101 :
和孝 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/16(日) 21:16:26 ID://r0HhF90
みんなの支援、心に伝わったぜ!
次回は謎の敵がヨモギの前に現れるぞ!
楽しみに待っていてくれ!
文章力が明らかに上がっているな。
いかに物語をスレ住民受けするかが課題だと思う。
陰ながら応援しとくわ。
ヒエって名前BWの主人公に使っていい?
あとキャラではスネイキーが好きだわ
文章劣化してもいいから
もうちょっと早い間隔で話進めてほしい
文章は人をひきつける力があるから劣化はいけないとおもふ
夏目漱石が死んだ時傍の机には執筆中だった著書「明暗」の原稿が在った
彼は死ぬまで小説を書き続けていた
継続が大切なのは文豪がその身をもって当時及び後世に示している
そして誰もいなくなるか?
和孝は犠牲になったのだ
109 :
和孝 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:05:57 ID:ncIEsJ4t0
ハロー、今日は5話の投下にきたよ
>>102 応援ありがとう!文章は何となく多めにしてみただけだけど
>>103 使ってもいいよ!スネーキは俺もお気に入りさ
>>104 検討しとく!!行き当たりばったりですまない!
>>105 いいこと言う!洗脳の道具だよね!
>>106 漱石さんストレスによる吐血だっけ?笑える突っ込みとか盛りだくさんで日本の古典文学では現代人でも面白く読める部類だよね
>>107 犯人はガロアだと思ってた
>>108 兄さん、まずは5話だ……
110 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:08:57 ID:ncIEsJ4t0
修行を始めてから三週間ほど経とうとした頃。
今まで飽きることなく修行に専念していたヨモギだが、
ヨモギ(オレはどこまでヒエと戦えるんだ……?)
そんな考えが頭をよぎった。三週間で自分はどれほど成長したのかという疑問。自分の成長振りを確かめてみたいという意欲がヨモギの心から溢れでてきたのだ。
布団の中で転がって頭を捻らすが、その思いを消し去ることはできない。ヨモギは電灯をつけ、古びた机の上に無造作に置かれているボールペンの一つを無造作に手に取った。
第5話 何者だ!
そろそろ昼になろうという頃、ポケモンセンターを出たシシトウはいつものようにノートパソコンを抱えながら、ソテツの道場へと出向いた。
道場の前まで足を運ぶと、庭で衣服を竿にかける少女の姿が目に入る。
ようと声をかけると、ローザはあいさつを返し、洗濯かごを片手に門を開いた。
111 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:11:39 ID:ncIEsJ4t0
シシトウ「ヨモギの様子を見にきたよ」
ローザ「やっぱり? でも今日はちょっと無理かな」
今日は無理とは妙な返答ではないか。
シシトウは今まで何度もこの道場を訪ねたが、ヨモギの様子を見せてもらえないとは初めての経験だ。
シシトウ「風邪でも引いたの?」
ローザは違うと首を横に振った。
シシトウ「それじゃあ、秘密の地下室にでも?」
ローザ「うちの道場に地下室なんてないと思うけど」
シシトウ「じゃあ……」
ローザ「今朝、部屋を見たらいなくなってたの」
シシトウ「えっ!」
思わぬ返答にシシトウは大声を上げた。
112 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:14:29 ID:ncIEsJ4t0
シシトウ「家出か?」
ローザ「靴が無くなってたから、多分ね」
ローザはそっけなく答える。
シシトウ「修行を投げ出す奴には見えないんだがな」
ローザ「まあ、そのうち帰ってくると思うよ」
シシトウ「そのうち。ってねえ……」
※
ヨモギ「こいつがどこにいるか知らない?」
ヨモギが市場の店員に向かって切り取ったノートのページを見せる。そこには強い筆圧でヒエの似顔絵が角ばった感じで描かれていた。
店員は口ひげを弄りながら似顔絵をじっと見つめたが、やがて「そんな奴は知らない」と訛りのかかった口調で答えた。
それを聞くとヨモギは肩を落とし、ため息をつく。
同時に似顔絵の紙がするりと手から離れていくのを感じた。
ヨモギ「あっ!」
声を上げたころには店員の横にいたキャモメが似顔絵を長いクチバシで咥え、食べ始めていた。
店員がキャモメを叩いて似顔絵を吐き出させたが、絵は唾液で濡れてところどころがかけてしまっていた。ヨモギはそれを手にしてうめき声をあげる。
店員「いや、すまんアル」
店員は商品の棚から黄色いウブの実を手に取り、ヨモギに手渡した。
113 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:18:37 ID:ncIEsJ4t0
ヨモギは実をかじりながら昼の市場を歩いた。
三週間前とほとんど変わらない景色。様々な年齢、様々な職業の人がそれぞれの目的で市場に足を運んでいるのだ。
そんな中で一人の人物を探し出そうと思ったら大変である。
ヨモギ(ヒエの野郎はどこにいるんだ?)
