714 :
前スレ867:
※前回のあらすじ アラドがゼオラのチチ揉んでグシャッ
【荒ぶる頬神】
〜艦内通路〜
(謝らなくっちゃな…アイツの事、傷付けちまった)
上官による愛の取調べを受け、見事に更生したアラド。その足取りは決して軽くは無いが、覚悟を決めた様子で前へと進んで行く。
ゼオラの部屋へと向かう道すがら、アラドは先程の様子を思い出す。
『何スかコレ』
『お守りよん、アラド君』
『お守り?』
『そそ。若い二人の未来を祝福してくれる…そんなおめでたいペンダントなのよ』
『ありがたいの間違いじゃないスか?』
『いいツッコミでございますです』
エクセ姐さんは優しい慈愛の眼差しで、そっとペンダントをアラドの首にかけてくれた。
ピーッ ピーッ ピーッ
…ペンダント内から機械音がする。コレ絶対スパイアイテムだ。突っ返しておこう。
『気持ちだけもらっておくッス』
『チッ』
なんとも頼り甲斐のある上官をもった不運を嘆きつつ、アラドは真っ直ぐにゼオラの部屋へと向かう。
そして、部屋の前に到着。すーはー、すーはーと数回深呼吸。ごく、と喉が鳴る。あぁ、緊張してる。
そしてアラドはそっとドアに手を伸ばした。
〜ゼオラの部屋〜
(…ダメ。こんな事じゃダメよ…!私、あれからずっとアラドの事ばっかり考えてる…!)
不意打ちとはいえ、自分の胸をアラドに触られた。
他の男の人なら泣いていたかもしれないけれど、今はどういうわけか…ずっとドキドキしたまま。
何度も何度も頭の中で先程の感覚がフラッシュバックして胸が苦しくなる。
息を整えて落ち着かせてもまた思い出してしまって…という無限ループがもうずっと続いている。
もうわかっている。自分がアラドを大好きだという事。
自分にとってのパートナーはアラド以外考えられないという事。
そしてアラドの気持ちはともかく、自分の気持ちはもうずっと前から固まっていたという事。
(今…アラドの顔を見たら私…。…私……!)
この気持ち、まるで空気が限界まで詰まった風船のようだ。
ダメ、来ないで…!この気持ちがもう少し落ち着くまで、私を一人にしておいて…!
コンコン。
「…ゼオラ。俺だよ、アラドだけど…いるんだろ?」
(!)
タイム・リミット。人類に逃げ場なし。
715 :
前スレ867:2005/09/12(月) 23:05:12 ID:YqUzfxX1
中から気配はする。でも、問いかけても返事は無い。
(あぁ、やっぱり怒ってるんだな…)
誠意を尽くして謝らなくてはならない。その為には、ちゃんとゼオラの顔を見て謝らないと伝わるものも伝わらないかもしれない。
アラド自身、そんなに口が上手い方では無いと思っている…特に、ゼオラの前では。
上手になんて言えないなら、真っ直ぐにぶつけるしかない。
(スキンシップのつもりが行き過ぎてお前を傷つけてしまった。反省している。…くらいは伝えないと…)
コンコン、ともう一度ドアを叩く。
「ゼオラ、俺…お前に謝りたい事があるんだ。言いたい事があるんだ…顔を見せてくれないか」
「…」
「…頼むよ…俺、このままずっとお前を傷付けたままで終わりたくない」
プシュ、とドアが開いた。
「…入って」
「…ありがとう、ゼオラ」
随分久し振りに見たようなゼオラの顔は、頬が染まっていて伏し目がちの表情で…ほんの少し、困っているようにも見えた。
〜謎の人影〜
『シスター3から2、こちら作戦成功でございますですわ』
『了解シスター3。4も直ちに次の作戦に移って…んふふふ、甘いわよアラド君…燃えてきたわね』
『レオナ…ゴホン。シ、シスター4…了解です』
ちっとも謎じゃなかった。
716 :
前スレ867:2005/09/12(月) 23:05:57 ID:YqUzfxX1
〜ゼオラの部屋〜
「…隣、座っていいか」
「うん」
ギシ、とスプリングをたわませてゼオラのベッドの上に肩を並べて座る二人。
そういえばゼオラの部屋にこうして上がるのは初めてかもしれない。なんとなくふんわりしたいい匂いがする。
(やばい、俺凄く緊張してる…!)
