>>696 「エロゲやる奴は人格破壊されている」とか言ってるとんでも女議員と同レベルな思考回路だな
701 :
名無しさん、君に決めた!:2008/11/02(日) 13:16:33 ID:RNchkAbs
俺はさっき月の石を入手した。
同時にプリンを捕獲してきたんだ。
世間じゃカワイイとか唄がどーのこーので人気らしいが、俺はそうは思わない。
どうせ使い道のない石だし、進化形が見てみたいという好奇心から捕獲した。
しかし、どうもこの石は俺のパーティーのニドリーノに使うことができるらしい。
俺は迷わずニドリーノに使ってやった。
こいつは凄い。ニドキングと呼ばれるポケモンに進化を遂げた。
俺は興奮した、ニドキングの姿は名前に相応しい。王と呼ばれるのも頷ける。
「プリプリ!」興奮する俺の隣で耳障りな声がした。ドスッ!
俺はプリンを蹴り飛ばした。
「プリュウゥ…」
プリンは壁にぶつかり涙声で鳴いた。
「てめェはもう不要だ。最後くらい役にたってもらうぜ。」
俺はニドキングにプリンをズタズタに痛めつけるように指示した。
ドスッドスッドスッ
ニドキングは何発も蹴りをいれ、踏みつけた。
プリンは涙目になって「ブリュ!ブギッ!」とうめいた。
無理もない。14レベルのプリンと76のニドキングじゃ闘いにならない。
「ニドキング、そいつのクリクリした前髪を引きちぎれ!」
ニドキングは巨大な腕でプリンの前髪と胴体を掴みあげ、ゆっくりと力を入れた。
ギリ…グググ…ブチンブチンッ…ブチブチブチブチッ
「ブリュウウアウアアアッッ」奇声を上げながらプリンの前髪と体が千切れていく。
グロテスクな程血飛沫をあげてニドキングの顔を血に染めた。
「グゴォオオ!!」それがニドキングの本能を刺激したのかニドキングは咆哮し、さらにプリンに襲いかかった。
702 :
名無しさん、君に決めた!:2008/11/02(日) 13:19:55 ID:RNchkAbs
ニドキングはニドリーノの頃から一度興奮すると命令に関係なく相手を無惨に虐殺してしまうのだ。
ニドキングは毒を帯びた角をプリンの左目に突き刺した。
「ブギャアギャアアリイイ!!」
もはや鳴き声だけじゃ何のポケモンか判断できないような鳴き声だ。
奥まで突き刺した角を引き抜くと、毒液と肉片と体液が混ざりあったものがズルリと床に落ちた。
「プ…」
声に元気がない。まあ当たり前か。
興奮したニドキングはえぐった目玉をグシャグシャに踏み潰すとプリンの耳に噛み付き、ブチブチ音をたてて引きちぎった。
「プ…リ…」
見るも無惨な姿だ。
きっと毒液のせいで悲鳴すら上げれないんだろう。
潰れてない方の目で悲しそうに俺を見た。俺はその目にサイコソーダをぶっかけ、満足そうなニドキングをボールに戻し、うめくプリンを置き去りにした。
しばらくすればニドキングの猛毒で死ぬだろう。
その前にオニドリルに喰われるかもな。
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もっと休日を有意義に使えよ
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| i i .、'iユ=|r==;i´ r'iユ=、_ゝ- |
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| `'ー一彡 .::::. `ヽ、_. / |
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>>704 そういうあなた様もこんなとこに書き込んだりしてないでもっと休日をエンジョイしたらどうですか
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| ィ'tテヽ : : ィ'tテヽ. |
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く__ノ (C)日本ペイント
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/ _,-| r'" 二 ==i ニニ二/\/ccccccc//_ヽ ) = / >
>>704 <、、゙l - ̄ ̄C=] ノ;ヾ / ⊂ニニニ二二ソニニニソノ
スナイパーモード!!
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/ ,_!.!、 ヽ
/ ⊂⊃ ,, ヽ
/ Y ヽ jl //
/ 八 [] l || ヽ \/
>>704 >>706 ( __//. ヽ│| | || ゝ / ヽ○/ヽ○/
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/ _,-| r'" 二 ==i ニニ二/\/ccccccc//_ヽ ) ヽ ハ ハ
<、、゙l - ̄ ̄C=] ノ;ヾ / ⊂ニニニ二二ソニニニソノ/⌒ヽ\
,l゙゙'l、 」ニニ二二〈ー;; \/二L_」 j
/ l /;:: /{ ̄`)ノ ーーー \ /
/´ ゝ ;;::/ {  ̄ソ
クズ共氏ね
俺はトゲキッスを殴った
ガシッ!