半ばあきらめたい気持ちも心に抱きながら、周りを見渡した。
似顔絵なくして人探しは困難極まりない、このままでは無断で道場を出てきた意味を失ってしまう。
ヨモギが軽い鬱を覚えていると後ろから「待て」と野太い声が聞こえた。
振り返ると二人の男が立っていた。片方は大柄でスキンヘッド。もう片方は小柄で爬虫類的顔立ちをしながら舐めるようにヨモギを睨んでいた。
どちらも三週間前の市場で目にした顔だ。確か名前は……
ヨモギ「チェリと……スネーキだっけ?」
スネーキ「ふふん。覚えてくれたなら都合がいい」
両者は妙に誇った顔でうなずきながら、腰についたモンスターボールを取り外す。
チェリ「この前の借りを返させてもらうぜ」
ヨモギ「バトルか?」
望むところだ。と口から出掛かったときにヨモギの一つあることを思い出した。
ヒエはこの二人に雇われていたのだ。
ヨモギ「お前らだったらヒエがどこにいるか知ってるよな?」
チェリ「ああ、無論だ」
114 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:24:53 ID:ncIEsJ4t0
ヨモギ「よし、じゃあ教えてもらうか」
チェリはいいだろうと頷いた。
チェリ「俺様たちに勝てたらの話だがな!」
チェリは快活に叫びながら、豪快にモンスターボールを投げた。
――数分後。倒れた自分のポケモンをボールに戻し、うなだれる二人の姿がそこにあった。
チェリ「馬鹿な……この三週間、地獄の特訓を重ねたというのに!」
チェリはうちのめされるように地面に拳を叩けつける。
ヨモギもこの三週間を無駄にしてきたわけではない、自分の勝利に疑いはなかった。
ヨモギ「ヒエは今、どこにいるんだ?」
言葉を失う二人を見据えて、ヒエの居場所を問いた。
115 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:28:00 ID:ncIEsJ4t0
※
ヒエ「アームハンマー!」
技を指令する声が聞こえた瞬間、木がへし折れる音が森にこだました。
朽ちた木がドスンと落ち、地面が揺れる。
ヨモギは少し離れた木の裏から、その声の主を確認した。
鋭い目つきに、少年離れした筋肉、それを持ったその人物はヒエに間違いない。
ヒエ「……何をしている?」
ヒエがヨモギに感づいたのか、木に向かって言葉をかける。
ヨモギは、ばれては仕方ないと木の裏からヒエの前に姿を見せた。
ヨモギ「オレを覚えてるか?」
少しの間、沈黙する。
ヒエ「何者だ?」
ヨモギ「ぬっ」
思わぬ返答にヨモギは失望する。
ヨモギは腰のモンスターボールをとりはずし、ヒエに突きつけた。
ヨモギ「忘れたならポケモンバトルで思い出させてやるぜ!」
ヒエ「いいだろう」
ヒエはそれに応じ、腰からモンスターボールを取り外す。
116 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:32:35 ID:ncIEsJ4t0
ヨモギ「バトルだ! エモンガ!」
ヒエ「轟くがいい! ローブシンッ!」
互いが掛け声と共にモンスターボールを投げ、それぞれにポケモンを繰り出した。
ヨモギはエモンガを繰り出すやいなや、ローブシンに電磁波を放たせる。
ローブシンは微動だにせず、そのまま電気の輪を体に浴びせられた。
ヨモギ「ボルトチェンジ!」
エモンガは身に電気をまとい、バチバチと激しい音を鳴らしながらローブシンにつっこんでいく。
ヒエ「木にマッハパンチだ!」
ローブシンが背後の木に素早く拳を打ちつけると雷鳴なような音とともに木片がエモンガに飛び掛った。
「かわせ」の言葉と共にエモンガは体の電気を解き、降り注ぐ木を避ける。
