ねたような口調で答える。料理をしているので、響子には顔が見えなかったが、耳が真っ赤になっているのがチラリと見えた。
可愛い――などと思ったことは口にせず、響子は本題に戻った。
「そう。話を戻すけど、事件について表に出回っていない情報についても言わなくても大丈夫かしら?」
「大体は把握してるつもりだよ。被害者は決まって女性、っていうのは表にも出てることだけど、髪が長いアジア系の女性だけが被害にあっているんだよね。
それに、"切り裂きジャック"だなんて言われてるけど実際は拳銃で心臓を打ち抜かれて殺されている。その後に遺体を裂かれていて、その裂かれ方から、
かのジャックとは違って解剖学的知識は無い素人の犯行と考えられる……これで合ってるかな?」
「完璧ね。素直に驚いたわ」
「ありがとう。それでね、言っても無駄だと思うけど、とりあえず響子さんはこの事件にあまり関わってほしくないな、っていうのが率直な感想なんだけど」
誠が気にしているのは『髪が長いアジア系の女性』が被害に遭っているという点だろう。彼が心配してくれているのが響子にはすぐ分かった。
「心配してくれてありがとう。けれど、分かっているのはさっきあなたが言った情報だけだし、まだ無差別かどうかなんて分からないわ。
それに私、結構日本人離れした外見だと自負しているのだけれど……どうかしら?」
「まぁ、確かにそれは言えてるよね」
普通の男女ではあり得ない会話だが、これが探偵同士である誠と響子の日常だった。依頼や事件などの話に考察を交えつつ、時には軽い冗談も交わす。
時々響子は、今やすっかり慣れてしまったこの日常は、誠にとっての非日常だったはずだと思うことがあり、その度に負い目を感じていたが、決まって誠は「気にしないで」と笑うのだった。
「正直、珍しく難しい依頼だと思うわ。今ある情報だけだと、ロンドン市民全員が容疑者みたいなものだから……
そこから最終的に”犯人を捕まえてくれ”だなんて仕事放棄するにも程があるわよね」
響子は深いため息をついた。依頼主である警部は、それなりに優秀で人柄も良い人間ではあるのだが、響子に事件を丸投げすることがあった。今回がまさにそれだった。
これだけの重大事件を任されるほど、響子の探偵としての能力に信頼を置いているという証でもあるから光栄ではある。
しかし響子は、不特定多数の人間の中から一人を見つけ出す類の仕事は好きではなかった。
「さすがにこんな大きな事件を丸投げするなんて僕も驚いたよ……確か明日、一カ所だけ現場見せてもらえるんでしょ?」
「ええ。すべての現場を見せてほしいというのが本音だけど、仕方ないわね」
「とりあえずそこで、ある程度の犯人像が絞れると良いけど……こういう依頼は初めてだな……」
不安を含んだ誠の声は、響子にというよりも自分に言っているようだった。響子が誠の腕を認めたと言っても、彼は探偵になってからせいぜい2年と少し程で、
響子に比べ圧倒的な経験不足だというのは否めなかった。日本で活動していた時も、殺人事件の依頼が多いわけでもなく、あったとしても大抵は容疑者が絞られていたので苦労することはほとんどなかった。
だから誠は自分が役に立てるのか、響子の足を引っ張ることにならないか少しだけ不安を感じていた。
「誠君」
「うわっ! ど、どうしたの? 急にそんなことすると危ないよ、響子さん」
誠は料理中――と言ってもすでに盛り付けに入っていたが、やんわりと注意しつつ手を止めた。さっきまで椅子に座っていた響子がいつの間にか誠のすぐ後ろまで来ていた。
しかも誠の腰に腕を回して彼の肩に顎を乗せている。響子がそのような行動をすることは皆無に等しいため、誠は心底驚いた。
響子も自分でそうしておきながら、かなり恥ずかしいらしく少し顔が赤い。体勢はそのままのため、響子は上目づかいになる。
「私が初めて一緒に仕事をした日に言ったことを覚えてる?」
「えっと、”自信を持ちなさい”って言ってくれたこと?」
「ええ。それと、”頼りにしている”とも言ったわ」
響子は彼に回していた腕にぎゅっと力を入れて、誠に密着した。
「私、頼りにならない人にはそんなこと言わないわよ?」
「……僕が少し不安を感じていたのが分かったんだね。ありがとう、響子さん」
「ええ、あなたなら大丈夫だから。心配要らないわ」
誠が気を取り直したのを確認すると、響子は体を離した。誠は背中に感じていたぬくもりや感触が失われたことを少し残念に思うが、一応まだ盛り付け途中なので諦めた。
そしてすぐに料理は出来上がった。
「運ぶの手伝うわ」
「うん、ありがとう」
いつもの温かい食事。いつもの穏やかな時間。確かな幸せがそこにあった。誠は響子が「美味しい」といつも笑ってくれることが嬉しかった。
しかし、この日は言葉では言い表せない異様な感覚に襲われた。まるで、これが最後のような――もう聴くことが出来ないような――それは恐怖にも似た感覚だった。
◇◆
夜中、事務所で携帯電話を耳に当てて誠が立っていた。すでに響子は寝室で眠りに就いており、ひどく静かな時間だった。
そこに誠がかけた電話の呼び出し音が一瞬だけ彼の耳に響き、すぐにそれは無愛想な男の声で遮られた。
「もしもし? 久しぶり。急にごめん……ちょっとお願いがあるんだ――」
◇◆
※一旦切ります……完結まで書き終えてますが、長いので小出し小出しします※
寸止め…だと…!?
乙、続き待ってるよー
乙乙
>>845 全身図が見てみたいな
霧切さんもっと前に出てきてください
>>848続き
翌日、誠と響子は普段より早めに起きた。現場は少し事務所からは距離がある。唯一の捜査が許された現場からできるだけ多くの情報を得るために、時間が必要だった。
「……昨夜も犠牲者が出たみたいね。一番新しい現場を見れたら良かったのだけど」
「ニュースでやってたね……7人目だっけ? 早く捕まえて、もうこれ以上犠牲者が出るのを止めなきゃ……」
誠は黒のスーツを、響子はグレーのスーツを身に纏いながら神妙な面持ちで話す。ちなみにスーツは二人ともそれぞれ動きやすさに重点を置いた特注品である。
時計を見て、「そろそろ」と呟いた誠がテーブルの上のキーを手に取った。
「響子さん。僕、車出してくるから5分後くらいに出てきてね」
響子が頷くのを確認して誠は事務所を後にした。事務所に残った響子は、ひと通りの用意は済んでいたが、最後に一つだけ、ある物を取りに寝室へ入った。
寝室の奥に設置されていた金庫の前に響子は来た。この金庫の番号と中身について、響子は誠にも教えていないが、恐らく彼はここ何が入っているのか気付いているだろう。
そして響子は静かにそのダイアルを回し始めた。
――ガチャッ
開錠特有の金属音が鳴り、ゆっくりと開けたそこには一丁の拳銃が黒い光沢を放っていた。銃規制の厳しい国ではあるが、響子と誠は銃の携帯および使用の特別許可を出されていた。
それでも、それを持ち出すことはほとんどなかった。しかし、響子は今回ばかりはそれを手に取った。
「……死神の足音……嫌な予感ばかり当たるなんて皮肉よね……」
得体のしれない、恐怖のような予感に襲われていたのは誠だけではなかったのだ。二人の探偵が今回の依頼に何かがあると感じ取っていた。
響子はずっしりと重く感じる、拳銃をしばらく見つめてから左肩に装着していたホルスターに仕舞い込んだ。
「もう、5分くらい経ったかしら」
ちらりと腕時計を見てから事務所を出ると、誠がちょうど事務所前に車を停車したところだった。
彼女はカツカツとヒールの音を響かせながら近づき、助手席へ乗り込んだ。誠の視線はすぐに彼女の左半身へ向けられた。
「あ、響子さん持ってきたんだ……あの金庫の中に入れてたの?」
「あなたこそ……どこに今まで隠し持っていたの?」
特別使用許可を出されていることはお互いに話していた為知っていたが、拳銃の場所まで教え合っていたわけではなかった。
普通の人ならば、彼らの姿を見ても懐に拳銃があるなどと簡単には気づかないだろうが、探偵同士である二人には手に取るようにわかった。
そして、お互いに”何か”を感じたのだということも理解することが出来た。
「何もないと良いんだけど……あの足音が聞こえてしまったからにはそれを無視することは出来ないわ」
「”死神の足音”だっけ?」
「そうよ」
シートベルトを引き出しながら響子は誠に返事をする。ガチャリという音が合図であったかのように、誠はアクセルを踏み込んだ。
車体がゆっくりとスピードを上げながら進みだし、徐々にその速度が安定しだす。
「それと同じなのかは分からないけど、僕も昨日の夜から妙な胸騒ぎがしてね。念には念を入れておこうと思って」
「私と一緒に居たからかしらね。これまでの仕事でも、あなたには霧切家の探偵としての能力が垣間見えることがあったわ……
技術を教えることは出来てもこういう勘にも似た能力ばかりは教えられない。けれどあなたにはそれがあるようだった……とても興味深いことだわ」
「たぶん、初めて会った探偵も一緒に行動した探偵も響子さん以外に居ないから、僕の探偵としての多くは響子さんがベースなんだよ。
それに、こうやって毎日一緒に居たら、教え合わなくても意識しないうちに得るものとかあっても不思議じゃないんじゃないかな?