「ちょ、ちょげ?」
トゲキッスは訳が分からないという顔をしている
そして俺の側に飛んできてちょげちょげと甘い声で話しかけてきた
だが俺はそれに構うことなく殴りまくった
ガシッ!ガシッ!ガシッ!
「ちょげぇ〜!」
トゲキッスは痣だらけの顔を腫らしながら泣いている
男のくせにだらしのない奴だ
俺は手持ちのカイリキーを出してこう命令した
「こいつの腐った根性を鍛えてやってくれないか」
カイリキーはウホッと頷くと泣いているトゲキッスを抱えて何処かへ行ってしまった
暫くするとトゲキッスの悲鳴が聞こえてきた
俺はそれに満足し、微笑みを浮かべながら外へ遊びに行った
カイリキー……
最近調子に乗ってるチャーレムにちんこマンと名前をつけ戦闘不能にして逃がしたwwww
技は自己暗示以外忘れさせたわwwざまぁwww
最近近所の空き地に住み着いたポッチャマがうぜぇ
毎日のように甲高い鳴き声をあげ、人が通れば食べ物を催促し、道路に糞尿を垂れ流す
他の御三家はとても愛らしく礼儀正しいポケモンなのにこの違いは一体何なんだろうか
ムカついたので俺は餌で吊ったポッチャマをゲットし、家の地下室に連れていくことにした
「おら、出てこい」
俺はボールからポッチャマを出した
「ポチャチャー!!」
ポッチャマは耳に障る鳴き声をあげ、辺りをぴょんぴょん跳ね回っている
そして会ったばかりの俺の元に来て図々しく餌を催促してきた
(こいつマジ殺してえ・・・)
すると
「ポッチャーー!!チャマー!!!」
いきなりポッチャマがキレ始めた
俺が餌をくれないことに腹をたてたのだろう
なんて食い意地のはった卑しいポケモンなんだ
「うるせぇんだよ!!!」
ぐちゃっ!
キレた俺はポッチャマの腹を思い切り踏んだ
「う゛ぉちゃああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
小さな身体には相当の威力だったのだろう
ポッチャマは見た目からは想像もつかないような叫び声をあげた
(やべ、やりすぎたか)
そう思った時、俺はいい事を思い付いた
「そうだ、ポッチャマ。お前腹減ってるんだよな」
「…ポ、ポチャ」
「さっき踏んじまったお詫びに食い物やるよ」
「ポチャ!ポチャー♪♪」
ポッチャマは先程とは別人のように喜んでいる
だが喜んでいられるのも今の内だ
「出てこい、ベトベトン」
俺はボールから手持ちのポケモンを出した
そして俺はポッチャマの嘴を掴み、最大限まで口を広げさせた
「うぉ、うぉちゃー?」
「さ、飯だぞ」
俺はベトベトンに命令した
「ベトベトン、こいつの口の中にダストシュートだ。PPが切れるまで頼む」
ベトベトンは頷くとポッチャマの口の中に巧みに汚物を投げ入れていく
どぴゅ!どぴゅ!どぴゅ!
「びゃま゙ァァァァア゙ァァ゙ア゙ァアァ!!!!!!!!!!」
ポッチャマの口の中は汚物でいっぱいだ
異様な匂いが鼻にくる
「ベトベトン、お疲れ」
俺はベトベトンをボールに戻した
ポッチャマを見るとポッチャマは涙目でこちらを見ている
「ポッチャマ、何で泣いてるんだ?あ、そうか!ちゃん噛めないから飯の味が分からなくて泣いてるんだな!!」
ポッチャマは違う、とでも言いたげに必死に首を横に振ったがあえて無視した
「じゃあ俺が噛むのを手伝ってやるよ!」
「!!!!!!!!」
ポッチャマは後退りしたが簡単に捕まった
俺はポッチャマの上顎と下顎を抑え、思いっきり咀嚼させた
ぐちゃぼちぇぶちゃびちょぶちぇぼぢょー!!!!!!!