それを待ち構えていたようにローブシンがエモンガの前に立ちふさがった。
ヒエ「アームハンマー!」
ローブシンがエモンガに向かって重い拳を振り落とすと大きな音が轟き、砂埃が巻き上がった。
117 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:34:50 ID:ncIEsJ4t0
ヨモギ「くそっ……」
砂埃が晴れると地面に大きなくぼみが出来ており、その真ん中でエモンガは力尽きていた。
ヨモギは言葉を失いながら、エモンガをボールに戻す。
ヨモギ「頼むぜ、ニューラ!」
通常の戦法では恐らくローブシンの圧倒的パワーの餌食になる。
ならばこちらも変わった手法で挑む他ないだろうとヨモギは考えた。
ヨモギ「ローブシンの周りの木を切り裂け!」
ニューラが迅速にローブシンの頭を飛び越え、鋭い爪で周りの朽ちた木を切り裂いていく。
同時に周辺の木がローブシンに向かって倒れ掛かってきた。
ヒエ「猿真似は通じん!」
ローブシンは倒れてくる木を素手で捕らえ、それをニューラに向かって投槍のように飛ばした。
急速な動きで飛んできた木が直撃し、ニューラはその場に倒れた。
ヨモギ「くっ……」
圧倒的な実力差に絶望する。三体目のポケモンを出しても勝利はないことをヨモギは悟った。
そして相手に戦意がもう無いことを悟ったのか、ヒエがローブシンをボールに戻す。
ヒエ「この前に比べればマシになったが……それだけだ」
黙りこくったヨモギをよそにヒエは場を去っていった。
118 :
第5話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 20:37:57 ID:ncIEsJ4t0
※
スネーキ「くそっ!」
スネーキが鉄パイプを道路に打ち付けるたびに、高い金属音が響き、黒い石が飛び散る。
そして自分の姿を珍妙そうに見る男女のアベックに鉄パイプを投げつけた、アベックは一目散にその場から逃げ去っていく。
スネーキ「このまま引き下がるわけには行かねえ、もっと……」
「もっと強くならなければならない」
背後の自分にハッと気づき、スネーキーは振り向く。
視線が合うと、声の主は穏やかな笑みを浮かべた。
フロックコートを着こなした手足の細い紳士で、茶がかかった髪をオールバックにしている。
そして、余裕ある表情に、白い肌。スネーキには無縁な、位の高い人物に見えた。
スネーキ「なんだ、アンタ……」
スネーキは遠慮がちに言う。紳士は蒼白な顔に不気味な微笑を覗かせ、
「勝利を望む人間が必要なのです」
そう言った。
――――第6話に続く
119 :
和孝 ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 21:13:16 ID:ncIEsJ4t0
支援ありがとう!
次回はヨモギの前に最強最悪の敵が登場するぞ!
要チェックだ!!
チェリィってネームはやっぱりマズかったの?
121 :
入れ忘れ ◆Mk7zjh6zL. :2011/01/26(水) 22:44:08 ID:ncIEsJ4t0
――
ヨモギ「くそっ!」
ヨモギは何度も拳を地面に打ち付ける。黒い土が飛び交った。
ヨモギ「修行したのに、どうしてなんだ!」
自分の姿がさきほどのチェリーたちと重なった。チェリーたちも今の自分と同じ気持ちだったのだろう。
修行をしても実力の差はまるで埋まっていない。その理由は……
そう、ヒエも確かにこの場で修行をしている。それを忘れていた。
ヨモギ(オレが修行してる間にもヒエは強くなってる)
ヨモギは拳を握りしめ、立ち上がった。
ヨモギ(ヒエに勝つにはヒエの修行を超えた修行をしなきゃダメってことか!)