ほら、似た者夫婦とかよく言うでしょ?」
「……まだ夫婦ではないけれどね」
つい先ほどの緊張したような空気が、誠によって一気に取り払われた。普段の調子で、明るく話す彼は気づいていないかもしれないが、
好ましくない空気をがらりと変える強さが誠には昔からあった。特に、”あの時”の誠は誰が見ても頼もしかっただろう。
響子は、皆が絶望に堕ちかけていた”あの時”を少し思い出しながら誠を見つめる。運転中の誠はそれに気づかないまま、微笑みながら言葉を返した。
「”今は”ね……でもほとんど似たようなものだし、日本へ帰ったらそれこそちゃんと夫婦になるんだから」
「そうね……帰国したらしばらくは二人でゆっくりしましょうか」
「え? 休業ってこと?」
「ええ。長期間は無理だけど……色々考えるべきこともあるし、やるべきこともあるはずでしょ?」
「そうだね。そうしようか」
怖いのかもしれない。幸せだからこそ今回の足音が一層怖いのかもしれない。事件の捜査前に事件とは無関係なことを話している今の状況は珍しいことだった。
だから響子は、自分は恐怖から目を逸らそうとしているのでは?――と感じた。だから「まだ」などと、未来を示唆するような発言をしたのではないか――と自問自答していた。
そのように言えば、誠が話をそちらへ持っていくことも予測できていた。
2時間ほど車を走らせた頃、エンジン音が次第に静かになりやがて停まった。現場に着いたのだ。二人が車を降りると、車内の窓からも見えていたが、大きく立派な教会が誠と響子を迎える。
外から見ただけで、内装もかなり素晴らしいであろうことが容易に想像できた。近くに住宅街などはなく、ひっそりとした場所にこの教会は建っていた。
「こんなに綺麗な建物の敷地内で悲惨な事件が起きたんだね」
「ええ。観光客もよく来ていたみたいだけど、今は一時的に閉鎖されているわ。当然のことだけどね……じゃあ、行きましょうか」
◇◆
――昨夜、誠が電話をかけていた同時刻での出来事だった。
真夜中に響く銃声、失われる心音。生贄はその生を突然終えた。理不尽に、一瞬にして奪われた。理由は誰にもわからない。ただ、一人を除いては。
男が、ニタリと笑う。しかし歪んだその表情からは楽しんでいるような様子は見られない。その目には一つの感情が込められていた。
見る者をぞっとさせるほどの深い深い憎悪、憎しみがその目には込められていた。
「恨むなら、あの女探偵を恨んでくれよ……ひひっ、ひひひひひ……」
突然狂ったような笑い声を上げながら、彼は懐からきらりと光るものを取り出した。鋭利な先端が生贄の肉に刺さる。それはナイフだった。
男がそれを一気に手前に引くと、まだ熱を持った赤い液体が切り口から溢れだした。男は構わず、何度も何度もそれを抉る。
動かぬそれは、人だったもの――髪の長いアジア系の女性の死体だった。
「思った通りだったよ。あの出来損ないの警部はあいつに依頼すると思ってた。盗聴器に気づかないなんてあの警部おしまいだなぁ……!
まぁ、探偵にこそこそ依頼してる時点で終わってるがな…………ひひひっ……これでもうすぐ終われる。
ああ……どんな反応をするのかな……自分のせいでこんな残虐な連続殺人が起きたなんて知ったら……あの女は、キリギリキョウコはどんな顔をするのかな?
そして、どんな顔で死んでいくのかな? もうすぐだ、俺の人生を狂わせたあの女に復讐ができる……!」
――ビチャッ
ゆらりと立ち上がった男がナイフを振り、今まで抉っていた死体の血液が地面に線を描いていた。
◇◆
現場は教会の裏側にあった。そこは観光客などの一般の人間はもちろん、教会の関係者すら立ち寄らない場所で、周りに木々が茂っており午前中だと言うのにかなり薄暗い。
誠と響子は見張りの警官――警部から連絡を受けている数少ない関係者である――と一言二言だけ言葉を交わしてから、そこに足を踏み入れた。
そして、すぐに教会の壁に付いた血痕とそのすぐ下に広がるおびただしい血の跡に目が行った。
「はぁ、大量の血の跡って何度見てもゾッとするや……昔ほどじゃないけど」
「……こっちの壁の方が銃で撃たれたときに付いた血痕ね。下の方は死んだ後で切り裂かれたことによる出血の跡」
この連続殺人は、ごく短期間で行われている。二人が訪れたこの現場は一番目の被害者が発見された現場で連続事件の中では最も古い現場ではあるが、
血生臭さや血の跡がはっきりと分かる状態だった。
「見たところ何のトリックもなさそうね」
「ただ単に、人気のないところで射殺されて引き裂かれたってだけだね。ここだけで犯人の手掛かりを見つけるなんて気が遠くなりそうだよ……ん?」
「どうしたの?」
「ここの血痕不自然じゃない?」
血だまりの跡から横にぽたぽたとわざと血を垂らしたような跡があった。誠がそれを指さして近づくと、響子も「そうね」と呟いて血の跡をたどってみた。
「……ここ何か掘った後じゃない? 掘り返してみる?」
「ええ、道具が居るかしら?」
響子の問いかけに「大丈夫」と答えながら、誠が右足を軽く上げて踵で地面を叩くようにして下ろした。
彼の動作の意味が理解できず響子が首を傾げながら見守っていると予期せぬものを目の当たりにした。
――キンッ
誠の踵が地面と接触したと同時に、彼の履いている革靴の先端から小さな金属音と共に鋭利な刃先が現れた。幅は2cm程で長さは10cm程だろうか。
小さ目ではあるが充分な殺傷能力を備えているであろう危険な代物だった。
「…………何なの、それ」
「え、隠しナイフだよ。これで掘ろうと思って」
「そうじゃなくて、いつそんなもの手に入れたのよ?」
「一昨日、響子さんが出かけてる時に暇だったから作ったんだよ……まぁ、そんなことどうでもいいでしょ?」
「……」
額に手を当てて何とも言えなさそうな顔をする響子を無視して、誠は足先のナイフでサクサクと穴を掘り始めた。
やはり一度掘ってあったせいだろう、掘りやすいとは言えない手段ではあったが誠は難なく掘り進めることが出来た。そして、ナイフの先端が何かに当たった音がした。
それは金属同士がぶつかった際に発せられる音だった。しかし、まだその正体は見えない。
「おっ! 響子さん、何かあったみたいだよ」
宝物を見つけた子供のような反応をして、誠は先程と同じように踵を地面にぶつけて物騒なものをしまうと、今度は手で土をかき分けて目的のモノを探し出した。
すると、すぐにそれは見つかった。誠は手に取って土を払い落とし、それを観察してみた。
「……お金、じゃないな。何かのコイン? あれ、事件と関係ないのかな……いや、これは血……?事件発生前から落ちてたのものかな?
いや、それならわざわざ埋められていたことについての説明がつかない。それに、こんな場所で誰かが落とすなんてあり得ないし……あとこの血は……」
「誠君、私にもそれ見せてくれるかしら?」
「うん、何かのコインなんだけど、血が付いてるんだ。それもかなり古い血だと思う」
そのコインを受け取るとすぐに響子の顔色が変わった。
「――えっ? これは…………」
自然と驚きの声が響子の口からが漏れ、彼女は何かを確かめるようにコインの模様や形状、傷、血痕の付き方など念入りに観察し始めた。
「響子さん、もしかしてそれについて何か知ってるの?」
「ええ…………ちょっと、話が昔に遡るけど」
「関係あることなんでしょ? 構わないよ」
「私がこちらに来たばかりの頃よ――つまり5年位前の話ね。その時に5人家族のうち4人が殺された事件があったのよ。その事件の依頼が警部からあって、私はそれを受けたわ。
それで、詳細は省くけど、生き残った三男がその殺人事件の犯人だったのよ」
「身内が犯人?」
「そうよ。動機は単純で、遺産や保険金が欲しかったらしいわ。それで、このコインだけど……彼の部屋で見たことがあるのよ。
こんな血のついたコインが、なんだか大切そうにケースの中にしまってあったからよく覚えてる。その時見たコインの模様や血痕の付き方とこのコインの特徴は完全に一致しているわ。
けれど、その犯人は終身刑が言い渡されて、今もまだ服役中のはず……」
「脱獄とかの情報は?」
「いいえ、何も聞いていないし、ニュースにもなっていないみたいよね……」
何故そんなものがここにあるのか。明らかに不可解なことだった。だからこそ、それは重要な手がかりであり、決して無視することは出来なかった。
自然と手の中のコインをぐっと握りしめる響子に誠が一つの提案を出した。
「とりあえず、警部に連絡してその一家殺人の犯人が今もちゃんと刑務所に居るのか確認を取ってみようよ」
極当たり前な提案ではあるが、他に何の手がかりもない状況では仕方がなかった。むしろそれは次に起こすべき行動の一つに違いない。
誠の提案を聞いた響子は、顎に手をやって現場を一瞥して少し思案するが、すぐに肯いた。
「そうね。この現場では他に分かりそうなこともないし……一旦戻った方がいいわね」
「今は連絡取れないの?」
「残念だけど、昼間は連絡がとれないのよ。向こうから連絡が来ることはあってもこちらからはしてはいけない約束なのよ。仕事を丸投げするわりには本当に不親切よね」
「じゃあ、警察か刑務所に直接問い合わせるとか」
「……目的を聞かれた場合に、うまく掻い潜るのが難しいわ。一応警部から依頼を受けているというのは極秘だもの」
「そっか……あ、あそこの彼に聞いてみたら?」
二人はすっかり存在を忘れていたが、少々手持無沙汰そうな様子を見せつつ現場の見張りをしている警官が居たのだ。彼は、誠や響子と同じくらいの歳に見える。
「隠蔽の可能性がある情報を、あんなに若い人が知ってるかしら? 一応聞いてみる価値はあるかもしれないけど」
響子はほとんど期待していない様子で、誠に促されて警官に声をかけた。すると、まるで日本人のように彼はへこへこと頭を下げて嬉しそうに話しだした。
「”オツカレサマデス!” えっと、日本語で仕事の後ってこう言うんですよね?」
「あれ? 日本語分かるんですか?」
「いや、挨拶みたいな言葉だけ、なんとなく知っている程度です。でも日本は好きですよ!」
見張りが余程退屈だったらしい。彼の目は輝いている、と言っても過言ではなかった。現場と彼の表情やテンションが見事に不釣合いだ。
響子は少しだけ、誠君に似た人種かしら――などと思いながら本題に入った。
「無駄話はそれくらいにして、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい! 自分に分かることなら何でも話しますよ!」
「なんでもって……警察がそんなに口が軽くていいのかしら」
「あ、いや! 警部があなた達には何でも言っていいっておっしゃっていたので」
「そう。単刀直入に聞くけど、5年前の一家殺害事件の犯人について聞きたいのよ。そんな昔の事件についてもあなたは把握しているのかしら?」
「――っ! そ、それは、ですね…………」
元気よくハキハキと答えていたのに、一つ目の質問で彼は青ざめて黙り込んでしまった。そして、響子から目を逸らして挙動不審になる。
彼は何か知っている――あからさまな反応をされて、響子が気づかないわけが無かった。やんわりと響子が彼に催促すると、躊躇しつつも知っていることをすぐに話してくれた。
それは誠と響子の予想以上の事実だった。
◇◆
誠と響子は現場を後にし、今度はそこからは正反対の方面へ車を走らせていた。目的地は、一家殺人事件のあった現場――その一家が住んでいた家だ。
その家も、先ほどまで居た教会と同じ様に街外れに位置しており、人通りの少ない場所である。事件後にはその家に住んでいるものは居なくなってしまったが、親戚が管理をしており事件の痕跡は処理したが、
一家の荷物や家具などはそのまま残っているらしかった。
「驚きだよ。まさか、切り裂きジャックの犯人が例の三男だって警察は知っていたなんてね」
「そうね。でも、簡単に脱獄を許してしまった挙句に複数の監視や警官まで殺されたという事実、
そしてそれが切り裂きジャックの正体であるという事実を汚名だと思って世間には公表できなかったんじゃないかしら……
くだらない名誉や体裁のために真実を隠すだなんて、本当に迷惑な話だわ。この仕事が終わったら、警部にはきつく言っておいたほうがいいかもしれないわね」
運転をしながら、誠が響子をちらりと見ると彼女は多少苛立ちを感じているようだった。
現場の見張りをしていた警官に知らされた真実は響子が言ったとおり、一家殺人事件の犯人が脱獄した上に監視や警官を殺したということ。
また、殺害された全員が切り裂きジャックの殺害方法を模した殺され方をしていたことだった。ちなみに、ナイフや銃を犯人がどのような手段で入手したのかは分かっていないという。
この事件は表に公表されないまま、今度は同じ殺人方法の連続殺人が起きてしまった。警察では内部に共犯者が居たのではないかと大騒ぎになっており、
その上で切り裂きジャック事件の犯人も追わなければならず、はっきり言って混乱状態に陥ってしまっているそうだ。
だからこそ、警部は響子に仕事を丸投げしたのだと、響子と誠の考えは至った。
「組織として、少し脆すぎる気がするけど……それで彼の家に行って何を調べるつもり?」
「このコインがあの家に無いことを確認したい、っていうのもあるけれど本命は隠し部屋よ。
事件の時は別に関係無さそうだったから警察には報告していないのだけど、その部屋は巧妙に隠されていて警察も気づいていないと思う。中には、拳銃やナイフが複数保管されていたわ。
確か、さっき聞いた話では、刑務所で殺された人たちと外で無差別に殺された人たちに使われた銃弾の口径が異なっているという話だったでしょう?
