ピカチュウ「649匹のサバイバル?」

このエントリーをはてなブックマークに追加
279雪のレインコート ◆AmrxKrymxGfh
第一章「同盟」

 暗闇の中に一筋の光が当たっていた。
 月も何も出ていないのは何故なのか。
 深い闇を纏う新月が空から見下ろしていた。

 誰もが寝静まった夜。終わった宴。
 遠くで獣ポケモンの遠吠えが聞こえる。
 その声はただ寂しく響き渡り、この「サバイバル」そのものの恐ろしさを体現していた。

「良い新月だ」

 尋常な量ではない、恐ろしさを感じさせる白髪が左右に揺れた。
 真っ暗な闇の中に水色の点が二つ浮かび上がる。
 ガサガサと、ポケモン達が道を開ける音が響いた。

ダークライ「本当にいいのか?私と同盟などくんで」

 声の主――ダークライは切り株に腰掛けながらしわがれた声でそう言った。
 隣に腰掛けたもう一匹のポケモンはそれに呼応する。

サンダー「いいも悪いもお前ほどのやり手が他にいるものか。
      本当にくんでくれるならこれほど心強い事はない。
      このサバイバル……勝ち残れるぞ」

 黄色い雷を纏った羽を束ね、早口に、しかし重々しげにサンダーは言った。
 鋭い眼光が新月とその闇を見据える。

サンダー「もし生き残ったら俺の分の【願い】もお前に譲渡するつもりだ。
      悪い話では、ないと思うが?」

 ダークライは暫しサンダーを見つめた。