にがしたポケモン達の行方 3匹目

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1名無しさん、君に決めた!
前スレがいつの間にか落ちていたので

前スレ
にがしたポケモン達の行方 2匹目
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/poke/1192962598/

過去ログ
にがしたポケモン達の行方
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/poke/1186396152/

まとめ
ttp://www7.atwiki.jp/yukue/
2名無しさん、君に決めた!:2009/03/25(水) 22:52:12 ID:???
2んじん
3名無しさん、君に決めた!:2009/03/25(水) 22:56:27 ID:???
>>1

前スレ949までwikiに纏められてるけど、それ以降の話をサルベージ出来る人が居たらお願いできるかな
968まではtxt形式で保存してあるんだけど、967-986は見てすらいないんだ
4名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 01:06:52 ID:???
980こえると24時間レスがないと落ちる

豆知識
5名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 01:08:56 ID:???
うわー>>1乙!
前スレで>>980頼むって書いたんだけど、無理だったらしいから今日立てようとしたら自分も無理で凹んでたから凄く嬉しい!
話のまとめ、出来たらやってみる。時間はかかるかもしれないけれど…
6名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 08:23:41 ID:???
>>1乙。いつの間にか落ちててびっくりしたww
ついでにアリプロの「胡蝶夢心中」の改変投下
1番は廃人の手持ち、2番以降は普通のトレーナーって感じ。

そう私を見つめる瞳に もしも愛情が潜むなら
目を伏せずに受け止めたこと 限りなく優しい罪となる
いくつも儚い道 越えてきたの
最後にあなたの元で 育っていいの?
なぜ人は選別し 勝たずにはいられないの
戦ってばかりの日も 充分過ぎてきたのに
ひたすら卵を手に入れ 孵すことを止めぬ人は
フロンティアに身を投げて
勝ち続けることも 望まない
7名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 08:24:26 ID:???
いまあの子を見つめる瞳に いつか憎しみが宿るなら
あなたの手はPCを動かし ためらわずに逃がすでしょう
持つのを止めるのは早いわ 不一致を
私はまだそれを 大事に育てている
なぜ人は出逢いから 6Vを選び取るの
震える淡い体を そっと拒むように
生きることはただ死に 向かうための旅だから
哀しみに気づかぬまま
走り続けることを今のうちだと 思って

なぜ人は夜(よ)も寝ずに 卵を孵し続けるの
本当は弱いから 6Vに頼ってるの?
大量の野生の中 迷い込んでいく不一致は
強力な技に巻き込まれ
肉片となって 土へと埋もれる
なぜ人は出逢いから 6Vを選び取るの
震える淡い体を 握り潰すみたいに
生きることがただ死に 向かうための旅ならば
廃人が行う作業が
いつしか無くなることを 願うだけ
8名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 11:02:58 ID:???
ttp://iroiro.zapto.org/cmn/jb2/data2/jb3100.lzh
前スレどぞ 多分全部ある

全部とは限らないが、うんかーとかいうサイトに残っている場合もある
part1
//unkar.jp/read/game11.2ch.net/poke/1186396152
part2
//unkar.jp/read/schiphol.2ch.net/poke/1192962598

>>6-7

元歌は知らないが、気が向いたら聴いてみる
9名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 11:47:14 ID:???
てきとーに作った
残酷な廃人のテーゼ (残酷な天使のテーゼ ポケモン廃人ver)

残酷な廃人のように 少年よ6V作れ

ずっと 求めてる 性格一致の神個体
貴方だけが 産みの親に 出会える権利ある
リーグ勝利者を 夢の残滓が 見つめてる
億の命 積み重ねた 真なる勝者を

もしも生まれ落ちたことに 意味があるなら
彼らはそう 敗北知る為のバイブル

残酷な廃人のテーゼ 悲しみがまだ続いてく
個体値に性格補正 隠し値に目覚めた時
誰よりも光を放つ 少年よ廃人になれ
10名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 21:40:04 ID:???
前スレ910です。
ようやく以前描いた話(償い)のスピンオフエピソードが描きあがったので新スレに投下します。
償いの続編エピソードは他に描いた話とも若干リンクした内容になるかも・・・




「元気でやれよ。まぁおまえみたいなクズはすぐに飢え死にするだろうがな」

生まれたばかりだった私は何を言われたか理解できなかった。
ただ置いていってほしくなかった。
その思いですがるように着いていこうとしたら、その男はボールから私よりもずっと大きなポケモンを出し「片付けろ」とだけ言った。
その後のことはよく覚えていない。
ただ薄れ行く意識の中で高笑いを上げながら私に罵声を浴びせていたことだけは分かった。

気がついたときには目の前に野生のポケモンがいる。
大きく口を開き、私の腹を食い破ろうとしている様子が見えた。
こんな所で死んでたまるか。
あの男に復讐するまでは!
痛くてよく動かない体に無理矢理力を込めて、その場から力いっぱい跳躍した。
宙を舞う私の後ろ足を敵の鋭い爪が深く抉る感触と同時に熱い何かが後ろ足を濡らす。
だが、そんなことにかまってられない。
とにかく全力で逃げた。
目の前の草むらに飛び込み、痛みでろくに動かない後ろ足を引きずりながらとにかく走り続ける。
どうにか敵を撒いた時に初めて気づいたことだが、顔の左側が大きくパックリと裂けており既に傷口が乾き始めていた。
どうやらあの男が連れているポケモンにやられたらしい。
11名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 21:41:20 ID:???
この痛みを奴にも味あわせてることだけが私の生きがいになった。
それにはとにかく死なないように注意することが最優先事項だった。
とにかく、どんなに痛い目にあっても死なない。
野生のポケモンの子供と違い、野生の掟を教えてくれる者がいないまま放り出された私にとっては至難の業だったが、なんとかやり遂げた。
この世界で生き残るための術を把握したころには、私の全身は傷跡だらけになっており頭から生えてる鎌状の大きな角は酷使されて刃こぼれが無数にできていた。
しかし、その角の一撃はどんなに硬い岩をも砕き、身を守るための最大の武器になっている。

野性の世界に放り込まれてどれだけの時間が経っただろうか。
私は気の合う異性のポケモンと出会い、そのポケモンと結ばれ子供まで出来た。
その頃はあの男への復讐心はすっかり忘れてしまっていた。
生まれた子供には狩りの方法や効果的な敵からの逃げ方など私が経験したことを全て伝えなければならなかったからである。
子供が一匹立ちして私たちの前から立ち去った頃、消え失せていた復讐心が沸き立つ出来事が起きた。

あの男が、また生まれたばかりのポケモンを捨てにきていたのだ。
見たことがない青いポケモンを捨て、完全に背を向けていた所に襲い掛かった。
なぜ生まれたばかりの子供を捨てるのか。
私たちは1匹の子供を愛情を注いで育てていったのに、この男は自分の子供と言っても過言でないポケモンを捨てるのか。
怒りに駆られながら、どこか冷静な部分があったのだろう。
まずは逃げられないようにその男の片脚を噛み砕き、徹底的に切り刻んだ。
獲物を逃がさないために、まずは脚を潰す。
それは狩りの常套手段だ。
男は情けない声を上げ、命乞いをしている。
脚の肉を引き裂き、骨を噛み砕くたびにその男の悲鳴は大きくなっていった。
悲鳴が余計に私の怒りに火を注いだ。
その手で今までどれだけの命を殺してきたのか分かってるのか?
生きるために他の命を奪って食べるのとはワケが違う。
それなのにこの期に及んで自分だけ助かろうとする。
そんな勝手が許されるはずがない!
12名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 21:42:39 ID:???
そのとき不意に私の視界を塞ぐ物があった。
だから私は爪で視界を塞ぐ物を引き裂いて振り払った。
振り払った瞬間に、その何かがなんだったかようやく気づいた。
それはたった今この男に捨てられた青いポケモンだった。
青いポケモンはふらふらと立ち上がりながら男と私の間に立ち、私を見ながら構える。
その青いポケモンはそれっきり動かなくなった。
私に生まれたばかりの子供とは思えない程鋭い眼光を向けながら。

なぜ・・・?

呆然と立ち尽くしていると騒ぎを聞きつけたトレーナーがやってきて、私を見るなり手持ちのポケモンに指示をして攻撃してきた。
攻撃を避けると私は草叢の中に飛び込み、その場から走り去った。
その日の晩、根城に戻った私の胸にはあの男に一矢報いた爽快感よりも吐き気を催す不快な感じだけが残った。
あのときは復讐心にかられ、あの青いポケモンを殺してしまった。
自分の復讐を果たすのに邪魔だったから。
それでは私利私欲のために生まれたばかりのポケモンを捨てていたあの男と同じではないか。
あのときの私は間違いなく、あの男と同じだった。
自分が・・・殺した・・・
生きるためではなく、自分の欲を満たすために。
あの男を再び見つけたとき、私は自分の復讐を果たすことができるのだろうか?
今の自分には復讐を果たせる自信が無くなっていた。
あの男をどうするか、それはあの男を見つけたときに決めよう。
もしも相変わらず生まれたばかりのポケモンを捨てていたら・・・
そうなっていないことを願いつつ私は眠りについた。



スピンオフエピソードはここで終了ですが、続編エピソードは出来るだけ日が開かないうちに投下する予定です。
13名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 21:48:35 ID:???
うぉ、リアルタイムで投下を見たけどGJGJ!
次の投下も全力で待ってる!
14名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 21:51:05 ID:???
きも
15名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 22:01:51 ID:???
>>10-12

俺もリアルタイムで見れた

復讐はそこそこ上手くいったけれど、その先には……という展開
こういうの好きだお
16名無しさん、君に決めた!:2009/03/27(金) 01:45:10 ID:???
458 :名無しさん、君に決めた!:2009/03/26(木) 09:30:27 ID:???
個体値厳選のために生まれては逃がされ生まれては逃がされ…
そんな数百というポケモンたちの魂がひとつになった妖怪がいるって噂を聞いた
もとは水子の霊の話から派生した都市伝説らしいんだが。

そいつは夜、やってくるそうだ。
布団の中で気配を感じてふと目を開けると、初代赤緑のゆうれいみたいな物体が浮かんでて、
中心にある目を正面から見てしまうと、もうだめらしい。
気づくと自分が生まれて間もない赤ん坊になってて、
どことも知れない草むらの中に放り込まれてるんだって。

ただ、逃がしたポケモンたちへの感謝の気持ちを表していればそんな目には遭わされないとか。
具体的には、ありがとうの気持ちとともに身体の一部分を丸出しにして布団に入っているといいらしい。
一部分がどこだったかは忘れた。
17名無しさん、君に決めた!:2009/03/27(金) 16:46:26 ID:???
>>16
トリックルーム乙w
18名無しさん、君に決めた!:2009/03/27(金) 20:07:25 ID:???
この板って、1レスあたりの行数制限いくつだった?
ようやく半分近く書けたけど、既に100行近くになってて……
19名無しさん、君に決めた!:2009/03/27(金) 20:16:29 ID:???
32行
20名無しさん、君に決めた!:2009/03/27(金) 20:35:29 ID:???
>>19
ありがとう
助かった
21名無しさん、君に決めた!:2009/03/28(土) 15:11:05 ID:???
トレーナーがポケモンを直接自然に返すことはできないよな?
このスレのSS見てて思ったんだが、そのへんの仕組みって実際どうなってるんだろう
22名無しさん、君に決めた!:2009/03/28(土) 22:25:50 ID:???
>>21
パソコンで逃がすを選ぶと、保健所のようなところに送られる。
その後、希少種でないものは安楽死。希少種のものは保護施設や研究所なんかに送られて、野生に返されたり標本にされたりする。
運が良ければ保険所で誰かに引き取られる可能性もある。(ブリーダーとか)運が悪いと研究員とかに引き取られて薬とかの実験台にされたりして苦しい一生を送る。

みたいな感じじゃない?
23名無しさん、君に決めた!:2009/03/28(土) 23:31:23 ID:???
>希少種でないものは安楽死
なんで速攻で安楽死なんだよ。いくらなんでもありえねーよ。
ちゃんと自然で生きれるようになるくらいは育てて、その後野生に返すくらいしてくれるだろ
24名無しさん、君に決めた!:2009/03/28(土) 23:45:02 ID:???
ここのスレの連中は何が何でもポケモンを悲惨な目に遭わせたいらしいな。
25名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 00:02:46 ID:???
ここのwiki見てたら自分も何か書いてみたくなった
殴り書き気味だった
今は少しだけ反省している

『ユウキ君ともお友達になれたらなぁ……』

「あの時私が言った言葉、ユウキ君はまだ覚えてる?
 もっとも、今となっては叶うはずのない夢なんだけどね」
ホウエン地方の西部に位置する町、ミシロタウン。
研究所があることを除けば、どこの地方にも存在するような小さな町である。
この田舎町の自宅の一室で、自嘲気味にそう呟く一人の少女。
年齢は十六、七歳だろうか。腰にボールを付けていることからポケモントレーナーであることが伺える。
「最後に会ってからもう六年になるよね。最強のポケモントレーナーになるってユウキ君の夢、もう叶えられた?
 それとも、今もその為に無数の命を積み重ねている途中かな?」
尚も続ける少女。それは居場所も知れぬ少年に対してというよりは、自分自身に対する問い掛けであった。
当然ながら答えは返ってこない。もし答えが返って来ているならば、そもそも彼女には自問するような理由がない。
「同じ日にこの町を旅立った私達が道を違えたのは……確かあの日だったよね……」
少女はそう言って『あの日』に思いを巡らせる。
時は現在から六年と数ヶ月前。その日、彼女はキンセツシティとシダケタウンを結ぶ117番道路にいた。

117番道路。
ホウエン屈指の大都市と、そよ風の心地好い小さな町を結ぶこの道路は、頂点を目指すポケモントレーナーにとっては避けて通れない道であった。
とは言うものの、この道を通らなければホウエン各地に点在する八つのポケモンジムを巡れないということはなく、
また、チャンピオンロードのようにここを通らなければポケモンリーグ会場に辿り着けないというわけでもない。
この何の変哲も無い、むしろ長閑でさえある道路がトレーナーの登竜門と呼ばれる理由は、ここに存在する一つの施設にある。
ホウエン地方最大とされる『ポケモン育て屋』。
預かったポケモンを有料で育てるその施設こそ、この道路をトレーナーの登竜門たらしめているものであった。
26名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 00:03:59 ID:???
それとは知らずにこの道路を北上する、赤いバンダナが印象的な一人の少女。
年齢は十代前半で、ポケモントレーナーとしては新米の部類だ。
「シダケタウンに立ち寄るのは久しぶりだけど、ミツル君は元気にしてるかな?」
知り合いに挨拶にでも行くのだろう、彼女は純粋にキンセツシティからシダケタウンへと向かおうとしているだけだった。
草木が生い茂り、ポケモンを始めとした野生動物達に溢れた自然そのものを楽しむように。

ふと少女が足を止めた。彼女の視線は草叢、正確にはその中にいる何者かに注がれている。
「凄い! ラクライがこんなに沢山集まってるなんて珍しいかも!」
その視線の先にいたのは、緑色の四足獣――ラクライと呼ばれる電気属性のポケモン――の群れであった。
個体数は優に50を超えている。そしてまた、この群れには一つの特異な点が見られた。
「でも皆小さいね。生まれたてかな?」
そう。少女も気付いたように、この群れには幼いラクライしか存在しないのだ。
親のラクライやライボルトがいないばかりか、弱肉強食の世界で生きる術さえ知らないような有様だった。
実際に外敵に襲われたこともあったのだろう、中には怪我をしている者も存在した。
見過ごせなかったのか、少女は怪我をしたラクライを手招きして、持っていた傷薬で応急処置を始めた。
「よし、これで大丈夫! もう怪我しちゃ駄目だよ」
そう言って群れに返してやると、一言「元気で育ってね」と言い残して、少女はその場を後にした。
不安は残るが、50体もの群れを全て捕獲することなど到底不可能である。
ただ、そう祈りながら見送ることだけが、彼女に出来る唯一のことだった。

少女はその後も117番道路をシダケタウンへと向かって順調に進んでいた。
道中、彼女はキモリを見かけたような気がした。
だがキモリのような珍種がこのような場所にいるはずはない。
只の気のせい。そう納得すると、すぐにその記憶は頭の片隅へと追いやられてしまった。
27名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 00:05:21 ID:???
それから数時間後、少女はシダケタウンに到着した。
大きく深呼吸をすると、綺麗だと定評のあるシダケの大気で肺が満たされる。
「気持ち良い……」
そう言って伸びをした彼女にかけられる声があった。
「そこに居るのはハルカか!? 久しぶりだな!」
「ユウキ君? こんなところで会うなんて奇遇だね」
声の主はユウキと呼ばれた少年。
少女――ハルカ――と同年代と思われる彼こそ、ハルカと同じ日にミシロタウンを旅立った人物なのである。
二人の目標はポケモンマスターへの第一歩、ホウエンリーグ優勝。
すなわち、いずれはライバルとなる存在とも言えるだろう。
とは言え、友達同士であることに変わりはない。
彼等は少しの間、町中で互いの旅の近況について語らっていた。

話によると、ユウキは既にバッジを五つ手に入れ、パーティの更なる強化に励んでいる最中なのだという。
ハルカもバッジを四つまで集めたところで、この町には知り合いを訪ねてやってきたのだと説明した。
ここまで話したところで、彼女は何気なく切り出した。
「そう言えばね」
同じように、こちらも何気なく相槌を打つユウキ。
「ここに来る前に子供のラクライの群れを見かけたの。
 50匹はいたと思うけど、親が見当たらなかったから心配なんだけど、大丈夫かな?」
「あぁ、そいつらは多分……」
特に気に留めた様子もなく、このポケモンマスターを目指す少年は腰のボールの一つに手を伸ばす。
「この前俺が逃がした、こいつの兄弟姉妹だろ」
彼のボールから出てきたのはラクライの進化系、ライボルト。
まだ幼いのだろう。進化しているとは言え、体格は図鑑の標準よりも小さく、その顔にも幼さが残っている。
しかし、幼いながらも只者ではないということは、ハルカにもはっきりと理解できた。
所謂天才というものだった。戦う為に生まれてきた存在と言っても過言ではない。
スタートラインの時点で、既にこのライボルトは他の同族達の遥か前方に立っているのだ。
28名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 01:09:31 ID:???
つづきは?
29名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 01:39:33 ID:???
だがハルカにとってライボルトよりも更に衝撃的だったのは、先程のユウキ台詞。
『俺が逃がした』。確かに彼はそう言った。疑問と不安の入り混じったような感覚を覚えるハルカ。
「逃がしたって……どういうことなの!?」
「強いポケモンを育成するコツだよ。もしかして知らなかったのか? ならこの機会に教えてやるぜ?」
「違うよ。私が訊きたいのはそんなことじゃなくて……」
「まぁまぁ、遠慮することは無いって」
『育成のコツ』なるものを説明したくて仕方が無いのだろう。ポケモンマスターを目指す少年は目を輝かせて詰め寄ってきた。
その勢いに圧倒されてしまったのか、ハルカにはただ彼の話を聴くより他にはなかった。

ユウキが言う『育成のコツ』は、ハルカのポケモントレーナーという人種に対する認識を根底から覆しかねないものであった。
彼の説明は、強い個体と弱い個体の間には先天的な才能の差があり、それは後天的な努力では決して埋めることの出来ないものであるということから始まった。
また、先天的な才能さえあれば良いというわけではないこと。
その才能を開花させる為には、幼い頃から徹底的に『調整された戦闘訓練』を積む必要があることも知った。
そして、その為に彼は数百匹にも上るラクライをタマゴから孵化させ、漸く育てるべき一匹を手に入れたことも。
「だからそう。こいつは俺の最高のパートナーと言っても過言じゃない」
熱っぽく育成論を語ったユウキは、最後にそう言って締めくくった。
だがハルカの心は育成論よりもむしろ、幼く、戦うことも自らの身を守ることさえ知らないであろう、生まれてすぐに逃がされたポケモン達に向いていた。
「でもそれなら、選ばれなかった子達はどうなるの!?
 あの子達、弱肉強食の自然界で生きる為の十分な知恵を身に付けているとは思えなかった。
 もしかしたら死んじゃうかもしれないのに……!」
「おいおい、そう変なことを気にする必要なんて無いって。
 元々一人に育てられるポケモンの数なんて限られているんだし、強い個体を生み出して強く育ててやれば、親兄弟達も全員満足するってば」
そのようなものは人間のエゴに過ぎないのではないか。ハルカは頭の中で、即座に少年の言葉に反論した。
が、何故だろうか。それを口にすることが出来ない。
30名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 01:41:21 ID:???
友人関係が壊れることを恐れたから? あるいは、ポケモンマスターになるという彼の夢を否定したくなかったから?
しかし、だからと言って彼の行為を肯定する気にはなれない。ただ沈黙を続けるより他に、彼女には出来ることなどなかった。
「今日のハルカ、何だか変じゃないか? 具合でも悪いのか?」
沈黙を破ったのはユウキの方だった。当然ながら、その原因が自分にあるとは気付いてはいない。
「ねぇ……ユウキ君は本当に……」
「悪い、ちょっと待ってくれ!」
ようやく絞り出したハルカの言葉。だが、それはユウキの言葉によって制止を余儀なくされてしまう。
いつの間にかユウキの傍には、何かのポケモンのものと思われるタマゴを抱えたマグカルゴがやってきていた。
今、まさにそのタマゴが割れ、新しい生命が誕生しようとしていた。
生まれたのは、水色と白で塗り分けられた球形の体を持つポケモン、タマザラシ。
まだ生まれて間もない為だろう。体長は30cm程度しかない。
「わぁ! タマザラシって始めてみたけど、丸くてちっちゃくて可愛い!」
先程までの沈鬱な感情はどこへ行ったのか、素直に生まれてきたことを喜ぶハルカ。
一方のユウキは、ポケモン図鑑を向けて、何かを調べているようだ。
そして一通りその何かを調べ終わると、軽く舌打ちをして愚痴を零す。
「ありゃ!? こいつ、戦闘の素質皆無な上に『頑張り屋』な性格じゃないか。また新しいタマゴ貰ってこないと……」
言い終わらない内に、腰から一つのボール――恐らく今生まれたタマザラシが入るはずのもの――を取り出し、ある操作をする。
開いた状態での、開閉ボタンの長押し。
それが何を意味するものか、仮にもポケモントレーナーであるハルカに分からないはずがなかった。
ただポケモンを出すのではなく、ポケモンに付けられた登録情報等を抹消し、逃がす為の処理。
もっとも、当のタマザラシには何が起こっているのか、何をされたのか、理解すら出来ていない。
ころころと『元』主人の元へと転がって行き、やがて彼の脚にぶつかり、反動で少し逆方向に転がる。
が、ユウキはそれを気に留めた様子もない。
「それじゃあ、俺は育て屋に用事があるから、お別れだな」
それだけハルカに告げると、歩き出すユウキ。まるでこの場にタマザラシなど存在していないかの様な振る舞いだ。
31名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 01:42:16 ID:???
限界だった。
彼の夢を否定することはしたくない。
頭ではそう理解しているものの、最早ハルカには黙っていることなど不可能だった。
「ユウキ君は、こんなことをして本当に強いポケモンマスターになれると思ってるの!?」
「ハルカ……何を言って……?」
初めて見るハルカの凄まじい剣幕にうろたえるユウキ。
「勝利。それは確かに大切だよ。
 でも、その為ならどれだけの生命を犠牲にしてもいいと言うの!?」
ここまで言って、彼女は一旦言葉を切った。
ユウキは何も言わず、ただ目を伏せているだけだ。
「ねぇ、ユウキ君! 何とか言ってよ!」
少しの間の後、目線を逸らしたままのユウキが口を開く。
「俺もその辺りはよく知らないが、この育成法はトップレベルのトレーナー達にとっては常識とも言える方法らしいんだ。
 現在ほど洗練されていないとは言え、割と昔から使われてきた、な」
実は俺もつい先日、先輩トレーナーに教えてもらったばかりだがな、と終わりにそう付け加える。
「じゃあ、俺はもう行くからな」
再び歩き出すユウキ。今回は、ハルカも彼を引き止めはしない。
正確には、引き止めるだけの気力が残っていなかったからだが。

「私は世界中のポケモンと友達になりたくて、トレーナーを始めたのに……」
勝利の為だけに、数百匹以上の中から、優れた素質を持っている個体を選別して育て上げる。
それは彼女の理想としていたトレーナー像とはかけ離れたものであった。
「こんなのって……ないよ……」
ハルカはその場で泣き崩れた。
町を吹き抜けるそよ風も、この時ばかりは哀愁を帯びた音色のように感じられた。
32名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 01:43:07 ID:KpSD52nU
時は現在に戻る。
丁度その時、壁に掛けられた時計が午前十時を告げた。
どうやら少し長く思い出に浸り過ぎたらしい。
「私らしくないかも」
そう呟くと、少女――ハルカは六つのボールを持ち、自室から出た。

ポケモンマスターを目指すことは挫折したものの、結局彼女は父であるオダマキ博士の研究を手伝う傍ら、ポケモントレーナーを続けている。
そして今日は、近所のトレーナー志望の少年がポケモンをゲットするのを手伝うことになっていた。
ハルカに連れられて近くの道路にやって来た少年は、一匹のポケモンを指差して言う。
「ハルカお姉ちゃん! 僕、あのポケモンがいいな!」
少年の指し示したポケモンは、海鳥のポケモン『キャモメ』。
ハルカは一つのボールを少年に手渡しながら言う。
「それならこの子を使うと良いかな。程々に手加減するようには言ってあるから、安心して指示を出していいよ。
 ……でも、あの子を捕まえる前に一つだけお姉さんと約束して」
キャモメの元に駆けて行こうとする少年に、念を押すように一言だけ告げる。
「この先、色々な苦難があるだろうけど、何があってもあの子と一緒にいてあげてね」
「うん、勿論だよ。ところで、お姉ちゃんが貸してくれたポケモンは何て言うの?」
「トドゼルガ。そう呼べば答えてくれるよ」
「よし、トドゼルガ! 僕に力を貸してくれ!」
少年はそう言って、受け取ったモンスターボールからポケモンを繰り出す。
現れたのは、巨大なトドのようなセイウチのようなポケモン(名前からすると、恐らくは前者)。
彼の辿る道が何処へ続いているのかは判りかねるが、今はただ祈ることにしよう。
彼が少女の願いをいつまでも覚えていることを。
33名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 01:53:15 ID:???
ごめん、素でsageにチェック入れるの忘れた
行数制限よりもむしろ文字数制限の方に苦しめられた

ライバルが途中でミシロに帰ってしまう理由をプレイヤーが廃人と化したことに関連付けて、
彼女の心境をテーマに書き始めたはずが、なんか別物になったような気がする

結末はポケモンリーグに出場して廃ポケで固めたユウキをフルボッコとか、
改造に手を染めるとかの案もあったけど、とりあえず無難なものにした
34名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 21:02:29 ID:???
>>25-33GJ
最後の終わりが良かった!
35名無しさん、君に決めた!:2009/03/29(日) 22:06:52 ID:???
      //      ,.へ          ー‐-、` 、:.:.::/  \ \
__ _,. ‐'´/      /                ヽ/ k'^ヽ、   ヽ ',
`ヽ、__/     /  / / / /            ヽ ∨ !:.:.:.:.:.ヽ、  ', !
     / /  /  ,' / / / /  , ヘ、       ',   |:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、 ', |
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  { ー─<          |  ,/      |   |     ト ヽ
  /l  ー‐<  おわり     /´ ̄ `l丶 / |   |    lハ \
  '  ー--‐'          { ̄ ̄ |  \.  |   |    iハ    \
  l.    |           {´ ̄   |   \|   |    リ }    \
  ゝ _ |              ヽ´ ̄ |     |   |  ,′ノ       ヽ、
      └───────┘`ー ' {      !  i|   // 
                                            ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                                            d⌒) ./| _ノ  __ノ
36名無しさん、君に決めた!:2009/03/30(月) 18:51:25 ID:???
>>34
読んでくれて嬉しい

そのうち、書き直して適当な小説サイトにでも持ち込みたい
37名無しさん、君に決めた!:2009/03/30(月) 20:39:53 ID:???
「お別れだ。しっかり生きろよ!」

そう言って男が大きく空に向かって両手を振ると、
プテラ達はそれに応えるようにまた何度か鳴いた後、遠く暮れ始めた空の彼方へ消えていった。
その様子を確認すると、男は満足そうに笑みを浮かべ静かに帰路へと着いた。

―――

男も昔はズイタウンを自転車で走り回り、卵を孵化しては選別、なんてことをしていた。
生まれたばかりの幼いポケモンを逃がしても全く気にせず、ただひたすらにそれを繰り返していた。
それが当たり前であったし、別に他の奴等だってやっているんだろう。そんな気持ちだった。
そんなある時に偶然見た、ある光景。
それは男が逃がしたばかりのポケモンが、野生のポケモンに襲われる光景だった。
人間達が幼いポケモンをどんどん逃がすために、野生のポケモンにとっては
人間がポケモンを逃がす場所が絶好の狩りの場所になっていたのだ。

生まれたばかりのポケモンは、戦うということも知らず、例え遺伝技という特別な技を覚えていても
レベルで適う事は無く、ただ攻撃を受けて疵付いていくだけだった。
凄まじいとも言うべき光景に男は唖然として何もすることが出来ず、その光景を見つめる他無かった。
しばらくして野生のポケモンは去ったが、男はそこに立ち尽くしたままだった。

「お、俺は・・・、何をやっていたんだろう・・・。」

逃がされたポケモンのことなど考えず、たまたま個体値が良かったという理由で残った兄弟の気持ちに気付く事も無く。
ずっと命を捨てていたのか、そう思うとどうしようも無く虚しい気持ちになった。
38名無しさん、君に決めた!:2009/03/30(月) 20:41:02 ID:???
それから男は決意した。もう幼い命を逃がすのは止めよう。その代わりに何か出来る事は無いか。
選別、というものを重ねるために得た知識はいろいろあった。
それをポケモンを殺すためにではなく、ポケモンを生かすために何か出来ないか。

そして、ポケモンを逃がすということについて調べ始めて分かった事。
それはどこかでポケモンが逃がされ続けて、どこかでその近辺の生態系が崩れつつあるのだということだった。
そうだ、絶滅してしまいそうなポケモンを、少しでも減らそう。
人間が絶滅に至らしめているのならば、誰かそれを止めようとする人間がいなければ駄目なんだ。
俺も前までは絶滅に至らしめる側の人間だったけれども、これからはそれを止める人間になろう。

なぁ、どう思う?そう男が問えば、隣にいた男の相棒であるポケモンは嬉しそうに鳴いた。

―――

そして、今に至る。男は遥か昔に絶滅したといわれるプテラを孵化し、育てていた。
プテラは絶滅したといわれているが、地下でたまに化石で見つかるし、
ひっそりと暮らしている野生のプテラもいるのだと何かの本に書いてあった。
それでも絶滅しそうな事に変わりは無い。

生まれたプテラはある程度レベルを上げ、戦いに慣れさせる。
少しでも野生に慣れさせるために、昔はズイの道を走っていたが、今は山に森、草原をクタクタになるまでプテラ達を連れて走り回る。
十分に空も飛べて、戦いにも野生の世界にも慣れたかと思うくらいにまで育つと、男はプテラたちのボールを手に、山に登る。

そして、男がボールを投げるとプテラ達は勢いよく飛び出した。
何度か飛び回り、男の元へと戻ってくる。

「今日で、お前たちともお別れだ。」

そう言うとプテラたちは男をじっと見つめた。
39名無しさん、君に決めた!:2009/03/30(月) 20:42:56 ID:???
「これからは、たった一人で生きていかなくてはいけないんだ。
もちろんそれは大変な事で辛い事苦しい事もあるだろうし、簡単な事では無いと思う。
それでも辛い事ばかりでは無いと思う。きっと初めて見るものばかりだろうし、
もしかしたら別のパートナーと呼べる人間と出会うかもしれない。
俺は、お前達がまた自由に、堂々と空を飛べる日が来る事を楽しみにしている。」

このプテラ達がある程度育てられているとはいえ、必ずしも生き残れるという訳ではない。そう考えると思わず言葉に詰まる。
男が黙ったのを心配してか、プテラ達は首を傾げた。
それに気付き、慌てて他のプテラ達に会ったら仲良くしろよ。と男が言うとプテラ達は一鳴きし、空へと舞い上がった。

「それじゃあ、元気でな!」

プテラ達は男に別れを告げるかのようにギャアギャアと鳴き、力強く羽ばたいて行く。

「しっかり生きろよ!」

最後にプテラ達は大きく鳴いた。暮れ始めた空の彼方へ消えていく影を最後まで見送ると、男は帰路へ着く。

出来れば、お前達の未来が明るいものである事を、俺は願う
40名無しさん、君に決めた!:2009/03/30(月) 20:44:51 ID:???
投稿して気付いた。

×疵付いていくだけだった。
○傷付いていくだけだった。
しかも最後の「願う」の後に「。」をコピペし忘れた・・・orz
41名無しさん、君に決めた!:2009/03/31(火) 22:19:17 ID:???
GJ!こういった仕事はブリーダーとかそっちになるんだろうか…
42名無しさん、君に決めた!:2009/04/01(水) 20:24:39 ID:???
「さようなら・・・ゴウカザル。元気でな。」
ご主人・・・どうしてですか?
私はなにか悪いことをしましたか?
なぜ突然さようならなどと言うのですか?
おまえは一番のパートナーだよ、と言ったのはウソだったんですか?
長い間、ずっと一緒にいたのに。
ジムリーダーだって四天王だって、あなたと共に戦ってきたのに。
それなのにどうして?