そう思うといてもたってもいられない。早く修行を再開すべく、ヨモギは道場に向かって走りだした。
ジェフ「一体いつの間に!?というより、なぜ宇宙服も着ずに外に出て平気なんだ!?」
ケン「あれは超・要素仙術、風の章の技の一つ、「風花の障壁」をまとっているからさ。」
サトシ「なるほどな・・・。あれを使えば、少しの間空気がなくても行動できるぜ。」
もっとエロ描写増やせ
124 :
名無しさん、君に決めた!:2011/01/31(月) 23:34:05 ID:2fmUvo/ZO
ヒエがカッコイいくて濡れました>>
えぇい!ポケモンはいい!エロをうつせ!
126 :
和孝 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 22:52:34 ID:yMxBuMeI0
話を考えるのに6日、実際に書いたのは4時間程度な第6話を持ってきた
>>120 最初の予定より重要なキャラになりそうだから、読みやすい名前にシフトチェンジ
>>122 レジェンドバズーカには憧れる
>>123 この作品は上品なんだぞ
>>124 寡黙な武人のつもりだったけど、喋り捲りだった
>>125 男同士なら可能かもしれない
127 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 22:57:08 ID:yMxBuMeI0
「勝利を望む人間?」
スネーキーは怪訝な顔で紳士を見返した。
「そう、あなたは素晴らしい才能を持っていらっしゃる」
紳士はスネーキーに背を向けた。
「ついて来てください。私があなたに相応しい力を渡しましょう」
「……少しぐらいなら付き合ってやるよ」
第6話 飛べ!
紳士がスネーキーを連れてやってきたのは、カラオケ店だった。
外装のライトは壊れかかって点滅しており、看板にはマイクを持ったポケモン(ピカチュウと思われる)が汚く描かれていた。これではほとんど客がこないだろう。
128 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 22:59:34 ID:yMxBuMeI0
「なんだ? 俺におごってくれるのか」
スネーキーが茶化したように言うと、紳士は何か小さくつぶやき、店内に入っていった。紳士はまっすぐカウンターに向かっていき、「41番をお願いします」店員たちに告げる。
「かしこまりました」
筋肉質な店員がカウンターから出て、店内の奥へと進んでいく。紳士たちもそれに続いた。
個室に見える1や2の番号札は個室の番号をあらわているのだろう。しかし、41番とはこの店の大きさから考えていささかありえないはずだ。
しばらく店内を歩きまわり、最後、ドアに突き当たった。そこには関係者以外立ち入り禁止と書かれた張り紙が張られている。
「なんだよ、関係者以外は入っちゃいけないんだぞ」
「ご心配なく。私は関係者ですから」
紳士は微笑みながら胸ポケットから金色のカギを取り出し、鍵穴に差し込んだ。ガチャリと音がすると、扉から風がふき出す。
「なんだと!?」
スネーキーは思わず声あげた。扉の先にあったのは下へと続く階段だったのだ。
「さあ、付いてきてください。恐れることはありませんよ」
紳士はニヤリと笑いを浮かべた。
129 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:02:28 ID:yMxBuMeI0
二人が暗い階段を下り始めてしばらくすると、下の部屋から少し光がさしこむのが見えてきた。
スネーキーはこんな暗いところは御免だというように、階段を駆け抜けて下り、その先の扉を開く。
「……ここは!」
その先に広がる景色を見て、スネーキーは声をあげた。
地下に作られた、巨大な部屋。そこに置かれた様々な運動器具と、それに繋がれたモニターのついた不気味な機械。
何かの実験施設にスポーツジムが入り込んだような異様な光景だった。
そして中の人間はモノクルをつけ、機械のような動きでバーベルを持ち上げたり、ルームランナーを走ったりしている。
「なんなんだよ、こいつら」
「練習ですよ。ポケモンバトルのね」
「人間が経験値ためてどうすんだ!」