膝の前で組んだ手に変な汗を感じる。目を合わせられない。ドッドッドッドッ、と心臓がうるさい。
頭を上げられないでいるアラドには、ゼオラも同じように緊張している事に気付く余裕もなかった。
少しの沈黙の後、アラドは意を決した。大きく息を吸い込む。
「…ごめん!」
「…アラド…」
ばっ、と頭を下げて思いっきり謝る。これだけじゃだめだ。ちゃんと、傷付けた理由を言わなくちゃ。
ばっ、と頭を上げてじっとゼオラの目を見る。どっちの顔も、真っ赤だった。
「俺、俺…お前の気持ちも考えないで!やり過ぎたんだ、スキンチッぷぇッ!」
「…アラド?」
噛んだ。大事な台詞を、緊張の余り完全に噛んだ。もうなんか恥ずかしくて泣きそうだ。
「ま、待ってくれゼオラ!今のナシ!今のナシ!ちゃんと謝らせて!お願い!」
「……ぷっ…あは、あはははは…!」
アラドの顔が必死なのが妙におかしくて。ゼオラは思わず吹き出してしまう。
「…あの、ゼオラ?」
「あは、あはは…もう…肝心な所が締まらないんだから…」
「…うぅ…(///)」
「ゴメンね笑ったりして…あはは、でもダメ…」
「…とほほ」
情けなさからか、アラドのほっぺが垂れる。
「いいのアラド…私、そんなに怒ってないよ?」
「…でもさ、俺…お前の事何も考えないで…」
「でも今は考えてくれてるじゃない。それでいいの」
「ゼオラ…」
アラドのほっぺをきゅ、とつまんで微笑むゼオラ。
「…いいの、アラドだから…許してあげる」
「ゼオラ…」
〜例の人影〜
『シスター3から2へ。コード「和解」発動しました』
『了解よん。ん〜…若いっていいわねぇ…』
(…駄洒落じゃないよね、少尉…)
『こちらラト…ゴホン。シスター7、部屋の情報包囲網完成しました』
『OK、そのままデータを取り続けて』
いつの間にか大所帯になっていた。
717 :
前スレ867:2005/09/12(月) 23:06:57 ID:YqUzfxX1
〜アラドとゼオラの部屋〜
すっかり仲直りしたので部屋の名前もリニューアルだ。おめでとう。
「ねぇアラド」
「ん?」
「…他の女の人の胸って…気になる?」
「うん」
「…もうっ」
正直すぎる。でもそんなアラドも今のゼオラにはかわいく見える。とりあえずほっぺをきゅ。
「ラミアさんとか?」
「あの人のは凄すぎて手が出ねぇ…どうすればいいんだろうな」
「どうもしなくていいの!」
ぷんすかしてるゼオラも今のアラドにはかわいく見える。お返しにほっぺをきゅ。いちゃいちゃ。
「エクセレン少尉とか…」
「…実は一度触らせてもらった事があるんだ…」
「えぇっ!?」
突然の爆弾発言。思わずほっぺを引っ張るゼオラ。いだいいだい、伸びる伸びる。涙目のアラドもかわいかった。
『ほ〜ら触ってもいいのよ〜ん?』
『じゃ、じゃあちょっとだけ…うわ!?は、離れない!?』
『…かかったわね』ニヤリ
『す、吸い取られ…うわぁぁぁ……!』
「…っていう事があってさ…アレがアインストおっぱいって奴なのかな…」
「…わ、私のは大丈夫だから…ね?」
「…あぁ……」
何かを思い出してガクガク震えるアラド。優しくほっぺをつまんでなだめるゼオラ。恐るべしアインストおっぱい。
「リルカーラ少尉とか?」
「あの人に手を出したらはともかくユウキ少尉が…」
『あぁっ…!そ、そんな所にダージリン…いやぁっ…!』
『全く…悪い子にはお仕置きが必要だな』
『ひぎぃっ…!あ、アッサムぅ!アッサムぅぅぅぅ!!!』
『ふふ、ここがもうこんなにアールグレイだぞ…?』
「…紅茶責めとかされそうだ…」
「随分斬新な拷問ね…」
本人が聞いてたら凄く怒られると思う。
「ゼオラ…やっぱりお前のが一番いい」
「やだもう…アラドさんのえっち!」
非常にギリギリのネタだった。
〜噂の人影〜
『これで情報は十分集まったかしら?』
『では早速転送します』
『んふふ、明日の朝が楽しみね…』
718 :
前スレ867:2005/09/12(月) 23:08:26 ID:YqUzfxX1
翌日。
「リョウト、おはよ!」きゅ
「あ、おはようリオ」きゅ
「レオナ、ちょっとだけいいだろ?」
「し、仕方ないわね…少しだけよ?」きゅ きゅ
「ユウ、もう一回もう一回!」きゅきゅきゅ
「いい加減にしてくれ…あと一回だけだぞ」きゅ
「ヴァ、ヴァルシオーネのほっぺ…と、届かねぇッ…!」ぴょんぴょん
(リュウセイのほっぺ…うぅ…)
「おはよう、ブリット君」きゅ
「あぁっ!」ぶはっ
「ほ、ほっぺで鼻血!?」
「友よ」きゅ
「応」きゅ
「ど、どういう事コレ…?」
「…まさか…?」
艦内を見渡す限り、そこかしこで互いのほっぺをつまみ合うバカップルの姿が。一部間違い探しみたいなのもあるが。
慌てて艦内掲示板を見てみると、そこにはこんな紙が。
『週刊クロガネ 秋の特別編集号』
●熱愛(ようやく)発覚!!ツインバードの二人を熱血必中直撃取材!
<朝まで彼のほっぺにあんな事やこんな事を…!>
「…」ばたっ
「お、おいゼオラ!しっかりしろ!」
羞恥の余りその場に倒れてしまうゼオラ。結局次の日の朝まで目覚めず、その間もずっとアラドが側に付いていた為
再び噂は拡大する一方であったという事だきゅ(語尾)。
勝手に長々と幅取って申し訳ございませんでした…。失礼しました。