「ぢャまあ゛ああぁああぁ゛くぁwせdrftgyふじこ」
ポッチャマの悲鳴と汚物が噛み締められている音が嫌でも聞こえてくる
俺はますます興奮し、ポッチャマの悲鳴が聞こえなくなるまで繰り返した
一時間後、ポッチャマは心に傷を負ったのかは知らんがすっかり憔悴しきっていた
目が生気を宿していない、まあ無理もないだろう
「ま、これでちょっとは大人しくなるか」
俺はポッチャマをボールに戻し、次は何をして遊んでやろうかと考えながら地下室を後にした
さて、俺が最も嫌いなポケモンを殺したときの話を語ろうか。
あれは冬の寒い日。キッサキで当時暮らしていた俺は草むらでギャロップのレベル上げをしていた。
ギャロップの炎で暖まりつつ、ニューラやチャーレムなどをある程度の量以外は殺しておく。
そうしつつ俺はある洞窟を見つけた。そこは木と木の間の雪に巧妙に隠された洞窟だった。
「よいしょっと」
雪を払いのけ、ギャロップを先頭にして洞窟の中を進む。
冷気がひんやりと、防寒具を纏う俺の体へと響く。
「……あ、あれは」
洞窟の一番奥に、グレイシアの家族がいた。親グレイシアが2匹と、子供が5匹。
それぞれこちらを向き、敵対視していた。害虫にでも見えたか?
「おーおー。ここらで見るのは珍しいな。まぁお前ら存在自体が珍し――」
言い掛けた時に、氷の礫が俺目掛けて発射された。だがギャロップが発した熱により、その礫は溶ける。
それを見て驚いたのか、グレイシアの親は子を守るようにしてこちらへと向かってきた。
「……なんかやったか?」
次の攻撃に備え、ギャロップに炎を貯めさせる。こいつら存在自体がうざいが、子供を一匹だけ捕まえよう。
この手のポケモンはマニアには高く売れるのだ。気に食わないが。
「……お、吹雪」
ギャロップがぼんやりと熱を発し、洞窟を暖めていると冷やすように吹雪が発せられた。
それを見て俺はギャロップに火炎放射を――そうだな、右の父親っぽいのに撃たせた。
すると父親っぽいグレイシアは、逃げる間もなく業火に包まれ、塵すら残さず消えた。
その後はグレイシアを一匹残して全部焼却。あの時の叫び声は笑えたぜー?聞けばよかったのにな。
おっと時間のようだ。ここで退散させてもらおう。
ブイズ虐待っぽい小説書いてたらいつの間にか30枚近くになってた
自分でも酷いオナニーだと思った、長いけどここに投下しても大丈夫だろうか?
いいんじゃない
いいわけねーだろ。氏ね
期待に沿えるものかはわからんが、とりあえず投下。勢いで書いたから、おかしいところもあると思うけど、気にしないでくれ。
「ふう、しんどい」
俺の名前はレッド。こう見えても、医者だ。ポケモンセンターで働いている。
医者ってのは休みの少ない仕事だ。だから、少ない休日を、少しでも充実したものにしようと、努力している。
今日は、ポケモンたちと一緒にハイキングに来た。で、今は、山登りの真っ最中。
「お前らも疲れたか・・・・・・? そろそろ、他のメンバーと、交代しようか?」
俺の問いかけに、リーフィアとエーフィは、そろって首を振る。やっぱり、ポケモンたちも、自然の中にいられるのはうれしいのだろうか。
「へへっ、俺もがんばらなくちゃな。さて、頂上への道は・・・・・・」
俺は地図を開いた。えーと、現在地は大体この辺で・・・・・・って、あれ、どうしたんだ?
突然、リーフィアが道でもなんでもない茂みに突っ込んでいった。ガサガサと草木をかきわけて、進んでいく。
「な、なんだ? リーフィア、どうしちまったんだ・・・・・・って、エーフィまで!?」
見ると、エーフィまでもが、リーフィアの後を追って茂みに入っていった。いったい、どうしたというのだろう。
・・・・・・このまま黙って見過ごすわけにはいかない。
俺は二匹を追いかけて茂みに入った。
俺はリーフィアやエーフィと違って人間で、背が高い。なので、2匹には全く苦にならなかった木の枝が、容赦なく襲い掛かってくる。
3歩進むごとに悲鳴を上げるといったペースで、俺は2匹の後を追った。見失っちゃダメだ。
しばらく歩くと、広いところに出てきた。ここはどこなんだ?