何度問いかけてもご主人は振り返ってはくれない。
いつものように自転車を漕いで遠ざかっていく。
私はもう不要なのですか?
岩登りや木の伐採にすら使ってくれないのですか?
ボックス暮らしだって構いません。
時々会いに来てくれれば。それだけでよかったのに。
ご主人の姿は、もう見えない。

あてもなくふらふらと歩いた。
何度か野生ポケモンとも遭遇したが、簡単に蹴散らした。
ご主人の元でずっと育ってきたのだ。
そこらの野生になど負けはしない。
遠くに大きな建物が見える。
バトルフロンティア・・・とかいうのだったか。
思えばご主人があの場所に通い始めてから、
私をボックスに預けることが多くなった気がする。
今もそこにご主人はいるのでしょうか。
私ではない別のポケモンを連れて・・・戦っているのでしょうか。
43名無しさん、君に決めた!:2009/04/01(水) 20:26:14 ID:???
気がつけば日が暮れていて、あたりは闇に包まれ始めていた。
同時に自分が空腹であることにも気がついた。
そういえば今日は何も口にしていない。
だが私はエサの捕り方など知らない。
いつもご主人がくれたから・・・捕る必要もなかった。
このまま、飢えて死ぬのだろうか。
ご主人の元にいられないのなら・・・それでもいいかもしれない。
全てを諦めて、その場に身を横たえゆっくりと目を閉じた。

誰かが自分を呼ぶ声を聞いた気がした。
この声・・・ご主人・・・?
目を、開けてみる。
そこにはこちらを心配そうに見やるご主人が見えた。
これは夢・・・?それとも、ここはあの世・・・?
「さよならなんてウソだよ。さ、帰ろうか。」
そう言うとご主人は私をボールへと収め、別荘へと向かった。
どういうこと?夢じゃ・・・ない?

別荘にはご主人の友人もいて、彼のポケモン達と共にエサを食べながら
今日はエイプリルフールという日だということを教わった。
なんでも、今日は軽いウソをついても許される日・・・らしい。
そこでご主人たちは一番大事にしているポケモンに逃がすとウソをついたのだそうだ。
ご主人・・・今日のことは軽いウソじゃ済みません。
私がどれだけ悲しかったか、あなたはわかってるのですか?
そう、言いたかったけれども。ご主人達の無邪気な笑みを見ていたら
なんだかそんなことはどうでもよくなってしまった。
でもご主人。こんなことはこれっきりにしてくださいね?
イタズラ好きで、まだまだ子供だけど。私の主人はあなただけだから。


エイプリルフールネタが書きたくて速攻で仕上げた。
かぶってるネタあったらスマン。
44名無しさん、君に決めた!:2009/04/02(木) 21:13:07 ID:???
GJ!

そういえば最近うちのゴウカザルもボックス暮らしになりつつある…
たまには連れ回すか
45名無しさん、君に決めた!:2009/04/03(金) 05:03:55 ID:???
GJ! ゲームではそういう冗談はできないからその発想は意外だった。

なんつーか、俺が行ってる所では4v5vは当たり前とかって場所で、
何千何万って孵化は当たり前、アーボだけで六千弱、合計数万って人もいる。
しかも、中には働きが悪かっただけで逃がす人もいる。
全部、正真正銘の実話だぜ。 
ちょっと俺も一本書いてくる。
46名無しさん、君に決めた!:2009/04/08(水) 21:40:37 ID:???
ほしゅ
47名無しさん、君に決めた!:2009/04/11(土) 12:08:40 ID:???
俺がにがしたポケモンはもう軽く300匹はいるな…
やばいころさr
48名無しさん、君に決めた!:2009/04/12(日) 19:33:46 ID:???
今気がついた…ズイタウンの近くにロストタワーがある理由って…
にがしたLv1のポケモンが…
ということか…
49名無しさん、君に決めた!:2009/04/12(日) 20:44:54 ID:???
スレチ気味に話してみる。

流星3でのオービタルベースの会話、あれ使えそうだとか思ってる。
最近ポケモンを全然起動してない…。
これもこれでポケモン達に怒られそうだ。
話書いてやるからプラチナ版のヤツら出てくれっていうかプラチナ版どこ行った…
50名無しさん、君に決めた!:2009/04/14(火) 21:48:50 ID:???

お母さん、お母さん

そろそろ新しい木の実も出来てるんじゃないの
そろそろ新しい友達も来たって良いと思うんだ
いつもリボンをくれる人間の所に連れてってよ
バトルにも出してよ
体なまっちゃうよ

ねぇねぇ、僕たちが此処から一歩も動かなくなって
もう何日になるかな?
お母さんが返事をしてくれなくなって
もう何日になるかな?

もう僕たち、ずっと此処にいるしかないのかな




プラチナ無くしたんで…orz
逃がしたのとは違くてごめん
51名無しさん、君に決めた!:2009/04/14(火) 21:53:09 ID:???
自分が失くしたダイヤもそういう状況になってんのかな…orz
52名無しさん、君に決めた!:2009/04/17(金) 21:01:53 ID:???
保守
53名無しさん、君に決めた!:2009/04/20(月) 13:44:41 ID:???
age
54名無しさん、君に決めた!:2009/04/21(火) 16:51:19 ID:???
アイテム増やすついでに伝説も増殖してたら
カイグラレックがすごい数になったから今度まとめて逃がそうかな

生態系?しらねーよ

あ、やっぱデータ末梢寸前のサブロムに送るのもいいかな?
きっとサブロム主人公がかわいがってくれるさ
55名無しさん、君に決めた!:2009/04/24(金) 16:54:52 ID:???
いつかのミロカロスやガブリアスみたいに罪もない高個体兄弟
ぶっ殺してるやつら絶対虐ヲタの生き残りだろ避難所に帰れよ
56名無しさん、君に決めた!:2009/04/25(土) 14:41:09 ID:???
と、Ямот
57名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 11:43:00 ID:???
画面の向こうの皆様、初めまして。
私は皇帝ポケモンのエンペルト。主人からは「ワタリ」と呼ばれている。由来は某俳優と某ミュージシャンと某バンドのアルバム曲から来ていると聞いた。
ゲームの世界にいない人間の事はよく知らない。ゲーム機の電源が点いている間しか現実世界と接触できないからだろうか。
残念だが私達は所詮デジタルデータでしか存在できない架空の生物。人工ポケモンもいれば無線で交換される事もある。
悲観するとキリが無いが、それでも私達は「おや」の為に尽くす。現実世界のプレイヤーを楽しませるべく、この世界を創り上げた開発者様から言いつかった使命を果たすべく。

私の主人はこちらの世界でも現実世界でも、毎日何かしらのポケモンに向かい「可愛い!」を連発するわ、受験生なのにテクノ依存症で将来は心配だが、
余りにも多くのポケモンを育てるのに夢中で用意されたシナリオが進まない位重度のお人好しな少女が私の主人で良かったと思っている。逃がされる心配は無いから。
そんな親バカ主人が変わってしまったのは晩秋の事だった。



三月までリアル受験生だった私が通りますよ。
文字通り晩秋にダイヤモンドのソフトにまつわる悲劇が起きたので多少脚色して書いてみる。
長いので何回かに分けて書くと思います。
58名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 14:51:27 ID:???
>>57に期待age
59名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 17:15:43 ID:???
>>50に心がきゅんとなった。初代を起動させようか…。
>>57に期待。
60名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 18:37:13 ID:???
あれは私がまだポッタイシの頃のことであった。
突然ゲーム機の電源が入った。内蔵時計によると、今は夜中の四時か五時位だからいつもなら主人はぐっすり眠っている時間だ。
デジタルデータであるが故私達は電源さえ入れば昼行性も夜行性も関係なく活動可能で俊敏性等に無駄が出る事も無い。
ポケモンセンターで回復すれば一瞬で体力・PP全快等々現実世界の生物には無い利点も多かった。
私は模試続きの主人の健康以外は特に気にせずモンスターボールの中で控えていた。

主人は私を含む手持ち六匹の体調を確認してハクタイシティのポケモンセンターを出た。
今日はハクタイの森でジム戦の練習でもするのかと思っていたら、何故かハクタイマンションへ走った。
確か悪者にポケモンを取られた人が住んでいた。取り返してあげたいのはやまやまだが主人は今現実世界の勉強で手一杯だ。
最低三ヶ月は待たせるだろう…と心の中で住人に謝っている間に私は「ワタリ」から「ポッタイシ」に名前が戻っていた。
主人は無言で手持ちポケモンのニックネームを全て取っ払った。
捕まえたポケモンには必ずソフトごとに一定の法則を以てニックネームを付けていた主人が急にどうしたのだ…?一体何故?
61名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 19:20:07 ID:???
行動の変化はそれだけでは無かった。
余計なトレーナー戦を避け、インターネットで調べてきたらしい「努力値」に少しは気をつけ相手を選んで戦っていた主人が、
いきなり周囲のトレーナーを根こそぎ倒し一日でハクタイジムをクリアしてしまったのだ。
マンションの住人のポケモンを取り返す日が早くなったのは私も嬉しかったが、それ以上に不安が大きかった。
まるで主人が別人に変わってしまったかの様だった。

それからも主人はゲーム機の内蔵時計で言う所の朝三時四時に始めて二時間位でひとつの街を越える勢いで駆け足の旅に出ていた。
育てるポケモンを私とムクバード(元は「カワサキ」と言うニックネームで、野球選手から取られた)とルクシオ(コリンク時代の顔つきから「テヅカ」と命名されていた)の三匹に絞り、
道ばたに落ちているアイテムには目もくれずひたすらレベル上げだけの為に戦う日々が続き、気が付けば一ヶ月弱で残りのジムバッジがあと一個と言う所まで来た。
受験勉強は厳しさを増して朝五時半に起きる日が度々あったが主人は年内にシナリオを片付けてしまいたいのだろうか。
シンオウ地方の東側を旅する間にエンペルトに進化した私はモンスターボールの中で出番待ちの最中、暇さえあれば硬質化した翼で形にならない腕組みをして無い頭を捻っていた。
62名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 19:56:59 ID:???
現在地はナギサシティ、このままのペースでいけば明日はジム戦だ。
私達三匹はジムリーダーの専門タイプ・電気に対して皆相性が宜しくないので、
鎗の柱で鎮めるつもりがうっかり捕まえてしまった時間の神「ディアルガ」様が代わりにあしらってくれるのだろうな。
もしくはアルミアと言う遠い土地から彷徨ってきた「ダークライ」が眠らせて終わらせるだろう。

…思い返せば私は全く知恵が足りていなかった。
最初の方に電源が点いている間しか世界は接触できないとは書いたが、こちらの世界からあちらの世界が全く見えない訳では無い。
見ようと思えば電源が点いていなくても上空に浮かんだゲーム画面と思しき黒い長方形を見上げて目を凝らせば現実世界を見られるのだ。
私はそれをフーディンの「ユアサ(主人曰く通称・弁護士)」に教えてもらったが、知能の高いエスパーポケモンの特権だと思いこんでいた。
ユアサは学名に戻されたあげくボックス送りになってしまい、道中のハードな戦闘を重ねる内にその様な事は忘れていった。
私は戦いに勝利する事だけを追い求めていた。進化して強くなると同時に態度も大きくなったせいで重大な事に気が付かなかったのだ。
…主人が本当に別人に変わっていた事に。
63名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 20:46:04 ID:???
まさかソフトを誰かに盗られたのか?
とにかく>>57に期待
64名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 23:20:05 ID:???
私はようやく悟って、直後に自分がプライドの高いポッチャマ一族である事を初めて疎ましく感じた。
こちらの世界からプレイヤーの顔が見えにくい−私は見えないと思いこんでいた−のを利用し、
本当の主人が爆睡中に主人の弟がこっそり主人の部屋のゲーム機と私達のデータが入ったソフトを自室に持って行き夜な夜な遊んでいたと言うのが事の次第だった。
ああ、あんなにも正反対の行動に出ていたのに私は何故気付かなかった?
内蔵時計は夕刻を指していた。不意にゲーム機の電源が点いた。
私達はこれからポケモンリーグへ挑戦するべく、ひたすら海上を進んでいる所で前回のレポートが書かれた。

主人…私の「おや」トレーナー♀(現実世界のプレイヤーが変わってもやり直さない限りデータは変わらない)は並べ替えをしようと手持ちをチェックする。
私達ポケモンと同じくトレーナーもゲームの世界の存在なのでドット職人が打った表情のバリエーションも単純だから、こういう時は案外無表情だったりするのだ。
彼(彼女)の手は先日保護してそのまま手持ちに加わったユクシーのボールの位置でぴたりと止まった。
次の瞬間、私は信じられない光景と懐かしい言葉を聞いたのであった。

「…ワタリ……カワサキ…テヅカ………ダークライに、ロッククライム…!?
何考えてんのあいつ…………それより、皆ごめん。ごめん…ごめ、ぅう、ぐすっ…ふ、ふええええ!!!」

ボール越しに見えた桃色マフラー少女の大泣きは、声は、雰囲気は、紛れもなく主人の物だった。
私こそ一番の古株なのに気づけず申し訳無い。そっと目を閉じたら、代わりに涙が一粒浮いてきた。
65名無しさん、君に決めた!:2009/05/05(火) 23:54:30 ID:???
あの大泣きから一週間と経たずに、主人は弟の魔の手からゲームを一旦取り返した。
だがその際主人は弟に私達のデータ入りソフトを譲渡する方向に持って行かれたらしく、私達のいる世界を捨てねばならなくなった。
つまりデータの消去並びにリセットだ。幸いすぐにでは無く主人のポケモン友達に頼み、
その人のボックスが許す限り配信された限定ポケモンや、ニックネームを元に戻した私・カワサキ・テヅカ、
他には正月に捕まえた色違いコリンクの「ハツハル」等、どうしても主人が捨て置けないポケモンを預かってもらってから弟の手に渡る事になった。
私は現在そのご友人のソフトに用意された専用ボックスを借りて、主人が新しく買ったゲームに私達を引き取ってくれるのを待ち続けている。
実際、無事大学が決まった後主人はご友人が預かっているポケモンの内、例のアルミア地方出身の「ダークライ」や同じくアルミア地方から送られた卵、映画館で配信された「シェイミ」等を返還してもらった様だ。
他は主人が交換用ポケモンをあまり用意できなくて次回にお預けとなった。

私はふと気になった事があってこれを書いている。
スペースの関係でこちらに預けきれなかった同胞は今頃どうしているだろうか。
ほとんどは別のゲーム機に設立された「ポケモン牧場」と言う仮想空間で元気に遊んで過ごしているらしい。
が、ごく一部は消されたデータと運命を共にしてしまったはずだ。私達の世界では、正式なトレーナーは最低一体ポケモンを所持するのが義務だからだ。
彼らは何も悪くないのだ。彼らは何もわるくないのに。

――――――消えたデータの行方は、今いずこ。
66名無しさん、君に決めた!:2009/05/06(水) 00:07:58 ID:???
期待レスくれた人ありがとうございます。以上で話は終了となります。
2chで長文書き込むのは初めてなので読みづらいとは思いますが、ご了承下さい。
人間パートは実話です。ちなみに弟は当時小六でしたが、母はむしろ不法侵入の方を怒ってました。
NNもそのまま。元ネタが全部分かった人とは話が合いそうです。
忘れてました、タイトルはここのスレタイをもじって「きえたデータの行方」です。
誤字脱字意見感想批評批判質問その他ツッコミ、出来る限りお受け致します。

最後までご覧頂き誠にありがとうございました。
67名無しさん、君に決めた!:2009/05/06(水) 12:46:01 ID:???
>>66
久しぶりに来てみたら何だか凄いのが投下されていた
乙であります
68名無しさん、君に決めた!:2009/05/06(水) 22:47:26 ID:???
>>66

こんなの俺は書けないぜ
69名無しさん、君に決めた!:2009/05/10(日) 19:50:05 ID:???
俺はいつからか『テスト前』って奴が楽しみになっていた。
その時期が来ると、ご主人様は思い出したように俺たちに会いに来る。
その度「テスト近いのになぁ…」と苦笑している顔が画面越しに見える。
幼い頃のご主人様は毎日俺に会いに来てくれたが、最近は『テスト前』にならないと来てくれない。
本音を言えば、少々寂しいが…時の流れには逆らえない。今でも会えるだけマシなんだろう。
『テスト前』が何なのかよくわからないが、それは俺にとって幸せの約束された時間だった。
何をするでもなく街をぶらついたり、カードめくりに興じたり。
運が良ければ散髪にも連れていってもらえる。こんなことは普段ない。
そんなご主人様がよく行くのが、トキワシティのトレーナーハウスだ。
小学校の時の親友がトレーナーとして出てくるかららしい。
友達っていいもんだな。今でも連絡を取っているのかは知らないが。
俺は…俺たちは、こんな「テスト前」だけの冒険でもいい…と考えるようになっていた。
だが、そんなささやかな幸せもやがて終わりを告げる。
70名無しさん、君に決めた!:2009/05/10(日) 19:56:55 ID:???
最初はちょっとしたことだった。時間が微妙にズレ始めたのだ。
最初は誰も気にしていなかったが、暗い顔をしている奴がいた。ポリゴン2だ。
「おい、どうしたんだ?」
ポリゴン2はうつむいて、小さな声で言った。
「もうすぐ、ご主人様ともお別れなんだね…」
「………え?」
一瞬、言われたことの意味がわからなかった。
「『テスト前』になったら会えるだろ?」
俺はそう反論したが、奴は首を振った。
「そうじゃないよ」
「じゃあ何だよ?」
「僕たちはもうすぐ…消えるんだ」
俺はその言葉を鼻で笑った。
「そんな訳ねえだろ」

だが、時が経つにつれポリゴン2の言葉はどんどん現実味を増していった。
時間のズレは大きくなり、世界はゆらめく。
「なあ…どうにもならないのかよ」
ポリゴン2は悲しそうに説明した。
バーチャルポケモンであるポリゴン2は、真っ先にこの運命を悟ってしまったのだ。
「電池切れは…僕らにはどうしようもないよ」
「何だよ…それ。このまま消えるしかないのかよ…ふざけんな!」
それから俺は必死になって方法を探したが、そんなものある訳がなかった。
ゲームの外のことには、俺たちは干渉できない。
そして…ついに終わりがやってきた。だが、ご主人様はやってこない。『テスト前』ではないから。
71名無しさん、君に決めた!:2009/05/10(日) 19:57:58 ID:???
俺とポリゴン2以外は、もう皆消えてしまった。
こうなったら、潔く消えてしまうしかない。
「もし今願いが叶うなら…生まれ変わっても、ご主人様と旅がしたい」
ポリゴン2がくすっと笑った。「データに生まれ変わりなんてあるのかな?」
「あるって言ったらあるんだよ!」
なかったら救われない。俺はもう一度、ご主人様に会いたい。
「僕は…生まれ変わるなら電池切れのない世界がいいな」
「あ、それも追加」
俺たちのデータが消えてゆく。
次に会う時は、電池切れのない世界を飽きるまで冒険しようぜ。

その時までさよならだ……ご主人様。
72名無しさん、君に決めた!:2009/05/10(日) 20:01:29 ID:???
金銀リメイク発表を知って我慢できずに書いてしまった
慣れないことはするものじゃないね…今は反省している
73名無しさん、君に決めた!:2009/05/10(日) 23:03:39 ID:???
いや、GJだ
74名無しさん、君に決めた!:2009/05/11(月) 01:37:00 ID:???
このスレのバイオリズムおかしいだろjk・・・

沢山のロコン達は元気にしているだろうか
75名無しさん、君に決めた!:2009/05/11(月) 21:16:04 ID:???
>>69-71
うわあああん
超GJ!
76名無しさん、君に決めた!:2009/05/12(火) 00:40:09 ID:???
>>71
GJです!
自分のクリスタルのこと思い出したよ…(´Д`)
77名無しさん、君に決めた!:2009/05/13(水) 10:31:32 ID:???
低い呻き声が絶え間なく響く薄暗い施設
ここではポケモンの姿を変える研究が行われているという

なんでも目の肥えたファンというのは見慣れた生体だけでは
目もくれないらしい
だからこうして「フォルム」を変形させた種を用意し
客寄せの為に使うのだという

本来あるべき姿を歪められ、ただの客寄せ道具に作り変えられる生命
ただし、「客寄せ」になれるものはまだ幸せなのである…


某日 ジョウト地方のとある研究所施設
78名無しさん、君に決めた!:2009/05/14(木) 05:50:31 ID:???
その頃シンオウ地方ではピチューの毛にクセをつけていた
79名無しさん、君に決めた!:2009/05/14(木) 21:06:56 ID:hbf1v2iJ
良スレあげ
80名無しさん、君に決めた!:2009/05/14(木) 21:16:18 ID:???
>>71
目から…汗が…
81名無しさん、君に決めた!:2009/05/16(土) 16:57:11 ID:???
なんという良スレ…
82名無しさん、君に決めた!:2009/05/16(土) 23:22:11 ID:mZHQd8WB
良スレあげ

目からハイドロポンプ
83名無しさん、君に決めた!:2009/05/17(日) 03:30:21 ID:FI82CjEd
視界が影分身
84名無しさん、君に決めた!:2009/05/17(日) 04:00:25 ID:???
>>71
俺の電池切れした緑版思い出して泣きそうになった。
85名無しさん、君に決めた!:2009/05/17(日) 09:08:55 ID:???
>>71
タイムリーでグッと来ました…クリスタルは銀より後に買ったのに先に電池切れしたな…

突然ですが、「きえたデータの行方」の作者です。まとめへの転記&レスありがとうございます。
完全版を自分のサイトにアップ致しましたのでよろしければそちらもどうぞ。
まとめサイトの方に転載して下さっても構いません。長くなるので再投稿は諦めました(汗)
ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~ksgng142/data.html
86名無しさん、君に決めた!:2009/05/17(日) 09:35:06 ID:???
目にどくどくなスレだぜ!
さっきから何故か玉葱を切ったかのように目が痛いのは何でなんだぜ?!
87名無しさん、君に決めた!:2009/05/17(日) 14:01:44 ID:???
>>85

データの儚さに泣いた
88名無しさん、君に決めた!:2009/05/17(日) 14:24:07 ID:???
こんなスレあったのかw最初から読んでみたけど、いい話ばっかだな。
電池切れ起こしたクリスタルとデータ最初からにしたエメラルド思い出した。
このスレ見ちゃうと最初から出来ないなあもう。


チラ裏だけど途中個体選別してた奴の話があったけど、
俺もやってるけどポケモン逃がしてないよ。というか何か逃がせない。
おかげでナゾノクサしかいないBOXとかピカチュウしかいないBOXとかある。
もう駄目だな。
89名無しさん、君に決めた!:2009/05/17(日) 15:58:25 ID:???
>途中個体選別してた奴の話
ごめん、そっちがメイン
90六丸:2009/05/17(日) 22:44:20 ID:???
どうしてあなたは私を捨てたのですか?
私のことを最高のパートナーだと言ってくれたのは嘘だったのですか?
あなたの横にいるポケモンは誰なんですか?
どうしてあなたはそんなに笑顔でいられるのですか?
私はこんなに悲しい気持ちでいっぱいなのに、こんなにあなたを愛しているのに、あなたにとって私はその程度のものだったのですか?
どうして…
どうして…
私はあなたにいつでも忠誠を誓った。
私はあなたをいつでも信じた。
私はあなたのことを最高の主人だと思っていた。
でもなんで?
あなたの横のポケモンに向ける笑顔は私のものなのに、何故私に向けてくれないのですか?
何故私をそんな目で見るのですか?
私はいてはいけないのですか?
何故…?
なんで…?


何が書きたいのかよく分からなくなったorz
91名無しさん、君に決めた!:2009/05/18(月) 00:24:04 ID:???
>>90

背景描写をつけて再うp希望
92六丸:2009/05/19(火) 12:56:49 ID:???
>>91
背景設定考えてないので書けなうわなにをするや
93名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 09:29:36 ID:???
辺りは血の海。隣にはご主人さまの首のない死体。
周りには黒光りする銃を持った無数の人
どうして…どうしてこうなっちゃったの?


私は数年前……ご主人さまがチャンピオンに勝つ前からずっと貴方の手持ちとして働いてきました。
LVが上がる度に喜んで抱きしめてくれたり、一緒に何度も何度も殿堂入りをしたり…
楽しかったですよ、貴方と過ごした日々は。

一か月前頃でしょうか私と貴方が離れ離れになったのは。
「ごめん…ボックスが一杯なんだ」
そう言って私を209番道路に置いて自転車をコキコキと走らせて去って行った。
何度も何度も貴方を呼びとめるために鳴いた。大声で、喉が潰れるほどに
でも、貴方は足を止めずに走り去って行った。
影が見えなくなってから実感しました。私は捨てられたんだ…と

数日したら、また貴方はこの209番道路に訪れましたね。何匹もの私の同族を抱えて。
でも、その時の貴方は今までの"あなた"ではなかった。
そのままその子達を投げ捨てて行く。去る時にはこんな事を言ってましたね
「屑が、お前たちなんていらねえんだよ!」
どうしたんですか…昔の貴方はそんな人じゃなかった。そんな怖い人じゃなかったのに…

その子達は、皆死んで行きました。
ある者は野生ポケモンに食い千切られ、ある者は餓死。そして遂にはその状況に耐えられず、発狂し、木に頭を何度も叩きつけ死んで行くものもいました。
その光景は何とも無残なものでしたよ。
自然の摂理。とは言えども、やはり同族の死には心が痛みます。
その後も、貴方は子供を捨てに何度も何度も訪れました。
そして皆。何十匹も何百匹もの同族が死んで行きました。
その時から、貴方が捨てて行く度に大量の憎悪が、私の心の奥底から湧き出てきました。
いつの間にか憎悪が大きく膨れ上がって、それは殺意となっていました。
94名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 09:30:20 ID:???
また貴方は手持ち一杯の同族を持ってこの道路に現れました。
そして同じように、「屑が!」と吐いて子供たちを捨てて行く。
私は気持ちを抑えられなくなって、あなたに攻撃を仕掛けることを決意した。

遠くから金縛りを放って相手の動きをある程度拘束してから、私は彼の前に姿を現しました。
まず念力で体を宙に浮かして身動きを完全に封じる。恐怖のあまり、尿を漏らす貴方はとても滑稽でしたよ。
数回右へ左へと数回振り、死なないように5mぐらいから自然落下させる。
骨の粉砕する音が辺りに響き渡り、ざわざわとニンゲン共が騒ぎを聞きつけて周りに集まってくる。
周りなんてどうでもいい。後はコイツを殺すだけだ。
でも、心の何処かで迷っていた。本当に殺してしまっていいのだろうか?
一緒に旅して来た主を、愛していた主を殺してもいいのだろうか?
急に体が震えだす。怖い…
頭の前に翳している手が細かく震えだす。私はまだ迷っていた。

「御免なさい…痛いよ…死にたくない…ユルシテユルシテユルシテユルシテ…」

死にたくない?
その時の彼の発言に一気に胸がカッと熱くなり、強い念力を頭の中に大量に送り込んだ。あの時の迷いなど全く無かった。
どんどんと頭が膨れていき、次第にパン!大きな音を鳴らしてと中の物を飛び散らせながら破裂した。
95名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 09:32:12 ID:???
これで、私の望みは叶った。
この結果を私は望んだのに、涙が止まらなかった。心が痛んで止まなかった。
彼の腕を持ち上げてみるも、あの時の温かさは無く、重さも殆ど感じない。
私は死体の胸に顔を沈めて泣いた。涙が止まる事はなかった。
泣き続ける私の周りに、緑色の服と帽子に身を包んだニンゲン達が集まった。
腰にはモンスターボールが付いていなく、手には黒光りする物を持って、それを私に向ける。
その瞬間、私は死を直感した。
最早、私はポケモンとしては扱われていなかった。唯の"ニンゲンの生活を脅かす危険な生物"だった。
ねえ…ご主人さま。あの世でも…会えますよね?
もし会えたなら、又宜しくお願いします。

「射撃用意、………撃てぇ!」

合図と同時にパンパンと乾いた発砲音が青空の下に連続で響き渡った。



なんか書いてることが意味不明ですが、なんとなく思いついたので書かせていただきました。
文章力の低さが…\(^0^)/
96名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 11:25:52 ID:???
>>94-95
超乙 泣けた

タイトル希望
97名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 12:25:10 ID:Beuyoy6l
タイトル「セーラー服と器管汁」
98名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 13:05:17 ID:???
タイトルとか考えるの苦手なので適当に決めちゃってくださいな
99名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 15:19:22 ID:???
映画配布ダークライの話。配布厳選なんでちとスレ違いかも。すまん


私は繰り返し運ばれた。
そして繰り返し消えていった。
今ここにいる“私”は、
数多の私の中の欠片に過ぎない。

ふわふわと漂っていた私は、
ある日大きな力で引き寄せられて
この広い、しかし小さな世界へとやってきた。
その中で私は幾度も幾度も形作られては消され、
ようやく今の身体を形作るに至った。
今のこの身体は
少しばかり身のこなしが素早いとか、
闇の力が幾何か濃いとか、
恐らくそういった理由で選ばれたのだろう。

来る日も来る日も届けられては破棄された
私の残滓は渦を巻き、
薄暗い悪夢となって私を取り巻く。
そんな私はただ在るだけで
否応なしに棄てられた悪夢を撒き散らしてしまうが故に
世界に疎まれ、嫌われる。

私は知っている。
私が今在るこの世界の外側にも、
かつて私が漂っていた世界があることを。
100名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 15:21:45 ID:???
あの日、私はきらきらした瞳に迎えられて
くすぐったいような、どこか温かい何かを初めて知った。
だから、私が小さな散り散りの欠片になることだって
何とも思わなかったのだ。
私を取り巻く、私が棄てられる悪夢が
十重二十重に濃くなろうとも、
初めて望まれ、求められた、ただそれだけで
私は幸せだった。

そうして選りすぐられた私だったが、
私のこの力は外の世界でも疎まれることにすぐ気がついた。
私の欠片が優れていれば嫌がられ、
劣っていれば嘲笑される。
悪夢を纏うこの身体も相まって、
私が力を揮えば揮うほど、私は疎まれた。