「ポケモンは我々が用意します……トレーナーに要求するのはそれを扱うための精神力のほうなんですよ」
そう呟きながら、紳士が機械仕掛けの扉にカードキーを差し込む。自動ドアのようにドアは横に開いた。
130 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:05:45 ID:yMxBuMeI0
その先は通路になっており、さらに向こう側に機械仕掛けの扉が見える。
が、よく見ると、廊下の左側は飛行場の窓のように作られており、そこから下の様子が見渡せるようになっていた。
そこにフルフェイスヘルメットのような装置を被った二人が互いのポケモンを出し、対峙する姿が見える。そして、その二人が出したポケモンの組み合わせを見てスネーキーは絶句した。
「ビッパとドサイドンだと!? 見ただけで勝負は決まってる」
スネーキーの叫びなど知ったことかというように、下の階で戦いが始まった。
ビッパはドサイドンに向かって走り出し、そのまま全力で頭突きをかました。
――岩が砕けるような快音が響く。
ドサイドンはうめき声を上げると、豪快な音を立てて倒れた。ビッパは倒れたドサイドンの姿を無表情で見下す。
「どうなってるんだ……ドサイドンがビッパのたいあたりで一発なんて……」
「あのビッパは我らの組織が作り上げた、ダークポケモンです」
呆然とするスネーキーを見ながら、横で紳士がつぶやく。
131 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:08:18 ID:yMxBuMeI0
「ダークポケモンだと!?」
聞いたことある呼び名だ。そう、確か……
「ええ、かつてパイラ地方の犯罪組織が軍事用に改造したポケモンたちのことです」
「だが、すでにダークポケモンは全てリライブされたんじゃないのか?」
「そこで我々が新しく作り出したのです。当時の数倍強力なダークポケモンをね。
君にはあのビッパの数倍強力なダークポケモンを贈呈しましょう」
「いいのか!?」
紳士は頷いた。
「我々は君の才能を引き出したいのです。むろん無償ですよ。ただ、ダークポケモンは強力ゆえにトレーナーの肉体の強化も必要……しばらく我々の元で特訓を積んでください」
132 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:11:14 ID:yMxBuMeI0
※
アガベの山。ヒエはいつものようにポケモンバトルの特訓に励んでいた。
「かわら割りだ!」
ヒエのドリュウズが巨岩に自らの腕を打ちつけると、豪快な音と共に巨岩が崩れた。
よしというようにヒエは頷き、数日前のヨモギとの再戦を思い起こす。
(奴はかなり力を付けていた。俺も特訓に手を抜くわけにはいかん)
来るべきヨモギの再戦を心に描きながら、ヒエは目を閉じて精神を高揚させる。
しかし、その状態は突如現れたわめき声によって遮られた。
「おい、ヒエ。お前こんなときに何をやってんだ!」
上のほうから品のない大声をあげるスキンヘッドの男。ヒエはそれを鬱陶しそうな顔で見上げる。資金の寝床を提供させてもらっている身ではあるが、修行の邪魔は満更御免なのだ。
「スネーキーの奴が消えちまったんだぞ!」
チェリーは血相を変えて話すが、大したことではないのは予想がつく。
恐らく、ここ最近の悪事を咎められたといったところだろう。
133 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:13:34 ID:yMxBuMeI0
「消えた? どこかで補導された、の間違いだな」
「丸二日何の連絡もないんだぞ。こりゃ何かあったとしか思えん」
「なら生活に嫌気がさして、家出でもしたんだ。俺には何の関係もない」
ヒエは興味無さげにチェリーに背を向けた。
「白状者が、お前には善意というものがないのか!」
結局、チェリーはわけの分かからないことを怒鳴り散らした後、モンスターボールから出したオオスバメに乗ってどこかに飛び去っていった。
「まったく……」
飛び去っていったチェリーとオオスバメを見届けながら、ヒエが呆れたようにつぶやく。
