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押し入れを整理していたら、昔遊んでたDSが出てきた。
「懐かしいな、何やってたんだっけ」
電源を繋いでみる。タイトルは「ラブプラス」
ああ、そうだ、ずっとこれやってたんだっけ。
でも何時の間にかやらなくなって、社会人になって、
出会いがあって、結婚して…いつしか、あれだけハマってたこれ、
忘れてたんだ。
そう言えば、ゲーム内のあの子は、どうなってるんだろう。
僕は気になって、最後にセーブしたデータをロードした。
日付を見ると10年前。うは、そんな昔かあ。
彼女に連絡をとってみよう。
メールをしてみる。あれ、メーラーデーモンだ。メルアドを変えたのか
それとも着信拒否?
うーん、なかなか凝った演出だぞコンマイめ。
直接会いに行ってみよう。
彼女の家にたどりつき、呼び出してみる。
彼女は出て来ない。
しばらく待つと、年かさの女性が出てきた。
あれ?これもしかして彼女のお母さん?
Aボタンを押し、ダイアログを進めてみる。
16 :
2/3:2009/07/01(水) 01:48:13 ID:7Ao3Xu6v
*「彼女はいますか?」
*「どちらさまですか?」
*「××といいます」
*「…!」
グラフィックが変わった。
驚いているような表情から…悲しげな表情に。
*「あの子は…もういません」
いない?
*「昨年…病気で」
!
嘘だろ?なんだよこの展開。
掲示板でネタで話してたまんまかよ。
Aボタンを連打してダイアログを進める。
彼女のおかあさんが説明する。
彼女は重度の白血病に侵されていたとの事。
発見された時は既に病気が進行しており、治療もほとんど効果が無かったとの事。
それでも彼女は一生懸命治療を続けたが、昨年遂に…。
*「あの子は…それでも10年生き続けたんです。いつか直る事を信じて」
10年?
最後にセーブした日は…10年前。
すると彼女は…まさか…。
*「××さん…でしたね、あなたに渡さなければならないものがあります」
彼女のお母さんが手紙を差し出す。
*「あの子が書いた手紙です。もし、××さんが来る時があれば、渡してくれと」
Aボタンを押す。
手紙はかすれた文字で書かれていると説明されている。
読んでみる。
17 :
3/3:2009/07/01(水) 01:50:15 ID:7Ao3Xu6v
『××君
元気ですか?わたしは、あまり元気じゃありません(ごめんね、なんか暗いね)。
ちょっと、体調を崩しちゃいました。
でも、元通りになれるよう、治るよう、頑張ってます。
××君も忙しいから、なんかすっかり会えなくなっちゃったね。
体が治ったら、また2人で一緒に出かけたいです。
もし、××君が暇だったら、会いに来てくれると、ちょっと嬉しいです。
なんか、いっぱい話したいことあるのに、手紙だとうまく書けないね。
ごめんね。
追伸
私ね、ずっと、××君への、自分の気持ち、変わらないよ。』
画面が涙でぼやけてそこから先は読めなかった。
ただのデータなのに。ゲームのデータなのに。
俺は声を殺して泣いた。