私は結局、
あの繰り返し生まれては消される悪夢の果てに生まれても
内なる世界でも外の世界でも疎まれる存在であるという事実に
変わりは無かった。

打ち棄てられた私の欠片は積み重なって
濃く沈殿した悪夢は、
私の血肉となって今も重く濁っている。

でも、それでもいい。
私を望み、迎え入れてくれた時の
あのきらきらした瞳を私は決して忘れない。
私は暗闇の化身、ダークライ。
悪夢の中、ただ一つだけ輝いている
運命的な出会いをしたあの日の記憶を抱いて、
今日もひっそりと生きている。
101名無しさん、君に決めた!:2009/05/21(木) 23:55:16 ID:???
切ないな・・・
一匹一匹捨ててくのもあれだけど、何度もダメ出しされ続けるのも辛いよなあ
102名無しさん、君に決めた!:2009/05/24(日) 21:31:50 ID:???
>>94
最後で「ご主人様」に戻った直後に殺されるのが…(´・ω・)

>>99-100
まさに何度でも繰り返す終わらない悪夢だな


それとwiki更新されてたね
乙です
103名無しさん、君に決めた!:2009/05/25(月) 20:04:29 ID:???
>>90
>>93-95
>>99-100
この3つはWikiに貼るべきだと思うんだが、タイトルどうしよう?
104名無しさん、君に決めた!:2009/05/25(月) 20:41:27 ID:???
特に書き手からタイトル決められてない話は、編集人がその時の気分で付けてるんだと思う

>>95
現実の熊とかもそうだよなぁ……もう少し理解しあえたらいいのにとか思うのに
不憫だ
105名無しさん、君に決めた!:2009/05/25(月) 20:55:10 ID:???
一応初代の人は漢字一文字かその話を代表するような言葉を抜粋してたみたいだけど
編集する人の気分で勝手につけちゃっていいんじゃないのかな
106名無しさん、君に決めた!:2009/05/25(月) 23:21:19 ID:???
タイトルの希望がある作者さんには先に自分で付けておいてもらえばいいだろう
付いてなければ編集者が勝手に付けてくれるみたいだし
107名無しさん、君に決めた!:2009/05/26(火) 21:16:46 ID:???
さようなら 私はもうじきこの世から消えてなくなります
もう永遠にこの世に現ることはないでしょう
もう永遠に貴方と旅をすることもないのでしょう

貴方は最初の一匹として私を選んでくださいました
貴方は私をいつでも一番強くしてくださいました
貴方は私を何時でも傍に置いてくださいました
トレーナーと戦う時だって、ロケット団を倒す時だって、殿堂入りする時だって、
貴方のポケモンであることが私の何よりの誇りでした
貴方の顔を画面越しに見ることが私の何よりの喜びでした

貴方はある日突然私と共に旅をすることをやめてしまいました
貴方は私の事を忘れてしまったのでしょうか
それとも私の知らない誰かと、私の知らない何処かへ旅立ってしまったのでしょうか
貴方と会わなくなってからどれほどの時が経ったのでしょうか

さようなら、私はもうじきこの世から消えてなくなります
貴方の知らないこの時、この地で
108名無しさん、君に決めた!:2009/05/27(水) 00:13:06 ID:???
投下しているみんなGJ!ついでに投下。

戒めの花

この季節になると、俺は必ず思い出す。今日のように暑く、晴天だったあの日を。

あの日は雲一つ無い晴天で、まるで真夏のようだった。
そんな真夏日でも、汗水を垂らしながら自転車のペダルを強く踏み込んでは漕ぐ。
そしてたまごを孵しては生まれたばかりのポケモンの能力を調べ、落胆して逃し、また自転車に跨がるの繰り返し。

生まれたポケモンを逃して、そいつらがどうなろうと俺には関係無い。
野生に帰しただけだ、そう納得して、時折見かける弱った野生のポケモンからは目を逸らしていた。

そんなある日の真夏日の下、自転車を休む間もなく繰り返し漕いでいたためか、俺は倒れた。恐らく疲労のためだろうか。
辺りは背の高い草むらが生い茂り、通りすがりの人間からも俺の姿は見えないだろう。
少し離れた場所まで来たことをすぐに後悔した。

容赦無く頭上から照りつける太陽に、ガンガンと頭が悲鳴を上げ始め、水分を求めて口の中が渇く。
手持ちにはたまごと孵化の手助けの為のマグカルゴ。
今ここで動きの鈍いマグカルゴをボールから出せば自分の首を絞めるだけだ。

どうしたものか、と考えようとするものの、頭痛が思考の邪魔をする。
そんな時、視界の端に見えた影。重い頭を持ち上げて見ると、それは見たことのある姿だった。
俺が逃がしたポケモンだ。
109名無しさん、君に決めた!:2009/05/27(水) 00:15:10 ID:???
そいつは俺の元へ歩いてくると、興味津々、といった様子で俺のことを見つめた。
身体は逃がした時より少し大きくて、傷だらけだった。
自分をこんな目にあわせた俺を恨んでいるんだろう、と思った。

「…くそっ…。」

そう呟いた後に自暴自棄になり、好きにしろよ、お前の仇はもう動けない状態なんだぞ、などと呟く。
そいつは俺はじっと見つめた後、俯せの俺の首に小さいながらも鋭い牙が光る口を近付けた。

しかしいくら待っても痛みは来ることが無く、思わず閉じた瞼を開けるとそいつは俺の服を口にくわえて足に力を込め、踏ん張っていた。
そして押したり引っ張ったりの末、ほんの少しずつ引き擦られる俺の体。訳が分からず俺が動かないでいると、暫くして頭上が涼しくなった。
辛うじて上を見上げると、上には緑の葉が繁った小さな木があり、木陰となっていた。

「…お前…あり…が…とう…。」

小さく呟くと、そいつは俺の手を一舐めして去っていった。
俺はあんなにも酷いことをしたのにどうして、と考えても答えは分からなかった。能力の計算だとかは出来るのに。

暫くして体力も少しずつ戻ったのか、なんとか立ち上がることは出来た。
毎日のように自転車を漕いでいたために、意外にも体力がついていたのだろうか。
ふらふらとしながら、何とか来た道を戻る。

すると突然、誰か人の驚いたような声と、鋭い悲鳴に近い鳴き声が聞こえた。
ふらつく足取りでその叫び声のした方へ向かうと、一人の人間とガブリアスが見えた。
近付いてみるとそこには俺が逃がした、俺を助けてくれたポケモンが横たわっていた。

「ったく、何だこのポケモン!いきなり飛び出してきやがって!いきなり飛び出すから自転車で轢いちまったじゃねーか!…お前のポケモンか!?」

俺が黙っていると、男は、こいつがいきなり飛び出して、挙げ句の果てに威嚇までするから、俺は正当防衛をしたまでだ!と怒鳴った後、ガブリアスを戻し自転車で走り去ってしまった。
110名無しさん、君に決めた!:2009/05/27(水) 00:21:38 ID:???
その男が走り去った後、見ればあいつは元からあった傷よりも鋭い傷を負っていて、周りには潰れて中の汁が飛び出、ぐちゃぐちゃになった木の実が数個散乱していた。

「…お前、こ、これを、お、れに…。」

ぐったりとした身体を抱き上げると、そいつは力無く鳴き、俺の手をペロリと舐めた。

どうして威嚇なんかしたんだと呟くと、潰れて原型を残していない木の実をそいつは見た。拾った木の実を潰されて、怒ったのかと聞くと、もう一度力無く鳴いた後に目を閉じた。ダラりと垂れる手足。

その姿を見て、俺は呆然としていた。だんだんと涙が溢れ出すのが分かり、最後には泣いていた。真夏のような太陽が照りつけても、涙は枯れなかった。
もう動かないそいつを抱き締めて大声で泣き続けていた。


あれから俺はもう、ポケモンを逃がさなくなった。俺があいつを見捨てたにも関わらず、あいつは俺を見捨てなかった。
俺がしていたことは間違っていたのだと、あの時気付かされたから。

あいつは俺の家の庭の隅に埋めた。そしてあいつが運ぼうとしてくれた木の実を育て、実が成るとそれを必ず置く。
不思議なことに、あいつが埋まっている場所には、種を撒いた訳でもないが毎年小さい花が咲く。

そしてこの真夏日のような季節になると、その小さい花が咲き、俺は必ず思い出す。今日のように暑く、晴天だったあの日を。あの日のことを、俺は絶対に忘れないだろう。
111名無しさん、君に決めた!:2009/05/27(水) 19:01:13 ID:???
>>107>>108-110
GJ!このスレ見ると本当切なくなるな…
112名無しさん、君に決めた!:2009/05/27(水) 20:29:03 ID:???
>>107 >>108-110

泣けた
113前スレ910:2009/05/27(水) 22:26:11 ID:???
物凄く間が空いてしまってすみません・・・
「復讐」を投稿した直後に仕事の関係で引っ越しなどでゴタゴタしてて、最近になってようやく落ち着いてきました。
なので近々「償い」の続編エピソードが投稿できそうなので、そのときはまた宜しくお願いします。
114名無しさん、君に決めた!:2009/05/28(木) 00:39:17 ID:???
>>113
超期待age
115名無しさん、君に決めた!:2009/05/28(木) 00:53:13 ID:???
いきものがかりの「帰りたくなったよ」
歌詞を変えなくても何か当てはまるきがして切なくなる(´・ω・`)
116名無しさん、君に決めた!:2009/05/29(金) 07:00:26 ID:???
>>115
うp
117名無しさん、君に決めた!:2009/05/29(金) 23:07:40 ID:???
>>116
これだと思う。なんというか、いらないとかそういう理由で逃がされたよりは、初代スレにあった仕方なく逃がして別れたラプラスの話とかにあいそうだな。

「帰りたくなったよ」/いきものがかり

心の穴を埋めたいから 優しいフリして笑った
出会いと別れがせわしく 僕の肩を駆けていくよ
ダメな自分が悔しいほど わかってしまうから損だ
強くはなりきれないから ただ目をつぶって耐えてた
ほら 見えてくるよ

帰りたくなったよ 君が待つ街へ
大きく手を振ってくれたら 何度でも振り返すから
帰りたくなったよ 君が待つ家に聞いて欲しい話があるよ
笑ってくれたら嬉しいな

たいせつなことは数えるほど あるわけじゃないんだ きっと
くじけてしまう日もあるけど 泣き出すことなんて もうない
ほら 見えてくるよ

伝えたくなったよ 僕が見る明日を
大丈夫だよってそう言うから 何度でも繰り返すから
伝えたくなったよ 変わらない夢を
聞いて欲しい話があるよ うなずいてくれたら嬉しいな
帰りたくなったよ 君が待つ街へ
かけがえのないその手に今 もう一度伝えたいから
帰りたくなったよ 君が待つ家に
聞いて欲しい話があるよ 笑ってくれたら嬉しいな
118名無しさん、君に決めた!:2009/05/30(土) 07:26:59 ID:???
↓見たらこのスレ思い出した。

ママをさがして7こくらいのよるをすごした。。
ママはぼくがきらいになったのかな?
ママはどこへいっちゃったんだろう。
すてられたの?
おなかがすいてぺこぺこになった。
しかたがないからゴミすてばにいたんだ、
そしたら
おにいちゃんがきて ぼくをいえにつれていった。
あたらしいおうちだとおもって、
とっても うれしかった。
おいしいごはんもくれたのに、、
なんで?
なんでぼくのしっぽをきったの?
なんでぼくのあしをきったの?
ぼく いいこにしてたよね
なんのために 
ぼくうまれたの?

   /l、
   (゚、 。`フ
   」  "ヽ
  ()ιし(~)〜
119名無しさん、君に決めた!:2009/05/31(日) 12:30:17 ID:???
うわぁぁぁぁ(つД`)゚.
120前スレ910:2009/05/31(日) 21:20:47 ID:???
ようやく「償い」の続編エピが描きあがったので投下します。
ちなみに「償い」以前に描いた話とも繋がった話になってますが、どの話かはちょっと伏せておきます。


とある町のトレーナーズスクールは生徒の卒業を翌日に控えていた。
既に生徒たちは全員帰宅しており、職員室もまばらだ。
1人の若い教員も既に今日の仕事を終え、いつでも帰宅できる状態だったが物思いにふけていた。
それもそのはず。
明日卒業する生徒たちは彼の初めての教え子たちなのだ。


ここに来てもうすぐ1年か。
そんなことを思いつつ、机に置いてある小さな箱からタバコを取り出そうとしたら彼の足元で餌を食べていたポッチャマがいつの間にか机の上に上がっておりタバコが入ってる箱を取り上げられた。
そしてタバコの吸いすぎだと言わんばかりに一声鳴いた。
やれやれ・・・拾ったのはいいが習慣になってるタバコを吸うなと口うるさいのはどうにかならないのか。
まだ何かひっきりなしにポチャポチャ鳴いてるが大方タバコは健康に悪いとでも言っているのだろう。


このポッチャマを拾ったのは半年前のことだった。
恐らく誰かが捨てていったのだろう。
腹を空かせたのか町中に現れ、八百屋の商品を狙っていたのを店主に棒で滅多打ちにされていた。
休日だったので買い物に出かけたら偶然その場に居合わせていたのだが、棒で叩いてるうちにポッチャマが血を吐いて動かなくなったときは店主が青い顔をしていた。
その後のことはよく覚えてない。
気がついたらポケモンセンターの治療室の前にいて、服はポッチャマが吐いたと思しき血で赤く汚れていた。
あの場は無視していればこんな面倒なことにはならなかった。
そして以前の自分なら間違いなく無視していただろう。
自分が捨ててきた無数のポケモンの中にも人里に出てきたばかりに命を落としたポケモンもいたはず。
それを見せ付けられた思いだった。
だから目の前にある捨てられた命を救おうとしたのだろうか?
自分でもなぜ助けようと思ったのかよくわからない。
だが、少なくともポケモンを都合の良い道具として思わなくなったことだけは確かだった。
121名無しさん、君に決めた!:2009/05/31(日) 21:21:31 ID:???
ポッチャマの様態は最悪だった。
棒で叩かれた際に折れた肋骨が数本、肺を突き破ってマトモに呼吸ができない状態だったという。
さらに内臓破裂に加え、栄養失調による衰弱もあり、手術を終えても1週間ほど予断を許さない状況だった。
一命を取り留めたのは奇跡だったという。
このポッチャマは退院後、俺が引き取ることにした。
あとで聞いた話だが、このポッチャマには仲間が1匹いたらしいが、八百屋の騒動でどこかに逃げてしまったという。
かなり絶望的だが、なんとか元気でやってれば良いのだが・・・

それ以来、実技の授業ではこのポッチャマを使っている。
勿論そこに至るまで人間不信になってたポッチャマに信頼してもらうために色々あった(それこそ俺が病院送りになる出来事が何度もあった)が、それは別の話。
話を本題に戻そう。
校長からは卒業式が終わった後の最後のホームルームで何か話をするように言われているのだ。
どの子も本当に良い子で俺みたいなロクデナシには勿体無い教え子たちだ。
さらに上のランクのスクールに進学することになっている子もいれば、ポケモンを貰って旅に出ることになってる子もいる。
未来ある子供たちに何を話すべきか。
・・・やはり俺の左脚のことを話したほうが良いのかもしれない。
そして昔の俺がどれだけ酷い奴だったかも教えたほうが良いだろう。
子供たちは俺が左脚の怪我でトレーナーを引退することになったことは知っているが、義足ということは知らない。
そしてなぜ左脚を失うことになったかも知らないのだ。
全ては未来ある子供たちが間違った道に進まないようにするためだ。
自己満足と罵られてもかまわない。
真実を話そう。
122名無しさん、君に決めた!:2009/05/31(日) 21:22:25 ID:???
翌日、卒業式が終わった後、生徒たちは教室に集められていた。
そこで俺は更衣室で左脚にはめられている義足を外し、朝早くに持ち込んでいた松葉杖を両脇に抱えて立ち上がった。
義足に慣れていたせいか妙な違和感を感じるが仕方あるまい。
俺は杖を着きながら教室へと向かっていった。
教室に入るとそれまでにぎやかにお喋りを楽しんでいた生徒たちが一斉に黙り込んだ。
生徒たちの視線が膝から先が無く、動くたびにズボンの裾がなびく左脚に向けられていた。

「みんな卒業おめでとう。今からとても大事な話があるんだ。先生の最後の授業だと思って真剣に聞いてほしい。」

そこで俺の過去を洗いざらい話した。
自分の名誉のために数多くのポケモンを死なせたことを。
それも生まれたばかりの子供をだ。
教室の至るところから生徒のすすり泣く声が聞こえ、冷たい視線が教室中から向けられている。
そしてかつて自分が捨てたアブソルに左脚を奪われたことと、こんな俺のことを助けようとして命を落としたリオルのことまで話し終わった。

「君たちには一人一人個性があるよね。例えば勉強が出来る子、スポーツが得意な子、ポケモンの世話をするのが好きな子・・・とにかく色々だ。
ポケモンも同じだ。その個性を認めてほしい。たとえバトルが苦手なポケモンでも何か良い部分はある。それを認めずに数字だけを重視するやり方にノーと言える勇気を持ってもらいたい。
みんなは先生のことを最低なトレーナーだと思っただろう。それでいいんだ。その気持ちを忘れないでほしい。これからトレーナーとしてみんなは活躍するけど、
今言ったやり方を薦めるトレーナーがいるかもしれない。そして君たちの育て方やポケモンを否定するかもしれない。それでも忘れないでほしい。
本当に強いトレーナーは常にポケモンを信じ、力を引き出すための努力を惜しまない。今は例えどんなに弱かったとしても大事にしていれば必ず答えてくれる大切な友達だということを」

一呼吸置いて続ける。

「先生が授業で教えたバトルのテクニックは全部忘れても良い。ポケモンは友達だということだけは忘れないでほしい」

123名無しさん、君に決めた!:2009/05/31(日) 21:25:20 ID:???
こうして俺の最後の授業は終わった。
今回の俺の行動が正しかったかはわからない。
それでも子供たちが間違った道に進まないためにできることはこれだけだった。
果たしてこれが正しかったかどうかは自分の教え子たちのこれからを見れば自ずと分かることだ。

夕日で建物が紅く照らされる頃に義足をはめなおし、校庭の芝生に腰を下ろしタバコをゆっくりと吹かす。
子供たちが1人もいなくなった校舎を見ているうちにいつの間にか口に咥えていたタバコが視界から消えていた。
ポッチャマが煙を上げてるタバコ片手に怒ってるような様子でなにやら鳴き声を上げてる。
大方喫煙について悪口を言ってるのだろう。
たしかに最近ちょっと吸いすぎだよな。
こいつとこういうやり取りをできるのもいつだろう。
あのアブソルが現れた後、俺の替わりに育ててくれそうな奴を今のうちに探しておいた方が良さそうだ。
そんなことを考えながら、ポッチャマをお供に校舎の職員室に向かっていった。
124名無しさん、君に決めた!:2009/05/31(日) 21:27:01 ID:???
これで終わりです。
長い間待たせてしまってすみませんでいた。

次の機会があればその時はまた宜しくお願いします。
125名無しさん、君に決めた!:2009/05/31(日) 22:12:52 ID:???
>>120-124
乙!

そのポッチャマが♀だとしたら何となくどの話だったか分かる気がする。
あえてここでは言わないことにしておきますが。
126名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 09:43:10 ID:???
弱いポケモンを逃がすことを非難する人がいる。
しかしそんな人ほど、実は、ポケモンを戦いの道具としかみていない。
ポケモンにとって、戦うことは生活のほんの一部に過ぎない。
戦いだけがポケモンのすべてではないのである。
ゆえに、戦いが苦手なポケモンも存在するのは当然である。
トレーナーは、ポケモンが戦いに適しているかを見極め、不適とした場合は
別の生き方を選択させる義務があるのではないか?
それは、そのポケモンを否定することにはならないはずだ。

トレーナーは、本来ポケモンが野生としての生活を謳歌する権利を奪っている。
どんな理屈をつけようと、それは事実なのだ。

さて、ポケモンを逃がすことはトレーナーからすれば、悲しい別れかもしれない。
しかしそれは、あまりに一方的で、傲慢な考えである。
何故ならあなたは、もうすでに、そのポケモンを、その家族や、友達から引き離しているのだから。
野生での生活を無価値と考え、自分との生活のみを価値あるものととらえる、
これ以上に人間中心的な、傲慢な考えがあるだろうか。

「ポケモンは友達」と言う人へ
そのポケモンにも、かつてはあなたのような友達がいたのだった。
誘拐犯が被害者と友達になれようか?
使わないポケモンを逃がすということは、罪を背負ったトレーナーの
せめてもの償いというべきではないのか。
逃がすということは、そういう意義を持っていると思う。


このスレの住人的にはどう思う?
スレ違いだったらすまん
127名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 10:22:41 ID:???
このスレにおいての「弱い」ってのは個体値というより
レベルの低い生まれたての、って意味合いが強いんだけどな
「個体値を知ったからこれまでずっと戦ってきたけどお前いらね出てけ」ってなお涙頂戴話はそれでいいけど
128名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 20:25:53 ID:???
>>127
いや、両方だと思う。
生まれたてで個体値が低い=逃がす対象になる
じゃないかと。

因みに当の漏れは逃がしたことが実は、ない。
129名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 21:25:44 ID:???
普通のトレーナーが個体値に執着し不幸になる話や
既に高個体値に執着したトレーナの話で生まれたてのLvが低く・・ってのまであるね。

「逃がしたポケモン達」の行方なのでそう言う話が多いけど、
あえて逃がされなかったポケモンの行方と言うスレ違いを投下してみる。
130129:2009/06/02(火) 21:26:29 ID:???
所々青い模様が特徴の黒い毛皮に包まれたポケモンは
目の前に立ちはだかるモウカザルという種を見上げ
「マスターよ私は悪タイプだ、おいうちなどと命令してないで早く交代してくれ」
そう(愚痴を)吐きつつ追い討ちの体制をとろうとしたが、モウカザルの容赦ないインファイトの前に
そのポケモンは一撃で意識を失った。


意識を失うと同時に走馬灯のごとく過去の悪夢が甦る・・・。


私の前のマスターは個体値の高いポケモンを探す為に沢山のタマゴをかかえ
自転車で右往左往する日々を続けていた。
兄弟は生まれると同時に個体値を測定され、性格も診断され捨てられたそうだ。
捨てられた兄弟のその後は私は知らない、いや考えないようにしている。

私は運が良かったのか兄弟と違う色の毛皮を持っていたので捨てられず、
その代わり「ボックス要員」という役目を押し付けられた。
何年もボックスで暮らしているうちに
「ここはお腹も空かなければ天敵と言う者も居ない最高の環境なのだ」
と私は思い込むようにしていた。
そうでもしなければ、この退屈な環境に耐えられないからだ。

これだけでは、捨てられた他の兄弟に比べればマシだと?
違う違う、これは序章なのだ・・・今のマスターに引き取られるまでのな。
131129:2009/06/02(火) 21:27:32 ID:???
今のマスターに出会ってしまったのはWi-Fiと言う奇妙な名を持つ
"不要になった"ポケモンの交換を支援している団体だった。
私は長年のボックス暮らしからボックス整理という名目でこの団体に預けられた。

今のマスターは私を見るなり前のマスターと同様に性格を調べ始めた
「ずぶといかぁ」と呟き落胆すると、今度は個体値を調べ初めた・・・


長い長い静寂が続いた。
私はまたボックス要員か、兄弟のように捨てられるのだろうと考えていると
マスターは頭をかきつつ
「個体値ってのを調べないと目覚めるパワーのタイプが判らないのか。何かメンドクサイなぁ」
と独り言を言いながら、また色々な本やポケッチという機械と睨めっこし始めた。

私がもし人の言葉を話せるならコイツに教えてやりたい
「残念だったな、私の目覚めるパワーのタイプは 虫 だ。
 前のマスターがちゃんと調査してくれているぞ」
と・・・。
そんな事を考えているうちマスターは急に私をモンスターボールに押し込めボソっと呟いた

「まっいっか」

お・・・お前!!もしお前に性格とやらをつけるなら「のうてんきだ!」

そう、私の不幸とはこのマスターに出会ってしまったこと
進化ポケモンという私を何も考えず育てブラッキーにしたり
相手との相性も考えず行き当たりばったりの命令

いつになったらこのマスターをチャンピオンロードと言う場所へ連れて行ってやれるのか
そう思いつつ私は今日も必死に戦いつづけている。
132名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 21:29:55 ID:???
 死 ばかりの話じゃ重くなるからね。

たまには、こーいう気軽な話も良いかなぁと思って投下してみた。
後悔はしていない。
133名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 21:48:49 ID:???
>>126
今日一日このレスについて考えてみた

たしかに野生ポケモンを捕まえて我が物のように扱うのは
自己中心的であり、あまりポケモンの事を考えていない。
それならば、逃がすことは非難されるどころか賞賛されるべき事である

しかし、このスレで言われている「逃がされたポケモン」は、
タマゴから生まれて、トレーナーを親だと思っているポケモンの事であり、
それを逃がすことは、いわば三歳児を見知らぬ土地に放置するのと同じ事だ。
ポケモンのその後の事をまったく考えていない。

ボックスがいっぱいだから逃がすのならば、
せめて野生で暮らせるようにしっかりと訓練してから逃がすべきである
それが親としての最低限の務めではないだろうか

>「ポケモンは友達」と言う人へ
全面的に同意する
134名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 21:54:24 ID:???
>>129-132

このブラッキー…一応なついているんだよなwwwwww
さらに能天気なトレーナーwwww
なんか笑えたwwwwww

このブラッキー(イーブイ)が人語を話せたらよかったのに
そういう翻訳機があったらいいな

ガンバレブラッキー

タイトル希望
135名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 22:10:57 ID:???
>>133
どこかのスレで人間に"捕まる為に"友達と一緒に特訓し
草むらの影で人間を待ち伏せしては人間が連れているポケモンに戦いを挑み
やられて毎度瀕死になる話があったけど、、、ここのスレだったっけ?
いつか自分のトレーナを見つけるまでガンバリマス!的なの。

それ読んでから努力値貯めで野生を倒しまくるのを
(ちょっとだけ)躊躇するようになったのを思い出したw


>>134
お褒めの言葉(?)ありがとうございます。
本当は「ひねくれもの」的な性格があったらそれにしたかったんだけど。
なかったので(ry
そんな性格なのと進化しタイプが「あく」になったので毒舌ですが
本人(元イーブイ)は現在のトレーナに感謝し懐いていると思いますよ。
136名無しさん、君に決めた!:2009/06/02(火) 23:04:50 ID:???
ていうか、あれだけポケモン関連のサービスが充実してる世界なんだから
ボックスに入りきらないポケモンくらいどうにかしてくれそうな気もする。
ポケモンブリーダーなんて職業もあるし。
137126:2009/06/02(火) 23:44:02 ID:???
>>133
>しかし、このスレで言われている「逃がされたポケモン」は、
>タマゴから生まれて、トレーナーを親だと思っているポケモンの事であり、

ごめんスレの趣旨を勘違いしてたw
それだと当てはまらないのは当然だな
タマゴから生まれたポケモンなら、きちんと育てる必要があると自分も思う。
できれば産みの親(両親のポケモン)の元においてやりたい
そういえばアニメとかでトレーナーが世話することがあるけど、
実の両親が登場して世話する描写ってほとんどないし、意識されてないよね
特に異種の場合、適切に育てることができるのだろうか
138名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 00:20:40 ID:???
>>126,137
元はそう言うのを討論するみたいなスレだったし、スレチじゃないと思うよ
タマゴから生まれて、という話は確かに多いし初代>>1を見る限りはそう言うスレだったのかもしれないけど、
だいぶ広義的になって、野生から捕獲されて逃がされる云々の討論も何度か行われてる
またその背景にある、直接逃がされたポケモンとは関係ない話なんかもなくはないくらい

でまぁ、確かにポケモンが野生として生活する権利は奪われていると思う
同じ生き物である我々人間にとっては、環境の変化というのはそれだけでストレスになる
ポケモンにも果たして同様のことが言えるかは分からないが。一度捕獲という名目で服従させたなら、その責任は最後まで取り続けるべきだと考える
捕獲された時も、また逃がされた時も環境の激変ということには変わりない
見解を変えれば、弱肉強食の世界のトップに人間がいる以上、最初からポケモン達に自由なんてないのかも知れない
人間という最大の捕食者の魔の手からいかに逃れるか、それこそが野生するポケモン達の至上命令なのかも知れない
かつては人間もポケモンも同じであったと言われていて、その頃の共存の道を忘れきれないでいる形が、今の、ポケモンは友達と唱える形なのだろうか
あるいは、人間という種族の未来性を見て、例え嘘でもポケモンは友達と唱え続けなければならないのか
どちらにせよ上から目線でしか見れない我々人間が単独で結論を出せるとは思い難い所だが
正直何を言いたいのか分からなくなった
幼い頃からじゃれあったりして遊んだ、とかそんな関係なら友達と呼んでもいい気がするが
屈伏させ捕獲したポケモンを友達と呼ぶのは、俺も何かおかしい気がする

あとアニメでの親の描写ってほんとないよね、ポケモン達の巣立ちは想像以上に早いのかも知れないけど
時折母親がセットで出てきて世話してたなんてことあるけど……あれ、そういえば父親見たことないぞまさか
139名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 00:27:56 ID:???
ポケモンってゲットされたくて草むらから飛び出してきてるんだと思ってたw

あしあとおじさんのとこつれていくと、
「草むらからほかのポケモンたちがうらやましそうに見ているぞ」って言うポケモンいるし
140名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 02:03:51 ID:???
ただのプログラム、って認識もあるんじゃないかなあ
141名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 20:57:52 ID:???
流れが止まったようなので、昨日投下したスレ違いな
「逃がされなかった」の「逃がされたポケモン版」を投下してみます。

長いのは構成力が足りないせいです。
今まで投稿された諸先輩方の力を改めて感じつつ
投下した後はおとなしくROMに戻ります。


-----------------------------
前のマスターは他の兄弟を個体値や性格が悪いと言う理由だけで生まれてすぐ捨てたが
私は色違いという珍しいポケモンだったために捨てられずボックス内で退屈な日々を過ごしていた。
捨てられた他の兄弟に比べれば幸運なこの生活であったが、私はその退屈を呪っていた。
その後ボックス内が満杯となり色の違いだけが取り柄の私は交換に出された。

そして今のマスターが居る。
最近のこのマスターは肩にピカチュウと言うポケモンを乗せ全国各地を旅する番組の影響を受け
私をボールから連れ出し一緒に歩かせるのが日課となっていた。
私や他の手持ちポケモンを気分次第で選び一緒に歩かされるのだ。
強制的に歩かされるこの行為を忌み嫌っていたが、
今では出番がいつくるのかワクワクしながら待っている私が居る。
悪タイプだというのに我ながら情けない…。

そう私はブラッキーと言うポケモンだ。
142名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 20:58:52 ID:???
新しいマスターと旅を始めてからもう半年ほど経った頃、見覚えのある町が見えてきた。
ズイタウンだ。

もう日が暮れだったため、ズイの町明かりが遠くに見えていた。
その中間に位置する小高い丘の上に古びた塔がある。
私の第六感がそこに入るなと知らせていたがマスターはその塔に入ろうとしていた。

私はマスターの後を追おうとしたが、足がすくんでしまいその場で固まっていた。
マスターは『のうてんき』な性格のため(私が勝手に決めた)、
私の異変に気がつかず塔の奥にズカズカと入っていった。
このマスターの性格のお陰でボックス要因から開放された事には感謝していたが
今更ながらこの時だけは恨んだ。

どのくらい時が過ぎた頃であろうか、近くの草むらからガサっという物音が聞こえた。
固まったままその草むらを凝視していると、こちらを見つめる眼光があるのに気がつく
同時に数匹の傷だらけのイーブイが飛び出してきた。
その傷は古傷から最近ついたであろう傷まで様々あり生々しかった。
イーブイ達に囲まれ硬直していると、目の前の1匹が問い掛けてきた。
143名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 20:59:40 ID:???
「お前、あの人間のポケモンだな?」

戸惑っている私を見て更に問い掛けてきた
「お前の匂い覚えているんだよ。色あせていた兄弟の1匹だろ?
 僕らは捨てられたけど、どうしてお前は捨てられなかったの?
 何が違うんだい? 色? そんな理由で僕らは捨てられたの?」