しかし確かにチェリーの言うとおり、スネーキーのような小男に限って二日連絡がないというのも妙だ。自分とそこそこ関わっている人物が厄介ごとに首を突っ込まれても困る。
「ゆけっ、ヨルノズク」
ヒエが投げたボールの中からヨルノズクが現れる。
「スネーキーの居場所をつきとめてみろ」
ヨルノズクは頷くとそのまま空へ羽ばたいていった。
134 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:14:20 ID:yMxBuMeI0
ヨルノズクは周囲50m以内なら透視して人物を見つけられる特性を持っている。海で流されたか、竜巻で世界の果てまで飛ばされたかではい限りはすぐに見つかるだろう。
数十分後、ヨルノズクはヒエの元へ戻ってきた。スネーキーの所在がわかったかと聞くと、ヨルノズクは首を縦に振った。もう所在はつかめたらしい。
「よし、奴のいるところまで飛んでいくぞ」
ヒエは身軽にヨルノズクの背に飛び乗る。ヨルノズクは大きな翼を羽ばたかせ、アガベシティの空へ飛び立っていった。
※
飛行開始して15分程度経ち、ヨルノズクはある地点で空中に滞在した。下を見ると薄灰色の建物が見える。電気はついておらず、建物周辺には庭と駐車場が見えた。どうやら廃墟と化した病院のようだ。
「……よし、降下だ」
ヨルノズクと共に廃院の庭に降りると、ヒエは周りの風景を見渡した。
スネーキーは建物の中にいるのだろうか。しかし院内に人影は見当たらず、明らかに無人だった。
135 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:16:53 ID:yMxBuMeI0
(ひとまず、中を確認するか)
ヒエがヨルノズクをボールに戻し、建物の中に入ろうと足を進めていくと、
「おい、止まれ」
背後から不意に声が聞こえた。
振り向くと、少年の姿が見えた。肩まで出た緑のスポーツウェアに貝殻をつないだ首飾りをかけており、ずいぶんと涼しげな印象を受ける。
「……何者だ?」
ヒエが少年を睨みつけながら問う。
「オレはカイ。お前、こんなとこに何のようがあるんだ?」
「答える必要はないな」
ヒエはカイを無視して、建物へ足を進めていった。
それを見て、カイは腰のモンスターボールを外す。
「メブキジカ、チウ!」
カイのモンスタボールから放たれたメブキジカが、とおせんぼうするようにヒエの前に立ちはだかった。
「さっさとここから消えないと、痛い目をみることになるぜ」
136 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:19:08 ID:yMxBuMeI0
カイが声を落として語りかけると、ヒエは不適な笑みを浮かべる。
「そういうことなら話が早いな」
「な、何だと……」
「雑魚はポケモンバトルで黙らせるのが、最も手っ取り早い」
ヒエも腰のベルトからボールを外し、
「揺るがすがいい! ドリュウズッ!」
ボールからドリュウズを繰り出した。
「メブキジカ、ウッドホーン!」
「高速スピンだ!」
巨大な角を掲げて突進してくるメブキジカに向かって、ドリュウズは体をコマのように回転させて守りの体制に入る。
ドグォオオン
鈍い音がこだまし、メブキジカの突進を食らったドリュウズが宙を舞った。カイはせせら笑う。
「オレのメブキジカにぶつかり合いで勝つなんて無謀もいいとこだ!」
137 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:22:52 ID:yMxBuMeI0
ドリュウズは地面に着地し、よろめきながらも立ち上がった。
「もう一度、高速スピン!」
ヒエの指令を受けたドリュウズは両腕を広げ、先ほどのように回転し始める。
「このお馬鹿め! 今度は全身を砕いてやるよ」
メブキジカは回転するドリュウズめがけて、角を突き出しながら駆け出した。
「いまだ、飛べ!」
メブキジカがドリュウズに激突しようという瞬間、回転するドリュウズの体が竹とんぼのように空に浮き上がった。メブキジカはそのまま壁に激突し、崩れた建物の瓦礫に押しつぶされる。
「な、な…………」
カイは絶句しながら、崩れた瓦礫を見つめた。
