〜医務室〜
「あー、死ぬかと思ったッス」
「あれだけの傷がそれで済む仕組みが不可解よね…」
体を消毒液に浸け込んで、頭にちびアラドを乗せたら傷は大体治った。凄い。
「ちょっとやり過ぎたのかな…」
「セクハラを?」
「何も説明してないのに正解に辿りつかないで下さい」
セクハラ女王の尋問は何よりもまずそこから始まる。結果大当たり。
「わぉ、ビンゴ?んふふ…で、どうだったの?濡れてた?」
「ストレートにオヤジ過ぎてスゲェ!」
セクハラ女王の尋問は何よりもまずそこへ結論を導こうとする。
根掘り葉掘り聞かれる予感の中、ちびはアラドの頭の上でうつ伏せになって寝ていた。和む。
〜ゼオラ私室〜
(……………)
ゼオラは自室のベッドに横になり、ずっと枕に顔を埋めたまま動かないでいた。
あの時、真っ赤に茹で上がった顔は未だに冷めないままで。
(アラドの……手…)
彼を好きでい続ける限り、いつかはそういう瞬間が来るのかなと思ってはいた。
もっと大人になったら、アラドの方から求めてくるのかなとか、そんな覚悟が全然ないと言えば嘘になる。
でも、さっきのは不意打ち過ぎて。
(思ってたより手が大きくて…凄く熱かった……)
あんなに頭の中が真っ白になるなんて。口を開く余裕なんて無くて、体も動かせなくなって。
ビックリし過ぎてもう何が何だかわからなくなってた。
でもなんだか、今も体の中にはあの時のアラドの熱さと、自分の中から噴き出すような熱さがあって。
(…熱いよ……アラド………)