私は一瞬で悟った。
目の前のイーブイ達は前のマスターに捨てられた兄弟達だと言うことを、
そして目の前にいる以外の他の兄弟達は皆死んだことに。
「ちがう個体値が…」と反論しようとしたが、ここで事実を突きつけてもしょうがない。
何も答えられず固まっていると急に激痛が走る。
振り返ると後ろを囲んでいた兄弟が私の後ろ足を噛み付いていた。

私は塔に入った人間は君達を捨てた人間ではない事を必死に伝えた。
しかし兄弟達は聞く耳を持たず次々と私に飛び掛ってくる。
野生化し鋭くなった兄弟の眼光に圧倒され私は逃げることも反撃できずにいた。
ついに私は耐えれなくなり反撃を余儀なくされる。
悪の波動で吹き飛ぶ兄弟達。
倒れても、倒れても彼らの攻撃は止まらなかった。
私は目をつぶり何度も何度も波動を四方八方へ飛ばしているうちに
攻撃がこなくなった事に気がつき目を恐る恐る開く。

兄弟達は口から黒い血を吐き、その場にうずくまりピクピクと痙攣し始めていた。

何度かポケモンバトルという状況で『ひんし』と言う状態を経験したが
今この場にある状況はそれと比べ物にならないほど悲惨な光景になっていた。
気がつくと私はこの光景を見て再び硬直し何も出来ないでいた。
144名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 21:00:22 ID:???
ふと私の足元に私以外の何者かの影があるのに気がつき慌てて振り返る。
私の目に映った者は塔に入ったはずのマスターであった。
マスターが塔から出てきたのだ、いつから居たのだろう?
一部始終を見ていたならマスターは私を軽蔑するだろう。
そして倒れこみもう動かなくなった兄弟達と同様に私も…
そのような悪い考えがぐるぐると脳裏を横切る。

「おっ!これイーブイじゃん ラッキ〜」

静寂を破る間の抜けたマスターの声に私の開いた口は塞がらない。
そんな私を他所にマスターは兄弟達を次々とモンスターボールで捕獲していく。
「えらいぞ ポチ。相手を弱らせておいてくれたんだな
 でも次はもうちょっと手加減しろよ」
と言いながら私の頭を撫でてくれるマスター。

そのニックネームだけはカンベンしてくれ。じゃないじゃない
状況を考えてくれ…などと独り言を言うがマスターにはポケモンの言葉が通じない。
そんな私を尻目にマスターは兄弟達が入ったモンスターボールを回収し小走りでズイタウンに向う。
私もその後を追う、自分を呪いながら。


兄弟達はズイのポケモンセンターのシュウチュウ チリョウシツと言う特殊な部屋に入院した。
その部屋の前でマスターはジョーイさんと言う人に怒られていた。
私がそっとマスターに身を寄せると
マスターはいつもの笑顔で「だいじょうぶだよ」と言いながら頭を撫でてくれる。
そのようなやり取りを見ていたせいかジョーイさんはフゥと溜め息をつきその場を離れた。

その後、兄弟達はジョーイさんの的確な治療とマスターの看病のお陰で一命を取り留めた。
人間を恨んでいる兄弟達が新しいマスターをすんなり受け入れたわけではない
この話をすると長くなってしまうので私の胸の中にしまっておこう。

(EN・・やっぱつづく)
145名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 21:01:18 ID:???
新たに兄弟達が仲間になったせいで時々ボックスに入れられてしまうのが私の今の悩みだ。
ただ、ボックス要員で暮らしていた頃と違い、ここは笑い声が聞こえてくる。
今日もボックス内のポケモン達は集まりマスターへの悪ぐ…じゃない
愚痴や自慢話を話あっている。

「こないだバトルした時なんだけど、私の苦手な電気タイプと戦わせるんだよ?
 地面技を教えてもらえれば善戦出来たはずなんだけど結果は聞かないでね。」
苦笑いしながらエンペルトが話す。
実はこのエンペルトを「あねき〜」などと呼ぶと鋭いクチバシで容赦なく攻撃してくる。
あの強さをバトルでも発揮すれば無敗連勝だろうに。
だが皮肉にも彼女のニックネームは「アネキ」
だからこそ、みんなそう呼んで彼女をからかうのだ。

すると集団の真中付近にいる小さなポケモンが話し出す。
「ボクなんか物拾い要員で捕獲されたんだ。
 でも ざ・ん・ね・ん 特性にげあし♪」
一瞬の間が開き、ちょっと気まずい空気が流れるていのを感じる。

すると慌ててその小さなポケモンが話を続けた。
「じつはこの特性を主人は知っていて今でも旅のお供に加えてくれるんだ〜
 こんなボクでも役に立つことはあるんだよ
 こないだなんか、ノモセジムリーダのポケモンを2匹抜き!
 3匹目がナマズンじゃなければ ボクだけでフェンバッジをGETできたはずなんだけどね」
舌をペロっと出してパチリスは笑う。

「1匹目でナマズンにあたっちまえ」
「あの主人が・・水タイプに電気タイプをぶつけるなんて…ヒドイ」
などと野次や愚痴(?)が飛び交う。
仲間のこのような何気ない話を聞きながら今はこのボックス暮らしを満喫している。
146名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 21:02:04 ID:???
そうこうしているうちにパソコンの起動音が聞こえる…。
話は急に止まり辺りが静寂に包まれる。皆それぞれが緊張しているようだ。
手持ちに加えてもらえるかも?という望みを胸に秘めつつ。

しばらくすると手持ちに加えられていたポケモン達が帰ってくる。
1・2・3・4・5・・・帰ってきた仲間を数えていると、
兄弟のイーブイ達が次々とモンスターボールへと転送されているのが見えた。
私は嬉しくもちょっと残念で複雑な気持ちになるが、
そんな私の気持ちを知ってか主人が私を選んでくれた。
すると突然視界がパっと明るくなる。

じつは私と兄弟達は今もケンカしている。
もちろん口喧嘩だ。
イーブイ「イーブイの方が可愛いからマスターの横を歩く権利は当然ぼくらの物だ」
ブラッキ「進化したポケモンの方がカッコイーにきまっているだろ、だから私が…」
イーブイ「進化ならぼくらだって出来るよ〜 何になろうかな?」
ブラッキ「あのマスターが計画的に進化させるわけ無いだろ?今のうちに諦めちまえ」
イーブイ「うるさいなぁ  ポ  チ  の癖に」
ポ チ 「 ・ ・ ・ ・ 」
ちなみに私が負けているのは相手の数が多すぎるせいだ。(1対1なら勝てるハズである)

そんな兄弟喧嘩を横目にエンペルトのアネキがマスターの横を確保していた。
エンペルトいわく「早い者勝ち」だそうだ。
数匹のイーブイに1匹のブラッキー、そしてエンペルトに囲まれながらマスターは次の町を目指す。

END
147名無しさん、君に決めた!:2009/06/03(水) 21:26:52 ID:???
>>141-146
超乙
途中はどうなるかと思ったが、最後はハッピー(?)エンドでよかった…
ブラッキーかわいいよブラッキー
次作にも期待age
148名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:02:24 ID:???
 「大将、負けました。やっぱり、大将は強いですね。」
 「なに、お前ももうちょっと修行すれば強くなるさ。」
 「いや、俺は個体値も低いし、努力値もまともに振られてないからどんなに頑張っても大将のように強くなれないですよ。」
 「個体値、努力値、か。」
 「あれ、大将どうしたんですか?」
 俺の表情が今までの明るいものから暗いものへと変わったからなのだろう、あいつは俺にその理由を聞いてきた。
 「いや、何でもないんだ。ちょっと、部屋に戻ってるよ。」
そう言って、俺は自分の部屋に戻った。
 部屋に戻った俺は、さっきあいつが言ってた個体値・努力値について考えていた。そして、ある一つの思い出がよみがえってきた。
149名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:06:15 ID:???
 俺は、数十年前に極々普通のミニリュウとして生まれた。
俺のかつての主人は俺が生まれると飴と薬を幾つか与え、何かの機械を操作していた。そして、その作業の後、俺を撫でてくれた。その感触はかなり気持ちが良く、俺はこの主人のためにすべてを捧げようと思った。
 その後、俺はたくさんの野生ポケモンや、四天王と呼ばれる強いトレーナーと戦い、バトルの経験を積み、ハクリューを経てカイリューに進化した。
そして、主人とともにバトルフロンティアという施設や、たくさんのバトルの大会に参加し、主人がフロンティアを制覇したり、大会でチャンピオンになるのを全力で助けた。
さらに、主人が私の同属を育てるというので、そいつの親になったりもした。俺は、とても幸せだった。そう、あの現場を見るまでは。
150名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:11:33 ID:???
 ある日、主人は「お前もバトルばかりではストレスが溜まるだろう。たまには、外を自由に飛びまわってもいいぞ。」と言って、俺をボックスから出してくれた。
かなり嬉しかった。今まで、ボックスやバトルフィールドばかりを飛び回っていて、正直気晴らしがしたかったからだ。
 外は、気持ちがよかった。野生ポケモン達は仲良く木の実を食べていたし、町では人々が忙しそうにいろいろな店を回っていた。
俺には、すべてが初めてだった。そして、こんな気晴らしをさせてくれる主人がますます好きになった。
151名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:14:15 ID:???
 そんなとき、一つの看板が目に入った。そこには、『ポケモン育て屋』と書かれていた。
俺が特に気にもせずにその場を通り過ぎようとしたとき、そこに主人がいた。主人は、育て屋の周りを自転車で猛スピードで走っていた。
つれているのは、1匹のマグマッグと大量の卵だった。(何をやってるんだろう)、俺は興味を引かれ、主人をそっと観察した。
しばらくすると、卵が孵った。卵が孵ると、主人は生まれたばかりの子供に幾つか飴と薬を与え、何かの機械を取り出し、それをずっと眺めていた。
まもなく、主人の舌打ちが聞こえてきた。そして、主人は冷たく言い放った。
 「どいつもこいつも個体値が低くて使えねえな。お前らなんかどっかに行っちまえ。」
152名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:16:40 ID:???
 俺は、信じられなかった。俺にあんなに優しい主人が平気で生まれたばかりで、まだバトルのやり方も満足に知らないポケモン達を逃がしていることが。
俺は、主人の前に飛び出した。
 「おい、主人。こいつらを何で逃がすんだ。」
 主人は多少驚いたようだが、すぐにこう言った。
 「あいつらは、個体値が低いから、努力値を振ってもバトルでたいして使えねえ。だから逃がすんだよ。
ああ、お前は逃がさないよ。何しろ、攻撃とHP・素早さがVで、その他の能力も20以上なんだから。
それに、お前を逃したら、お前の兄弟達が可愛そうだろ。」
153名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:19:22 ID:???
 その言葉を聞いたとき、俺の中で怒りが爆発した。主人は、俺を1匹のポケモンとして見ていたのではなく、ただのバトルをするための道具としてしか見ていなかったのだ。
そして、俺は高く飛び上がり、主人目掛けて急降下した。
 「おい、どうしたんだよ、カイリュー!」
そんな主人の驚いた声が耳に入ったときには、俺は主人を押しつぶしていた。
そして、その光景を目の前で見ていた逃がされようとしていたポケモン達を背に乗せ、俺は空高くへと飛んで行った。
154名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:21:04 ID:???
 その後、俺はカイリュー達がたくさん住んでいる竜の穴という場所に辿り付いた。
そして、今はそこの大将となり、ジョウト地方で逃がされたポケモン達を見つけては、仲間と一緒に育てている。
おそらく、俺のかつての主人以外にも、ポケモンを戦いの道具としか見ず、個体値が低いという理由で逃がしているトレーナーはたくさんいるだろう。
その逃がされたポケモン達を1匹でも多く救うために。
因みに、俺があのとき背に乗せてきたポケモン達は立派に成長し、それぞれの住むべき場所に戻って幸せに暮らしている。
155名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:27:17 ID:???
とりあえず、一つ思いついたんで書いてみた。至らない点がたくさんあると思うけど、そこは多めに見てください。
156名無しさん、君に決めた!:2009/06/05(金) 23:34:53 ID:???
>>148-155
超乙 イイハナシダナ〜
こんなポケモンや人間がいれば、モラルを欠いたトレーナーは減ると思うのだが…
157名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 00:09:54 ID:???
おい待て、主人を殺して回るポケモンがいたら
モラルを欠いたトレーナーどころかトレーナー自体が激減すると思うが
158名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 02:38:31 ID:???
四月くらいに投下予告して、ようやく投下。

逃がされたポケモンはみんなみんな恨みを持っているでしょう。
中にはそれが殺意に転じているポケモンもたくさんいるでしょう。
復讐を企て、実行に移している例もたくさんあるでしょう。

でも、ポケモンはそれで満足ですか?
自分達を犠牲にして力を求めたはずの主人を、
そんなにもあっさりと殺せてしまったら満足なのでしょうか。
復讐を遂げてしまったら、彼らの犠牲の意味は?

そんなことを考えながら書いてみました
159名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 02:58:34 ID:???
俺はある男に捨てられた。

大量の仲間のストライクと共に、生まれてすぐに捨てられた。
もう、そのとき男がどんな顔をしてたかなんて全然覚えてない。


覚えているのは今日までの辛い現実だけ。
低いレベルで捨てられた俺達は、野垂れ死ぬ以外に道は残されてなどいなかった。
"ひかりのかべ"や"バトンタッチ"を覚えていた仲間もいた。
だが、そんなものは戦いでなんの役にも立たない。
肉食ポケモンに襲われ、雨風にさらされ、仲間達はどんどん命を失っていく。
残ったのは俺だけ。


俺は幸い生まれたときから強い力を持つ種族だった。
でも、生まれた頃は力の弱い種族はどうだろうか。
生き残るのはさらに困難だっただろう。
運良くある程度のレベルになるまで生き残った俺はあの男への復讐を誓った。
仲間達の無念を胸に、ひたすら自らのレベルを高め刃を研ぎ澄ませてきた。
あいつは今では強力なポケモン達を操り、四天王を遥かに凌駕する実力の持ち主らしい。
現在の栄光は俺達みたいな山のような犠牲で成り立っていることを忘れているに違いない。
俺がそれを思い知らせてやる。
160名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 03:01:27 ID:???
別のトレーナーに捨てられ、前に復讐を成し遂げた仲間はこう言う。



奴らは大抵はマグマッグなどの炎タイプのポケモンしか持ってない。
大したレベルではないので簡単に倒せてしまうだろう。
あとは怯え狂うヤツを切り刻んじまうだけさ。

そして、そのときはやってきた。
俺が道で座っていると、遠くからあいつが歩いてくるのがわかった。
臨戦態勢を整える。すぐに飛び出せる姿勢を整え、草むらで息を潜める。





あいつが近くまで歩いてくる。あと三歩……ニ歩……一歩……!


背後から音も無く草むらから飛び出し、頚動脈を刃で狙う。
俺が腕を振り上げたその刹那、あいつがこちらを一瞥したのがわかった。
しかし俺の刃は真っ直ぐに首を狙い、あいつの首を撥ねて復讐を――


どす。


打ち落とされた。速かった。一瞬だった。
あいつの影から現れたストライクの放った"つばめがえし"が俺の腹部を捉えていた。
同じ種族、同じレベルなのに攻撃力もスピードも俺のそれを遥かに超えている。
これが俺達の犠牲の結晶か……やはり、敵わない。
俺は、そのまま力尽きた。
161名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 03:03:03 ID:???
足音が聞こえる。あいつが俺に近づいてくるのがわかった。
うつ伏せになっているせいで顔が見えず、表情がわからない。
あいつは今どんな顔をしている?



「お前は……こいつの兄の生き残りか」


あぁ、そうさ。お前が捨てて行ったたくさんの兄弟の生き残りだ……!


「俺が、憎いか? 殺したいか?」


当たり前だ。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。


「なら、いつでも来い。後ろからだろうが大勢だろうが構わない」
162名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 03:05:25 ID:???
……!?

「俺は多くの命をこの手にかけた。俺の命を奪う資格がお前達にはある」

言葉を失った。

「だが、俺は全てを迎え撃つ。何度でも迎え撃つ。勝ち続ける」

あいつはそう言う。

「俺が何をしようと犠牲にした者達は戻ってこない」

確かにそうだ。こいつが今更罪を悔いようが何しようが仲間達は戻らない。

「それなら俺は負けてはならない。勝つ為に犠牲にしたお前達の為にも、俺は絶対に負けない」
163名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 03:07:29 ID:???
痛みで悲鳴をあげる体を起こした。単純に、あいつの顔を見たかった。
あいつがどんな顔をしてそう言っているか知りたかった。

「俺を憎みたければ憎め。これが強さを求めた、力を求めた者の宿命だから」

哀しみを秘めた顔だった。哀しみと共に、強い意志を感じさせる顔だった。
この顔は前にも見たことがあった。
なぜ忘れていたのだろう……。
あいつは俺達を逃がすときもこんな顔だった。
俺達のことを忘れたことなんて、片時も無かったんだ。
「行くぞキリサメ」
あいつは自分のストライクをボールに収め、また歩いて行った。
気がつくと、俺のそばには"げんきのかけら"が置いてあった。
いつの間に……。
甘いな。体力を取り戻したらまた背後から襲ってやろうか?
……やめておこう。またあのストライクにやられるだけだ。
あいつは強かった。俺達の犠牲は無駄じゃなかった。
そう思うと、少し救われたような気もする。


だが、それでも俺はあいつが憎い。
それなら、次会ったときはどうしようか。
わからない。仲間達には悪いが会ってから考えるとしよう。
しかしさっき知ってしまった――いや、思い出してしまったあの表情。
あの悲哀を湛えた表情だけは一生忘れることはできないだろう……。
164名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 13:26:01 ID:???
>158-163


開き直るパターンも中々面白いね。
そのストライクには炎系や飛行系で腕の立つ用心棒を探し〜なんて思ったけど
トレーナも対策をバッチリしてるだろうし返り討ち100%っぽいなw

さて、そろそろ夏
夏と言えば・・・的なものを投稿します。
165名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 13:27:23 ID:???

薄暗い森の中をトレーナが1人黙々と歩いている。
辺りに死臭がたちこめるが、そのトレーナは何も気にせず草をかき分け更に進む。
すると干からびたヒトカゲの死骸が無数に広がる場所へと到着した。
到着するなりトレーナはモンスターボールから1匹のヒトカゲを出す。
そのヒトカゲの腹を蹴り上げ無様に地面に倒れこむヒトカゲを見下して
そのまま笑いながら元来た道を帰り始めた。

ヒトカゲはいきなりの仕打ちに自身の置かれた立場を理解することが出来なかった。
体の大きさから推測するに生まれたてのようだ。 

「ご主人様はどこにいっちゃったの?」
「ここで死んでいる仲間達は何で死んでいるの?」
少しずつ自分の置かれた立場を理解し始めたのかヒトカゲの子が呟く。

『みんな餓死したのさ。あのトレーナを待ち続けてね』

先ほど捨てられたヒトカゲより一周り大きいヒトカゲが現れ疑問に答えた。
その顔には大きな古い傷があり片目が潰れてる。
『このままだと、君もそこにいる兄妹のように死を待つだけだよ。
 ・・・あぁ紹介が遅れたね、ボクもあのトレーナに捨てられた1匹なんだ。』
そう言うとヒトカゲの子の手を無理やり引っ張り更に森の奥へと連れて行った。

先ほど捨てられた幼いヒトカゲは兄と名乗るヒトカゲから必死に逃げ出そうとしたが、
ズルズルと森の奥へ引きずられて行った。
166名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 13:29:51 ID:???
自分の部屋に戻ったトレーナは黒いヒトカゲと一緒に2階の窓から外の景色を見て満足そうな笑みを浮かべている。

僕は窓に写る自分と黒いヒトカゲを見て誇らしげに笑った。
「海外産で子供を作ると色違いの突然種が出やすいって噂は本当だったな。
 なぁヒトカゲ。お前には何て名前を付けてあげようか?」

『名前は必要ないよ。君も、その黒く醜いヒトカゲもこれから死ぬのだから』

慌てて窓を見ると自分の真後ろに別のヒトカゲがガラスに写っている。
そう、部屋の中に2匹目のヒトカゲが現れたのだ。
振り返ろうとするが体が硬直し動けない。これが金縛り??と心の中で思うと
顔に大きな傷を持つ片目が潰れたヒトカゲが話し出す。

『うん。それは金縛りだと思うよ。ついでに心臓も止めてみせようか?』

僕はヤダヤダヤd…と声を震わせ助けを求めた。
もう、その短い言葉ですらまともに言えないほど恐怖に震え涙する。
そのような醜態を見てか、片目のヒトカゲがケラケラと笑う。

『可愛い弟も君のように泣いていたんだ。
 安心してスグには殺さないから。もっとヒドイ目にあって貰わないとね』

恐怖で頭が一杯になり、何を言われているのか分からなかったが
僕の隣に居る黒のヒトカゲの表情を見て思い出す、昼間に捨てたヒトカゲの事を…
この片目のヒトカゲも以前、僕が捨てたヒトカゲの1匹なんだろうと。

『正解♪ 正解者のトレーナさんが逃げないように足を取ってあげよう。
 それに可愛い弟を蹴った悪〜い足は無い方が良いよね』

両足をもぎ取られ、辺りが血の海に変わっていく。
必死に両手を使い逃げ出そうとするが、自分の血で滑ってしまい思うように動けない。
貧血のためか目が見えなくなり意識が遠のく…。
167名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 13:30:47 ID:???

気がつくと床に血の海は無かった。
夢?それとも… 黒いヒトカゲが心配そうに僕を見つめている。
そのまま床に座り込んでいると突然のチャイムが鳴り一瞬ドキっとする。
嫌な予感がしていたが今のは夢であったと考えるようにして玄関を開ける。

着払いの荷物だった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
 送り主:片目のカゲちゃん
 品名 :可愛い弟(なまもの)
−−−−−−−−−−−−−−−−−

……慌ててダンボールを開けると中には一匹の小さなヒトカゲがスヤスヤと眠っていた。
168名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 13:32:23 ID:???
夢オチでゴメンなさい(´・ω・`)
いちおう最後に謝っておきます。
169名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 16:05:15 ID:???
>>157
ありがとー。喜んで読んでもらえて嬉しいよ。さっき見てきたら、wikiにも更新されてて、こんな自分の話も載るのかとおもうと嬉しいよ。
とりあえず、今はあの話の続きというわけではないんだけど、ちょっと派生的なものを考えてるから、もしできたら投下するよ。
>>159-163
このパターンもいいね。復習するだけがすべてじゃないし、トレーナーの常に忘れたことがなかったというところに感動したよ。
>>164-168
乙。別に夢おちでも、後にそのトレーナーが反省し、その行為を止めるならいいんじゃないかな。
170名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 20:19:54 ID:???
おれはあいつに捨てられた。
この恨み晴らさずにおくべきか。おくべきではない。
来た。今ならやつを殺れる、手持ちは弱いマグマッグ一匹だと聞いている。
楽勝だ。死ね。そしておれは、あいつの魔の手からすべてのポケモンたちを救うんだ!

「ブーバーン、かえんほうしゃ」

……うそ、だろ。
そんな、おれの計算では、あいつらは絶対に、弱いポケモンしか連れていないはずで、
「いやーやっぱりブーバーン連れてて正解だった、ビーダルの時の経験が役に立ったなw」
そして、たった一匹の手持ちを倒されて、恐れおののくか、
「それにしてもお前強いなあ、どうせバトルには使わないけど殺戮用くらいにならできるかもなw秘伝ないけどw」
場合によっては、あいつが逃がしたポケモンの生き残りに助けられて、
「しかし色違いへの道は遠いなあw素直に裏ID調べてみっかー」
結果的に、おれの復讐は、成功するはずであって……
「でもそれはそれで手間がかかるよなあ、ポケトレはだるいし副産物に期待できないしー」
こんな、こんなはずじゃ、なかったのに。

「あっちを立たせれば、こっちが立たないんだよなあ」



関係ないけど、孵化作業を止めさせるためなら人だって殺していい、などという過激派は死ねばいいと思う
171名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 20:42:00 ID:???
>>170
止めるために殺すのじゃなくて
殺さないと止まらない

って考えればいいと思うよ
172名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 23:21:32 ID:???
浮かんだから投下。何番煎じかわからんがな。



昨日もバトル。今日もバトル。
多分、明日もバトルをするんだろうな〜
でも、俺がバトルで活躍した事なんて一度も無かった。


今日もバトルに負け、頭ごなしに俺を罵るご主人様。
いつも「俺の指示は的確だ。」だの「負けたのはあそこで攻撃を外したからだ」などと言って俺に叫び散らす。
そしていつも通り、ご飯は無しと来た。一体何を考えているのだろうか…


このご主人様とは、数か月前ぐらいに会った。
俺はその辺に捨てられたLV1のポケモンだった。
町の片隅でただボケっとしていた所を今のご主人様に拾い上げられた。ちなみに彼にとっての初ゲットは俺らしい。
そのまま俺はレベルをある程度上げられ、戦闘に駆り出されるようになった。
最初は俺が倒れるたびに泣くようなメンタルの弱い…もとい心やさしきトレーナーであった。
でも、丁度一か月ぐらい前から彼の性格はおかしくなった。
バトルで負けたら全責任を押し付け、怒鳴り散らすような、最悪なトレーナーになってしまったのだ。
多分最近彼の友人たちが話している“こたいち”やら“どりょくち”やらが関係しているのだろうな。
173名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 23:23:20 ID:???
バトルが終わってから数時間後、俺はパンッと森の中に出された。
今度こそ役に立ってみせる!と張り切った。が、なにもいない。
敵は?相手トレーナーは?
キョロキョロと不思議そうに辺りを見渡す俺を悲しそうな目でご主人様は見つめていた。そして、

「じゃあな、バカ。」

とそれだけ言って、俺に背中を向け、歩いて行った。
どこへいくんだ?
俺を出していたら町を歩けないんだぞ。わかっているのか?
小さくなっていく背中を追って俺は走り出した。
その足音に気付いたのか、ご主人様はフッと振り返って

「もう、ついてくるなよ!役立たず!」

役…立たず?
それはどういうことだ?
俺は…いままでずっと…
ナンデ?ドウシテ?ドウシテウラギルノ?オレガヨワイカラ?ソレトモ…
いつの間にか、俺の心は元主人に対する失望と憎しみで溢れかえっていた。
174名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 23:24:59 ID:???
俺は復讐を決意した。他人を簡単に裏切る薄情者のあの喉を噛み千切ってやろうと。
俺は何故か、ある所に一直線に走っていた。
草原を駆け抜け、町を通り、そして着いたのは元主人様の家。
長年一緒にいたからか、なんとなくここにいる気がした。
確認してみると、案の定そこに奴はいた。
ベッドに座って、何か大きな本を開き、それを見て涙をボロボロと流している。
その姿を見ると心が痛んだ。刃物で傷つけられた感触がした。
今はあいつは殺せない、夜に行動しよう。


もう完全に太陽が沈み、外も真っ暗になった頃。俺は窓を割り、あいつの部屋に飛び行った。
月夜をバックに、俺は眼を光らせて喉をブルッと鳴らす。さあ、恐れろ。泣き叫べ。
しかし、あいつは全く動じなかった。寧ろ、嬉しそうな顔を浮かべていた。
俺はそんなこと気にせず、あいつの懐に潜り込み、一気に首を噛み千切ろうと口を大きく広げた。
175名無しさん、君に決めた!:2009/06/06(土) 23:30:56 ID:???
「…ごめんな。」

その一言を聞くと、俺の頭の中にはいろんなことが溢れかえってきた。
楽しかったこと、悲しかったこと。主人と過ごした日々が一気に俺の頭に広がった。
急に噛み殺すのが怖くなって、俺は一度身を引いた。
主人はそのまま話を続けた。

「お前を突き放せば、楽に死ねると思った。別れもつらくないと思った。」

死ぬ?何を言ってるのだ?

「逃がした瞬間はこれでいいと思ったんだ…お前のためにも、俺のためにも。でも…そんな事無かった。
逃がしてたらずっとお前のこと考えてた。やっぱり死ぬ前にもう一度会いたい。もう一度お前に触れたいって思ってた。
有難う…理由はどうあれ・・・俺のところに戻ってきて…くれて。なあ……最後に…触れさせてくれ」

ご主人様は聞き取りづらい声でそう言った。
だんだんと息が乱れ、弱っていくのがわかった。
俺はゆっくりと歩き出し、彼の近くへと歩み寄った。もう、さっきまでの気持など微塵もなかった。
顔をぐっと近づけ、俺の首に右腕をまわし、頭を左手で優しくなでまわす。俺の頭上から水がポタポタと滴り落ちてきた。

「ありがとう……ダメなトレーナーで……ごめ…」

待ってくれ!
俺は咄嗟にそう思った。でも、遅かった。
そう言いかけた彼は息をしなくなり、彼の手はすっと下に落ちた。
どんどんと冷たくなっていき、彼の手から生気が抜け去っていくのがわかった。

俺がバトルをする事は、もう無かった。



締め微妙\(^0^)/
176名無しさん、君に決めた!:2009/06/07(日) 03:40:53 ID:???
GJなんだが…!何か大きい本の正体が知りたかった…
177名無しさん、君に決めた!:2009/06/07(日) 09:43:25 ID:???
>>176
途中で感極まりすぎて書くの忘れてました(´・ω・`)
追記としてちょっと書きます↓



さすがにこのままでは駄目だ。
俺はそう思って、息絶えたご主人様の元をさろうと背中を向けた。
その時、ある事を思い出した。

あの時持っていた本…あれはなんなんだ?

俺は部屋の中をうろうろと彷徨い歩き、あの本を探した。
それを見つけるのに、数分もかからなかった。死体の枕もとに、大切そうに置いてあった。
遠くで見ていたからわかり辛かったが、この本は重量も大きさも大分あった。
一体どんな事が書いているのか…俺は胸をドキドキとさせながらページを一枚捲った。
178名無しさん、君に決めた!:2009/06/07(日) 09:44:44 ID:???
そこには、大量の写真が貼られていた。
次のページも、その次のページも。
いつまでも、どこまでも写真が貼られていた。
その大半は…俺だった。
ゲットして間もない頃から、寝顔、美味しそうにポケモンフーズを食べる姿。
そして、笑顔でご主人様に抱かれている姿。
いつ撮ったんだ。って言うようなものもあった。

見ていくうちに、俺の目から温かい何かが零れ落ちた。
その液体は俺の頬、顎を伝って滴り落ち、アルバムを濡らした。
俺はその場にいるのが一気に辛くなった。ご主人様が死んだのを実感するのが嫌になった。
俺は一枚の写真を銜えて走り出した。遠くに、ずっと遠くに。

本当にあいつは駄目なトレーナーだよ。
俺みたいな奴を好きになって、愛して、最後まで大切にして…
謝るのは俺なのに、礼を言うのは俺のはずなのに…

ごめん。そしてありがとう、ご主人様。
俺も…あなたの事が大好きでした。
179名無しさん、君に決めた!:2009/06/07(日) 12:12:29 ID:???
>>170
>そして、たった一匹の手持ちを倒されて、恐れおののくか、

 ・
(中略)
 ・
 ・
>結果的に、おれの復讐は、成功するはずであって……

の個所が良く読み取れなかったんでタイトルを考えることが出来ずにいるw
タイトルを指定してくれれば、
後で気がついたときにでもwikiを編集するんでヨロ。


>>172-178
乙カレー
後半の補完された部分の冒頭を勝手に変えちゃったので
気に入らなかったら編集しておいて下さいな。


さて、久しぶりにポケトレでもやって色違いイーブイでもゲットしてくるかな。
180名無しさん、君に決めた!:2009/06/07(日) 13:34:34 ID:???
>>172-178
超乙
あれ、目からハイドロポンプが…
181名無しさん、君に決めた!:2009/06/08(月) 00:49:44 ID:???
このスレ的に個体地厳選やってるトレーナーのことどう思ってるの?
182名無しさん、君に決めた!:2009/06/08(月) 01:54:33 ID:???
ゲーム(ROM)を持っている人が、そのROM内の世界(ルール)を決めれば良いんじゃないのか?
ポケモンを捨てないと言う縛りを持つのも良いし
ゲームは所詮データと割り切るのも良いと思う。

ここの話を読んだからって深く考えず、各自なりにポケモンと言うゲームを楽しめば?
183名無しさん、君に決めた!:2009/06/08(月) 20:36:32 ID:???
『勝つ為の必要悪』だと思ってやってる。
最低限の才能がなければ、勝つことは出来ない。
プテラ決戦で、自分のプテラが厳選甘かったが為に抜かれて負ける。
こんな事態を起こさない為にもの行為だと思ってる。

悪いとは思っていても、やめるわけにはいかない。戦う者としては。
184名無しさん、君に決めた!:2009/06/10(水) 08:29:51 ID:???
>>165-167
乙!
しかし色ヒトカゲは金色じゃなかったか?
黒いのはリザードン。
185名無しさん、君に決めた!:2009/06/10(水) 22:21:09 ID:???
>>184
たしかにw
言われるまで気がつかなかったyp
186名無しさん、君に決めた!:2009/06/12(金) 00:12:11 ID:???
>>181
取り敢えず
 ・専門の牧場みたいなところで保護される
 ・野生に戻って群を作って今もどこかで暮らしている
って考えてる

後者の考えは現実的には無理かもしれないが、ゲーム内だしこれぐらいは夢見てもいいだろ
鬼畜SSばっか投下してるが平和に暮らしてて欲しいってのが俺の思い
187寝る前に:2009/06/17(水) 00:40:14 ID:???
かつて私は2LVにして生まれた一族の恥…皆に嫌われ、いつも逃げていた。
草むらで震えていた私を一人の少年が救った。
私の寂しさを感じとったのか、彼は無言でボールを差し出した。拒む理由などなかった。

私は命の恩人かつ初めての仲間である少年に全力で尽した。
逃げずに闘えることが嬉しかった。

旅は進んだ。私は一人前のバタフリーとなりあの頃のヒトカゲも翼を得た。
少年はかなりの遣り手であり、敵わぬカは技で捌き勝ち進んだ。

一年の旅は終わった。「けじめ」で少年は皆に別れを告げた。バタフリーLV68のデータも最期である。真のトレーナーよ、さようなら。
188名無しさん、君に決めた!:2009/06/18(木) 18:01:40 ID:???
>>187
乙!