「おーい、どうしたんだ? 急に野生に帰りたくなったのか・・・・・・って、どうした?」
いくつも出来た引っかき傷をさすりながら言う。すると何故か、2匹とも不安そうな目で、俺にすりよってきた。
「どうしちゃったんだ? おまえらが自分で来たって言うのに・・・・・・・」
「それは、俺のユンゲラーが呼んだからだ」
突然、誰かの声がした。はっとして声のしたほうを向くと、青いマフラーをした少年が立っていた。
「呼んだ? 何でそんなことを・・・・・・というより、君は誰だい? こんなところで、何をしているんだ?」
俺は出来るだけ友好的に聞こえるよう、言った。少年は、それに答えるよう、にっこり笑って言った。
「お前を、殺すためだ」
言葉の意味を理解するのに、しばらくかかった。
「・・・・・・殺す?」
「そうだ」
「ちょっと待ってくれ、俺は初対面の人間に、殺されるようなことは・・・・・・つっ!」
数歩前に歩み出た、その瞬間。目の前を何か黒いものが横切った。
なんとなく頬に触れてみる。何かヒリヒリするな・・・・・・そう思って手を見ると、血がついていた。
「――ッ」
見ると、少年の側に、ヘルガーとユンゲラーが立っていた。おそらく、ヘルガーの仕業だ。
「・・・・・・マジで、やる気だってのか?」
少年はそれには答えず、さっと俺を指差した。途端に、ユンゲラーがスプーンを構える。マズイ、本気だ!
「リーフィア、でんこうせっか!」
俺が叫ぶと同時に、リーフィアは猛スピードでユンゲラーに飛び掛った。
回避も間に合わず、ユンゲラーに命中・・・・・・するかと思われた。だが、リーフィアは、突然空中で静止した。苦しそうな顔で、うめいている。
「なっ・・・・・・」
「攻撃が単調すぎるんだよ、バーカ」
見ると、ユンゲラーがスプーンを構えている。"かなしばり"か!
「エーフィ、リーフィアを助けるんだ!」
エスパー技に対しては、こちらもエスパー技で対抗するしかないだろう。
エーフィは額の宝石に念力を集中させ、"サイコキネシス"を放――
「そううまく行くと思うか!」
ユンゲラーは、左手のスプーンでリーフィアを拘束しつつ、右手のスプーンで"シャドーボール"を撃ち出した。
"シャドーボール"は、見事エーフィの額に命中した。悲鳴を上げて、エーフィが吹っ飛ぶ。
「エーフィ!」
「余所見するなよ、しっかり見とけ」
はっとして振り向くと、敵のもう一匹の手持ち・・・・・・ヘルガーが、口の中に大量の炎を蓄えていた。
「や、やめろーっ!」
「そいつを黙らせろ!」
ユンゲラーがスプーンを俺に向けた。その瞬間、俺は凍りついたように、動けなくなってしまった。見えない力が、俺の全身を締め付けている。
「リーフィアーっ!」
ヘルガーは、口に含んだ大量の炎を、リーフィアに向けて吐き出した。
動けないリーフィアに、容赦なく"かえんほうしゃ"が襲い掛かる。
「・・・・・・・!」
リーフィアの体は、炎に包まれて見えなくなった。"かなしばり"に拘束されたリーフィアは、声を出すことも出来ない。
真っ赤な炎の中に、黒い影が見える。痛みに耐えかねてじたばたすることさえ許されない。その悲痛な叫び声が、聞こえてくるかのようだ。
リーフィアは抵抗することも出来ず、炎を浴び続けた。10秒、30秒、1分たっても、ヘルガーは炎を弱めなかった。
「もう・・・・・・もう、やめてくれ!」
俺は必死に叫んだ。だが、それにもかまわず、敵はリーフィアをなぶり続ける。
助けに行かなくては。炎を浴びようが構わない、この手でリーフィアを助けなくては。だが、体が動かない。
「エェェェフィィィィィ!」
俺は力の限り叫んだ。
何とか回復して戻ってきたエーフィに、"サイコキネシス"を命じる。
空間を捻じ曲げる念力が、リーフィアの元へ向かう。エーフィはリーフィアの拘束をねじ切った。
ドサリと地面に落ちるリーフィア。
「リーフィアぁ!」
いつの間にか、俺のかなしばりも解けていた。すぐにリーフィアの元へ駆け寄って、その体を抱き上げた。
目頭が熱くなる。涙が出てくるのを感じた。何故、何故俺は、もっと早く、こいつを助けてやれなかった。
ギュッと強く抱きしめても、リーフィアはピクリとも動かない。まさか、まさか、そんなわけはないよな――?