刑務所では口径12mm、外では口径9mm……だからその隠し部屋の銃を彼は使っている可能性がある。それを確かめに行くのよ。運が良ければ本人が姿を現す可能性もあるしね」
一気に説明を終えた響子の目には、これから戦場へ行く人間のような強い光が宿っていた。何の手がかりもなかった状況から犯人そのものを知ったのだ。
あとは依頼通り犯人を「捕まえる」ことさえできればいい。しかし、またすぐに彼女は黙りこんで何かを考えこみ始めた。車内にしばらくの沈黙が流れるが、誠がそれを破った。
「響子さん。他にも何か気になることでもあるの?」
「ええ。切り裂きジャックの犯人が例の三男だというのは分かったけれど、今回の動機が分からないわ。一家殺人の時はお金がほしいという単純明快な動機があった。
でも、今回は被害者から金品が盗まれているわけでもないし、今のところ無差別に殺されているから怨恨の可能性も低い。それに、わざわざ切り裂きジャックのまね事をする必要性もわからない。
考えられるとするなら、彼の名前が”ジャック”だから、ということだけどあそこまでの残虐なことをする動機としては薄すぎる気がするのよ……」
「なるほどね。”ジャック”だからって、切り裂きジャックのまね事をしなければいけなかったという理由はないはずだよね。
けど、そればかりは本人を捕まえた時にでも直接聞かないと分からないよ」
「ええ。あともう一つ……足音が聞こえてしまったからには、今日これから何かあるかもしれない。誠君、気を抜かずに行きましょう」
「もちろん、そのつもりだよ」
二人は一度、街中の店で軽食を取ってから再び車を走らせた。
徐々に建物や人々の姿は消え、辺りに緑が広がりだした。木々に囲まれている――というわけではないが午前中に訪れた現場のように物静かで、のどかな場所だった。
そして、前方に二階建ての一軒家が見えた。
「この家よ」
響子の一言とともに、誠は車を停めて窓の外を眺める。
「極普通の家だね。5年前って言ってたからもっと寂れているのを想像してたけど、いまだに誰か住んでそうだ」
「管理が行き届いているのね。鍵は用が済むまで持ってて良いってことだったから、思う存分調べられるわね。どこかの依頼主とは大違いだわ」
皮肉を呟きながら車を降りる響子に倣って、誠も苦笑しながら車を降りた。目の前には道路から玄関に向ってゆるやかなカーブを描いた通路が伸びていた。
家の壁はベージュを基調としており、赤色の屋根が目立つ。どちらかと言えば可愛らしい印象を受ける家だ。右側にはガレージが有り、大量に埃を被った車が2台停められていた。
その方向に響子は視線を向けた。それは確かにほぼ5年前のままだった。しかし、右側に停められている車のフロント部分にこすった為に埃が取れたような跡があった。
「……あからさまね。ここを最近誰かが通った証拠だわ」
「この奥に隠し部屋が?」
「ええ。恐らくここに住んでいた人達と私くらいしかその存在は知らないんじゃないかしら……この分だとやっぱり犯人は隠し部屋に行ったのは間違いなさそうね」
そう話す響子を通りすぎて、誠がガレージの奥へ歩を進めた。そこには工具箱や靴など統一性のない数多くのものが乱雑に落ちていた。
「響子さん、ここって5年前もごちゃごちゃしてた?」
「整理されて綺麗に片付いていたと思うけど、荒れているの? どこかその辺りに――」
――ガコッ
響子の話を聞きながら誠が床のある場所を押したと同時に、床の一部が小さな長方形の形に凹んだ。「これだね」と呟きながら、誠がそれを一気に引っ張りあげるとそこには地下へ続くハシゴがあった。
躊躇することなく誠はハシゴに足をかけて下へ降りて行った。
「ちょっと、誠君? あなたが見ても以前との違いが分からないでしょ?」
「いや、そんなことないよ。ここには何もないみたいだ……他に何か手がかりがないか僕が調べるから、響子さんは他の所を見てていいよ。すぐ終わると思うし」
薄暗い地下へ降りていった為、誠の姿は見えず声だけが聞こえてくる。
「そう……全て持ちだしたのね。わかったわ、そこはお願いするわね」
響子は一度ガレージを出ると玄関へ移動して鍵を開けた。向かうは犯人の自室だ。コインが同一のものだとは分かりきっていたが、念の為だ。
二階へ上がって真っ直ぐ目的の部屋へ入った響子は、5年前見たものと同じケースを用意に見つけることが出来た。
――やっぱり同じもので間違いないわね。でも、何故これが現場に埋められていたの?
響子は改めて一つの疑問を抱えながら、家の外へ出て来た。そして再度、ガレージの前に立って全体を見渡した。すると、車のフロントの隙間に小さな白い紙の端が見えた。
「――何かしら?」
すぐに、そばに寄ってそれを引き出した。それを見た響子は一瞬にして思考を奪われた。手紙だったのだ。
珍しく動揺した様子で、響子はそれを読み進めていった。
『親愛なる女探偵 キリギリキョウコへ
やぁ、我が家へようこそ。君ならここへ来てくれると思っていたよ。切り裂きジャックの事件の捜査で来たんだろう? 知っているさ。なんてったって俺がそのジャックだからね。
まぁ、君へのヒントのつもりであのコインを君の目に触れそうな現場に埋めておいたんだけど……これを読んでいるということは無事に見つけてくれたんだね。とても嬉しいよ。
さて、話は変わるが君に質問だ。出来損ないの警部が君に依頼をしたと思うが理由は何だと思う? 君が優秀だから? 君が俺を知っているから? どちらも違うね。
俺は優しい男だ。親愛なる君に教えてやろう。君は警察に騙されているんだ。”オトリ”なんだよ。どうしてかって? 俺は刑務所を出る時に置き手紙を用意したのさ。
もちろん君にも内容を教えてあげるよ。”Kill Krgr.K”ってね。これだけだけど、あの警部は何のことだか分かっただろうね。そうだよ、俺は君にお礼をするためだけのために、
何の罪もない何の関係もない女達を殺してやったんだ。全部君のせいなんだよ。全部、全部君のせいで死んでいったんだ。ああ、可哀想に。でも大丈夫。お前もちゃんと殺してやるよ。
俺の人生を狂わせたお前もすぐに、あの女達の所に行かせてやるから、思う存分謝罪すればいいさ。
――ジャックより』
「……逆恨みも良い所ね……最初から私が目的だったのに、無関係な人達を――」
その時ちょうど、地下から誠が出て来た。彼は響子の姿を見て、様子がおかしいことにすぐ気が付いた。そしてその奥に――見えてしまった。
「――っ! 響子!!」
「えっ?」
誠は瞬時に彼女のもとへ駆け寄った。そして響子の腕を掴んで引き寄せると同時に外の方へ背を向けた。それと同時だった。
――パンパンッ! パンパンパンパンッ!