187の昔話と予想し、187自身のリアルでのケジメだったのかなぁと思ったが...
深読みしすぎかな?w
189奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 14:48:11 ID:???
 ○○というポケモントレーナーが居る。
 かつてタイクーンやブレーンといった、バトルフロンティアに君臨する王者たちを薙ぎ倒した男。それだけに飽き足らず、カントーからシンオウに至るまでの全てのリーグを制覇し、あまつさえ外国にまで乗り込みその強さを如何なく発揮した。
 その知識と技量は幅広く、戦略戦術に飽き足らず育成にすらも一言どころか二言も三言もある。「最強」と呼ぶに相応しい。文字通りのポケモンの「天才」と言える男だ。
 興奮が収まらなかった。幼い頃に俺が憧れ、尊敬し、そして越えたいと願った。その伝説のトレーナーが、今俺の目の前に居る。禄でもない噂話と切り捨てずにここまで足を運んでよかった。俺は素直にそう思った。
 奴は光もほとんど射さぬ洞窟の中、地底湖の中ほどにある大岩に腰掛けて顔を覆っていた。

「ミロカロス。波乗り――」

 俺はミロカロスに跨ると、地底湖の上を真っ直ぐに中洲に向けて進んでいった。途中でゴルバットなどが飛び出してきたので、冷凍ビームで撃ち落してやる。羽の凍りついたコウモリはすぐに暗い水底へと沈んでいった。
 俺が大岩に足をかけても、奴は身じろぎ一つせずに膝を抱えて顔を伏せていた。まるで親か何かに怯える子供のようにも見える。
190奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 14:56:02 ID:???
「おい――」

 俺が何度か呼びかけると、枯れ木のような風貌の奴はさも大儀そうにその顔を持ち上げ
た。一瞬、息を呑む。髑髏のように落ち窪んだ双眸とこけた頬。かさかさに乾ききった半
開きの唇からは微かな響きを伴った呼吸が漏れ聞こえる。
 痩せて不健康極まりない様相だが、かつて俺がテレビや雑誌で、あるいはポスターで見
かけた奴のかつての面影が残っていた。少なくとも、死体では無かったことに若干の安堵
を覚える。
 濁った汚泥のような奴の両の瞳が俺に注がれていた。

「俺はポケモントレーナーの――という者だ。トレーナー、○○。あんたのかつての経歴は知っている。俺と手合わせ願いたい」

 俺の言葉にも奴は白痴の様な表情を浮かべたまま、ぽかんと口を開けて俺の顔を見つめ
ていた。話が通じているのか不安を覚える程長い沈黙の後、奴は薄気味悪いと感じるほど
歪な笑みを浮かべた。

「……もうポケモンバトルはやってないんだ」
「嘘をつくなよ。じゃあそこにあるのは何なんだ」
191奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 14:57:07 ID:???
 さらに近づいてみると分かった。膝を抱きかかえるようにして座っている奴の体の上に
は一個のモンスターボールがあった。奴は顔を伏していたのではなく、その一個のモンス
ターボールをまるで抱きかかえるようにして座っていたのだ。
 しかし、たった一個とは――。かつての奴は常に限度一杯のポケモンを持ち歩いていた
し、並み居る強豪たちにも使える限りのポケモンを駆使して戦っていたはず。
 目の前に座り込むこの男が表舞台から姿を消し、メディアにも姿を現さなくなって数年。
俺は今更ながらに、この男がどういう軌跡を辿りこんなナナシの洞窟の奥に鎮座するよう
になったのか、と漠然とした疑問を抱いた。
 はっとする。先ほどまで、震える幼子のように座りこんでいた奴が俺に向かって右手を
差し出していた。立ち上がりたいのか? 俺がその手を取ろうとすると奴は首を横に振っ
た。

「ポケモンを……見せてくれ。ボールの、まま……でいい」

 自分でも驚くほど素直に俺は自分のポケモンの入ったボールを差し出していた。差し出
したボールには俺の切り札とも呼べるポケモン、ボーマンダが入ってる。物理、特殊の二
刀に加え、積みと呼ばれる自己強化技も兼ね備えた俺の自慢のポケモンだ。
 俺の前で奴はさも愛おしげにボールを撫でながら、その中に座する俺の相棒に視線を注
いでいた。

「強い……強いねぇ……。これはぁ――」
192奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 14:59:19 ID:???
奴は小さく息を吐くと俺の手にボールをそっと乗せた。

「……ブリード&リリース、だね?」
「無論だ。固体値はALL31、通称6V。自然には返せない」

 俺はボールをベルトに戻しながら答えた。
 「ブリード&リリース」とはポケモンの育て方の一つだ。ポケモンにタマゴを産ませ、
そのタマゴを孵す。その子供の個体値が高ければポケモントレーナーが育て、低ければ野
生に帰すというものだ。
 個体値というものは、才能とも素質とも言い換えられる。ポケモンが野生で生きる分に
は、高個体値というものはそうそう必要なものではない。精々3V程度もあれば群れを作
るにしても、一個体で生きるにしても十分すぎるものだろう。
 平均とも言える能力を持つ野生の彼らの中に、6Vや5Vといった頭抜けた個体が溢れ
たらどうだろう。強すぎる素質を有する彼らは、ともすれば生態系のバランスを崩しかね
ないのだ。さらに野生のポケモンは人を襲うこともままありえる。野生のポケモンは弱い
ままで居た方がよいのだ。
 本当に強いポケモンが必要ならば、トレーナーが産ませ育てるべし。故に高能力のポケ
モンはトレーナーによって管理すべきで、それに満たぬポケモンは自然環境保全のために
野に帰すべき。
 野生ポケモンはトレーナーの有するポケモンで倒せる程度に弱く、またその弱さによっ
てお互いの環境維持にもなる。この画期的とも呼べるポケモン育成方法を提唱したのは他
ならぬ、ここにいる奴なのだ。
193奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:01:31 ID:???
「ブリード&リリース……。ポケモントレーナーにして、ポケモントレーナーと何とかけ
離れたものだろうねえ……?」
「おかしなことを言うな? ブリード&リリースはあんた自身が実践し首唱したものだろ
うに」

 奴の自虐的な物言いは分からないでもなかった。かつて奴がこの育成方を提唱した時に
も「選民的である」「高能力ポケモンを選出など機械や道具と変わらないではないか」と
いった反論は至る所から噴出した。
 だがそういった反論も、高個体値ポケモンが一匹居るだけで、その地域の生体バランス
が危うくなることが証明されると、まるで掌を返すように消えていった。今では高個体値
ポケモンを故意に野に放った場合には罰金まで科せられる。
 俺は自分のモンスターボールを取り上げた。そろそろうんざりしてきたのだ。俺はこん
な湿っぽい洞窟の奥くんだりまで、ただお喋りにきたわけではない。

「そろそろ始めようぜ」
「……言っただろう。ポケモンバトルはもう、やめたんだ」

 奴はさっきまでとはうって変わって、はっきりした声音で拒否した。

「ふざけるな!」

 だが俺だって引き下がる心算は無い。俺が強くなったのは。否、俺が強さを目指したの
はこの目の前に居る男がいてこそなのだから。
194奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:03:11 ID:???
「俺を失望させるなよ! 最強のアンタを追って、俺はここまで来たんだ! アンタと同
じ軌跡を歩んだッ! 全リーグも制覇した。フロンティアも叩き潰したッ。海外にも渡っ
た! 後はお前だけだ! ○○ッ! さあ! 俺と戦えッ!!」
「……君は、ポケモンが……好き、かい?」

 俺の頭がカッと熱くなるのが分かった。矢も盾もたまらなかった。この期に及んで、こ
んな戯言を吐かれるとは――。
 気づいた時には振り抜かれた俺の右手が、奴の横っ面を殴っていた。

「……痛い、なあ」

 奴の左頬が赤く腫れている。急に殴り飛ばされたにも関わらず、奴の右手には先ほどま
で奴が後生大事に抱えていたモンスターボールがあった。

「見ろよ! アンタの右手を!」

俺は咆えた。

「アンタはやめたなんて言っちゃあいるが、その右手に握り締めるモンはなんだよ? ア
ンタはポケモントレーナーなんだよ! どこまで行ってもだ! さあ戦え! 俺とッ」

 奴はしばし瞳を伏せると、やがて「分かったよ」と小さく呟いた。
195奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:05:23 ID:???
「でも……今はこの一体しか居ないからね」
「ならば一対一だ。俺のボーマンダとアンタのポケモン――行くぞ」
「いや……。君は六対全部使うといいよ……」
「笑止! 寝言はボーマンダを倒してから言うがいい!」

 ボールから閃光が迸り、光の塊が四足の龍を形作る。光源の中から姿を現した俺の相棒
は高らかに雄たけびを上げた。その声だけで湖面が泡立ち、洞窟が振動する。
 対する奴のポケモンは――。
 白い外観の人型のポケモン。そいつは俺のボーマンダの両の翼から繰り出される突風を、
まるで奴から遮るようにして立っている。そのポケモンの名前が分かると同時に俺は生唾
を飲み込んで武者震いに震えた。

「――ミュウツー!」

 奴は既にミュウツーの後ろに位置する平たい石の上に腰を下ろしていた。指示すら出す
必要が無いというのだろうか?

「舐めやがってッ! ボーマンダ、竜星群」

 その時には全てが遅かった。身を切り裂くほどの強い冷気が辺りに充満していた。息を
吸い込んだ瞬間に鼻の奥に鋭い痛みを感じる。俺の視線の先で白銀の氷の飛礫に翼と体を
撃ち抜かれた飛龍が、ゆっくりと力なく水面に倒れ伏していく。
 ミュウツーが放った、凄まじいまでの冷気は俺のボーマンダを射抜きその身を凍りつか
せたばかりでなく、その湖面ですら凍りつかせていた。

「……今のは吹雪だよ。それと君、鼻血出てる」

 俺の足元にぼたぼたと赤い液体が滴り落ちる。白く凝結した岩の上で、その赤は鮮やか
に、くっきりと俺の目に映えた。
196奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:07:14 ID:???
「戻れ、ボーマンダ! 行けっ、ミロカロス」

 ボールから飛び出した水龍は氷の途切れた場所から、素早く水中へと身を隠した。直後
にミュウツーの放った強烈な念波が凍りついた水面をクラッカーの様にグシャグシャに打
ち砕いた。
 懐から取り出したデバイスに目をやった俺は驚愕に震えた。すでに俺のミロカロスのH
Pは半分を切っている。

「バカなッ――。水中だぞ? 直撃は免れたはず……」
「……お陰で氷も割れた。さあ――ミュウツー」

 奴の言葉に応じるようにミュウツーが自身の両の手を胸の前にかざした。瞬間、中空に
唸りを上げる光球が迸る。プラズマ現象だ。気体に電流が流れることにより発生し――。

「ミ、ミロカロス! もどれぇーーーッ」
「……遅い」

 巨大な光球から見るものの目を引き裂かんばかりの閃光が走った。湖面が波立ち、煽り
を喰らった魚やらが腹を上にしてぷかぷかと浮き上がる。生物としての許容量を遥かに越
える電圧をかけられた彼らの体は破裂し湖面は真っ赤に染まっていた。それらの死体に混
じってぴくりとも動かないミロカロスが水面を漂っている。
197奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:10:04 ID:???
 ここから先はよく覚えていない。それから俺のポケモンは六匹中五匹が瀕死となり、残
る一匹であるメタグロスも死に際とと言うところで、ようやく奴のミュウツーの技とHP
が尽きた。持ってきた回復薬も使い果たし、鞄の中身は既にスプレーと穴抜けのヒモくら
いしか残っていない。
 立ちはだかる俺の目の前で、奴は満身創痍で横たわるミュウツーを膝に抱いていた。奴
の病人のような様相と奴のミュウツーを覗き込む表情に俺は微かな違和感を覚えた。奴は
自分の傷だらけのポケモンを抱きかかえているはずのに、これっぽっちも心配だとか労り
だとかそういった感情が感じ取れなかった。

「強いな……。アンタ、やっぱり強い」


俺の呟きに奴は顔を上げた。奴の顔を見て俺はぞっとした。奴の顔には最初に話した時に
目にしたようなねじれた、見る者が吐き気を催すほどの奇怪な笑みが貼りついていた。

「……おめでとう。僕に勝ったね。おめでとう」

 奴はまるで壊れたレコードのように「おめでとう、おめでとう」を繰り返し始めた。録
音した音のように抑揚の無い声だった。奴の手を見て吐き気を催した。奴の手はミュウツ
ーの、ああ、ミュウツーの引き裂かれた傷口の上で蠢いていた。奴の指が傷口を穿り返し、
その肉を抉るたびにミュウツーが力ないうめき声を上げる。
 俺はぶつぶつと口を動かす奴の手からミュウツーの入っていたボールを奪い取ると、そ
の中にミュウツーを戻した。無理やり奴のぬらぬらと赤く濡れる手にミュウツー入りのボ
ールを押し付け、その両肩を掴む。奴の両目は俺を見てはいない。肩を握る手に力を込め
無茶苦茶に揺さぶった。
198奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:12:07 ID:???
「おい! おい……。どうなっちまったんだよ! あんたは? 俺が憧れてたあんたはど
こいっちまったんだよ? いつも輝いてて、強くて、最強で天才のトレーナーだろ? あ
んたに何があったんだよっ……どうしちまったんだよ……」

 やるせなかった。認めたくなかった。これがかつて俺が畏敬の念を抱き、その高みを目
指したいと思った男なのか。俺が無理に戦いを強要したせいでここまで壊れたのか? い
や、初めに話していたときからどこかおかしかった。何がこの人をここまで変えてしまっ
たんだ。わからない。わからない、わからないっ。

「……声が聞こえるんだ」

奴の口が動いた。

「……声が……聞こえるんだ。俺たちを、強くしろと。もっともっと強くしろと。声が言
うんだ。もっともっともっともっともぉぉっとぉぉ……おぉっぉ」
「何だ? 声って何だよ? 何を言ってるんだ」
「……おかしいとは……思わないか? 思わなかったか? おかしいんだよ。 おかしい
んだ……」

 奴の両肩を掴んでいたはずの俺の両手は外れていた。しかし奴から離れられない。奴の
両手が、俺の手首を強く握って離さないのだ。奴の俺の腕を握る手がヌルヌルする。奴の
指の間から、まだ乾いていなかったミュウツーの体液が滲み出た。やめろ。おれの手に滲
みこませないでくれ。
199奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:14:21 ID:???
「……おかしいんだ……おかしいんだよ」
「何がっ! 一体何がおかしいって言うんだよっ」

 俺は何とか奴の手を振りほどこうともがいた。しかし奴の枯れ木のような手は、まるで
万力のように俺の腕を捕まえて離さない。

「何で……なんでポケモンは戦うんだと思う? 人間に戦わされるんだと思う? 何で人
間は……ポケモン同士を戦わせるんだと思う?」
「知る……知るかよ、そんなことっ。頼むから離してくれよ、なぁ――」
「……なんでポケモンは戦うんだと思う? 戦うんだと思う? 何でだ……?」
「そ、そんなのっ。野生の動物だってみんな戦うだろうがっ? 烏も蟷螂もライオンもゾ
ウも、戦うだろ? エサをとるためとか縄張りとか、いろいろあるだろそんなんっ!」

 もう俺は泣きそうだった。奴に握り締められた手首から先の感覚がない。そんな状態の
俺にも構わず奴は続けた。

「……野生動物とはちがう。ポケモンは違う、違うんだ。奴らはなぜ、人間の手によって
戦いあうんだ? おかしいだろ」
「闘鶏とか……闘犬とか、居るだろ? ポケモン以外にもさ」
「……そうじゃない。それらは違う。犬の一部とか。鶏の一部とか……限られた種に限ら
れる。ポケモンは……違う。ポケモンは、魚だろうと犬だろうと猫だろうと何だろうと、
種族が違っても戦う。餌としてじゃない……ポケモンは被食者が捕食者と戦う。おかしい
とは思わないか? 普通、虫はライオンとは戦わない。ライオンも虫と戦わない。だがポ
ケモンは……違う――」
「だから……それは、人が――」
「何で人はポケモンをたたかわせるんだぁぁああっぁっっ?」
「知らねえよっ!」

200奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:17:50 ID:???
 怒鳴った拍子に腕を思い切り振った。先ほどまでの抵抗が嘘のように俺の両腕は奴の手
から解放される。勢い余って、俺は盛大にしりもちをついた。痛む尻を引きずって、奴か
ら何とか距離をとる。
 奴はまるで糸の切れたマリオネットのように、両手と両足をだらんと伸ばしたまま石の
上に座り込んでいた。追ってくるかとも思ったがどうやらその意志はないようである。そ
もそも奴に奴の意志が残っているのかすら怪しいが。
 手首にくっきりと残った血の手形をさすっていると、奴がまた口を開いた。

「……不思議に思ったことはないか? あるポケモン同士は……住む場所や生体系、そう
いったものが重なれば、たとえ姿かたちが違っても……卵を作ることができる。……ある
特定の、ポケモンは……どんな種族とでも……タマゴを作れる」

 奴が何を言いたいのか、俺にはさっぱり理解できなかった。何か奴にとって大事なこと
を言おうとしているのは分かった。ただちぐはぐで、つぎはぎで、あいまいで全くもって
理解できない。少なくとも一つだけ分かることがあった。
 奴は気狂いだ。つまり奴にとっての大事なことなんて、常人にとっての芥ほどの価値す
らない。これ以上話していても無駄だろう。むしろ危険だ。一刻も早く俺はこの場所から
立ち去りたかった。

「……姿かたちがちがっても、子を為せる。まるで……そう……にんげんの、ような……。
昔……博士が言ってた。しんかする……ポケモンは生物として不完全だから、進化する…
…のか? ならば進化しないポケモン、は完成形? ……ちがう。そうじゃ、ない」

 まだ何かぶつぶつ言っている。無視して俺はかばんの中を探った。穴抜けのヒモの陰に
隠れて、使われなかったげんきのかけらがまだ一つ残っているのに気がついた。
 奴のこの様子では、奴のミュウツーがちゃんと回復してもらえるかも怪しい。俺は座り
込んだまま何事か呟き続けている奴から見える位置に、それを置いた。

201奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:20:27 ID:???
「ここに……回復薬置いておくからな。早めにミュウツー、回復してやれよ?」

 聞こえたのか聞こえなかったのか。奴からは何の反応も無い。諦めて俺は穴抜けのヒモ
を取り出した。

「……君は、ポケモンが……好き、かい?」

 穴抜けのヒモの準備を終えたところで奴が言葉を発した。思えば戦う前に奴が口にした
質問だ。もう二度と会いたいとも思わないが、かといって無視して帰るのも気が引けた。

「勿論。大好きだ――」

 俺の言葉は奴に届いただろうか。穴抜けのヒモの力によって、俺の体はふわりと地面に
開いたワープゾーンの中に吸い込まれていく。
 ふと思ったことを俺も尋ねてみた。
 あんたはどうなんだ? と。
 奴の唇が微かに動く。次の瞬間、俺の体はさんさんと惜しみなく降り注ぐ陽光の下にあ
った。自分が出てきた洞窟の入り口を振り返る。真っ暗な口がぽっかりと俺の後ろに開い
ていた。もう戻る心算は無い。
 俺の好きだった。憧れだったトレーナーは死んだのだ。そう思うことにした。
 奴のミュウツーが早めに回復してもらえますように。そう願って俺はナナシの洞窟から
立ち去った。
202奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 15:22:54 ID:???
 俺が奴と戦ったあの時から随分と時が経った。
 俺は名実共に最強のトレーナーだった。そう、「だった」のだ。今では。
 今になってようやく、俺は奴の言っていたことの意味が分かってきたような気がする。
ポケモンは……おかしいのだ。普通の生命体とは違う。貪欲に戦いを求め、異種間同士の
戦いの勝敗に躍起になる。
 強さを追い求め、追い続けてようやく漠然と感じるようになった。異種間などではない
のだ。人間が学校で学び、社会に出て人々に貢献し、そして人類としての種をより強固な
ものへと成長させるように、ポケモンはそれ自体が一つの種族なのだ。だから姿かたちが
異なろうと、生態系の重なりがあれば子を為せる。白人、黒人、黄色人種がお互いにこと
をなし子供を産めるように。まるで人間のように。
 奴は言っていた。声が聞こえる、と。強くしろと囁く声が聞こえると言っていた。
 俺にはそんな声は聞こえなかった。けれど分かるのだ――。俺はポケモンを育ててきた
のではない。ポケモンが俺に育てさせてきたのだ。
 奴らは人の手によって、その自然に持って生まれた力を伸ばしていく。何世代もかけて。
 奴がどうしてあそこまでポケモンバトルを避けていたのか、今ではよく分かる。奴は恐
れていたのだ。ポケモンにとって、自らを強く育て上げられない人間は不要なのだ。
 奴はミュウツーだけ持っていなかったのではなかった。
 ミュウツーしか残っていなかったのだ。
203奇妙な話をお一つ:2009/06/20(土) 16:43:19 ID:???
 自然から生まれ出でたポケモンは生まれながらに本能にして強さを求める。野生動物な
らば親から学び、兄弟から学ぶことで生き抜く強さを手に入れるのだろう。だがポケモン
は違う。人の手に拠ることで種としての強さを手に入れる。だからミュウツー以外の奴の
ポケモンは奴から姿を消したのだ。奴が彼らを育てることを放棄したからだ。
 それ故に人の手によって生み出された、自然の及ばぬポケモンだけが奴の手元に残った
のだ。それが人工のポケモン、ミュウツー。
 自らが育てていたポケモンが、まさか自らが育てさせられていると知った時の奴の驚愕
と絶望はどれほどのものだったのだろう。
 ミュウツーを除き、唯一の人工ポケモンであるポリゴンシリーズを連れて、俺は奴の居
たこの場所まで帰ってきた。
 ここに戻ってきた時、奴の服を着た骸骨が転がっていた。別れ際、奴は言っていた。
「好きだった」と。俺も同じだ。ポケモンの習性を知ってしまった以上、もう素直にポケ
モンを愛せない。俺にも分かるのだ。奴らは自分たちをもっと強くしろと常に訴えている。
 ミュウツーの入っていたはずのボールは既にどこかへ消えていた。まあ恐らくミュウツ
ーなら野生化しても生きていけるだろう。
 人の手によって生み出されたポケモンが、野性としてその生に根を下ろす。ミュウツー
もまたポケモンという巨大な単一種の中に組み込まれていくのだろう。
 俺はこれから待ち続けるのだろう。かつて奴がそうしたように。
 俺が死んだら、こいつらポリゴンシリーズも野生化するのだろうか。だとしたら面白い。
 この世界で人間という生き物はまさにポケモンという種を増やし、育むための存在とし
て確かに機能していることになる。
 トレーナーもブリーダーもいつか世話になった育て屋夫婦も大人も子供も皆、これから
もポケモンと共に過ごし彼らを育むのだろう。それがポケモンの遺伝子レベルで組み込ま
れた、彼らの生きるための習性であるとも知らずに。
 穏やかな地底湖の波音に耳を傾けながら、俺はゆっくりとその瞳を閉じた。

-奇妙な話をお一つ:おわり-
204奇妙な話をお一つ:おわり:2009/06/20(土) 17:12:27 ID:???
あとがきに代えまして

思ったより長ったらしい話になってしまいました。
拙作ですが、楽しんでいただければそれに尽きる喜びはありません。
楽しんでいただけなくとも、このお話が読んで頂いた方の心に少しでも、
違和感や奇怪な感じを残せたのでしたら、このお話の成功と喜べます。

このお話は捨てられたポケモンが可哀想、悲しいというお話に対しての
アンチテーゼを掲げています。
もちろんこれまでの職人様方々のお話を否定するつもりは毛頭ないですし、
何よりそういったお話が作られるであろう原点たる、優しさや暖かさを
ないがしろにする心算もありません。

ポケモンに限らず、野生に生きる動植物は強いです。
ポケモンは実際はゲームではありますが、
もし仮にポケモンが私たちの世界に生きていた場合、
果たして彼らは大人しくポケモンバトルやコンテストに
使われ、人にただ従うだけなのでしょうか?
私自身はそこに何とはない疑問を抱きまして、
ポケモンに人間と共生する理由を、生物として持たせたいと思いました。
強かに、力強く、狡猾に、貪欲に、
ポケモンという種をより反映させるために、
彼らポケモンは自ら望んで人の手でブリード(繁殖)させられる、
という設定にしてみました。
野生動物は時として人間よりも打算的です。
それに気づいた人間(トレーナー)はどうなるのか。

正直書ききれたのか不安が残る出来では在りますが、
これにて締めくくりさせていただきたいと思います。
それではまた、ポケモン板のどこかで m(_ _)m
205名無しさん、君に決めた!:2009/06/20(土) 17:14:03 ID:???
>>204

反映×
繁栄○

でした。
すみません
206名無しさん、君に決めた!:2009/06/22(月) 00:21:10 ID:???
ほしゅ
207名無しさん、君に決めた!:2009/06/26(金) 22:06:51 ID:???
>>189-205
超乙
考えを変える小説になりそうだ
ちょっと読み込んでみる
208名無しさん、君に決めた!:2009/06/27(土) 15:46:40 ID:???
>>202の誤です
すみません。


× 奴はミュウツーだけ持っていなかったのではなかった。
○ 奴はミュウツーだけしか持っていなかったのではなかった。
  
209名無しさん、君に決めた!:2009/06/28(日) 10:58:57 ID:???
人間がポケモンを育てて戦わせているんじゃなくて、
ポケモンが人間に育てさせ戦わさせ、種全体として強くなろうとしている
この発想は無かったな。面白かった

それとゴルバットの扱いひでぇwwwww
210名無しさん、君に決めた!:2009/07/01(水) 00:29:26 ID:???
だいじに だいじに そだてると ポケモンって どんどん なつくのよー
(あなたのポケモンはあなたになついてたかしら…)

こないだ ジョギングしてたら ポケモンに おいかけられてね
(君がくるまではこんなことはなかった…)

たましいの ねむる ばしょ… ここが ロストタワー なんだな
(おや…君には関係なかったね…)

ポケモンが のびのび できそうだろ!
(みんなのびのび生きてほしかった…)

ふたつが ぶつかり まざりあって あたらしい ドラマが うまれるのだ!
(少しでも…ほんの少しでもこんな考えを持ってくれていれば…)

あたし まだ ちいさくて じょうずに たたかえ ないから…
(おにいちゃんが逃がしたポケモンもそうだよね?ねぇ気付いてる?)

まいしゅう にちようびは ロストタワーに いくの…
(…)

たびの トレーナーさん ここには なんにも ないわよ
(そう…ここにはなにもない…あるのは…)
211名無しさん、君に決めた!:2009/07/01(水) 00:32:04 ID:???
いつのまにか ポケモンや ひとが あつまって まちに なったんだ
(ポケモンを保護する人達が集まったのさ…)

どこまでも はしる ぼくたち みちが つづくかぎり…
(君は…どこまで走り続けるの?)

きみと ポケモンも あるいみ おやこの きずな だなあ
(名ばかりの親だがな…)

ポケモンを さわってるとだね あたたかさと いっしょに やさしさが つたわって くるんだな
(君からはなにも伝わらない…)

ママも ふたごさん なのー
(おにいちゃんのポケモンはなんにんきょーだいかな?)

ポケモンの うまい そだてかた? うーん やっぱり あいじょう?
(「アイジョウ」ッテシッテル?)