はっと顔を上げると、ヘルガーが攻撃の態勢に入っていた。
ヘルガーが大声で吠えると、その体から、悪意に満ちたどす黒いオーラが放たれた。"あくのはどう"だ!
「くっ!」
俺はとっさにリーフィアをかばった。こいつが受けた痛みに比べれば、このくらい、なんてこと――
・・・・・・相当強烈なものを覚悟していたが、痛みはやってこなかった。かわりに、エーフィの悲鳴が聞こえた。
しまった――リーフィアをかばうことだけを考えて、エーフィのことを何も考えていなかった。
輝く太陽の化身であるエーフィは、どす黒いオーラに耐えることは出来なかった。空中に吹っ飛ばされるエーフィ。
だが、エーフィは落下しなかった。ぐったりしたまま、空中で静止している。エーフィが自分でやったのか? いや、違う!
またもや、ユンゲラーがスプーンを構えている。そして、口いっぱいに炎を溜めた、ヘルガー。
「うおおおおおおっ!」
俺は走った。エーフィの元へ走った。空中でぐったりしているエーフィを、ユンゲラーの拘束からもぎ取るのだ。
だが、敵は、そんな俺を見て、せせら笑った。
ユンゲラーがまたスプーンを構えた。もう一度、俺にかなしばりをかけるつもりか。だが、そんなもの、気合でねじ切ってやる!
俺は猪のように突進した。誰にも、止められない。止めさせない。エーフィを、救うまでは!
「エーフィ!」
もう少しで、手が届く。両手でしっかり抱きしめて、呪縛から解き放ってやるんだ!
手を伸ばした瞬間――
バヂバヂと音をたてて、青紫色の球体が飛んできた。その球体は、俺に見事命中した。
「・・・・・・がっ」
急に、足が動かなくなった。地面に膝をつく。そのまま、俺は倒れこんでしまった。
「ふーん・・・・・・"でんじは"って、人間にも効くんだな」
無表情のまま、感情を込めず、敵が言う。俺は、"でんじは"をかけられたのか? クソっ、体が動かない。
「ま、今度はもう少し楽な方法を選んでやるよ」
そういって、敵は指を鳴らす。ヘルガーが大声で吠えた。
「や・・・・・・め・・・・・ろ・・・・・・」
俺は倒れたまま、必死にエーフィの元へ這って行く。なんでだ、なんで体が動かない。動け、動けよ。
ヘルガーの口から、巨大な火球が放たれた。火球はエーフィに飛んでいく。エーフィは逃れようとしているが、"かなしばり"を解くことが出来ない。
「エーフィィィィィィ!」
火球はエーフィに命中した。聞こえない悲鳴に、俺の鼓膜は破れそうになる。
エーフィに命中した途端、火球はバラけて、"大"の文字を描いた。"だいもんじ"だ。
エーフィは文字の中心に閉じ込められた。痛々しい叫び声が、山の中に響く。
「あ・・・・・・・あ・・・・・・・」
俺は、エーフィが焼かれるのをただ見ているしかなかった。
立ち上がって走ろうとするたびに、手を伸ばして石を投げつけてやろうとするたびに、体中に電流のような痺れが走る。
不意に、文字が消えた。かなしばりも解けて、エーフィは地面に落ちる。
俺はエーフィのところへ這って行こうとした。抱きしめてやりたかった。謝りたかった。
だが、敵は俺には目もくれず、エーフィを蹴っ飛ばした。エーフィは、苦しそうにうめきながら、リーフィアのところまで吹っ飛んだ。
「て・・・・・めぇ・・・・・・」
俺はぐっと手を握り締めた。砂と爪が手に食いこむ。
「許さねぇぞ!」
痺れる体にムチ打って、俺は必死で腰のボールに手をやった。
「シャワーズ! サンダース!」
腕に走る激痛のような痺れを必死で振り切って、俺はモンスターボールのボタンを押した。
黄色の毛をまっすぐに逆立てたサンダースと、静かな怒りをその目に宿したシャワーズが、ボールから飛び出す。
サンダースは俺のリュックをゴソゴソと漁ると、中から"まひなおし"を取り出してきた。
「ありがとう・・・・・・サンダース」
俺は"まひなおし"を使った。まだ少し痺れが残っているが、もう十分に動けるレベルだ。
俺はよろよろと立ち上がる。フラフラだが、精一杯の威厳と、憎悪を込めて。敵をまっすぐに指差し――俺は、叫んだ。
「おまえは、絶対に許さない!」
その叫びに応えるかのように、サンダースはヘルガーに向けて"10まんボルト"を撃ち出した。強烈な効果音を発しながら、稲妻が空中を走る。
「おっとぉ、危ない。もどれ、ヘルガー!」
敵は嫌味っぽく言うと、ヘルガーをボールに戻した。入れ替わりに、もう一つ、ボールを投げる。
「いけっ、トリトドン!」
特徴的な鳴き声とともに、ボールからトリトドンが現れた。
サンダースの"10まんボルト"は、まっすぐにトリトドンに向かって飛んでいき――見事、直撃した。
・・・・・・が、トリトドンは、蚊に刺されたほどの痛みも感じていないようだ。
「地面タイプに、電気技が効くと思ってんのか?」
小馬鹿にしたかのように、敵が言う。
「ええい! シャワーズ、"ハイドロポンプ"だ!」
言うが早いが、シャワーズは口から大量の水を吐き出した。
地面タイプを含んでいるということは、その分、本来抵抗を持っているはずの、水技に弱くなるということ。十分、押し切れる!