「パワーにブレーキをかけ忘れたようだな」
「オレを本気にさせやがって……。行くぞメブキジカ!」
突如瓦礫の山が弾け、メブキジカが中から姿を現す。ヒエが小さく不意をつかれたような声をあげた。
「とっておきの技でインドーを渡してやるよ」
カイがヒエを鋭く見据えながら、その方向を指差す。するとメブキジカの全身が緑色の光に包まれた。
ヒエはその姿を凝視する。
138 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/02(水) 23:25:40 ID:yMxBuMeI0
「ソーラービーム!」
「ドリルライナー!」
カイとヒエの掛け声が同時に響き渡ると、メブキジカの全身からソーラービームが放たれ、全身を回転させ始めたドリュウズに激突した。
しかし、光線が命中してもなお、激流に逆らうようにドリュウズはメブキジカの方向へ向かっていった。
「切り裂け!」
ソーラービームの威力が弱まると、ドリュウズは一気にメブキジカへ向かっていく。
轟音と共にドリュウズと衝突し、メブキジカは地面に叩きつけられた。倒れたメブキジカは目を回し、再び立ち上がってこようとする気配がない。
「オレのメブキジカが……」
カイは気絶したメブキジカを見ながら唖然とする。
同時に疲労しきったドリュウズも地面に突っ伏した。
「上出来だ、ドリュウズ」
ヒエは倒れたドリュウズをボールに戻した。
139 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/03(木) 00:02:38 ID:OQjPP0/T0
「よくもオレのポケモンを……!」
カイは腰から新たにモンスターボールを取り外す。
『やめなさい、カイ』
突如、ビブラートがかかった声が院内に響き渡った。何者かが自分の声を放送したようだ。
「と……トベラ様」
カイが呟く。声の主はトベラというらしい。
『ようこそ、ヒエ君。スネーキー君を探しにここに気なすったのですね?』
ヒエは何も答えなかった。スピーカーから不適な笑い声をもれる。
『心配は無用です。彼は自分の意思で君たちのグループを抜け、我々の組織に入りました』
「……組織?」
『そう、我らサイプレスにね』
――サイプレス。聞いたことのない組織名だ。
「サイプレスは各地から優秀なトレーナーを募り、無償で訓練を受けさせてるんだ」
カイが口を挟む。
意外と面白いだと
141 :
第6話 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/03(木) 00:05:42 ID:yMxBuMeI0
『さっきの戦いぶりをみたところ、君も素晴らしい才能をお持ちのようだ。どうです? わが組織に入りませんか』
「残念ながら、俺は自分から進んで馴れ合うのは御免だ」
『……残念です』
トベラの声は残念そうだったが、それが本心かどうかは読み取れなかった。
「奴が戻ってこないというなら、俺はコレ以上ここにいる必要はない。失礼させてもらう」
ヒエはボールからヨルノズクを出し、その場を去ろうとする。すると、カイが待てと手を上げて静止した。
「まだオレはお前の名前を聞いてないぜ」
「……ヒエだ」
そう吐き捨てると、ヒエはヨルノズクの背中に飛び乗り、廃院から飛び立った。
――――
サイプレス……。ドリュウズを倒してしまうとは底が知れない。
奴らに対抗するためには自分も更なる修行を遂げなくてはならないのだろうか。
ヒエは空中で思案した。
――第7話へ続く
142 :
和孝 ◆Mk7zjh6zL. :2011/02/03(木) 00:09:16 ID:yMxBuMeI0
たくさんの支援ありがとう!
次回はヨモギが絶体絶命の危機に陥るぞ、次回をお楽しみに!!
>>140 そう言ってもらえるとうれしいね!オレも熱いガッツで次々と続きを執筆するぞ!
>>140 そういうと調子に乗るから崖から突き落とすぐらいでいいんだ
トベラwwww
いつになったら「すごく強い敵」とかいうのは出るんだ?
すごく臭い敵
シンヒカは至上
>>145 ここまでいけば文句いう奴も少ないか
まぁ当然といえば当然だ…プロだからな
ガリレオくん