「っ……! クソッ!」
「誠君!?」
悲鳴に近い響子の声が挙がる。痛みに顔を歪めた誠が、すぐに振り返り懐から銃を抜いた。そして二発の銃声が響く。相手の脚に一発が当たった。
「ぐぁっ……! チッ……!」
相手は悪態をつきながら、体を一瞬だけよろめかせ、痛みを押して走って逃げ出した。その様子を見ていた誠の体がグラリと揺れた。しかし、倒れることはなかった。
「誠君! どこをっ――どこを撃たれたのっ!? 」
「あはは……大丈夫大丈夫。ちょっと痛むけど、致命傷は全部避けてるよ。それより響子さんは早く追って。装弾数6発のリボルバー式拳銃だったから今あいつは丸腰同然だよ。
見たところ他に武器も持ってないようだったし、この腕前だとほぼ素人だね。予備の弾を持ってたとしても、走りながら込めることはあいつには出来ないと思う。
それと、僕が撃ち込んだ銃弾には強力な麻痺薬と睡眠薬塗ってあるから運が良ければその辺で倒れてるかも」
事態は深刻だというのに、ヘラヘラと笑う誠だが、響子は青ざめたままだった。誠のシャツには赤い血が滲み出していた。
「本当に、大丈夫なの?」
「うん。だから早く行って。ちょっと休んだら君の後を追うから……だから早く!」
「……わかったわ。でも、お願いだから無理はしないで!」
響子はすぐに思考を切り替えて、走り出した。角を曲がると――居た。
誠の言った通り銃弾の薬が効いているのだろう。明らかに足の痛み以外の原因でよろめいている様子の犯人の姿があった。
「待ちなさい! ……もう終わりよ」
響子の凛とした声に相手が振り返る。憎悪で狂ったような表情だった。彼はわなわなと肩を震わせていた。しかし次の瞬間。
「クソォォオオオオッ!! ぶっ殺してやる!! このクソアマァァァアア!!」
響子めがけて真っ直ぐ拳が伸びてきた。しかし、響子は冷静だった。スッと体を横にずらして拳を躱すとその腕に両手を添えて華麗に投げ飛ばした。
犯人の背中に強い衝撃が走る。
「がぁっ……!?」
「よくも彼を傷つけてくれたわね。代償として腕一本くらいどうってことないわよね?」
そう呟くと響子は犯人をうつ伏せに押さえつけてギリギリと彼の腕を後ろに力いっぱい引いた。
「うぁぁああッ!! やめろ! やめてくれぇええっ!」
「冗談よ。私はあなたみたいな犯罪者とは違うわ……そろそろ薬が効いてきたみたいだしね」
「な、んだ……体が……」
その言葉を最後に犯人は意識を失った。誠の銃弾に塗られた睡眠薬が効いたのだ。
「……ねぇ、依頼通り捕まえたわよ。さっさと連れて行ってくれるかしら?」
響子が斜め前方の茂みに向って叫んだ。誰も居ないはずのそこから、ガサガサと音がすると彼は姿を表した。
「いやぁ、私がここに居たのが分かっていただなんて、さすが霧切君だね。素晴らしい、柔道の腕前だったよ! 思ったより犯人を捕まえるのも早かったし、報酬は弾ませもうらうよ」
「……警部。私を囮にしたというのは本当かしら?」
「あ、いや……まぁそうかもしれないが、私は君なら大丈夫だと信じていたんだ! ほら、実際この通りだろ?」
「もういいわ……早く連れて行って。私は他にやらなければならないことがあるから」
響子が言うとどこからともなくパトカーが現れた。そして、駆けつけてきた警察たちが眠っているジャックの手に手錠をかけ、彼を抱え込んでパトカーに運んでいった。
連投規制なう!
――だいぶ経っているけど、誠君が来る気配がない……まさか……
――彼の言葉を鵜呑みにしたわけじゃない……確かに大丈夫そうな様子だった……けど……
警察の様子を見ながら響子は焦りだしていた。未だ姿を表さない誠の身が心配だった。
つい、彼の様子と言葉で安心して置いてきたが、嫌な予感が彼女の頭から離れない。
「霧切君」
「警部……まだ何か?」
「今回はこちらに非があったことは認めるよ。申し訳なかった」
先ほどの態度とは打って変わって深々と頭を下げる警部の姿に響子は目を丸くした。
「そして、協力感謝する。これからも何かあったら宜しく頼むよ」
「……それは出来ないわ」
「え? ど、どうしてだい? そんなに怒っているのか?」
響子の返事が予想外だったのだろう。警部はあからさまにうろたえて響子に尋ねた。
「そうじゃないわ。日本へ帰るのよ……だからこちらでの仕事はこれが最後」
「そうか……それならば仕方ないな」
「ええ。世話になったわね。でも、もう少し自分の仕事は自分で何とかしたらどうなのかしら?」
「はははっ! 君がいなくなるのなら、そうせざるを得ないな……それでは私は行くよ。報酬はいつも通り1週間以内に口座に振り込むから」
「ええ」
彼がパトカーに乗り込むと、すぐに響子の前から遠ざかっていった。そして響子もすぐに、来た道を全速力で戻っていった。
――お願いだから、無事で居て……誠君
※一区切り※
今度こそ乙!
苗木君死なないよな...?
※小出し小出し失礼。ここは単品で投下したかった※
犯人を追う響子の姿が目の前から消えると、誠はズルズルと倒れこんだ。彼の口からは力のない笑い声が漏れる。
「…………ははは、ごめん……響子さん……見事に……全部致命傷だよ…………それ、と……演技力も…………磨いていたんだよね……
もう、バカ正直、だ……なんて……言われることはないかも、ね……」
ガレージの前に鮮血が広がっていた。誠が受けた6発の銃弾すべてが、致命傷を彼に負わせていた。
銃撃を受けた箇所が熱く痛む。しかし、その感覚は薄れつつあった。
誠は自分が危険な状態であることは承知の上で響子をこの場から離れさせたのだ。
――僕は、やっぱり《超高校級の幸運》なんだ、な…………響子さんを守れた……かすり傷ひとつ付けさせなかった…………
――響子さん……犯人捕まえたかな…………あ、れ……なんだか……さ、むく……なってきた、かも……眠い……少し、休もう、かな…………
誠の体温が急激に下る。もう体を動かす力も彼にはほとんど残っていなかった。そして、誠はゆっくりとその瞼を閉じた。
※続きは午後か夜に※
864 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/28(月) 11:09:55.89 ID:oRi15IqE
乙です!!待ってマス!!
乙...
フラグ折れてなかったのか...
>>863続き
息を切らしてガレージの前に戻ってきた響子は、目の前の光景が理解できなかった。見慣れているはずの光景だった。
横たわる影、広がる鮮血――今まで何度も何度も目にしてきた。なのに、鳥肌が立った。震えが止まらなかった。声が出なかった。
力が抜けたように、フラフラとそこへ近寄った。
「誠、君? 何よ……これ…………ねぇ、起きて……誠君、起きて!」
響子は叫んだ。落ち着かなければならないことは分かっているのに、冷静になることは得意なはずなのに、一番必要な今、それが出来ない。
そして軽く彼の体を揺さぶると、誠の瞼がピクリと動き、そしてうっすらと開かれた。
「…………きょ、こ……さ……?」
「誠君!? 誠君、しっかりして! すぐに、救急車を呼ぶから!」
響子は急いで携帯電話を取り出すと、救急の番号にかけようとしたが携帯電話を持つ手を掴まれて行為を遮られた。
「誠、君……? な、にを?」
「きょう、こ……さん……大丈、夫…………大丈夫、だから……」
「何が、大丈夫なのよ!?」
「…………響子さん……あい、してるから――――」
「え?」
響子は最後の言葉が聞き取れなかった。しかし、それっきり彼は口を開かなくなってしまった。
響子の視界がぼやけるが、それどころではない。
――冷静に、冷静になるのよ
響子は誠の頸動脈に手を当てた――が、何も感じない。ゾッと悪寒が走る。
――そんなの、絶対に認めない……!
彼女は、手袋を外し投げ捨てた。そして火傷の跡が目立つその手を再び誠の頸動脈に当てる。
――トク、トク……
ゆっくりでとても弱いが確かに脈があった。しかし、助かる可能性はほとんど無いかもしれない。
一瞬でもそう思った自分を叱咤して、ギリッと奥歯を噛み締めた。
「嫌……嫌よ……お願い……目を、開けてよ…………誠君……! 家族になってくれるって、言ったじゃない……
一緒に歩いてくれるって……約束したじゃないっ……!」
もう、耐えられなかった。響子の目から涙が止めどなく溢れだした。どんどん体温が低くなっている誠の体を抱きしめて嗚咽する。
その時だった。けたたましい音が空から鳴り響く。さすがの響子も驚き、音の響く方向を見やると一台のヘリコプターがこちらへ向かって降りてきた。
そしてそのドアが勢い良く開かれた。
「何を呆けている! 霧切! 馬鹿かお前は!」
「十、神くん……?」
「呆けている場合じゃないと言っただろ! こいつを今すぐヘリに運ぶ! お前もさっさと中に乗れ!」
頭がついて行けなかった。しかし、急に現れた十神に腕を引かれてヘリへ乗り込む。
誠も、同じヘリでやってきた医療班の人間だと思われる男性達に担架で運ばれると、ヘリはすぐさま離陸した。
「十神家の管轄下にある病院へ苗木を連れて行く。安心しろ、絶対に苗木の命は救ってやる。十神の名にかけてだ」
放心状態の響子に、十神が話しだした。少しだけ落ち着きを取り戻し、焦点の合っていなかった響子の目が十神の目を見つめた。
「誠君は、助かるの……?」
「愚問だな。俺を誰だと思っている? 俺が従えるドクターたちは世界中から一流の者だけを集めたチームだ。