「ズイを知る者」
212名無しさん、君に決めた!:2009/07/01(水) 00:38:04 ID:???
ネタ被ってたらスマソ
213名無しさん、君に決めた!:2009/07/01(水) 22:18:53 ID:???
なんかゾクゾク来るな。乙
214名無しさん、君に決めた!:2009/07/03(金) 18:30:40 ID:???
過去ログのめんどくさがり主人とガブちゃんの話とか
のうてんき主人とブラッキーの話みたいな
ダメ主人と呆れながらも傍にいてくれる苦労性ポケモンの話好き(*´∀`)
215名無しさん、君に決めた!:2009/07/12(日) 13:26:39 ID:???
216名無しさん、君に決めた!:2009/07/12(日) 17:56:23 ID:ioQTvBB+
固体値が糞なので逃がしたんだよ
バーカくだらんスレだな
死ね偽善者ども
217名無しさん、君に決めた!:2009/07/12(日) 18:01:14 ID:ioQTvBB+
所詮ポケモンはデータなんだよおお
218名無しさん、君に決めた!:2009/07/12(日) 23:55:33 ID:???
保守ついでに


ここってあんまり長くなったらいけないかな?
やはり多くとも10レスぐらいで終わらせた方がいいのか?
219名無しさん、君に決めた!:2009/07/13(月) 00:48:26 ID:???
2スレ目後半ぐらいから長い話が増えてきて、議論や単発の短い話なんかが見るに減少してきてるね

ここに限らずとも100レスぐらい使われると、ちょっと……って思うかもしれない
レス数消費するのが気になるなら適当なスペース確保してそこにアップロードすればいいんじゃないか
220名無しさん、君に決めた!:2009/07/15(水) 17:17:16 ID:???
>>218 >>219
♀29+♂1スレ(そっちも過疎ってるが)のように、3〜5レス程度の固まりを数回に分けて投稿するのも一考かと。
向こうのマリルリの話なんか、半年前に1回目が投稿され、現時点のレス数換算で50前後に達してるし。

というわけで、連載レベルの長編も期待してますよ >職人さん
221名無しさん、君に決めた!:2009/07/17(金) 20:31:36 ID:???
やあ、生きてるかい。
もう駄目そう? それとも既に絶えてるのかな。
返事がないね。まいっか、いただきまーす。

ボクは地面に倒れたまま動かないその生き物に静かに角をあてがえて。そっと、その生き物の感情を食べる。
ボクの好きな恨みの感情だ、美味しくて腹にもたまる。
ほどなく食事を終えてふと視線をその生き物の顔に向けると、その表情が崩れて微笑んでいるように見えた。
相変わらず頬がひどく痩せこけてて判断つかないけどね。でも動いたのは確かだ。
まだ生きてたんだ。ちぇ。

どこから湧いて出てるのか分かんないけどこの辺りで、この一つの種族がほとんど生まれたままの姿形で大量発生してるんだよね。
外見からしてこの辺りに適応できそうにもない種族で、案の定多くの数が飢餓状態にあって、他の種族に狩られたり餓死を迎えてる。
大きく成長するまでに生き永らえてるのもいくらかいるみたいだけど、様子を見ててもだいたいは同種族の亡骸を食べて飢えをしのいでるだけでやっぱり適応しきれてない。
ただちょっと面白いのは、息絶えた亡骸でも、何かを恨む感情が残ってることが多いんだよね。
感情なんて魂と一緒にどこかに飛んで行っちゃうのが通例で、思念が残るなんてありえないって思ってたのに。
この辺りに来るまで亡骸に惹かれることなんてなかったし、目もくれたこともなかったのにさ。あるいはこの種族の特徴なのかな。
いつもの生きてる相手と違って、面倒事にならずに食事にありつけるのはいいことなんだけど。
彼らに何があったのかなんて、ちょっとだけ気になるね。仮にもボクのメインディッシュなんだから。
生きてるにしても、遺恨の念がとても強い生き物がたくさんいるし、何かしらあったんだろうなって思う。
その発生源はきっとすごく美味しい感情であふれてるんだろうなって、考えずにはいられない。
でもこの辺だって十分、ボクにとっては一面が好物に見舞われた、この世の天国みたいなところだし。発生源を知ったところでどうにかするかって言ったら、たぶん何もしないだろうけどね。
222名無しさん、君に決めた!:2009/07/17(金) 20:32:40 ID:???
この生き物、数だけは多いから何かあれば一気にこの辺りの覇権を取れちゃうとは思うんだよね。
この種族が増えてくれれば、それだけボクにとっての好物が増えると思うから、頑張って欲しい。
でも他の種族の生き物も、それをなんとなく分かってるのか、元々は狩る者と狩られる者に分かれてた種族でも同じくしてこの種族を狩ろうとしてるし。難しいんだろうね。
ま、そこまでいくとボクには関係ないことだねー。

すっと、生き物のほうに視線を戻す。
地面に倒れたままで微笑んでるような表情も変わらず、安らかに眠っていた。
もうこの生き物、かじっても美味しくないな。食べちゃったのに今更また何かに遺恨の念を持てっていうのも無茶だろうし。
後に残った、やせこけた肉なんかは同士や他の生き物がいただいてくれるさ。天国にいけるといいね。
223名無しさん、君に決めた!:2009/07/21(火) 23:20:52 ID:???
>>220
職人と呼ばれる人みたいな立派なものは書けないけど長編投下する。つまらなかったらごめん。



ここは209番道路。ズイタウンの南にある道。
強さを求めるトレーナーたちが、生まれたばかりのポケモンをたくさん逃がしている場所だ。
この物語はそんな逃がされたポケモンの保護に奮起するポケモンたちのお話。
224名無しさん、君に決めた!:2009/07/21(火) 23:23:34 ID:???
「頑張り屋な♀とかいらね。糞個体氏ね」
そう言って一人のトレーナーが1匹のイーブイを草むらに向けて放り投げた。
産まれたばかりでまだ何もわからない幼児だ。
イーブイは精一杯主人を呼んだ。しかし主人が振り向くことはなく、主人の背中はどんどん小さくなりやがて見えなくなった。
「ごしゅじんさま…」
イーブイがこれからどうすればいいか思案していると、背後から物音がしてポケモンが現れた。
「君、捨てられたの?」
声がするほうを見ると、ビーダルがいた。
「うん…」
するとビーダルがニヤリと笑った、そして…
「そうか、でももう何も心配しなくていい。君はぼくの今晩の夕飯だから」
そう言い、イーブイに体当りをしてきた。
イーブイは不意を突かれ、回避も防御もできずビーダルの攻撃を受け数メートルほど突き飛ばされた。
「いたい…いたいよ…」
たかが体当りだが、レベル1のイーブイからすれば致命傷となる一撃だ。
(ごしゅじんさま、たすけて…)
食べられる恐怖か、命の灯火が消える直前なのかどちらかわからないが、イーブイの全身が震えた。
「いただきま〜す♪」
そしてゆっくりとビーダルが迫る。
「きゃぁぁ!!」
イーブイの悲鳴が周囲に響きわたった。
次の瞬間、イーブイとビーダルの間を電撃が駆け抜けた。
「止めましょうよ。幼い女の子いじめるのは」
電撃が飛んできた場所。そこには一匹のピカチュウがいた。
「そのイーブイは僕が預からせてもらいます。嫌と言うのなら力ずくでも…」
ピカチュウはほっぺたの電気袋を充電させながら言った。
「チッ、分かったよ。こいつは好きにしろよ!」
そしてビーダルはピカチュウから逃げるように、草むらの茂みへと走っていった。
225名無しさん、君に決めた!:2009/07/21(火) 23:25:52 ID:???
「もう大丈夫ですよ」
ピカチュウは優しい笑顔を浮かべ、イーブイに歩み寄った。
「たすけてくれて、ありがと…」
感謝の一言を言うと、イーブイは気を失った。
「!」
一瞬、ピカチュウの顔が強張る。だが、すぐに冷静になり自分の耳をイーブイの心臓に近づけ、心音を確認した。
(まだ生きてる。良かった…)
しかし傷を負ったこの状態はよくない。一刻も早く治療をしなければ命が危ないだろう。
ピカチュウはイーブイの体の下に自分の体を潜りこませ背中の上に乗せた。
そして落ちないように尻尾でイーブイを支え、自分の巣に向けて走り出した。



つづく(予定)
226名無しさん、君に決めた!:2009/07/22(水) 23:10:47 ID:???
>>224-225に期待age
227名無しさん、君に決めた!:2009/07/24(金) 20:42:49 ID:???
ボクタチモ ツヨク ナリタインダヨ?

ソレナノニ ドウシテ ナンビキモ ナンビキモ ワカレチャウノ?

ボクタチ ヨワイカラ ステラレチャウノ? チケット メアテ? ソレトモ オカネガ ホシイカラナノ?

ドウシテ ボクタチハ ツヨク ナレナイノカナ?

ホンモノノ ポケモント オナジヨウニ ウゴケルシ ワザモ ダセルシ タタカエルヨ!

ソレナノニ ボクタチハ ナニガ チガウンダロウ?

…モシカシテ ボクタチガ ネジヲ マカナキャ ウゴケナイ”ポケモンノオモチャ”ダカラ?



…せっかく職人さんが書き始めた所ぶった切ってすみません。
最近沸々と昇ってきた思いがだいすきクラブの夏休み大作戦!を見て急に書く気が起きてしまいました。
無機物っぽく全文カタカナにしましたが、見づらくなってしまった事をお詫び申し上げます。
本来のテーマから外れた乱文失礼致しました。
228名無しさん、君に決めた!:2009/07/24(金) 22:58:33 ID:???
>>227
お疲れ様!

最後のネジの部分を見たら時期が時期なだけに「ポケモンスクランブル」かと思った
229227:2009/07/25(土) 11:42:16 ID:???
>>228
その通りでございます。
Wiiウェアポケモンシリーズは皆牧場グラフィックなのですが、牧場と乱戦で同じグラフィックなのに
かたやDSと通信できる、かたやネジ式おもちゃという扱いの差に疑問を浮かべて書きました。
純粋に乱戦は楽しいですよ。しかし何故牧場やDSと通信できないのだろうと考えていたら…
230名無しさん、君に決めた!:2009/07/25(土) 22:58:53 ID:???
〈二話〉
「皆、すまん。今日は獲物をピカチュウに奪われちまった」
先ほどピカチュウと対峙していたビーダルは、巣の中で家族に謝っていた。
ビーダルの家族は、老若男女のビッパとビーダルが二十匹ほどいる。
「気にするな。今日は俺が散歩の途中にポッチャマを二匹捕まえてきたから心配ない」
この巣のリーダー格のビーダルが、逃げてきたビーダルを励ました。
「リーダー、すまねえ。今日の食糧調達の当番は俺なのに…」
野生のポケモンは皆、自給自足で生きている。
餌をくれるトレーナーのいない野生のポケモンにとっては食糧調達は生活のうえで一番大事なことだ。
「しょうがねえよ。銀月のやつらは強すぎる。俺がお前と同じ立場なら同じ結果になってたさ。さぁ、そんなことより飯にしよう」
『銀月』というのは、逃がされた野生のポケモンを保護すべく働いている組織だ。ピカチュウもそこの一員で日夜保護のため活動している。

「しかし、銀月のやつらもわけのわからんことするぜよ。この世は弱肉強食だと言うのによ〜」
ポッチャマの肉を頬張りながら一匹のビーダルが言った。
「命を守りたいんじゃないの?僕には自らの食糧を保護してる馬鹿にしか思えないけどwww」
まだ子供のビッパが笑いながら答える。
「かっこつけるのは勝手だけど、こっちはいい迷惑だぜ。今日もピカチュウがいなかったらこの食卓にイーブイの肉もあったのに…」
獲物を取り逃がしたビーダルも話に加わってきた。ピカチュウの行動は彼らにとって奇怪でしかない。
「しかもあいつらってこの周辺だけじゃなくって210番道路や211番道路でも仲間を配置してやってるんだよねwすげー馬鹿じゃんwww」
「リーダー、ムクバードやラルトスの家族とかと手を組んであいつら潰すべきぜよ」
「まあ待て。今は我慢の時だ。あいつらはもう少しで終わる」
銀月の話題で盛り上がっていた面々だったが、リーダーの一言で一気に注目がリーダーに集まった。
「それはどういう意味ぜよ?」
「時期が来るまでのお楽しみだ」
231名無しさん、君に決めた!:2009/07/25(土) 23:02:12 ID:???
〈三話〉
獣道を走ること数分。ピカチュウは自身の巣に着いた。
ピカチュウの巣は、木の上に住居を建てていてヒマワキシティの家と似たような構造になっている。
ただ、四足歩行のポケモンでも出入りしやすいように階段は段差が低めの螺旋状階段だ。
「ピカチュウ君、おかえり」
巣の上からピカチュウに声をかけたポケモン、それはピカチュウの同居人であるオオタチだ。
普段なら彼女の笑顔とおかえりの一言で気持ちが安らぐのだが、今はそれどころではない。
「今日も逃がされたポケモンがいたんだけど、今から治療できます?」
そう言って背中に背負っている負傷したイーブイを見せた。
「勿論。早く連れてきて」
ちなみにオオタチは以前ポケモンセンターで働く職員の手伝いをしていたことがあり、ポケモンの治療に関してはスペシャリストだ。
訳あって逃がされ、今はここにいる。
「はい!」
オオタチの返事を聞いた後、電光石火で階段を上った。

「ふぅ…。これで大丈夫よ」
オオタチの優れた技術のおかげで治療はすぐに終わり、オオタチはイーブイをベッドへ移した。
(早く元気になってくれよ…)
ピカチュウは横たわっているイーブイの右前足を両手で優しく握り、目を閉じ、回復を神に願った。
232名無しさん、君に決めた!:2009/07/25(土) 23:04:33 ID:???
「そういえば、リザードンはどこに行ったんですか?」
もう一匹の同居人、リザードンの姿がないことに、今気付いた。普通なら巣の警備をするため、ここにいなければならないんだが…
「リザードンさんなら、217番道路に飛んで行ったわよ」
オオタチがリザードンに対してさん付けなのは、リザードンは彼らのボスだからだ。
「え?」
「210番道路支部のピジョンがさっき来ててね、自分じゃウリムーが生きていくのに適したところに連れていけないから、リザードンさんの力を借りたいって言って…」
「ウリムーを野生に返すため飛んでいったというわけですか」
「あたり」
orz で表すのがピッタリな姿勢にピカチュウがなる。厄介な展開になるのが、今までの経験からすぐにわかった。
「そこで、ひとつお仕事頼みたいんだけどいいかな?」
「何ですか?」
「明日からの食糧調達。お願い」
甘い声でオオタチにああ言われるとピカチュウは断れなくなる。
「了解です…」
普段食糧調達はリザードンとピカチュウが一日ずつ交代でやっている。
食糧調達の当番じゃないほうは巣の警備となり、敵が来ないかぎり一日中のんびり過ごすことができる。
警備はいわば休日のようなもので、これからはそれがリザードンが帰ってくるまでなくなる。
「リザードンさん曰く217番道路までは遠いし、道のりが険しいから一週間は帰れないって」
「はい…」
オオタチは戦闘が苦手じゃないか。
オオタチはかわいい女の子だし、ビーダルたちに襲われるかもしれないじゃないか。性的な意味で
ケガしているイーブイの傍にオオタチがいたほうがいいじゃないか。
無理矢理理由をつけて、無理矢理自分に言い聞かせた。

「でもやっぱり自宅警備員がいいなぁ」
233名無しさん、君に決めた!:2009/07/25(土) 23:06:01 ID:???
>>225の続き投下。チラ裏に書いてろって言われそうな駄文になった。

>>226
期待してくれてありがとう。その期待に応えれるよう頑張るよ。
234名無しさん、君に決めた!:2009/07/26(日) 09:41:28 ID:???
>>230-232
お疲れ様

さて、職人様が書き始めたところで悪いんだが
自分もネタ思いついたので投下してもよろしいか?
235名無しさん、君に決めた!:2009/07/26(日) 14:06:57 ID:???
>>234
楽しみにしてるから頼む勝手に投下してくれ
聞かれても困……る
236名無しさん、君に決めた!:2009/07/29(水) 22:05:47 ID:???
>>227
ポケモンのおもちゃという設定には正直まいった
まあいろいろなポケモンを使わせるというコンセプトだから、
しょうがないと思ったが
しかし俺は主人公コラッタでエンディングを迎えた

>>230-232 >>234
期待age
237名無しさん、君に決めた!:2009/07/29(水) 22:06:01 ID:N/iO/ZNN
「でんのうせんしポリゴン」リメイク決定 今年冬に放送
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/river/1248264620/
238名無しさん、君に決めた!:2009/07/30(木) 20:05:05 ID:???
やさしくて、おおきな水に揺られて出てきた。一生けんめいに呼吸しなきゃ、って思った。
立ちたいのに立てなくて、大きな手が助けてくれた。
「おお、雌のイーブイだ!!!」
濡れている毛皮を乾かして、ミルクをくれた。歯も生えてないから。
「いくらで売れるかな。性格一致だと…」
だんだんハッキリしてくる視界には、人間と他にも数個のタマゴ。
「ふうん、そんな強くねぇな。」
徐々に冷たくなる視線。むしんにミルクを飲んでいたから気付かなかった。

ぜんぶ飲んだら、その人は抱っこしてくれた。
「特上ミルクなんだからな」
そう言って、首の後ろを掴んだ。苦しくなかった。そのまま宙吊りで、まちの外れまで行った。
「じゃあな!」
草むらにおいてきぼり。人間はすでにとおく。
「まってまって!」
鳴いたけど、振り向いてもくれなかった。追いかけようと、草むらから外に出た。
 
239名無しさん、君に決めた!:2009/07/30(木) 20:35:42 ID:???
 そうしたら、足はじめんから離れた。からだに風がはしった。せなかが痛い。どんどん離れるじめん。とても怖かった。もっと鳴いた。けど放してくれなかった。

 しんじゃう、こわい、たべられる、たすけてたすけて


「まだ赤児だろう?」
近くで爆発したような音がした。あんだけ暴れてもビクともしなかったのが、すぐに放してくれた。けど、すぐに速くじめんが近付いてきた。こわいと思った。柔らかいところに抱っこしてもらった。


 気がついたら、小さな洞穴にいた。ぜんぶきいろい、せなかの横縞のピカチュウ。
「大丈夫か?」
「うん」
「お前親は?」
「わかんない。」
「人間のポケモンか?」
「たぶん」
「そうか。行く宛がないのなら、俺のところで生きていく方法を学ばないか?」
二つ返事で、お願いしますと言った



「っていうのが師匠との出会いだったわ。超運絡みだけど、人間のところにいなくて良かったと思う。」
そうまくし立てるのはサンダース。夫との馴れ初めを聞かれて少し恥ずかしいらしい。
「へー。それよりも人間のポケモンだったって意外。」
「そういえば、最近はこのあたりでも人間見るらしいから、注意しなきゃ。やつらは疫病神だよ全く。」
森のポケモンたちは井戸端会議もそこそこに、自分の巣へと帰っていった
240名無しさん、君に決めた!:2009/07/30(木) 21:01:42 ID:???
>>238-239
現実味を帯びた話…なにか悲しくなる

頭の中での描写がうまくいかないので、
行間および背景描写を更に加えてくれると助かるかも
241名無しさん、君に決めた!:2009/07/31(金) 04:44:39 ID:???
>>222
遅レスだけどこの雰囲気好きだ
語り手のポケモンはだれなんだろ
242名無しさん、君に決めた!:2009/08/02(日) 20:23:19 ID:???
〈四話〉
「んっ……」
ピカチュウがイーブイを保護した次の日の朝、イーブイは意識を取り戻した。

イーブイの視界には、見知らぬ二匹のポケモンが食事をとっていた。
一匹は黄色の小型のポケモン。おそらく自分と同じくらいの大きさだ。もう一匹は茶色とベージュ色で黄色いポケモンよりは一回り大きい。
そのうちの一匹、黄色いほうがこちらに近づいてきた。
「目、覚めたんですね。よかった…」
「あなたはだれ?」
恐る恐る聞いてみた。
「僕はピカチュウ。あそこにいるのは僕の仲間のオオタチです。もう君を襲うポケモンはいないから安心してください」
「ねえ、あなたたちはわたしをたべないの?」
さっきから質問攻めだが、無理はない。産まれてすぐに捨てられ、襲われ、そして目が覚めると、知らない場所で寝ていた。
イーブイには理解できないことばかりだ。
「はい。僕たちは君みたいな逃がされたポケモンのためにある組織、銀月のメンバーですから」
「ぎんげつ?」
「産まれたてのレベル1のポケモンじゃ野生のポケモンとして生きていくことは不可能。だいたいが他のポケモンに食べられ、良くて餓死です。
そんな捨てられたポケモンを救うために作られた組織なんです。ちなみにここ209番道路支部の他に210道路支部、211番道路支部があるんですよ」
笑顔で丁寧にピカチュウは答えた。
だが、イーブイにはひとつのことが強く頭に残っていた。
243名無しさん、君に決めた!:2009/08/02(日) 20:25:11 ID:???
「わたしってごしゅじんさまにすてられたポケモンなの?」
「はい…。残念ながら」
捨てられたポケモンに、その事実を突きつけること。ピカチュウにとって、これだけは慣れない仕事となっている。毎回悲しくなり、横暴なトレーナーたちが憎くなる。

「そうなんだ…」
目に涙を浮かべながらイーブイは言った。
「ごしゅじんさまぁ…」
一番悲しいのは捨てられた本人だろう。ごしゅじんさまと思っていた人に捨てられる。“おや”に甘えたい赤ん坊には悲しすぎる現実だ。

「泣きたかったら、我慢せずに泣いていいんですよ。僕たちは、ご主人様の代わりにはなれません。でも君を慰めることはできますから」
ピカチュウの一言のあと、イーブイは何かが吹っ切れる。そしてピカチュウの胸に顔を埋め泣き始めた。

その日、イーブイは涙が枯れる限界まで泣いた。ごしゅじんさまに捨てられた現実を受け入れると泣かずにはいられなかった。
244名無しさん、君に決めた!:2009/08/02(日) 20:28:07 ID:???
>>232の続き投下
クオリティーの低さは変わりません
245名無しさん、君に決めた!:2009/08/02(日) 21:57:54 ID:???
>>242-243
いやいや楽しみにしてますよ、期待あげします
>>236
コラッタって…まさか最初の強さ28ですか
246名無しさん、君に決めた!:2009/08/02(日) 22:17:37 ID:???
>>241
作者さんではないが、恨みの感情が好物・角があるあたりから
自分はカゲボウズかなーと思ってた
247名無しさん、君に決めた!:2009/08/02(日) 23:39:56 ID:???
>>243
なんと哀れなイーブイ
その悲しさがここまで伝わってくる
期待

>>245
強さ28のコラッタでミュウツーを倒しました
理由は強さ主義への反抗
おそらくほとんどの主人公コラッタは逃がされるだろうから、
ここの題材にもなりそうだな…と思います
248名無しさん、君に決めた!:2009/08/04(火) 01:14:24 ID:???
〈五話〉
ムックルの鳴き声がもうすぐ聞こえてきそうな夜明け前。
「ねぇ、ねぇってば」
ピカチュウは何度も小声で自分に話し掛けるイーブイのせいで、いつもより早く起きてしまった。
「どうしたんですか…」
今にも死ぬのではないかという声でピカチュウが答えた。木の実だけで食糧を調達するというのは意外とハードな仕事だ。
しかもリザードンが居なくなってからの五日間ずっとこれを続けているため、体力は限界に近づいてきてる。
「だれかがここにくるよ。あしおとがする」
イーブイにそう言われ、周囲の物音に注意を払ってみた。
言われてみると、階段を上っているポケモンの足音がするような気がする。
「もしかしてリザードンが予定より早く帰ってきた!?」
一筋の希望の光が見え、疲れが吹き飛ぶ。
ドアへダッシュし、入ってくるポケモンが開けるよりも早くドアを開けた。
249名無しさん、君に決めた!:2009/08/04(火) 01:16:04 ID:???
「残念。俺だ」
ピカチュウたちの巣の前にいたのはリザードンではなく、仏頂面のエルレイドだった。
彼は銀月210番道路支部のナンバー2で、リザードンほどでは無いが、ピカチュウと互角の力は持っている。
「あなたですか…」
吹き飛んだ疲れが戻ってきた。
エルレイドは明るさや愛嬌といったものを持っておらず、いつも不機嫌そうな顔をしている。
彼がキルリアだった頃から知っているが、一緒にいると無駄に気を使って体力を消費した記憶しかない。

「まあいいや…。どうせ大好きなオオタチちゃんに会いたいから来たんでしょう?」
おそらく銀月の中でピカチュウだけが知ってるエルレイドの弱みを呟いた。
「て、てめえ…」
エルレイドが顔を真っ赤にしながら、肘にある刃でいつでも攻撃できる姿勢をとる。だがピカチュウはお構い無しだ。
「さーて、これからはこのネタでいじめながらリザードンの帰りを待つとしますか。ヒヒヒヒヒ」
ピカチュウが悪役のような黒い笑いを見せる。その直後…
「死ね糞鼠!」
刃を使ったきりさくを受け、その場に倒れた。
「俺がこの巣の警備しといてやるから、てめえはとっとと食糧調達に行きやがれ!」
エルレイドが怒鳴ったあとピカチュウは尻尾を掴まれ、巣の外へ投げ飛ばされた。巣が木の上にあるぶん地面に落ちたときには少しダメージを受けてしまった。
「痛っ…。まあいいか。エルレイドがいたほうが安心できるし」
ピカチュウはなんだかんだでエルレイドの力を認め、信頼している。
巣にオオタチとイーブイだけの状態にして外に出かけるのは不安だったし、この援軍はありがたい。

エルレイドの片思いが実ることはないだろうと思いながら、ピカチュウは食糧調達のため森の奥へと向かった。
250名無しさん、君に決めた!:2009/08/04(火) 01:20:06 ID:???
>>245>>247に期待と言われ調子に乗った俺が続きを投下。
ちなみにレベルはピカチュウとエルレイドが30代後半、オオタチが20代半ばの設定です。
251名無しさん、君に決めた!:2009/08/08(土) 11:36:32 ID:???
「ばいばい ヨマワル!」
淡々と別れの言葉を告げ、あの人は去っていった。
タマゴの外に出て、育ててくれた親の幸せそうな顔を見て、
これからどんな旅に連れて行ってくれるのだろう、などと思い巡らせていた
そんな矢先のことだったから、初めはその意味がよく理解できなかった。
けれど…もうあの人はもう側にいないと分かったとき、
寂しさだか悔しさだかよくわからない気持ちで胸が痛んだ……。
幸か不幸か、私に身に付いていた技「いたみわけ」。
でもこの痛みを誰と分ければいいのだろう…。

それからしばらくして、私は自分と似た姿をした者と出会った。
聞けば彼もあの人に育てられ、棄てられたという。
そして彼もまた「いたみわけ」を覚えていた。
でも…同じ痛みを分け合ったところで、何も変わりはしない。
あとから次々と、同じ境遇の者たちがやってくる。
いくら増えても同じ事だ。同じ痛みを持つ者同士で
この痛みをどうやって分ければいいのかわからない…。

幸せそうな顔をした人が、自転車に乗って草むらを横切る。
あの人といたみわけをすれば、この痛みも少しは癒えるだろうか。
252名無しさん、君に決めた!:2009/08/08(土) 14:57:37 ID:???
>>248‐249 >>251
乙カレー

しかし片思いのエルレイドが被ってしまうなんてな(´・ω・`)
早速ネタを変えてくる
253名無しさん、君に決めた!:2009/08/08(土) 23:59:51 ID:???
やれやれ…今日もおつかいか。
女房の奴、なかなか子供が出来ないからって捨てられたポケモンの子供を拾ってきては育ててるからな。
幸いここは大都会だ。
手に入らないものは何も無い。
ポケモンだけで暮らしていくのに十分な食料もあれば根城に使えそうな物だって沢山ある。
根城にしてる下水道から出ておつかいに行くことにする。
そういえば生まれたばかりのガキども用のポケモンフーズもパクってこないとな。
夕方までに帰ってこないと、あのクソアマは不倫相手がいるのかとか煩いのなんの…
まったく亭主をなんだと思ってやがる。
そんな奴を女房にした俺も相当な物好きだが、お互い人間に捨てられた者同士で気が合ったんだから仕方ない。

さて、今日も人間どもを相手にしたぶっ飛んだ一日になりそうだ。
254名無しさん、君に決めた!:2009/08/09(日) 05:33:06 ID:???
>>253
過去や行く末の想像をかき立てられるいい話だ
今が平和ならそれでいいんだけどね、ほんと
255名無しさん、君に決めた!:2009/08/10(月) 12:59:06 ID:???
良スレ
256名無しさん、君に決めた!:2009/08/11(火) 04:32:52 ID:???
強いポケモン 弱いポケモン
そんなの人の勝手
本当に強いトレーナーなら
好きなポケモンで勝てるよう頑張るべき

四天王のカリンさんに勝利し、貰った言葉
感動した
その通りだと思った
どうしたってポケモンの種族で強さに差はあるけれど
好きなポケモンで頑張ろうと思った

でも限界はあった
でも諦めなかった

大好きなポケモンで勝てるよう
そのポケモンの中でもより強い奴を育てようと思った
沢山子供を産ませては能力を調べる
期待する能力に満たなければ逃がす

好きなポケモンを逃がすのは心苦しいけれど
好きなポケモンで勝ちたいのだから仕方ない
仕方ないんだ

今の僕の姿を見たらカリンさんはどんな顔をするんだろう
僕は間違っていますか?

好きなポケモンで強くなりたいんです
僕は間違っていますか?
257名無しさん、君に決めた!:2009/08/12(水) 23:54:17 ID:???
どうして、そのポケモンで勝ちたいの?
それをもう一度考えてみるといいんじゃないかな?

ふたりで力をあわせて戦って、強い相手に打ち勝って、
その時に顔を見合わせて「にこっ」とする相手があの子であって欲しいから

…そんな理由だったら、たぶん私も君と同じ気持ちを持っていると思う。


でも、私は好きなポケモンを沢山増やしはしないことにしているんだ。
昔、私との勝負に負けたライバルに、恩師がかけていた言葉を思い出すから。

「何故負けたのか判るか?」
「それはお前が、ポケモン達への信頼と愛情を忘れているからだ」
「それではどんなに頑張ってもトップには立てんぞ!」

…それにね、同じ姿でも違うんだよね。
私が「にこっ」としたい相手は、今、私の手元にいる…素直で辛抱強い、この子。
同じ姿でも、「臆病で物音に敏感」なのはもちろんこの子じゃないし、
同じ「素直で辛抱強い」でも、この子は私の手元にいる、この子しかいないから。
258名無しさん、君に決めた!:2009/08/14(金) 14:56:46 ID:???
>>256
GJ
ところで、恩師とライバルと言うのは誰のことを
指しているのだろうか?
259名無しさん、君に決めた!:2009/08/14(金) 21:41:19 ID:???
〈六話〉
エルレイドが来た次の日の朝。
ピカチュウとエルレイドは現在二匹でオオタチが作った朝食を食べている。二匹の間に会話は一切無く、第三者から見ると気まずい空気が漂っていた。
その頃、残りの二匹は何をしているかというと…

「もう大丈夫ね。今日からは思いっきり体を動かしていいわよ」
イーブイの怪我を診断していたオオタチが言った。
「よかったね、イーブイ」
「うん!」
イーブイはご機嫌な様子で尻尾を左右に振り、笑顔を見せた。
「元気になったことだし、今日から生きるための技術を頑張って学んでね」
「ほえ?」
突如オオタチに言われた言葉の意味が分からず、イーブイが首を傾げる。
「食糧調達の仕方と自分の身を守る方法を知っておかないと生きていけないでしょ」
イーブイはどういうことかを理解したようで、首を一回縦に振った。
「ちなみにこの技術はピカチュウ君から教わってね。私、こういうの苦手だから」
再びイーブイが首を縦に振る。そして、食事中のピカチュウのもとへゆっくりと歩いていった。
「ねぇ、ピカチュウ」
「なんですか?」
「いきるためのぎじゅつをおしえて」
それを聞き、ピカチュウが胸をポンと叩く。
「そういうことならお任せください。では、今から行きましょうか」
「うん!」
ピカチュウが残っていた料理を一瞬で平らげると、二匹は外に出ていった。

「怪我治ったばかりだっていうのに頑張り屋だね、イーブイは。だから逃がされちゃったのかな…」
巣の窓から二匹の後ろ姿を見て、オオタチが呟いた。
260名無しさん、君に決めた!:2009/08/14(金) 21:44:25 ID:???
勢いよく螺旋階段を降りたところで、イーブイの足がかなしばりでも受けたかのように急に止まった。
この巣は森の中に作られた巣なので、周りは草木が茂っていて見通しが悪い。
どこから自分のことを食糧として見ているポケモンが出てくるか予測できない恐怖。それがイーブイの足を止めた理由だ。
「そんなに恐がらなくても大丈夫ですよ」
恐怖で震え始めたイーブイを見てピカチュウが優しく言った。
「え?」
「僕が君を守りますから」
イーブイにピカチュウの力強い眼差しが送られた。
すると、イーブイは目の前にいる約40cmの小さなポケモンがとても大きく、そしてたくましく見えた。
「では、最初に食糧調達の仕方から教えますね。イーブイはどんな味の木の実が好きですか?」
「えっと…あまいの!」
少し考えたあと、元気な声でイーブイは言った。先ほどまでイーブイの体を縛っていた恐怖はもう無い。



久しぶりに長編の続きを投下。見苦しい駄文でサーセン
261名無しさん、君に決めた!:2009/08/14(金) 23:45:13 ID:???
>>247
遅レスすみません、私は五匹以上同種が集まるとすぐまとめて逃がしてしまうので最初のコラッタはもういません。。。
今更ですが、こういう番外ソフトを扱った文章でもここに投下して良いんですよね
262名無しさん、君に決めた!:2009/08/14(金) 23:56:32 ID:???
皆乙

>>258
第一世代のオーキドとグリーン(仮)だと思う
台詞うろ覚えだけど確かそんな感じ

>>261
まぁ独自の世界観で書かれてる物とかもあるし
263名無しさん、君に決めた!:2009/08/15(土) 17:43:10 ID:???
>>256だけど、>>257とは別人なんだ
256に答えを出してくれた257本当GJ
264名無しさん、君に決めた!:2009/08/18(火) 22:51:34 ID:???
こんなの見つけた

184 +1:名無しさん、君に決めた! :sage:2009/08/18(火) 21:25:25
そういえば日本のペットショップの子犬と子猫の親は
利用価値が無くなるまで子を無理矢理産み続けられて
質のいい子供は業者の利益のためだけに使われて
出来の悪い子供は放置されて見殺しにされるんだよな



