第一章「同盟」
暗闇の中に一筋の光が当たっていた。
月も何も出ていないのは何故なのか。
深い闇を纏う新月が空から見下ろしていた。
誰もが寝静まった夜。終わった宴。
遠くで獣ポケモンの遠吠えが聞こえる。
その声はただ寂しく響き渡り、この「サバイバル」そのものの恐ろしさを体現していた。
「良い新月だ」
尋常な量ではない、恐ろしさを感じさせる白髪が左右に揺れた。
真っ暗な闇の中に水色の点が二つ浮かび上がる。
ガサガサと、ポケモン達が道を開ける音が響いた。
ダークライ「本当にいいのか?私と同盟などくんで」
声の主――ダークライは切り株に腰掛けながらしわがれた声でそう言った。
隣に腰掛けたもう一匹のポケモンはそれに呼応する。
サンダー「いいも悪いもお前ほどのやり手が他にいるものか。
本当にくんでくれるならこれほど心強い事はない。
このサバイバル……勝ち残れるぞ」
黄色い雷を纏った羽を束ね、早口に、しかし重々しげにサンダーは言った。
鋭い眼光が新月とその闇を見据える。
サンダー「もし生き残ったら俺の分の【願い】もお前に譲渡するつもりだ。
悪い話では、ないと思うが?」
ダークライは暫しサンダーを見つめた。