6発の銃撃程度、その辺の病院で助からなくても、こちらでは助からないわけがないだろう」
根拠がないのは気になるが、自信満々に言う十神の言葉に響子は何故だか安心することが出来た。
しかし、何故彼はタイミングよく現れたのか、響子は直接十神に尋ねた。
「苗木の心臓にちょっとした細工がしてあってな。もちろんそいつの要望だが、脈拍の異常や低下を感知したらGPSが起動するチップを手術で取り付けていたんだ」
「でも、それじゃこんなに早くは駆けつけられないんじゃないの? あなたは日本に居たのよね?」
「こちらの時間で、昨夜苗木から電話があった。“何かあるかもしれないから直ちにロンドンに来てくれ”とな。
だから言われたとおりに来てやったんだ……まさか本当に何かあるとは思っていなかったがな。心臓のGPSも気休め程度で実際に使うことはないと考えていたんだが……
これもどうやら苗木の考えが正しかったらしいな……フンッ」
「どうして……誠君はGPSを心臓に?」
「”絶対に霧切さんを一人にさせるわけにはいかないから”と言っていたな……そいつは死ぬつもりは全く無いようだぞ」
「――っ!」
響子の目から止まっていた涙が再び溢れ出す。
それを見た十神は呆れたようにため息をつくが、珍しく優しげな声色で響子に声をかけた。
「苗木が回復したら、さっさと日本に戻って来い。式場は俺がすでに用意してある。朝日奈や葉隠……それと苗木の家族もお前たちを待っているぞ」
「…………ありがとう、十神君……!」
◇◆
ゆっくりと、誠の目が開かれた。視界がぼやけているが、徐々にはっきりしてくる。最初に見えたのは白い天井だった。久しぶりに目を開けたせいか、とても眩しく感じられた。
彼の口と鼻は酸素マスクで覆われている。自分が病院に居るのだと理解することが出来た。そして、左横を見ると愛しい人の顔があった。
「……誠君? 私が、分かる?」
「…………響子さん……久しぶり……僕、どれくらい寝てた?」
「久しぶり、じゃないわよ……バカ。5日間昏睡状態だったわ……」
――ああ、また泣かせてしまった
誠は響子に微笑みかけた。まだ体に力が入らないが、精一杯微笑んだ。
「よくも、私を騙してくれたわね……」
「ちゃんと、騙せてたかな……ははっ、ごめんね……」
「言ってたでしょう? 6年前も。あなたを危険な目には合わせたくないって」
「……ごめん。けどね、僕はあの時自分の身が守れないから君と約束を交わしたわけじゃないよ」
「え?」
「君を守りたかったんだ。でも、あの時の僕は君を守れる力なんか無かったから……
でも今回、君を守ることが出来た。だから僕はそれで良いんだ……」
相変わらず誠は笑っているが、響子はそれで良いわけがなかった。
あんなにも、これまでにない程の恐怖を感じたのだ。誠を失う恐怖を。
「怖かった。あなたを失うのがすごく怖かったの」
「……うん」
「もう、あんな思いをするのは嫌よ……」
「うん、ごめん……でも僕だって君を失いたくないよ……だから君の隣に居たかった。だから探偵になった」
「……それは、分かっているつもりよ」
「ねぇ、響子さん。もうそんな顔しないで……僕は、ここに居るよ? 確かに今回は危なかったけど……約束するよ。
僕はこれからも君の隣に居るから。だから、君も――」
「私も、約束するわ。あなたの隣で……ずっと、一緒に歩いて行くわ……」
二人が約束を交わした時、誠が一番見たかった響子の表情があった。涙はまだ彼女の目に浮かんでいるけれど、響子はやわらかく微笑んでいる。誠は安心して、再び眠りについた。
しばらくして、病室のドアが開いた。十神が苗木の様子を見に来たのだ。
「十神君……誠君、今は眠っているけど一度目を覚まして、さっきまで普通に会話もしていたわ」
「そうか。もう心配ないようだな。あと一週間もすれば退院できるだろう。お前たちはそれと同時に帰国しろ。すでに飛行機も手配してあるからな……どうせ帰国する予定だったんだろう?」
「ええ。あなたには世話になるわね……」
「フンッ。気にするな」
「ありがとう……」
◇◆
―― 一ヶ月後
「響子さん、結婚式本当に挙げなくていいの?」
「何度も言ったでしょ? 私にはそういうの似合わないし……苦手なのよ」
「……似合わないことないと思うけど」
「とにかく、私がいいと言ったらいいのよ。わかったわね?」
日本に帰ってきてすぐに二人は籍を入れたが、十神が用意してあると言っていた結婚式は断って静かに過ごしていた。
以前話していた通り、今は探偵の仕事は休業中であり、かつて誠が一人で探偵として活動拠点にしていた事務所兼自宅に住んでいた。
誠は少しだけ、響子のウェディングドレス姿を見ることが出来ないことを残念に思っていたが、響子が嫌がるのでは仕方がなかった。
「それより、話があるわ」
「何? 改まって話って……」
テーブルに向い合せになり、コーヒーの入ったカップを持っていた響子の手に力が入る。
誠もすぐに何か大事な話なのだろうと察すると、姿勢を正して彼女の目を見つめ返した。
「あの、約束のことだけど……お互い隣にずっと居るっていう……」
「……?」
誠は響子の様子を観察したが、明らかにおかしかった。頬を紅潮させて、目を泳がせている。
一体何が言いたいのかも予想がつかなかった。
「あの、誠君……二人の間にもう一人加えてくれるかしら?」
「…………え? そ、それって……まさか……」
「私に似た、子どもにならもみくちゃにされても良いんでしょう? ……まだ似てるかはわからないけれど」
「ほ、本当に?」
「ええ」
「僕の、子ども?」
「他に誰が居るのよ」
「……やった! やったね、響子さん! 僕、すごく嬉しいよ!」
「え、ええ。不安もあるけど、私も嬉しいわ……この子が生まれてきたらいよいよ本当に”家族”らしくなるわね」
目を細めて微笑みながら、お腹に手を当てる響子の表情はすでに母親の表情のように誠には感じられた。
心の底から湧き上がる感情が抑えきれずに息が荒くなる。誠は椅子を倒しそうな勢いで立ち上がると、ポケットに手を突っ込んで携帯電話を取り出した。
その手はブルブルと震え、操作に手こずっている。
「ぼ、僕、十神君たちに電話してくる!」
「え、ちょっと! まずはあなたのご家族に……!」
「え? ああ! そうか!」
そんな誠の様子についクスリと響子が笑う。
「ねぇ、そんな状態じゃこの子の"父親"は務まらないわよ」
「――っ! ち、父親……!」
こんな日が来ることは誰が想像できただろうか。本人たちが一番想像できなかったかもしれない。
特に、生まれた時から探偵だと言っていた響子は、自分がこんなに幸せを感じられる日が来るとは思っていなかった。
――あなたの隣で、この子の隣で私は歩いていく
響子は笑って、誠とこれから生まれてくる子どもとの希望に満ちた未来を思い描いていた。
― END ―
大作GJ!
すげえな
もう作家になれよ
大量のレスを占領してすみませんでしたー
途中途中ロリ切さんのSSとかその他にも投下してたりしたんで……
霧切さん及びナエギリが好きすぎてガンガンSSを書いてしまう……
やだ・・・噛ませメガネ超イケメン・・・
乙
さすが俺たちの十神だぜ!
苗木君が防弾対策の方に重点を置いてたら噛ませメガネの出番は無かったのでは...
いや,なんでもない
>>876 霧切さんを泣かせたかったのと、十神君を出したかったことから
こんな展開になりました!
>>877 そうですよね,余計なこと言っちゃってすいません
GJ!
____ / ̄ ̄ ̄\
/___ \ / ___ ヽ
/ |´・ω・`| \ / |´・ω・`| \ 顔はやめて〜
/  ̄ ̄ ̄ \ / _,  ̄⊂二二)
| i ヽ、_ヽl | |
└二二⊃ l ∪ | |
| ,、___, ノ | ,、 |
ヽ_二コ/ / ヽ / \ /
_____/__/´ __ヽノ____`´
>>873 GJGJ
しかし1スレ目からよくSSが絶えないものだ
嬉しいことよ
GJ!!
今スレも豊作だべ
何か唐突にほのぼのら〜ぶら〜ぶが書きたくなった
どんなのがいいだろう
苗木君と霧切さんがなかなか告白するきっかけを作れずウジウジしてるのを
見かねた周りの仲間が支えるような話どっかにないかな
できれば舞園さんかセレスさん交えてほしい
苗木くんが他の女の子といちゃいちゃして嫉妬する霧切さん
モノクマが茶化すと面白そう
私は苗木君が好き――だと思う。断定できないのは、私にそう言った経験が過去に無かったから。
でも冷静に分析してみて、私が彼に持つ感情は恋愛感情に違いない。
たとえば、無意識のうちに私は彼を見ている。今朝もそれが原因であんな事態に陥ってしまった。
◇
毎朝みんなが集まる食堂で、セレスさんが山田君に入れてもらったばかりのロイヤルミルクティーの香りを楽しんでいた。そ
こへ欠伸をしながら食堂へ入ってきた苗木君が、何を思ったのか真っ先にセレスさんの所へ歩み寄っていく姿を見て、
私はなんとなく苛立ちのようなものが湧き上がるのを感じていた。
苗木君はいつもの笑顔でセレスさんに挨拶をして話しかけていた。
「セレスさん、おはよう。昨日の夜はありがとう。すごく勉強になったよ」
「おはようございます、苗木君。わたくしが手取り足取り教えて差し上げたのですから、
次お相手していただけるときは、満足させてくれないと承知しませんわよ」
――昨日の夜、ですって?