なんだ、ポケモン厳選と同じじゃないか
265名無しさん、君に決めた!:2009/08/18(火) 23:43:06 ID:???
なんだ、メタモンか……
266観覧客:2009/08/21(金) 13:55:48 ID:WWqAa6Zc
>>260の続きがみたい。

ディアパルとか湖の3匹書けない? 自分は才能がないのだ
267名無しさん、君に決めた!:2009/08/21(金) 18:22:24 ID:???
何気なく小説サイトを巡ってたら、パーム某で>>57そのものを見つけたw
上手いと思ったら、元々小説書きだったのか
268名無しさん、君に決めた!:2009/08/21(金) 20:12:15 ID:???
>>267
みかん箱の横で立ち竦んでいるパルキアを想像して吹いたw
269名無しさん、君に決めた!:2009/08/21(金) 20:17:36 ID:???
あ・・・268のは、、>>266
270名無しさん、君に決めた!:2009/08/22(土) 12:43:03 ID:???
>>267
>>85で完全版をうpしたと宣言してるな。
271冥界からギラティナ:2009/08/23(日) 19:35:41 ID:YOIo/TvX
「改造伝ポケって割りには弱い・・・LV1だし、テラワロスwwww
こんなのいらね」
そういう声が聞こえてオレはくさむらに放り投げられた。
「いてて・・・」
オレは腰をさすりながら前を見た。
オレを捨てた奴はもう、遠くに行っていた。1度も振り返ることはなかった。
オレはシンオウの伝説ポケモン。パルキアっていうらしい。
対になるディアルガはいない。あのトレーナーはオレの特攻が強かったため
ディアルガじゃなく、このオレをあるコードを使って造りだした。
そう、オレは自然のパルキアではない。普通のパルキアでもない。
オレは・・・、
改造された最強のパルキアだ。

こんな感じです。才能なくてすいませんorz
また今度書きたいと思いますが、邪魔なら書かないことにしますので
なにかあれば言ってください
272すたあ ◆xK87tlVRH8bU :2009/08/23(日) 19:44:45 ID:???
>>271
ストーカーっぽくてすいません・・・
いいと思いますよ?シンオウの三龍はかわいいから、それを好きになることはとてもいいことだと思います。
273名無しさん、君に決めた!:2009/08/23(日) 19:50:20 ID:???
俺の金のレポートが壊れた・・・悲しすぎる・・・
274酉つけてみた ◆D2F0gsd3V6 :2009/08/23(日) 20:25:06 ID:???
>>266
私ごときに勿体なきお言葉、ありがとうございます。
続きはできるだけ早く書くよ
275観覧客:2009/08/25(火) 16:08:19 ID:LT1HklSz
>>271
すごいっ!! いいじゃないですか!!
276名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 00:17:40 ID:???
孵ったポケモンを見て、俺は舌打ちした。
「また不一致か…」
さっさとにがして、次のタマゴを孵さなければならない。最初こそ心が痛んだが、今はもうそんなこともない。
慣れてくると早いもので、あっという間に別れを済ませてしまう。
「よし、次いくか」
俺は再び自転車で走り出す。
バトルに勝つためには、優秀な個体を選ばなければならない。少しの差が勝敗を分ける。
だから、走り続けなければならない。あの頃の俺はそう思っていた。

ある日のことだ。
少し遠出して道具を買ってこようと、俺は森の中を進んでいた。
ドンッ!
鈍い音と共に俺の身体が吹っ飛ぶ。うっかり背後から野生のポケモンに攻撃されたのだ。
俺は慌てて自分のポケモンを出そうとして、ふと野生のポケモンと目が合った。
「野生の…ポケモン?」
それは明らかに人工のポケモンだった。その目を見て、俺は怯んだ。
このポケモンに感情はないはず。それなのに。
目の前のポリゴンは明らかな憎しみを俺に向けていた。
気圧されて、腕が動かない。混じり気のない恐怖に襲われた。
ポリゴンは容赦なくさらに攻撃を加えてきた。無様に地面を転がる俺。
277名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 00:19:24 ID:???
おんがえし。
今の技は…レベルアップでは覚えない技だ。やはり、このポリゴンは元々誰かに育てられていたのだろう。
立ち上がろうとしたが、全身の痛みがそれを邪魔した。
ポリゴンがトドメを刺すべくビームを放とうとしているのが見え、俺は目を閉じる。
さあ、来い…。
逃げることを諦めて、ただ来るべき時を待っていた。
しかしいつまで経ってもそれは来なかった。目を開けてみれば、そこにはひどく悲しげな様子のポリゴン。
ポリゴンに感情がないなんてウソだ。そう思った。
「どうして…」
ポリゴンは、その問いには反応せず逃げていった。

傷だらけで街を歩いているとやはり人目を引く。
「もしかして、あなたも野生化したポケモンに襲われたの?」
「え?」
「あそこの家の男の子ね、長く患っていた病気が治って、誕生日に貰ったポケモンと一緒に旅に出たの」
そう言って女性は大きな家を指差した。きっとお金持ちが住んでいるのだろう。
「でもね、育て屋の近くで野生化したポケモンの群れに襲われて…今もまだ、目覚めないらしいの。一体誰がポケモンをにがしたのかしら…怖いわねぇ」
「それって…」
男の子が使っていたのはポリゴンで、襲われたのは…。
背筋が寒くなり、俺は痛みも忘れて逃げ出した。
278名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 00:23:16 ID:???
タマゴを全てボックスに預けている時、ある時、あるボックスで手が止まった。
そこには俺が最初に手に入れたポケモンがいた。性格不一致だから、という理由で長らく預けていた最初の相棒。
ボックスから引き出し、モンスターボールから出してみる。
「!?」
いきなり飛びつかれて息がつまった。背中から火まで出して、かなり興奮している。
「おい…っ…やめろ」
ようやく解放され、相棒の顔をまともに見る。久しぶりの再会だ。
……本当に嬉しそうにしている。
その様子を見ていると、無性に懐かしくて、本当に申し訳なくて、涙が溢れた。「ごめんな…ごめんな…」

「なあ…どうしたらいいと思う?」
このまま孵化作業を続けて、ポケモンバトルで上を目指すことはできなかった。
だが…バトルをやめて何が残るのだろう。俺はバトルが好きだった。大切なことを忘れるほどのめり込んでいた。
だからこそバトルを続けることも、きっぱりやめてしまうこともできなかった。
「情けないよなぁ…」
あれからあの街へ行っていない。きちんと向き合わなければないことなのに。
バトルの場でなければ、自分が酷く臆病な人間だということを思い知らされた。
道路を、走りすぎていく人たち。トライアスロンでもやっているのだろう。
279名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 00:24:28 ID:???
相棒はただ無邪気にその様子を眺めていたが、立ち上がって走り始めた。真似をしているのだ。
「何やってんだ、お前…」
気のない突っ込みしかできなかった。だがそれを見ているうち、ある考えにたどり着く。
「トライアスロンか…」

数年の月日が流れ。
「そんなに強いなら、バトルの方をやればいいのに…もったいないです」
俺は首を振った。
「今の俺にはこっちの方が大切だ」
結局、競争を否定することはできなかった。
上を目指すことは悪いことではないし、かつて孵化作業をしていた俺が否定する資格もない。
だから別の方法を探した。競う方法が多ければ、それだけ輝くポケモンが増えるはずだ。
バトル以外でも競えるということは、既にコンテストが証明してくれていた。
より多くのポケモンが輝けるように、無闇に捨てられるポケモンが増えないように。
今の俺は、ポケスロンのオーナーだ。ポケモンたちを様々なスポーツで競わせる…それが俺の答えだった。
「好きな技ってあります?」
俺はためらいなく答えた。
「おんがえし…だな」
あの日のポリゴンが使った、おんがえしの痛みを忘れない。あれは間違いなく最大威力のおんがえしだった。
「おんがえし?私はですね…」
「わかったから早く掃除してくれ」
「あ…はい!」
向こうの方から別のスタッフが小走りでやってくる。
「オーナーに会いたいという方が…」
「俺に?」
待っていたのは、1人の少年。そしてその傍らには……あの日のポリゴンの姿があった。
280名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 00:27:02 ID:???
中途半端ながらここで終了です。
切り貼りしてたら3つ目の一行目でミスしてしまった…ごめんなさい
281名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 01:37:14 ID:???
GJ!
新要素うまく絡めててすげー
282名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 15:01:27 ID:???
投下されたSSを見て、俺は舌打ちした。
「またこのパターンか…」
さっと読み飛ばして、次のSSを待たなければならない。
最初から心が痛むことはないし、今後もそんなことはないだろう。

>>276の最初2行を見た正直な感想はこんなのだった
こう似通ったSSばっかだと、どっかにテンプレでも転がってるのかと思っちまうわ
283名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 16:13:52 ID:???
ポケモン板(笑)のSS(笑)スレに何かを期待する方がどうかしてる。
投下する方も読む方も暇つぶしでやってるだけだからな。

たまーに面白いのが転がってるけど、そっちの方が例外みたいなもんだし。
284冥界からギラティナ:2009/08/26(水) 19:20:10 ID:CK37OX/1
オレのすべての能力はLV1にしてLV100のアルセウスを打ち負かす程高い・・・
すくなくとも、オレはそう思っている。いや、オレの能力を見れば、だれだって
そう思う事だろう。それくらい、オレは強いのだから。
しかし・・・、
オレを捨てたあのトレーナーは、改造伝ポケにしては弱いと言った。一体どういうことだ?
オレは自分を強いと思っている。オレがタマゴから生まれた時に自分の体の中から
確かに湧き上がるようなすさまじい力を感じたのだ。オレが弱いわけがない。
では、あのトレーナーはどうしてオレを弱いとののしったのか?
おそらく、あのトレーナーはオレの能力が自分の想像よりも低かったからオレを捨てたんじゃないか?
本当はもっと強いパルキアが生み出されると勘違いしてたんじゃないか?
人間というものは自分の期待通りじゃないとすぐ失望するクセがある。そして、
つくった物がそれなりに使えるようでも、それを捨ててしまう。だから、あのトレーナーは
オレを捨てたんだ。自分の期待はずれなパルキアだったから。
いま思うとただ単にオレは自分自身が弱くないと認めるために、このようなことを
思ったのかもしれない。オレはプライドが高かったから。
しかし、そのときのオレは、そんなことみじんにも思っていなかった。オレはトレーナーが
自分を捨てた理由が分かるとナゾが解けた快感よりも違う感情を抱いていた。
怒り。
自分の勝手な理由でオレを捨てたアイツが許せなかった。ポケモンになんの感情も
持たず、捨ててしまうのはアイツだけかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
人間は、悪だ・・・。オレは完全にそう思っていた。
なあに、オレは神と呼ばれしポケモン。しかも、改ポケだ。ザコな人間共など一発だ・・・。
オレはくさむらをゆっくり歩き出した。体中に殺気を漂わせて。
すべては、人間に復讐するために。

すたあさん、観覧客さん、お褒めの言葉ありがとうございます。
こんな駄作ですが、どうぞ見てください。
285名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 19:29:32 ID:???
捨てられたポケモンを見て、俺は舌打ちした。
「またこのパターンか…」
俺も不要のポケモンを捨てているので
心が痛むことはないし、今後もそんなことはないだろう。

俺が捨てたポケモンは全て〆ているので生きているはずが無い。
俺は目の前の草むらに隠れていたポケモンを踏みつけ
高個体値がなかなか生まれない不満を晴らし孵化作業に戻った。

しかし一部始終を見ていた他のトレーナにツーホーされ
俺の孵化作業は強制終了させられた。

俺が捨てた訳じゃないのに!!            FIN




・・・・Σ( ゚Д゚) >>282はお題じゃなかったのか!
286名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 19:32:51 ID:???
>>285
オチの部分で盛大に吹いたw
287名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 20:09:07 ID:???
「行くぞ! ムクホーク!!」
その掛け声と同時に私はご主人を背に乗せ飛び立つ。



突風にあおられ体制を崩してしまい、ご主人を盛大に落としてしまった。
そう、私は捨てられた元そらをとぶ要員だ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
○月△日 ( はれ           )

 自由の身になったので日記をつけることにした。

 今までXXXを探して来い!などと
 よく命令されていたが、もうそんな苦労は無い。

 舐めんなよサ○シ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
○月△日 ( くもり          )

 今日は捨てられたイーブイを見つけた。
 プリップリのお肉に、ちょっと苦味のある肝が最高。

 と言うのはウソで、ウラヤマさんちのうらにわへ
 連れてってやった。
288名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 20:11:09 ID:???
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
○月△日 ( はれ ときどき らいう )

 今日も大空を自由に飛びまくる最高の日々のはずが
 急に雷を伴う雨になっちまった。

 しかも かみなり 食らうし最低。
 あの電気鼠がやったんじゃないだろうな?

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  月  日 (               )







−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  月  日 (               )



289名無しさん、君に決めた!:2009/08/26(水) 23:29:12 ID:???
復讐がどうのこうのじゃない話のほうがおもろい
どれも似たような展開の話なんだもん
ま、作りやすいんだろうなぁ
290名無しさん、君に決めた!:2009/08/27(木) 00:56:15 ID:???
>>282
>>285
愚痴にしても厭味にしても、他人様の作品をダシにするなんて最低のゲス野郎共だな
291名無しさん、君に決めた!:2009/08/28(金) 19:07:14 ID:???
>>267
発見されてしまいましたか
順序は手書き→ここ→自サイトで期間限定公開→ポケモンサイトに掲載依頼→掲載、今に至ります
夏休みに例の友人と映画行った際に何匹か返してもらったのでいつか続きを書こうかと思います
でもその前にピカチュウとイーブイが出る話が書きたかったのでそっち投下しますね
292観覧客:2009/08/29(土) 15:29:40 ID:0PhcKKoa
>>284
一言。すげー
293名無しさん、君に決めた!:2009/08/29(土) 17:43:11 ID:q5NYcNhG
>>126,>>133 <br> ゲームだからwwww
294観覧客:2009/08/31(月) 00:06:41 ID:HOMOEkBl
>>292
ええと・・・・勝手に人の名前使うのはどうかと思うよ?? なりすましはヤメてください!
295名無しさん、君に決めた!:2009/08/31(月) 00:49:41 ID:???
ココはイーブイである。ココ・ジ・イーブイ。
ココは家族である。ココ・イズ・ア・メンバー・オブ・マイ・ファミリー。
ココは女の子である。ココ・イズ・ア・ガール。
ココは散歩が好きだ。ココ・ライクス・トゥー・テイク・ア・ウォーク。

クマはピカチュウである。クマ・イズ・ピカチュウ。
クマはご近所さんである。クマ・イズ・アワー・ネイバーフッド。
クマは男の子である。クマ・イズ・ア・ボーイ。
クマはココが好きみたいだ。クマ・ルックス・ヒー・ライクス(ラブズ?)・ココ。
クマは実はぬいぐるみだ。クマ・イズ・ア・ドール・イン・ファクト。

何回も留守番してもらって申し訳無かった。でもありがとう。仕事の合間の散歩は楽しかったかな?
いつからこんなに体が弱くなったのか知らないけれど…悪い、オレはもう長くないらしいんだ。
頑張って書類とか色々準備したから、もしもの事があっても大丈夫だよ。
じゃ、疲れたから寝るね。  おやす み
296冥界からギラティナ:2009/08/31(月) 12:39:17 ID:h3iq5535
しかし・・・、
ぐぅ〜〜〜
まるで、カエルがなく様な音がしたかと思うと、オレはその場に座り込んだ。
「ハラ・・・、減った・・・。」
そう、オレはあまりにもハラが減りすぎていて、動けなかった。
そういえば、今朝からなにも食べていなかった。いや、オレがうまれてから、
あのトレーナーはオレに何も食べ物を与えてはくれなかった。つまり、オレは
ここ数日、絶食状態だったわけだ。
「ヤ、ヤベェ・・・。なんか食わないと、コレ、死んじまうって・・・マジで・・・」
オレはコレはマズイ!と本気で思った。尋常な空腹じゃなかった。
復讐どころじゃない・・・、オレは死にそうになりながら、なんとか立ち上がり、
復讐のために・・・、ではなく食料調達のために歩き出した。
だが、食料を探す事が案外難しいことをオレは始めて実感した。
木の上を見ても、地面を見ても、どこにも食べれそうな物は、まったくなかった。
気がつくと、オレは草むらではなく、森のなかに入っていたが、その森にも
木の実はおろか、木の実の破片さえなかった。
(なんで、ねえんだよ・・・、いじめかよ・・・)
オレはついにその場に倒れ込んでしまった。
(・・・生まれてから、まだ日が浅いのに、オレは空腹のせいで死ぬのかよ・・・)
そんなことをぼんやり考えていた。
それから、しばらく時間がたった。オレはしょうこりもなく(なんとか)生きていた。
しかし、自分がこのままでは、餓死する事は百も承知していた。
なんか食わないと・・・、なんか食わないと・・・、そう思っていた時だった。
「ん・・・?」
なにか、かすかに聞こえたような気がした。
気のせい・・・?
・・・。
ハハッ!・・・
いや、気のせいじゃない!たしかに今笑い声がした!
オレは最後の力を振り絞り、立ち上がると、声のする方目指して、
大儀そうに歩いていった。
297名無しさん、君に決めた!:2009/08/31(月) 23:26:04 ID:???
朝は誰の元にも訪れる。家中に眩しい朝日が差していた。ただ一部屋を除いて。
いち早く東からの陽光に気付いた一匹のイーブイがソファーの上で飛び起き、カーテンを閉め切った部屋へ忍び足で急いだ。
扉は閉まりきっておらず、僅かな隙間から体をよじらせて部屋の中へ滑り込んだ。いやに静かである。
薄暗い部屋の内側で、イーブイの黒光りした目は簡素なベッドに横たわる人間の姿を捉えた。長い耳はその者の深い寝息を聞き取った。
イーブイは恐る恐る人間の顔まで近づき呼吸しているのを確かめた。同時に不安の表情が消えた。
このひとはまだいきている。
そうと分かれば今日も一日規則正しく良い気分で過ごしてもらおうと、窓際に駆け寄ってカーテンを咥えて思い切り反対方向に走る。
分厚い布が遮っていた朝を告げる白い光が徐々に部屋中に染み渡る。イーブイは再び人間の顔色を窺う。
このひとはちゃんとおきてくれるだろうか。
298名無しさん、君に決めた!:2009/09/03(木) 08:26:09 ID:???
1レス程度の短文をダラダラ投下されても反応に困るわ
そういうことする書き手は、結局途中で飽きて放棄する場合がほとんどだしな
299名無しさん、君に決めた!:2009/09/03(木) 22:27:29 ID:???
正直言って今回その場で書いてますサーセン、アイデア自体は前からあったのですがね


イーブイの心配は杞憂だった。朝日の眩しさか体毛のくすぐったさが人間の感覚器官を刺激し、人間はようやく目を覚ました。
全体的にゆっくりした動きで上半身を起こし髪の毛をいじると大きく伸びをした。
イーブイと目が合った人間はここ最近、お決まりの挨拶を交わした。イーブイはあまり聞きたくなさそうにさっと耳を伏せる。
また一日長生き出来たよ。おはよう。

外は鳥達の鳴き声がやかましい程だったが、一人と一匹だけが朝食を摂る一軒家のダイニングルームは時折人間が操る食器の音だけがするだけだった。
イーブイは皿に張られたミルクを舐めつつ人間の体調を横目でちらちら気にしていた。
端から見れば普通の人より少々痩せているだけだ。しかし人間が以前呟いた通りならば、人間の体内には治る見込みの無い病魔が巣くい現在進行中のはず。
別の人間の話によればもう満足に食べられなくなっても、いやいつ命が尽きてもおかしくは無かった。それがどうにか保っていられたのは人間が静かで無欲に、節制に気を遣った生活を送り続けてきたからだろうか。
長年独り身同士で支え合い言葉や種族の壁を乗り越えてお互いを理解してきただけに、イーブイは彼が本当に長くない事を何となく悟っていた。人間がそれを周りに感じさせない様に振る舞っているのが見ていて辛かった。
こちらに向けられる力の無い笑顔がイーブイを俯かせる原因となった。その度に泣くのをやっとこさ堪えているという事に、人間は気付いていなかった。

ソファーの上でイーブイがよれよれの黄色いぬいぐるみを抱き枕代わりにし手持ち無沙汰に転がっていると、朝食に一時間、皿洗いに三十分掛けた人間が帽子とビニール袋を両手に提げて近づいてきた。
先程までTシャツ一枚だったのに、いつの間にかパーカーを羽織っている。どう見ても外出する気まんまんだった。
今日は久々に散歩しよ…話す事があるんだ。
300名無しさん、君に決めた!:2009/09/04(金) 00:19:31 ID:???
>>299
そのお話、いつまで続くの?
書き溜めてからまとめて投下するのなんて、そんな難しいことでもないだろうに。
最終的な分量は変わらないわけだしさ。
301名無しさん、君に決めた!:2009/09/04(金) 04:35:41 ID:???
アイデア自体は前からあったのですがね(キリッ

だからどうしたと
アイデアなんざ誰だって持てるっての
一番面倒な書き起こす作業を場当たり的にやりながら投下し続けられるヤツなんてそうはいないし、
それができるヤツだって、1回の投下がノート1ページ分以下の文量なんてことはまずない
302名無しさん、君に決めた!:2009/09/04(金) 08:40:21 ID:???
てすと
303名無しさん、君に決めた!:2009/09/04(金) 17:16:35 ID:???
今日は柔らかい日射しでまさに散歩日和。これ以上の重ね着は必要無さそうだったが、人間は日焼けか紫外線を恐れてかわざわざUVカット仕様の眼鏡とマスクの着用を怠らない。
イーブイは人間のぎこちない動作ひとつひとつを凝視していた。玄関でしゃがんで靴紐を結ぶ、扉を開けて外に出る、慎重に鍵を閉め、最後に振り向いて笑みを見せる。
そんなかおしないでほしい。どんどんかなしくなるから。
人間の顔を見ているとイーブイは突然機嫌を損ねた子供の様に口を尖らせ足早に道路へ飛び出し、右折した。今日も行き先は多分「きいろのもり」だろう。
人間は仕方ないなと小さく呟き、早歩きで後を追う。ただし体への負担を考え、決して走らない様に。

少しずつ一人と一匹の差が開いていたのと夢中で走っていたのとで、イーブイは白い体毛の中に隠しておいた物が落ちた事に気が付かなかった。
人間がそれに気付いたのは一度落ちた地点を過ぎてからだった。拾い上げてみれば、何とと言うべきかやはりと言うべきか困ったが、古ぼけたピカチュウドールだった。
昔自分がイーブイの誕生日プレゼントに買ってあげた暇潰し用品に下らない理由でクマと名付けたのは人間の方。あまりに低レベルだから人間はもう理由を覚えていない。
まだ自分が元気だったあの頃、イーブイはよくソファーを占領して一日中ぬいぐるみで遊び倒していた。近年でも人間を放っておく余裕がある時はピカチュウを頭の下に敷いたり、抱き枕にしていた。

クマを見つめていた人間の脳裏で、ベッドから見える窓の向こうの景色が蘇る。あそこに本物のピカチュウが姿を見せる様になったのはいつからの事だったか。
304名無しさん、君に決めた!:2009/09/04(金) 18:39:30 ID:???
あーぁ、意固地になっちゃってさ
305観覧客:2009/09/05(土) 15:41:04 ID:+Cnar/w/
>>293
え・・・。かぶっただけじゃんっ
306観覧客:2009/09/05(土) 15:43:45 ID:+Cnar/w/
>>305
ごめん。>>294だった
307名無しさん、君に決めた!:2009/09/05(土) 21:55:25 ID:jIfqgljh
私はドクケイル。
ある日、色違いのドクケイルと恋におち、その時に逃がされた。
主人に凄く懐いていたからだからこその逃がされた悲しみとも、今は決別できた。
毎日彼と幸せに暮らしている。
しかし、たまに主人のことを思い出すと、やはり切なさが募ってくる。
そんな時はいつも、彼は私を一人にしてくれ、私は主人と別れた湖で懐古する。
今日もそうだった。
満月が映る湖はとても綺麗で、街の街灯を思い出す。
ドクケイルである私は、それに惹かれずにはいられない。
私はしばらくそれを眺めていたが、次第に空が曇ってきた。
綺麗な湖が見れなくなったので、私は彼のもとへ帰ることにした。
帰り道、主人のよく食べていたものを見つけた。カンヅメだ。
私カンヅメのもとへ近寄ろうとした。その瞬間、視界がブレた。硬い衝撃。
私は、木に激突し、そのまま地面へと落ちた。
声がきこえる。「もう一度だ!エアームド、はがねのつばさ!」
私は持ち直し、抵抗した。向かってくる相手に対し、使った技は、吹き飛ばし。
相手のポケモンを吹き飛ばし、戦闘を強制終了させられれば、無事に帰られる。
しかし、トレーナーはもう少しのところでポケモンを交代した。
308名無しさん、君に決めた!:2009/09/05(土) 21:57:48 ID:???
sage忘れてしまった…
スイマセン
309名無しさん、君に決めた!:2009/09/06(日) 00:04:16 ID:???
>>306
どうでもいいから糞コテ外せ
310名無しさん、君に決めた!:2009/09/06(日) 20:46:57 ID:???
いま投下されてるいくつもの1レス連載小説のうち、
何本が放棄されずに完成するんだろ
311名無しさん、君に決めた!:2009/09/07(月) 02:35:48 ID:???
>>310
ヒント:話を書きる力量、根性がある人は最初から散発投下なんてしない
312307:2009/09/07(月) 08:11:03 ID:???
繰り出されたポケモンはユレイドル。
特性により吹き飛ばしは不発に終わってしまった。
特性や技の効果をきちんと理解して使っているようなので、
相手のトレーナーは並以上の腕はありそう。
手持ちも2、3体はいるように見える…
岩攻撃を食らったら絶望的だ。が、どんな時も諦めてはいけない。
主人から学んだことだ。
打つ手はある。
野生でいる間にLvも上がっているので、当然技も増えている。
私は銀色の風を繰り出した。
間合いが離れた。その隙に打ち込むのは、毒毒。
そのまま光の壁へと繋ぐ。
守りながら持久戦に持ち込めば、勝てる。
さきほど拾ったカンヅメという食べ残しもある。
守ると月の光で耐えきり、岩攻撃を受けずにユレイドルを倒せた。
相手が再び繰り出すエアームド。
吹き飛ばしで逃げられるだろう。
…しかし相手は先手エアカッター。
相手は吹き飛ばしたが羽を怪我して動けなくなってしまった。

…心細くなってきて、泣きそうになってきたところで、彼が来てくれた。
彼におぶさり、巣へ帰る。
道中で何があったかを彼に話す。
主人と一緒だったころはバトルでほとんど勝てなかったのに、
今はそこそこ勝てるようになった。彼のお陰だ。
313307:2009/09/07(月) 08:30:04 ID:???
主人から学んだ心の強さ。
彼から学んだ実践での強さ。
私は、つくづく良い人達との出会いを経験したものだな、と思う。
もっとも彼はポケモンだが、人とポケモンの違いなんてボールに入るか否かだけだ。
主人は怒ると素手で野生ポケモンを倒すほどだし、
強さは基準にはなりえない。
逃がされた時、主人以外のトレーナーに再びゲットされないと誓っていた。
それを貫けたなら、私はきっと二度とボールに入らないだろう。
主人と出会っても捕まえられることはないだろうから。
私の基準では、逃がされた瞬間に私は人になったということに
気づき、ふふ、と笑った。
彼はどうかしたのかい、と聞いてきたが、
なんでもないと微笑んだ。
そして、家に帰り、傷の手当をしてくれたあと、先に寝てしまった彼と
どこにいるか分からない主人に「ありがとう」といい、一日を終えた。
314名無しさん、君に決めた!:2009/09/07(月) 20:25:07 ID:???
ご指摘を頂いたので書き溜めてきました。コメントありがとうございます。


特徴的なしっぽを失い色褪せたピカチュウのぬいぐるみを見て人間は我に返った。
自分から散歩に誘ったのにいつまでぐずぐずしているんだ。
ビニール袋にさっとぬいぐるみを放り込むと人間は先を急いだ。
一人と一匹のお決まりの散歩コースとなっている公園は野生ポケモン保護区「きいろのもり」の一部にある国立公園だ。
その昔各地方で乱獲が相次いだ際、実験的に保護区をもうけ厳しく取り締まる一方で市民に憩いの場を提供する制作が次々と行われた。
「きいろのもり」は先駆けも先駆け、ピカチュウ系統の第一号保護区+国立公園なのだ。

毎回人間が立ち寄る一本の木まで辿り着くと、茶色いポケモンは既に木陰で根と根の間にちょこんと座って黄色いポケモンと談笑していた。
瞬間、人間の頭の中で「窓辺の記憶」が再生される。窓の向こうにいたピカチュウだ。ぼんやりとした疑問は感じていたのだが、これで合点がいく。
人間は納得すると同時に、自分たちの関係に入った亀裂がもう戻れない所まで来たのでは無いかという危機感に襲われた。
草を踏みしめる音に遠くで気が付いたピカチュウはイーブイに目で合図を送って木の葉に紛れて隠れた。人間はイーブイがすぐ足元に来る位近づいてから、木の幹を背もたれに体育座りをした。
人間は木漏れ日を見上げながらマスクを外すついでに先刻のピカチュウを探してみたが、そんな不審な陰は確認できなかった。
イーブイは人間がこちらを向くまでずっと人間の顔を睨みつけていた。黒い瞳は真剣そのものである。しばしば人間の寝室の窓先に出現していたのと同個体と思しきピカチュウと会話していた時の笑顔は浮かばない。
反対に視線を足元の進化ポケモンに戻した人間の表情は引きつった笑いのままだった。その笑みさえも消えかけている。
しばしの沈黙の後、不意に人間が口を開いた。
315名無しさん、君に決めた!:2009/09/07(月) 23:18:37 ID:???
ココは誰とどこに住みたい?この後。
ココと呼ばれたイーブイは黙ったままだが人間は言葉を続けた。
書類整理が一通り昨日で終わったけれどね、実は一種類だけ用意してない。君の今後の所有権だよ。
…どうして?
だって、勝手には決められないよ。
わたしの「おや」なのに?
それは他人の定義だからね。ベタだけど、ココは「家族」ってつもりでオレは過ごしてた。
うん。ずっとわたしたちだけでくらしてきたからね、わたしたち。
もうすぐココは孤独になる。けどほんの一瞬だけ。君にはあのピカチュウがいるみたいだし。

世界一有名な電気鼠の名を聞いた途端、茶色いポケモンはぎくりとした。平静を装おうとしても体が震えるのは隠しきれない。どうやら人間の言う「あのピカチュウ」はイーブイの考えているのと同じ様だった。
前から悩んでいたけれど、君の一存に任せるのが一番早いだろうと思って。形はどうあれ
……生きてる内には君を逃がす事になりそうだから。
316名無しさん、君に決めた!:2009/09/08(火) 10:33:31 ID:???
自然界で育て屋のペースで受精卵ができたら
すぐに生態系がパンクしてしまうんだよね・・・
あの育て屋絶対種付けさせてると思う
317名無しさん、君に決めた!:2009/09/09(水) 00:04:19 ID:???
自然界だと生んだ卵が全て孵るとは限らないと思うが・・・
てか生んだ子供を全て育てるつもりなら、大量に
卵は生まないと思う。

てか確実に育てたいなら子宮で育成するはずだしな
318名無しさん、君に決めた!:2009/09/09(水) 22:10:13 ID:???
まるで熟年離婚みたいだ、と呟いた人間は虚ろな目でイーブイを見やる。話の途中で思い出した言葉が喉まで出かかるがぐっと堪えた。
一方核心を突かれたイーブイは複雑な感情同士で板挟みになり、思わず前足で頭を抱えた。
家の庭まで来る「きいろのもり」出身のピカチュウは、要するに人間の世界で言う所の浮気相手に等しかったからだ。片方に非があった訳では無いが、互いに原因として思い当たる節はあった。かといってどちらかがどちらかを攻める事も出来なかった。
人間は自分の体調ばかりを気にし過ぎて付き添う立場であるポケモンに掛かる物理的・精神的不安を解消してリフレッシュしてもらう、いわゆる「レスパイトケア」の機会を設けなかった事等に起因すると信じ、
イーブイはなまじ適応力が高かった為に「自分だけで世話できる」と高をくくっていたのが徒になり、徐々に自らを追い詰めていった挙げ句どんどん人間から気持ちが離れる悪循環に陥ってしまった事を余計に責めた。
いくら責めた所で、イーブイが人間に対して「まだしなないの」と思ってしまった事が少なからずある過去を覆す事は叶わなかった。