私は昨夜は夜時間の間、学園を捜索していた。だから、どこにも苗木君とセレスさんの姿が無かったことを知っている。
この事実から導き出される答えは――苗木君がセレスさんの部屋で二人きりで過ごしていたということ、そう考えられる。
それに気づいた途端、私の中の苛立ちが一層濃くなった。何をしていたかは分からないけれど、
多分男女が部屋に二人きりというのは良いことではないと思う。
私は、我慢できずに椅子から立ち上がって、二人のもとへ歩いた。けれど、用があるのは苗木君だけ。
「あら、霧切さん。おはようございます」
「霧切さん! おはよう!」
「ええ、おはよう……セレスさん、苗木君を少し借りてもいいかしら?」
「え? 僕?」
「結構ですわよ。別にわたくしのものというわけではありませんし」
「そう。じゃあ、苗木君行きましょう」
「え、行くってどこに? ちょ、ちょっと引っ張らないでよ、霧切さん!」
今朝の私はおかしかった。全然いつもの私じゃなかった。
相変わらず質問攻めをしてくる苗木君を無視して、私は彼の腕を引っ張ってある所へ向かっていた。それは――さっきまで私が居た場所。
「き、霧切さん。どうしたの急に部屋に連れてきて」
「別に……なんとなく、こうしなければならない気がして」
「えっ!? なんとなくって……」
おどおどしながら、私の部屋を見回しつつ私の様子を窺う苗木君は少し体温が上がって、頬に赤みを帯びていた。緊張しているみたい。
「……セレスさんと昨日何をしていたの?」
「え?」
「さっきセレスさんと話していたでしょう? 手取り足取り教えたとか、勉強になったとか……」
「ああ。それか……ポーカーのコツを教えてもらってたんだよ」
私は予想外の答えについ、呆けてしまった。でもすぐに緩んだ口元を締めて苗木君に重ねて質問をした。
霧切・苗木「告白したい」
こんなんか
霧切「最近苗木君が他の女の子とばかり話してる」
とか
モノクマ「やあやあ!やっぱり今日も君達はらぶらぶだね!」
みたいな
「ポーカーって……夜時間にしかもセレスさんの部屋でわざわざ教えてもらわなければならないことなの?」
「僕もそう思ったんだけど、セレスさんが時間も部屋も指定してきたんだよ。だから仕方なく……ねぇ、霧切さんはどうしてそんなに怒ってるの?」
「え?」
怒っているだなんて全く自覚が無かった。確かに苛立ってはいたけど、いつも通り表には出していないつもりだった。
だから、苗木君に「怒ってる」と言われて私は柄にもなく動揺してしまった。だからあんなことを要求してしまったのかもしれない。
「……あなたが、セレスさんと楽しそうに話しているのが嫌だったのよ」
「なんで嫌なの?」
「と、とにかく……許してほしいなら行動で示してほしいわね」
「行動って!?」
「…………だ……」
「だ?」
「だ……抱きしめてくれるかしら?」
鏡なんて見なくても私の顔が真っ赤だろうということは分かった。
それほどに、今まで感じたことないくらいに顔が熱くて、動悸も激しくて……苗木君の目をまともに見ることが出来なかった。
「……よく分からないけど、だ、抱きしめればいいんだね?」
「え、ええ……お願い」
「わ、わかった」
苗木君が一歩私に近づく。それだけで心臓が跳ね上がるような感覚に襲われる。苗木君も顔を真っ赤にして躊躇していたけれど、
ようやく彼の腕が私の肩甲骨の辺りと腰に回された。私よりも小柄な彼だけど、男性なんだと意識せざるを得ないような力強さとか筋肉質な感触とかを感じて、
私の身体中を電流が走ったようだった。
少しの間だったけれど、お互いの心音と緊張で乱れた吐息だけが響く中、私は苗木君のぬくもりを感じて少し落ち着くことが出来た。
「あっ……」
そっと彼が腕を解いて離れたのが、すごく寂しい気がして私の口から声が漏れてしまった。
「えっと……これで、許してくれるかな?」
「……い、いいわ。この件はこれで忘れてあげる」
「今更なんだけどさ、そもそも僕は霧切さんに許してもらわないといけないようなことをした覚えがないんだけど……それに、どうして抱きしめることが謝ることになるのさ?」
「何よ、反論する気? 苗木君のクセに生意気ね」
「ええっ!? ちょっとそれは横暴だよ、霧切さん!」
私は苗木君が好き。これは揺るぎない真実だった。それが真実ならば、私は受け入れて進むしかない。だから、苗木君と一緒なら、どんなことでも楽しみだと心からそう思えた。
― END ―
終わってなかった……だと……
いかん。よくわからないものを投下してしまった。
登場人物増やしてSS書くには精進が必要なようです
てっきり終わったかと思ってたぜ……
乙だ!
こんなゲロブタがSS書きすぎててすみませぇーん!(泣)
うるさいなぁ舐めちゃうよ!?(テルテルッ!)
乙乙
ラジオは明日で終わりなんだな
もう一回霧切さんの声を聞ければ…と思っていたが再度のゲストは無かったか
残念
ラジオ聞いたことないけど中の人は霧切さんについてどんなこと言ってた?
前回はアニメ放送前でネタバレ不可だったので、あんまり突っ込んだ話はなかったよ
頭のいい子だから演じるのに苦労するみたいなことは言ってた気がするけど、それくらいかな
覚えてる限りでは
よく分からないけど苦労するとかあるの?
声当てるだけじゃないの?
漫画が少し展開変わってた
2の時のラジオでは、霧切さん人気は中の人の耳にも届いてるみたいな話してたな
>>902 詳しく
苗木くんのくせに生意気ね
↓
ニュアンスに恋慕を感じる
↓
のび太のくせに生意気だ
↓
ジャイアンかわええ…
まで到達した
そういえば声優は日笠だったな
嫌なことを思い出させるなよ
スクールモードで苗木君をカラオケに誘ってたが
その後行くことはあったんだろうか
外の世界はあんなんだけど
マイク持ったら離さないタイプにみえる
苗木君もデュエットで何曲も付き合わされそう
舞園さんとセレスさんと少しだけ江ノ島さんが出るナエギリSS投下してもいいですか?
舞台はスクールモードですが。
霧切さんはカラオケ行ったことないはず
>>609 このSSに内容の似た薄い本があったな…
これとは違って全く救いの無いドロドロした奴だったけど…
しかも黒幕というか仕組んでいたのが苗木クンだったという…
>>911 >>620と
>>621で言っていますが、書いた後でまるっきりネタが被ってしまった
薄い本があることを知りました!
そのあと見てみましたが、本当に救いのない感じでしたね……
僕は基本ハッピーエンドですw
900超えてるのか……
早いな
カラオケにも興味を示したのはちょっと意外だった
やってみたら案外ハマるかも
>>903 3章の裁判前に霧切さんの事が心配なんだよ!って言ったら霧切さんが何してるのか苗木君だけ教えてもらえた
記憶を失ってどうして学園にいるかも自分の才能もわからないから調べてるって
確かゲームでは5章でみんなと一緒に記憶喪失の事を教えてもらうんだったかな
3か絶望少女のミニゲームで『探偵少女ロジカル☆キョウコ』とか出ないかな?
基本はミラクルモノミと同じで、レベルが上がるごとにロリ切→中学生切→霧切さんと成長してくとか
918 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/29(火) 18:27:21.84 ID:gfoBGEKu
小学生から高校生まで霧切さんを一人前の探偵に育成するゲームでお願いします
タイトルはディテクティヴメーカーで
制作はアトリエかぐやでお願いします
>>916 随分変えてきたんだな
まあアニメでネタバレ済だしそれもアリか
>>916 ここまで言って苗木君は4章で自分が何をしていたか教えてくれないんですよw
逆に言えばそれでも許して、怒りすぎたと反省する霧切さんマジ天使
漫画読んでないからどこまで展開が進んでいるか分からんけど
>>916 結構話変えてきたべな こりゃ5章で苗木君が霧切さん庇うイケメンフラグが・・・
>>919 「パパきらい」から始まって「話し掛けないで」「父親面しないで」と来て、
最終的には睨まれるどころか目も合わせてくれないところまで想像した
心折れそう
昼間言ってた、舞園さん・セレスさん・江ノ島さんが出るSS投下します
スクールモードの設定のつもりです
以下本文
「苗木君は霧切さんのことが好きなんですか?」
「――ッ!? ゲホッ、ゲホッ……! 急に何言い出すの舞園さん!?」
今日は週に一度の休みなので、午前中に食堂で僕が舞園さんとお茶を飲んでいたら、前触れもなく彼女がそう聞いてきた。
さっきまで、他愛もない雑談をして笑っていたから「冗談言わないでよ」なんて言おうと思ったら、舞園さんの表情は真剣そのもので、その瞳は真っ直ぐ僕を捉えていた。
「冗談じゃないですよ。苗木君の日頃の様子から考えた結果、私がそう思ったんです」
「ひ、日頃の様子って……例えば?」
「ええとですね、例えば……」
そう言って舞園さんは人差し指を口に当てながら僕の「日頃の様子」とやらを思い出しているようだった。
僕がドギマギしながら彼女の言葉を待っていると不意に後ろから声をかけられた。
「あら、何だかとても面白そうなお話をされているようですわね? よろしければ、わたくしも混ぜてくださる?」
「セレスさん!」
いつもの本心を隠したような笑みを顔に貼り付けたセレスさんが、こちらの承諾を待たずに僕の隣に座った。
今の話の流れの何が面白そうなのか僕には全く分からない。
「苗木君が霧切さんを慕っている――という話でしたわよね? 舞園さん」
「そうなんですけど、セレスさんもそう思いますよね?」
「ええ、わたくしも間違いないと思いますわ……わたくしというものがありながら、嘆かわしいことですわ」
「……ちゃっかりアピールしないでください。私だって、苗木君とは一番気心知れた仲なんですよ? そこの所、忘れないでくださいね?
そもそも、苗木君と過ごしているのは私なんですから、セレスさんはどこか別の場所に行ってもらえませんか?」
「うふふふ。言ってくれますわね。舞園さん、あなたなかなか面白いですわ」
二人ともニコニコと笑っているけど、なんだか僕には得体のしれない恐怖が感じられた。何でこんなことになったのか、全く訳がわからない。
とりあえず、今すぐこの場から離れたい衝動に駆られた僕に追い打ちをかけるように、舞園さんが再び同じ質問をしてきた。
「まぁ、セレスさんはどうでもいいとして……それで、苗木君は霧切さんが好きなんですか? 」
「ちょ、ちょっと待ってよ! そもそもどうしてそういう風に思ったの!? 僕が霧切さんをそんな――」
「私が何かしら?」
「うわぁああっ!!」
「きゃっ!」
突然後ろから、なんとなく今一番現れてほしくないと思っていた人物の声がして僕はつい叫んでしまった。
それで舞園さんを驚かせてしまったみたいで、彼女も小さく悲鳴をあげた。
「ちょっと、急に叫ばないでくれる? 耳が痛いわ……」
「確かに、今のは品のなさすぎる叫び声でしたわね」
「ご、ごめん。それで、霧切さん……ど、どうしたの?」
僕は後ろを振り返って、いつも通りポーカーフェイス……じゃなくて、何だか物凄く不機嫌そうな顔をしていた霧切さんを見上げた。
「どうしたのって……こちらの台詞よ。あれだけ大きな声で私の名前が出されてたら、私が気になるのも当然でしょ?」
「うっ……!」
「それで、何を話していたの?」
「いや……それは舞園さんが……」
何だかよくわからないけど、僕は自分の今の状況が決していい状況ではないということだけを本能で感じ取っていた。
熱くもないのに変な汗が出る。その時だ。
「――仕方ないですね。苗木君行きましょうか」
「へ? い、行くってどこに?」
急に立ち上がって、移動を促してきた舞園さんに僕は目を白黒させて見ているしかなかった。
こんな状況なのに、どこかへ行くなんてとてもじゃないけどできない。
でも舞園さんはセレスさんや霧切さんのことは全く気にしていない様子で、僕の腕に両腕を絡めて引っ張る。
「来れば分かりますよ。というわけでセレスさんに霧切さん、ちょっと失礼しますね」
「え、ちょ、ちょっと! 舞園さん!」
そう言うと舞園さんは戸惑って動けない僕をズルズル引きずる。
何かを叫んでるセレスさんを無視して舞園さんはどんどん食堂の出口へ向かって歩いていく。背中に霧切さんの鋭い視線も感じる。
けれど僕は、舞園さんは華奢な身体に見えるのに、どこにこんな力があるんだろう――と呑気に思っていた。
するとちょうど出口である人物と鉢合わせすることになった。
「お! 苗木じゃん! ちょうど今探してたんだよねー! って、舞園は何してんの?」
「や、やぁ江ノ島さん」
「こんにちは、江ノ島さん。私は今から苗木君と用事があるので、失礼しますね」
「いやいや! これから苗木と用事があるのはあたしの方だから!」
「!」
「……苗木君と用事、ですか?」
江ノ島さんの言葉に一瞬ピクリと舞園さんの眉が上がる。チラリといつもより冷たい視線を舞園さんに向けられて僕の背筋に悪寒が走った。
「今日の午後は一緒に娯楽室でダーツをしよう、って苗木と約束してんの! だから苗木は借りて行くよ」
「本当ですか、苗木君?」
「そ、そうなんだよ舞園さん! 先週からの約束だから、ごめんね!」
「そういうことだからさ、苗木を離してやりなよ」
「……先約なら、仕方ないですね。苗木君に約束を破らせるわけにはいかないですし……わかりました」
良かった。僕は舞園さんが分かってくれたことに胸を撫でおろしてほっと息をついた。
ようやく腕を離してくれた舞園さんと別れて、僕は江ノ島さんと娯楽室へ向かった。でも、本当は江ノ島さんと約束なんかしてなかったんだ。
「江ノ島さん、助かったよ! 僕が困ってるのに気付いてあんなことを言ってくれたんだね」
「まぁ、あんた明らかに嫌そうな顔してたからね。それよりさ、嘘だったとはいえせっかく娯楽室に来たんだからダーツやらない?」
江ノ島さんが満面の笑みで提案してきて、僕は断る理由もないし、むしろ感謝しているくらいだったからもちろんそれに応じた。
あっという間に楽しい時間は過ぎて、夕食時になってしまった。
「江ノ島さん本当にダーツ上手いよね。ここに来てから初めてやったなんて信じられないよ」
「ナイフ投げるのと違って的が動かないから簡単じゃん? でも楽しかったよ、サンキューね、苗木!」
「僕こそ、楽しかったよ! ありがとう、江ノ島さん!」
ナイフ投げる状況ってどんな状況だよ――って思ったけど、それはもちろん心の奥に秘めておいた。そして僕は江ノ島さんとの会話を楽しんだ。
「マジお腹すいたんだけど」と彼女が言うので一緒に食堂に行くことになった。でも僕はすっかり午前中のことを忘れていて、少し後悔することになった。
「苗木君! やっぱり来ましたね! 夕食時だから来ると思ってました」
「あ、舞園さん」
「苗木君、食事の後付き合ってくれますか? 江ノ島さんとの約束はもう済みましたよね?」
僕を見るなり笑顔で近づいてくる舞園さん。可愛いし、よく話しかけてくれるのは嬉しいんだけど、今日は朝からなんだか怖い気がする。
「えー、まぁあたしはもう苗木に用事ないけど……」
「えっ」
江ノ島さんをすっかり頼りにしていた僕は、その言葉が残念だったけどいつまでも彼女に迷惑をかけるわけにもいかない。
「わ、わかったよ舞園さん」
「ふふっ、良かったぁ! じゃあ苗木君、食べ終わったら私の部屋に来てくださいね? 私待ってますから!」
僕が返事をすると目を輝かせて楽しそうに食堂を出て行く舞園さん。なんとなくため息をついて僕はゆっくりと食事をとった。
……ちょっと今日は味が分からなかったな。
食事を済ませた僕は約束通り舞園さんの部屋を訪ねた。
女の子の部屋を訪ねるのは少し緊張するけどまぁ、何かあるわけじゃないし大丈夫か。
インターホンを押すと舞園さんがすぐに出てきてくれて、僕を部屋へ通した。
「遅かったですね、苗木君。来てくれないかと思いました」
「いや、まさか舞園さんとの約束をすっぽかすわけはないよ。それで僕に何の用事?」
「朝の続きです」
「……霧切さんのこと?」
「はい!」
舞園さんは笑っているけど、なんだか威圧感のようなものを感じる。すべての質問に答えなければいけないような、そんな威圧感だった。
「どうして、僕が霧切さんを好きだと思ったの?」
「だって苗木君、いつも午後の自由時間は他の人に一切目もくれず霧切さんを誘いに行ってるじゃないですか……
私、苗木君が何度も霧切さんに桜の花束とかイン・ビトロ・ローズとかプレゼントしているのも知ってるんですよ?」
「そ、それは……」
「それに比べて私含め、セレスさんや江ノ島さん……他の人たちを誘うのは今日みたいに週に1回の休みの日の午前中か、午後のどちらかだけですよね?
ちなみに必ずどちらかは霧切さんを誘ってますよね? 今日は違いましたけど」
なんでそんなに知ってるのかすごく怖い。いつも舞園さんは「エスパーですから」って言って笑うけど、ちょっとこれはアレじゃないかな。
腐川さん的なアレじゃないかな――と僕は背筋を震わせた。とりあえずここで僕がすべきことは反論だと思ったんだけど僕の視界が横転してそれどころじゃなくなってしまった。
「な、何をするの舞園さん!?」
僕が倒れたところは彼女のベッドの上。かすかに舞園さんの良い香りが鼻孔をくすぐって変な気持になりそうになるのをぐっと抑えた。
でも、舞園さんが僕の上に跨ってどんどん顔を近づけてきた。≪超高校級のアイドル≫にこんなに迫られて興奮しない男は男じゃないと思う。
「私じゃ、ダメですか……?」
「え? ま、舞園さん? それって、どういう――」
――バンッ!
突然大きな音がした。その方向を反射的に見ると、開かれたドアの所に霧切さんが立っていた。
いつも通り無表情なんだけど、なんだか物凄く禍々しいオーラを感じる。
「……何を、しているの?」
「き、霧切さん! ちがっ! こ、これには訳があって! そう、転んだんだよ! 転んでたまたまこんなことに……!」
「あー、鍵かけ忘れちゃってたみたいですね。でもそれよりも、苗木君が彼女に浮気の現場を見られて言い訳をしている人みたいなことを言っている方がショックです……
これはもう確定ですね……はぁ……」
いまだ僕の上に跨ったままの舞園さんが、ため息をついて苦笑しながら霧切さんを見ている。霧切さんも舞園さんを睨みながらカツカツとヒールの音を立てながら近づいてきた。
「あ、あの……舞園さん、とりあえず降りてくれない?」
「……仕方ないですね」
自由になった僕はすぐに起き上がってベッドから降りた。霧切さんがスッと目を細めて舞園さんを一瞥したあと僕を睨みつけた。
僕は息が止まりそうになり、無意識のうちに背筋を伸ばして固まった。
「苗木君、あなたはまだ何かここに用事があるかしら?」
「いえ、特にありません」
「そう。じゃあ、行きましょうか。舞園さん、邪魔したわね……」
「い゛っ!? いででででっ! 霧切さんっ、痛い痛い痛い痛いッ!」
グイッと僕は霧切さんに耳をつかまれてそのまま廊下へ引きずられた。痛すぎる。霧切さんについて行かないと耳がちぎれる勢いだったから、僕は必死に歩いた。
こんなところ他の人に見られたくない――って思った時に限って誰か居るんだよね。
「あらあら、霧切さんに苗木君。どうなさったんですか? まるで浮気現場を見られた夫が立腹した妻に引きずられているように見えるのですが」
「セレスさん……あなたには、関係ないわ」
「そうですか……残念ですわ。今から苗木君を夜伽にお誘いしようと思っていましたのに……」
「……夜伽?」
「ちょっ! 何言ってるんだよ、セレスさん!」
「あら、夜伽の意味が分からないのですか? ええと、確か辞書には、” 女が男の意に従って夜の共寝をすること”とあったはずですわよ」
「意味の解説とか要らないから、お願いだから余計なことを言わないで!」
「……苗木君、どういうことかしら?」
どうしよう。霧切さんがポーカーフェイスじゃない。明らかに怒ってる。目が怖い。
「ぼ、僕そんなの知らないよ! 変なこと言うセレスさんは無視していいから!」
「……それもそうね」
「うあっ! 痛い痛いッ……!」
霧切さんはやっぱり僕の耳を引っ張る。もう色々と心身ともに痛くて僕の目には涙が浮かびだした。
そして、霧切さんの部屋に放り込まれてやっと僕の耳は解放された。
けれど、一切しゃべらなくなった霧切さんと同じ部屋に居るこの状況。気まず過ぎて逃げ出したい。でもこのまま出て行くわけにもいかない、よな?