もっと早くレスパイトケアを行っていれば。ココだって辛い時があったのに。
もっと早くあのピカチュウを受け入れていれば。せめて仲良くなる努力をしていれば。
在宅に拘っていなければ。素直に緩和ケア病棟に移れば。
あるいはもっと他の人に助けてもらえば。
ぼくはココと二人で最期を迎えたかっただけだったのに。ぼくのせいだ。
―――ぼくがココを束縛したからこうなったんだ。

あのひとがしんでしまうまえにすこしでもながくそばにいたかった。
だからびょういんには、はいってほしくなかった。いえのことはなんでもわかるから、だいじょうぶだとおもいこんでいた。でもむりだった。
わたしもあのひともしたいことをがまんして、ふたりだけでくらしていくのはさいしょならうれしかった。
けれどだんだんよわっていくあのひとをみていると、わたしもだんだんふたりきりがいきぐるしくなってしまった。
しぬのがこわいはずなのに、むりしてわらってくれるあのひとのかなしそうなえがおなんて…もうみたくなった。わたしがなきたくなっちゃうから。
あんなかおをあのひとがしつづけるくらいなら、まだしあわせだったときにおわかれしたかった。
319名無しさん、君に決めた!:2009/09/09(水) 23:24:51 ID:???
様々な思いが胸中を巡ったイーブイはしばらく黙りこくっていたが、やがて堰を切った様に鳴き始めた。人間にしてみれば、暗い部分の心情をこれから吐露される訳である。
よくうちのにわにきていたピカチュウ…クロっていうんだけどね、びょうきのこととか、すごくきにかけてくれていたの。
クロはむかしペットだったことがあったけど、「おや」のひとがあなたとおなじびょうきでしんでしまって、もともとすんでいた「きいろのもり」にかえって、それからはずっと「やせい」だっていってた。
あなたのことでなやんだときに、そうだんにのってもらった。これからのことで、じょげんをたくさんもらえた。それに…はなしているだけで、こころがおちついたの。
でもごめんなさい。いいきになって、ずっとさきのはなしばかりするようになってしまったの。そのときだけ、さみしくなくなっていたから。
あなたがつらいのに、わたしにげてた!ごめんなさい…

イーブイは人間に深々と頭を下げる様な体制で下を向いていた。
人間は今までに聞いた事の無い早口とその内容に呆然としていたが、突如何かを思い出したと言わんばかりの顔つきになった。次第に悲哀のとれた穏やかな笑顔になっていく。
…未来の事を考えるのはちっとも悪くなんか無い。気持ちの切り替えが出来ているって事さ。だって、ココは生きているじゃないか。未来を夢見て何が悪い?
それに比べてぼくは…とにかく長生きする事に拘り過ぎたかな。今日は話してくれてありがとう。
320名無しさん、君に決めた!:2009/09/13(日) 02:31:28 ID:???
誰かこのスレの状況を今北な俺に説明してくれ
321名無しさん、君に決めた!:2009/09/13(日) 06:55:53 ID:???
wikiに纏められてないのはこんな所かね、10話と4作品

 連載
>>224-225 >>230-232 >>242-243 >>248-249 >>259-260
>>271 >>284 >>296
>>295 >>297 >>299 >>303 >>314-315 >>318-319
>>307 >>312-313

 読み切り
>>221-222
>>227
>>238-239
>>251
>>253
>>256
>>257
>>276-279
>>285
>>287-288
322名無しさん、君に決めた!:2009/09/13(日) 17:55:01 ID:???
>>321
サンクス しかし途中で切れてる作品の続きが気になって仕方ないな
わっふるわっふる
323名無しさん、君に決めた!:2009/09/14(月) 14:15:20 ID:???
このスレの住人のせいかHGSSで
「ポケモン逃がしたりしてる?
私はボックスいっぱいになるから逃がしちゃうんだよね。
でもこないだ逃がした○○はちょっと勿体無かったかな」
という電話で微妙な気分になった。
324名無しさん、君に決めた!:2009/09/14(月) 21:43:36 ID:???
そう言って人間はイーブイの頭をなでた。目線は上に向いたままで、しばらくその状態が続いた。
背中もさすられて少しくすぐったかったが、イーブイは「家族」の手の感触を忘れたくないと、目を閉じてじっとしていた。その間に人間が「家族」に視線を落として、照れながらぽつりぽつり言葉を繋げていく。
人間がこれまで隠居状態にあったのは、緩和ケア病棟でずっと入院する程には病気が進行しておらず外来で痛みを取り除くのでまだ事足りたというのもある。
他には健康に留意して羽目を外さない、いや波風を立てない様生活すれば次の日に特効薬が開発されるのでは、という病気を「治(キュア)す」希望を捨てられずにいたのもあった。儚い夢だった。
どちらも人間にとって大きな理由だったが、何よりもとよりバツイチの現在、唯一の家族であるイーブイのココ(♀)と一分一秒でも長い余生を送りたいという思いの方が数倍勝っていた。
人間にとってイーブイは単なる手持ちと「おや」やペットと飼い主を越えた、本物の家族と呼べる存在だった。

すきなことって、なにがしたい?
……そうだなぁ。久々にお好み焼き作って食べたい。それに野球の試合も見たい。あと〜〜に―――も!
ふふふ。いままでがまんしてきたから、やりたいことがいっぱいあるね……わたしはね、そうやってわくわくたのしそうにしているあなたをみているのがしあわせだな。
それからクロにみせてあげたい。あなたが――しているところ。
…いつでも人に優しいココは偉いなぁ。良い娘(こ)に育ってくれてありがとう。

熟年離婚の危機を迎えたかと思えば一転、仲良しな父と娘の様に人間とイーブイは振る舞う。その内に太陽は低く南中し、人間の厚着では少し汗ばむ程に気温が上昇してきた。
やがて人間が立ち上がり、「早速お好み焼きでも作るかな」と言いながらスローテンポで元来た道を歩き始めたのであった。


予定が詰まってました。〜〜や―――の内容は人間のモデルに配慮し、敢えて伏せました。ヒントはちょこちょこ隠していますので本当の正解を探してみるのも有りかと。
325名無しさん、君に決めた!:2009/09/14(月) 23:14:07 ID:???
帰り道、イーブイが並んで歩く人間に小声でささやいた。
わたし、ちっともしつもんにこたえてなかった。あなたがいるかぎりはあなたとくらしたい。くすりのにおいがいっぱいしてきもちわるくなるから、ほんとはびょういんはすきじゃないけど、おいしゃさまがいいっていってくれたら、びょういんまでついていくよ?
……ありがとう。でもオレが死んだらどうするんじゃいっ。
そしたらクロと「きいろのもり」のこうえんでくらすの。だいじょうぶ、すぐなじむから。
言いにくいんだけれど、この辺はピカチュウ保護区の近くだからここの自治体はポケモンを逃がす事に凄く厳しい。
ましてやイーブイ系統はまだまだ珍しい部類に入るから、ココが野生になった途端速攻でポケセンの保健所送り、でもって全然知らないイーブイ保護区にでも移されるか他人の手持ちにされちゃうよ。
それでもわたし、ここをはなれたくない。クロとふたりであなたの「タマシイ」をまもっていきていく。
ははははは!そりゃ困った。成仏も出来なきゃ天国にも地獄にも行けないや。
だってしらないところにいってほしくないんだもん……どうしてしんじゃうの!?

人間はハッとして不意に足を止めた。イーブイの瞳は三度潤んでいた。今までで一番強い予期悲観をストレートにぶつけられた人間は危うくもらい泣きする所だった。このままではせっかく修復しかけた関係に再びひびが入るかも知れない。
そう頭で認識した人間だが、体は既に動き出していた。茶毛のポケモンを抱え、薬が切れて痛みがぶり返す事等忘れて一目散に自宅まで走り続けた。
そして勢いよく扉を施錠すると、力が抜けたかの様にへなへなとその場に座り込み、次の瞬間には涙腺が緩みきった。気の済むまで思いっきり泣いた。ココと一緒に大泣きした。
326名無しさん、君に決めた!:2009/09/15(火) 01:42:24 ID:???
HGSSのライバルって、言動が廃人ぽいよね
327名無しさん、君に決めた!:2009/09/17(木) 03:00:23 ID:???
>>326
おつきみやままで進んでから言えばいいさ
328名無しさん、君に決めた!:2009/09/18(金) 20:01:20 ID:???
とりあえず職人は一作品完結させてから投下した方がいいと思うんだ
中途半端に切って、投下終了の報せも無しだと他の職人が投下を躊躇っちゃうとか耳にタコが出来るほど聞いていると思いますし

あと投下する前に一言断りを入れるだとか、他の職人と同じタイミングで投下してごっちゃになるのが怖い
329名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 02:05:09 ID:???
ttp://mona-guild.s53.xrea.com/cgi-bin/up_mo/source3/No_0519.txt
先月末頃に書いたもの
モチベが低下して放置してたんだが、そんなことしてる間にいつの間にか発売されてたのな

続きは気分次第では書く
330名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 11:40:05 ID:???
今までだらだら切れ切れに投下して申し訳ございませんでした。
書き終わりましたので残りを(何回かに分けますが)一気に投下致します。
今までの話は>>295>>297>>299>>303>>314>>315>>318>>319>>324>>325をご覧下さい。



それからは一人と一匹でお好み焼き作りを有言実行し、午後は各々がそれぞれの趣味に興じた。
夜は公園での告白の続きと言える本音トークを繰り広げ、携帯獣療法に明るいかかりつけの緩和ケア病棟に外来診察の予約を取ってから、今まで全て一人で書いたリビング・ウィルをイーブイの意志を含めるつもりでの書き直しを始めた。
まだ手がまともに動かせる内に、大股広げて歩ける内に、五体満足の内に、人間は人生の総決算をする心づもりだった。イーブイはイーブイで「家族」としての責任を果たそうと決めた。

人は生きてきた様に死んでゆく。
翌日外来で診察を受けて以降、取れてしまったぬいぐるみの尾を縫ったり憧れだったバンドのCDを聴いたりしている人間の笑顔が純粋なものに変わっていくのをイーブイは見逃さなかった。
人間は自然体でいられる様になったのか、急に出身地の方言が飛び出し始め「ありがとう」を言う回数が格段に増えていった。
また、人間は一ヶ月に一回レスパイトケアを目的に入院してイーブイがピカチュウと二匹で過ごす時間もきっちり作る方針を立てた。
まだ人間とピカチュウでは意思疎通が上手くいかない事や、長らく人間の文明に溶け込んで暮らしてきたイーブイがいきなり野生の生活を味わうのは酷だろうと人間は考えたし、適応力が自慢のイーブイも少々自信が湧かなかった為である。
そこで一日でも構わないので時折リフレッシュの機会を設けて来る日に備えようという意味で主治医の助言を元に他の様々なケアと組み合わせて始めた。
331名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:02:41 ID:???
人は生きてきた様にしか死ねない。

死が迫っているにも関わらず、人間は笑顔を絶やさなかった。人間は若い頃都会へのコンプレックスから無口ではあったが昔から好感度の高い笑顔を周囲に振りまいていた愛されキャラだった。
二十代の間に人生の山も谷も経験し、三十代で好きな物が色々移り変わり新しい仕事を色々始めたが、四十代になってようやく自分の方向性が最初の一本に戻り、ただただその道が一番自分に合っていると確信した矢先、病気が見つかった。
原因は四十代で急激に煙草と酒類の摂取量が増えた事が主だった。まだ若い方だった為病気の進行は早かった。
病気を発症してから暫くは痛みと衰弱に負けてしまい楽しんでやっていた仕事を手放さざるを得なくなり、人との交流も極端に減った。現代の医療技術ではまだ完治させられない重大な病気だと頭では分かっていても、人間は身体のどこかで「キュア」への希望を捨てきれなかった。
禁欲的な生活を送っていれば無理に死期を早める必要も無く特効薬の開発を待てる、そう考えた人間は波風立てないピアノ線の日常を過ごし始めた。それでも無理して笑顔だけは保っていた。しかし無理矢理作った笑顔だったので不自然なのがイーブイには見てとれた。
楽では無く哀の感情から来た笑顔だと知っているからこそイーブイは見ていて辛かったのであった。

そこに現れたのが同じ苦しみや悲しみを過去に経験したピカチュウのクロだった。ポケモンという同種族同士、同じタマゴグループ同士の二匹が短期間で意気投合するのも道理なのだった。それでも人間は笑顔を顔面に張り付けていた。
途中から緩和ケアを受ける様になってからも「キュア」から「ケア」に完全移行する勇気は起きなかったが、イーブイの中で自分の占める割合が少なくなったのに気付いた人間は、徐々に希望の方向がこの世からあの世にシフトしていくのを何となく感じ取った。
ここに来てようやく、人間は死を受容する事が出来る様になったのだった。
そしてあの日「きいろのもり」で人間とココは真正面から腹を割って話し合い、二人は自分の死を納得して旅立つ為の準備を始めた。好きな事をするのもその一環だった。日ごとに動きが鈍るのを実感しながらも人間はその日その日の自分を積極的に受け入れて生活していった。
332名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:07:39 ID:???
だがこの病気は別名「矢先症候群」と呼ばれる。長年一生懸命に働きようやく旅行に行く余裕が出来た頃に病気にかかり、人が何かしたい事をしようと思った矢先に病状が思わしくなくなる。
人が実は常に背負っている死は普段気付かない存在だが、ふとしたきっかけで目の前に恐怖が落ちてくる。矢先症候群とはそういうものである。それは人間に対しても例外では無かった。

文句を垂れて生きてきた人は文句を垂れながら死んでゆく。
感謝を述べて生きてきた人は感謝を述べながら死んでゆく。
にこにこしながら生きてきた人はにこにこしながら死んでゆく。
しかしどんな人でも「最後の跳躍」は出来るものである。
人間は最後にいかなる跳躍をしたのだろうか……?

ココ…空見てご覧。窓の外…真っ赤な星が燃えとる。綺麗じゃのう。
え、どこどこ…?みえないよ。
ぼくの目が、おかしいんかなぁ…?それともぼくにしか見えんのかなぁ……ふふふ。
どうしたの?
いやーちょっとね。自分にしか見えんなら、それは「オレの」赤い星じゃけぇ。
…よくわからない。なぜそうおもうの?
………なんとなく………やね。
333名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:14:34 ID:???
   (オープニング曲)Hi! Everybody! Funky DJ......ALL NIGHT SHION!! with MIO from MEGAHORN!!

……本日も始まりました、眠れぬ夜の小さなお話を語らう『オールナイトシオン』。隔週水曜日のこの時間は私(わたくし)、あなただけのミオ・ひとりコロトックがカントーはシオンタウンのラジオ塔第二スタジオから生放送でお送り致します。
もちろん傍らにはビールと「じゃがトック」をストックしております。早速本日の一曲目にいきたいと思います。数年前に活動を停止した伝説のロックバンド・ARBO(えーあーるびーおー)で、初期の名曲「Yamabuki Cityは風だらけ」どうぞ。

   ♪ARBO/Yamabuki Cityは風だらけ

……はい、お送り致しました曲はARBOの「Yamabuki Cityは風だらけ」でした。
ここで夏の思い出コーナーに移りたいと思います。私の今年の夏イベント出演は前回の放送週の土曜日に行われたコガネ音泉の「ONTAMA」で全て終了となりましたが、皆様足を運んで頂けたでしょうか?
久々にとある方が一日だけ復活して一緒のステージで演奏したんですけれどもね…ある方と言うのは会場の空気を共有した人達だけの秘密て事でここでは言えません!知りたい人は他の人に尋ねて下さいね!
では次の曲は私が出演した時の音源をこの番組限定で公開しちゃいます。予め番組公式サイトで流して欲しい曲のアンケートを募りました結果、今週はこの曲がリクエスト一位になりました。
メッセージも沢山頂いております。(メッセージをいくつか紹介)
それではミオ・ひとりコロトック&Char-remでザ・ヘラクロズのカバー「Yesterday」聴いて下さい。

   ♪ザ・ヘラクロズ/Yesterday(Played by ミオ・ひとりコロトック&Char-rem)
334名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:19:13 ID:???
   (CMとチケット先行予約番号発表)

……ミオ・ひとりコロトックがお送りしております、『オールナイトシオン』。いつもなら誰かしら呼んで隣にいてもらってますが、幸か不幸か今日はずっと一人です。ひとりコロトックだけにね。
では残り時間はひたすら私の気分で曲を流していきます。まずは歌唱力抜群・ユキノオー(♀)のyukinoがボーカルを務める、今注目のインディーズバンド・カントーシンオウことKA(N)SIN(カシン)の1stシングル「雪降らしの定め」です、どうぞ。

   ♪KA(N)SIN/雪降らしの定め

……はい、いちいち曲名を最後に言うと時間が勿体無いので省略です。次の曲もインディーズで、カシンとはボーカルだけが違うベトベターがトレードマークのロックバンド・HDR-ヘドロ-で「NO FREEDOM」でございます。
ギターとベースとドラムは人間の、しかもいい年こいたおっさん達です。私も人の事は言えませんけれどね。では聴いて下さい。HDR-ヘドロ-で「NO FREEDOM」。

   ♪HDR-ヘドロ-/NO FREEDOM

……お送りしたのは二曲ともインディーズでしたのでそろそろメジャーシーンに戻りますね。あと何曲いけるかな………まだ流せそうなのでどんどんかけてしまいます。
リスナーの皆様から「飽きた」という抗議が来ない様に、お待ちかねの深夜クオリティも一曲混ぜてみましょうか……
いつもスタジオ入り直前までここで流す深夜クオリティを何にしようかと悩んでいて、今回はおぼんの「ちーご」も良さげかと思いましたが…気分が変わったので歌詞がえろいこの曲にします。
…それではANO(アノ)の「アフリカのアゲハント」…どうぞ。

   ♪ANO/アフリカのアゲハント

………この曲、上手にピッチ上げたら完全に女声になるんですよ。興味のある方は編集ソフトでも試してみると良いです。流したい曲はまだまだあります。
ANOがベースで、私も一応ボーカルで参加しているバンド・メガホーンの九枚目のアルバム「リーシャンブルー」から「ボレアス」、そして「BLACKRAIKOU」、二曲続けてお聴き下さい。かみしめて聴いて下さい。

   ♪メガホーン/ボレアス
   ♪メガホーン/BLACKRAIKOU
335名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:25:37 ID:???
…………はい。そろそろ残り時間も少なくなって参りました。本当の事言うと、今日はずっと曲を流していたい気分なのですが……次の番組を潰す訳にもいきませんので。
今回の『オールナイトシオン』は毎回恒例のアコギ一本弾き語りコーナーが最後の曲となります。今夜は私のわがままに付き合って下さり、誠にありがとうございました。それでは眠れぬ夜の子守歌に…この曲ももう十年以上前なんですねぇ……ポチエナの「メイプル」…どうぞ。

   ♪ポチエナ/メイプル(Played by ミオ・ひとりコロトック)

…………ふう。只今演奏致しましたのは、ポチエナで「メイプル」でした。
………………ミオ・ひとりコロトックが生放送でお送りして参りました『オールナイトシオン』、エンディングの時間となりました。今回の放送は苦情が沢山来るだろうと覚悟しております。
今日初めての方、いつもはこんな低いテンションじゃありませんのでご安心下さい…毎回眠れぬ夜をお過ごしの方、次回はいつも通りゲストも呼ぶしもっとメールも読みます……だから今夜ばかりは勘弁して下さい。
正直曲でもかけてごまかしてないと今にも泣きそうなんですよ、私………

大切な友人が、亡くなったものですから――――――

眠れぬ夜の小さなお話を語らうはずだった、『オールナイトシオン』…お相手は私、あなただけのミオ・ひとりコロトックでした……今夜の放送を、向こうの世界に旅立った「彼」に捧げます。

   (エンディング曲)
336名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:30:39 ID:???
オータムリーブズが舞い散る季節が例年より早く始まった年の夜更け、この番組の放送前日に人間は眠る様に息を引き取ったのであった。四十数年の短い人生だった。新月の夜だった。
人間が生前、混乱を最小限に抑える為リビング・ウィル等を用意周到に準備していたのでミオ・ひとりコロトックがパーソナリティのラジオ番組『オールナイトシオン』放送日の夜には通夜が、その翌日には告別式がしめやかに営まれた。
喪主は人間の姉が務めた。人間の裏表無い無邪気な性格と天然さは他人からの好感度が高く、告別式には人間の死を惜しむ人々の行列ができた。
姉夫婦、人間の元嫁と人間の間に生まれた娘と息子、新旧の仕事仲間、幼なじみ、同郷の友人、同業者、ライバル、重役、ご近所さん等々…とにかくありとあらゆる人々やポケモン達が告別式に集まった。
遺体はリビング・ウィルに従って海に流される事となった。一部の地方では死と生にまつわる民間信仰が現代でも根強く残っていたりする為、葬儀の方法は本人もしくは家族の意志で決められる。
人間は生前のあだ名が水棲生物の類だった事から、最後、それこそ命果てるまで海に生きる者として人生を全うした。かつてホウエン地方を脅かした悪の組織・アクア団にかぶれていた訳では無い。

沖に出る船に人間の入った棺を乗せ、遺族代表として人間の姉とイーブイが同伴した。寒い海風が吹きすさび皮膚の熱を奪っていく中、人間は一人横たわり最初から冷たい頬だった。ある地点で船が停泊した。
モーター音が止んだ為か海を住処とするポケモンの群れが少しずつ船に近づき船を取り囲んだ。姉はポケモン達が弟の葬列に参列し、弟を海洋世界に案内する役目を持っているのかも知れないと直感した。
人と違いポケモンは第六感とも言える「何か」を感じ取る力が強いという事をずっと昔に習ったからだ。
姉は周りの様子等気にも留めず、弟の遺骸を前にひたすら泣きはらしていた。何故自分より先に世を去らなければならないのかと、物言わぬ人間に繰り返し問い詰めていた。
337名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:35:41 ID:???
イーブイは遠巻きに二人の姿をぼうっと眺めていたが、心ここにあらずという状態である。イーブイの脳内で看取りの晩に音楽プレーヤーのイヤホンを片耳だけ借りて聴いた、曲調も歌い手も歌詞も全く違う二曲の「HELLO」が繰り返し再生されていた。

ひとつは看取りの入院で緩和ケア病棟に一人と一匹で泊まり込み数日経ったあの日。いわゆるおやつの時間に元嫁と娘と息子が三人で人間の個室に訪問し、面会時間が終了し「明日も来るね」と弱々しい握手を交わしたのが彼女らの今生の別れになってしまった夕方。
就寝前、人間だけに見えた「赤い星」の話をしていた時に流れたMadbeadulls(マッドビーダルズ)というロックバンドの「HELLO」、そしてその次、人間の臨終の瞬間、人間がこの世と別れを告げた際のBGMはメガホーンの「HELLO」がまさに再生中だった。
人間はいつもランダム再生モードにしていたので単なる偶然で片付ける事も出来たが、お別れの場面において二曲連続で「こんにちは」という意味の曲を耳にしたのだ。唯一人間の死に立ち会ったイーブイはただならぬ運命の悪戯を邪推せざるを得なかったのだ。
出会いと別れを連想する対極の言葉「こんにちは」と「さようなら」。あの状況は皮肉なのだろうか。それとも、人間が気を利かせて直接的に「GOOD-BY」を言わない様にしたのか。単純にさよならは言いたくなかったのか。
いずれにせよ、何者かの意思が関わって作られた状況だという核心がイーブイにはあった。

いよいよ人間が海に還る時が来た。船にはクレーンが付いており、船乗りが操縦席で棺を海へ移す段取りとなっている。姉は顔の部分の小窓を開けて人間の冷え切った頬を最後に触れ、改めて肉親の死を実感した。一度は止んだはずの涙が再び溢れ出すのが自分でもよく分かった。
ココちゃん…最後まで弟の側にいてくれてありがとうね。これで本当にお別れよ。
姉はイーブイを手招きして、人間の顔の近くに引き寄せた。茶色のポケモンははっと我に返って頷き、船上なので転ばぬ様バランスをしっかり保ちながらイーブイは人間と最後の対面をした。
明らかにもう目を覚まさない人間の顔は固く青を通り越して白ざめていた。それをただ虚ろな墨色の目で見つめるイーブイは喪失感の余り魂を抜かれかけていた。
338名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:42:27 ID:???
人間の他界を確認した携帯獣療法に肯定的な主治医がイーブイの前でリビング・ウィルを読み上げた時の事がふと思い出される。緩和ケア病棟に最後の入院をした日の翌日、人間の病室に大学時代の知人が一人呼び出された。
サークルの先輩と紹介された金髪の男性はポケモンの知らない所で人間とある取り決めをしていた。
自分の死後のイーブイの安否を気遣った人間はココの情報を登録したモンスターボールを、その日個室に訪れた男性に託した。つまり形式上は所有ポケモンを他人に譲渡していたのだ。
更に言えば金髪の男性は人間の意志を尊重してイーブイを放し飼いにするつもりなので実質イーブイは逃がされた事になる。人間の予想は当たった。
ガルーラ保護区「さわやかのはら」が存在する事で有名な隣の自治体に住んでいる彼の元にココのモンスターボールがあるなら、ポケモンを放し飼いにしてモンスターボールと離れていてもそれ程問題無い。
ココはわざわざ野生になっていらない保護を受けずにクロと今まで通り暮らしていけるという事が主治医の助言で判明した。
だから法律や条令の上では、現時点でイーブイと人間は何の接点も無い事になっているが、主治医に分かりやすい説明を受けているのでイーブイは心情的には人間と自分がまだ繋がりがあると理解出来ていた。その辺りからイーブイの涙腺は一気に緩みっ放しになっていたのである。
それ故船に乗る直前までずっと泣き通しだった為もう涙は枯れ果てたし鳴き声もすっかりかすれてしまった、とポケモンは思っていた。本当の意味での別れを前にして、生前の人間の思い出がぽつぽつ胸の中で火を点ける。

そして次の瞬間、ココは目を伏せて魂が口から抜けきるのを防ぐかの如く人間の右頬にぎりぎり触れる距離で接吻を仕掛け、さっと後ろへ下がった。
339名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:47:52 ID:???
人間の逝去後、一人と一匹で約四、五年を過ごした急な坂道の途中にあったあの家は最後の入院を機に人間が売却してしまったらしく現在は空き家となっている。
「きいろのもり」や国立公園周辺を散歩するついでにイーブイとピカチュウは時々その家を覗いてみる。
二匹が様子を見に行く度に一軒家の購入を検討する家族や夫婦が後を絶たないので、近い将来にあの家は他の誰かの所有不動産になってしまうのだろう。
まだ半分も経過していない人生の大部分をあの家で過ごしたイーブイは二回に一回の割合で気を落とすのであった。
ポケモンが一匹で留守番出来る様にと人間が細かく注文した世界にひとつだけの家電達。家庭菜園で自給自足に勤しみ、クロと出会った広い庭。ユニバーサルデザインを凝らした階段や風呂場。光指す窓の傍らで人間を起こした寝室。
あの家で無ければいくら適応力が自慢のイーブイと言えども、科学技術の進んだ文明の中では生きてゆけなかっただろう。昔と変わらない散歩ルートを歩きながらココは在りし日を回想した。
そういう時、クロは何も言わずにココが振り向いてくれる瞬間を笑顔で待ち続けた。悲しみは時間が解決する。かつて同じ経験をしたピカチュウは心得ていた。

二匹は「きいろのもり」の住処に戻った。イーブイが不自然に一匹混じっていると見回りの役人に不審がられる恐れがある為、人間が生きていた頃よりは森の奥深くに引っ越している。そこにはクロとココの住処を示す目印があった。
「おどるゼニガメ○○○(古いので○の部分はもう読めない)」という題名の絵本と、稲妻型の尾が不器用に縫いつけられたピカチュウのぬいぐるみ・クマである。言うまでも無く人間の遺品だった。
人間が恋しくなれば小さい頃にしょっちゅう読み聞かせをしてもらった絵本のページをめくる。人の作る話はよく分からないが、面白おかしく脚色して仰々しく読んでもらったのを覚えている。
一日の終わりには抱き枕としてのピカチュウのぬいぐるみが欠かせないが、「きいろのもり」で暮らす様になってからはもろにクマが話し相手になり始めた。
こうしていれば、いつか人間の魂がこのぬいぐるみに宿ってくれるのではと期待をかけているからだ。
340名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 13:51:03 ID:???
人間を喪って暫くは、空想の世界で登場するタイムマシンという物体の実在を一途に願った。
木枯らし一号が落ち葉と共に悲嘆を少しずつどこかへ飛ばして、少し落ち着いた現在はせめて声が聞ければと望む。
聖夜のおねだりをする相手はもう寒空の向こうか七つの海に溶けてしまっているのだろうけれど。


―――ココ、だーいすき。


耳元でそう囁かれた気がして、うとうとしていたイーブイは声のした方向を振り返ったが、イーブイの視線の先にはぬいぐるみのピカチュウと本物のピカチュウが一匹ずつ、うつぶせているだけだった。
時刻は新月の夜中。クロはすやすやと寝息を立てていた。クマは自分の足元にいた。
ココはくすっと微笑み、クマを尻尾で前足の所まで持って行き、「ゆめかぁ…」と小さく呟いて再び横になったのであった。子守歌は、いつだかの誕生日に人間が作ってくれたココの歌。題名は、「ココ・ジ・イーブイ」。

ささやかな命達が舞い上がり燃え上がり、止められない現実の時を刻み続けている。
一度消えた命も誰かの光達に包まれて、誰かの心の中で時を越えて突き進み続ける事だろう。
人間の魂の欠片が、ココと名付けたイーブイの心の海を漂っている。いつまでも、どこまでも。


   Fin
341名無しさん、君に決めた!:2009/09/23(水) 21:50:30 ID:???
この度はだらだら長いだけの拙作を投下しきるのに時間を費やしすぎて申し訳ございません。
最低限の礼儀として完結させたつもりですが、以後気を付けます。

物語の世界はゲーム世界とも繋がっていますができるだけ現実に近づけました。現実にポケモンを持ち込んだ感じです。
唐突にラジオ番組が挿入されたのは、人間の死のシーンを直接書けずごまかした為です。
知識が足りない部分も多々ありましたが、夏休みに読んだ本と音楽に助けられました。
そして目を通してご指摘を下さった方々、ありがとうございました。

参考文献
柏木哲夫『人生の実力』(幻冬舎・2006年)
柏木哲夫『いのちに寄り添う。』(KKベストセラーズ・2008年)
佐藤健『緩和ケアでがんと共に生きる』(新潮社・2008年)
342名無しさん、君に決めた!:2009/09/24(木) 08:04:16 ID:RR/uPPIt
天国国歌
作詞:慧人君
作曲:慧人君
(Aメロ)
慧人君ゎかっこぃぃぢゃん!ワラ
慧人君ゎイケメンぢゃん!!ワラ
どぅしてこんなにかっこぃぃ?(神だから!)
慧人君ゎ素晴らしぃ!ワラ
慧人君ゎ神にふさゎしぃ!ワラ
どぅしてこんなに完璧だ?(神だから!)
(サビ)
Oh!Oh!Oh! 慧人君!ワラ←
Oh!Oh!Oh! 慧人君!ワラ←
天国をぃつまでも明るく照らしてくぅだぁさーい!
Oh!Oh!Oh! 慧人君!

Oh!Oh!Oh! 慧人君!
天国ゎ良いところ!
343名無しさん、君に決めた!:2009/09/25(金) 10:21:56 ID:???
最初違うスレに来たかとおもった
叙情的な力作GJです
344名無しさん、君に決めた!
>>343>>341