「あの? 霧切さん……怒ってる?」
「……」
プイッ、と僕から顔をそむけてベッドに腰掛けている霧切さん。もう、僕にはどうしたらいいか分からなかった。僕の手には負えない気がした。
何を言ったらいいか分からなくて、しばらく沈黙が続いた。けれど、黙り込んだままだった霧切さんがようやく口を開いてくれた。
「……今日は、誘ってくれなかったわね」
「え?」
「……いつも誘ってくれるのに……他の女の子とずいぶん楽しそうにしていたわね」
あれ、見間違いかな。霧切さんの顔が赤い、気がする。いや本当に赤くなってる。
「き、霧切さん?」
恐る恐る僕は霧切さんに声をかけて顔を覗き込んだ。すると急に背けていた顔をこちらに向けて僕を睨んできた。
「苗木君……舞園さんと何をしていたの? セレスさんと何をするつもりだったの?」
「い、いや僕は何も……」
「わ、私だってできるのよ?」
「はい?」
霧切さんが何を言っているのかよくわからなくて「何が出来るの」って言おうと思ったら腕を引っ張られた。
今日は一体何度腕を引っ張られたり、言葉を呑んだりしているだろう。そして、体勢が崩れて僕は霧切さんの隣に座る形になった。
すると霧切さんがギュッと僕に抱き着いてきた。必然と、僕の胸板に霧切さんの柔らかいソレが押し付けられてしまう。
「ど、どどどどどうしたの!? 霧切さん!?」
僕が大慌てで尋ねると霧切さんは少し離れて、顔と顔がくっつきそうな距離で、でも少し俯いて上目づかいで言った。
「……私だけを見てくれないと……嫌よ?」
「――ッ!!」
なんだ、これ……。攻撃力半端ない。鼻血出そう。出ないけど。
いつもクールで表情もあまり変えることのないあの霧切さんが、頬を紅潮させて瞳を潤ませて、しかも上目づかいでとんでもないことを口にしている。
「何よ……その反応……」
「え、い、いや……霧切さんが可愛すぎて悶絶してただけだよ」
「か、可愛いだなんて……」
「嘘でも冗談でもないよ。 本当に可愛いよ、霧切さん。みんなに嫉妬してたんでしょ? そんなところもすごく可愛い……
でも、僕はもともと君しか見てないから安心して?」
「……本当かしら? 舞園さんと居るときのあなた、まんざらでもなさそうだったわ。
私が来なかったら簡単にキスとかしてたんじゃないかしら。そんな人の言うことなんて――んっ!?」
言葉で信じてもらえないなら行動で示すしかないと思った。だから反論を続けようとしていた霧切さんの口を僕は塞いだ。もちろん僕の口で。
経験は無かったけれど、霧切さんが可愛すぎてもう我慢がきかなかった、というのが本音。
「――む、はっ…………僕はこんなこと、霧切さんにしたのが初めてだし、霧切さんにしかしないよ」
自分で言っててかなり恥ずかしい。霧切さんの顔を見るのも恥ずかしかったけど、ここは男だ。頑張って真っ直ぐ彼女を見つめた。
霧切さんはというと、一層顔を赤くして目を泳がせている。こんなにうろたえている霧切さんを見ることは皆無に等しいからすごく、何か、来る。
そして霧切さんがためらいがちに、僕をやっと見つめ返してくれた。
「……ねぇ、もう一度してくれるかしら?」
「……あの、ごめん、止まれなくなっちゃいそうだから……」
「いいわよ」
「えっ?」
「私は……あなたになら何をされてもいいわ……だから、もう一回……ね?」
「〜〜〜〜〜っ!!」
今度は照れながら微笑んで最高の殺し文句を言ってくれた霧切さん。ここまで言われたらもう何も遠慮はいらないよね!
僕と霧切さんの夜は、まだまだ終わりそうになかった、というか僕には終わらせる気が無かった。
◇◇
――翌日
「あら、霧切さんそれは……ふふっ。もうわたくしたちの入る余地はなさそうですわね、舞園さん?」
「……悔しいですけど、そうみたいですね。でも、私は諦めません!」
「……? 二人とも何かしら?」
「……気づいていないのですか? それなら、霧切さん耳を貸してくださる?」
僕には三人が何を話しているのか聞こえなかった。
でも、セレスさんが内緒話をするように霧切さんの耳元で何かを囁いた瞬間、霧切さんが急に顔を赤らめて首元を手で押さえた。
「あ……しまった……」
それを見て僕は気づいてしまった。自分の失態に。そして――やっぱり来た。
「苗木君! ちょっとあなたに言わなければならないことがあるわ!」
「ごめん、霧切さん! 次は気を付けるから許して!」
「まぁ! 次、だなんて苗木君は見かけによらず随分と旺盛ですのね」
「苗木君、私も食べがいがあると思いますよ!? だからいつだって乗り換えてもいいんですからね!?」
「舞園さんたちは、黙っててちょうだい! ちょっと、苗木君! 逃げるなんて苗木君のクセに生意気よ!」
――もう嫌だ! 早くこの学園から出たい!
学園生活が終わるという50日目がはるか遠くに感じた朝だった。
おわり
>>932 乙!
こーゆー修羅場みたいなのもいいねぇ〜!
乙乙
スクールモードにはSS的に無限の可能性を感じるべ
乙乙
娯楽室の残姉ちゃんのナイフ云々はスクールモードの話かな?
GJ
こういう普通のラブコメもいいものだ
漫画で立候補してくれないかなぁ
久々に来たらSSで溢れてて天国だべ
やっとスクールモードまで行きついたけどこれはいいナエギリ…
発売前に花のかんむりがベストな選択肢じゃないかって予想があったけどその通りだったな
これはおでかけチケットがマッハで足りなくなるべ
それにしても,本編での苗木君の推理力が高過ぎやしませんかね
過去に霧切さんから,探偵としてのノウハウを教わってたってことなのかな?
苗木は違和感を感じ取る直感的な部分は優れているけど、それを具体的な推理に昇華する能力はさほどでもない印象
>>939説も捨てがたいが
「可愛いものは好きよ」→ 苗木君が可愛いことは周知の事実 = 「苗木君は好きよ」
だなんて妄想解釈してみる
いやむしろプレゼントに可愛いものちょうだいって意味なのかも
>>924 そっちが正しいと思うけど、拡大妄想解釈するのが好きなのです
学園祭の準備関係のSS執筆中だが、やっぱり簡潔にまとめられないorz
登場人物増えると書くの難しい
>>940 霧切さんが気付かなかったことに気づいたりして
探偵と助手の持ちつ持たれつの関係がいいな
945 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/30(水) 12:14:57.48 ID:5jNH6qpb
家にこけしがあるんだけど、もちろん動かないんだけど、動くこけしにしか思えない
あ、あげてしまったすみませぬ
可愛いもの好きな霧切さん的にウサミはどうなんだろう
かわいくないだろ
デベソだし
霧切さんはウサミをいじめることに楽しみを見出してそう
950 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/30(水) 13:42:07.81 ID:PJ9ymBqF
>>926 大変素晴らしゅうございます。
霧切さんって依存しそうだよね。
×いじめる
○いじる
苗木君(霧切さんってB82らしいけどサバよんでるのかな?それにしては小さいような)
B82表記だとBカップでアンダー82cmかと思ってしまった
霧切さんは細身だろうし、イラスト見る限りではCカップくらいかな
公式のサイズ設定って結構でたらめだよね
>>950 ありがとうございます!
素晴らしいだなんて恐縮です!
霧切さんのお胸はカットによって大きくも見えるし小さくも見える
つまりミステリィ
956 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/30(水) 17:23:57.71 ID:cSUCm6wo
957 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/30(水) 17:39:04.43 ID:5jNH6qpb
石丸君って人気なんだね
知らなかった
>>958 この人気投票は、十神、桑田と分不相応なキャラが上位にいる時点で
「あっ……」ってなったわ
そんな腐海の中でも4位をキープできる霧切さんは流石だが
>>959 おいおい十神は元から推されてただろ
まぁ行っても霧切苗木の次で3番手をちーちゃんと争うくらいだと思うが
霧切ファンの品位まで低く見られるから
そういう他キャラディスるようなこと書くのはやめとき
っていうかやめれ
霧切さんが何位であれ苗木君にとっての一番であればいいよ
やっぱ彗星さんも死ぬのかな?
まともな大人であってほしいけど、なんとなく第2の犬塚になりそうな気もする……
一応委員会の指名を受けた探偵は殺せないルール…ではあるんだが
まあ仕掛け次第でどう転ぶかはなんともだな
無駄にキャラ立ってるし、いい大人であってほしいんだが
結ちゃんと彗星さんがイチャついているの見てやきもちをやく、ファザコンのロリ切さん
指定された探偵が別の「黒の挑戦」のターゲットってパターンはあるのだろうか
それがありだったら彗星さん危ないべ
発売日までにもう2回くらい読みなおそうかな
Amazonで二巻の予約始まってるな
今回も250Pちょっとかー、ページ増量を期待したんじゃが
>>968 教えてくれてありがとう
速攻予約したわ
>>964 殺しちゃダメなら,表向きだけでも「召喚された探偵がなんか勝手に自爆しちゃった」って状況を作ればいいってことか
召喚されても安心出来ないな
ぎゃー,気づかんかった,もう
>>970だったか
たててくる
>>972 おーつおーつ
ダンロン霧切で新しい挿絵が楽しみだべ
>>972 乙です
20スレ目……何かが起きたりしないかな
おーちゅおーちゅ
てかとうとう20か…
感無量だな
新スレおっつ
小説二巻は一か月後、フィギュア続報もそろそろ来るか?
まだまだ盛り上がっていけそうだべ
>>972 乙です!
SSでレス埋めまくってしまったせいで早かった……!
978 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/10/30(水) 23:10:39.32 ID:PJ9ymBqF
>>970 探偵役が事故死の場合でも犯人役はルール違反じゃなかった?
だからそれが本当に自爆であっても偽装工作であっても犯人役は探偵役を死なせてはいけないハズ
>>979 ...ゴメン,読み返してみたら確かにそう書いてあった
いかなる理由でも,探偵の封筒開封後168時間以内に召喚された探偵が死亡した場合,黒の敗北だし,基本的に傷つけるのも禁止だって
新スレ乙!
七村さんには一流探偵らしい活躍を期待したい
ほら、ほかの二人はか弱い女の子だし
霧切さんは後に逞しく成長するけど
同一のターゲットを別個の動機を持った二人の犯人が狙う、つまりどちらが先に殺人をなし遂げるかを犯人同士で競いあうシチュエーションだとか、
あるいは犯人Aのターゲットが犯人Bで、同時に犯人Bのターゲットが犯人Aというシチュエーションだとか、
探偵に危険が及びうるシチュエーションは可能性として考えられなくはないかな
霧切さんって子供生まれたら、アルターエゴと接してるような優しい感じなのかな
でも厳しい時は厳しい理想の母親かな
苗木君は子どもを甘やかしすぎて霧切さんに怒られてそう
ホビージャパンでフィギュア続報来ると思ったがなかったぜ
ダンロン霧切2巻楽しみだわー
>>983 厳しさ:優しさ3くらいの比率が理想です
ミスった
厳しさ7:優しさ3くらいの比率が理想です
>>989 それに賛成だ!
うーん。SS登場人物は全員出すとナエギリ成分が薄くなってしまう。
ここでは投下できないかも……
霧切さんに初期設定の服装させても似合うと思うの
初期ギリさんのデザインもいいよな
何かで再利用してほしい
とりあえず埋めていくべ
「苗木君が、私とずっと一緒に居てくれるって言った直後に朝日奈さんとデートの約束をしている件について」
とか霧切さんが2chスレッド立てたらどうなるか
サブジェクトが長すぎます!って出る
>>998なら絶対絶望少女に霧切さんの出番が沢山ある
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。