強烈な水流がトリトドンを襲う。さっきとはうってかわって、苦しそうな表情だ。よし、行ける!
さらに威力を強めるよう、シャワーズに命令しようとした、そのときだった。
視界の端に、スプーンを構えたユンゲラーが見えた。緑色の球体が飛んでくる!
「シャワーズ、危ない! "とける"!」
シャワーズは即座に"ハイドロポンプ"を止めると、体を水に変えた。地面に、透き通った色の水たまりが出来る。
その水たまりのすぐ上を、"エナジーボール"が飛んでいった。危ない、危ない。
「トリトドン! "どろばくだん"だ!」
俺ははっとしてトリトドンの方に向き直る。途端に、巨大な泥の塊が飛んできた。
「シャワーズ、もどれ!」
シャワーズを元の姿に戻す。そしてそのシャワーズを抱えて、横に飛ぶ。
俺はとっさにそう判断した。判断してすぐ、俺はシャワーズの元へ走る。
"どろばくだん"が迫ってくる。間に合わない、ヘッドスライディングで、シャワーズを救出兼攻撃を回避する!
俺は前に跳んだ。その瞬間、水たまりが、シャワーズの姿に戻りかけているのが見えた。
早すぎた! しまった――
バシャーン!
元の姿に戻りかけていたシャワーズに、俺は頭から突っ込んだ。シャワーズの姿を形作っていた水は、粉々になって、そこら中に飛び散る。
そのまま、俺は地面をゴロゴロと転がった。転がっている途中、飛び散った水が、必死で一箇所に集まろうとしているのが見えた。
水になったシャワーズは、何とか、また一箇所に集まることができた。再び、水たまりが出来る。シャワーズはまた、元の姿に戻ろうとする。
しかし、時間が足りなかった。水と元の姿の中間ぐらいの状態のシャワーズに、"どろばくだん"が直撃した。
またもや、シャワーズの姿は砕かれてしまった。
「くっ! サンダース、"シャドーボール"!」
何とか、シャワーズが元の姿に戻る時間を作らなくてはならない。トリトドンは電気技を無効化してしまうので、それ以外の技で攻めるしかない。
"シャドーボール"はトリトドンの頭に直撃した。大きく仰け反るトリトドン。
これだけ時間を稼げれば十分だ!
そう思ってシャワーズのほうを見たとき、妙な違和感を感じた。
水の色がおかしい。いつもは透き通った色をしているのに、どうも今は茶色く濁っている。
そんな事を考えている間にも、水たまりはゆらゆら揺れながら、シャワーズの姿を形作っていく。
ついに、シャワーズは水の状態から元の姿に戻ることが出来た。――だが。
シャワーズの皮膚は、いつもの透き通るような水色ではなく、汚く濁った茶色。
「ガ・・・・・・グ・・・・・・」
シャワーズは口から水を吐いて、その場に倒れこんでしまった。
「シャワーズっ!?」
俺はすぐさまシャワーズに駆け寄って、その体を抱き上げる。
まさか・・・・・・さっきの"どろばくだん"のせいで?
認めたくなかったが、実際そうらしかった。近くで見ると、よくわかる。
茶色く濁ってはいるが、かつての透明感はまだかすかに残っているようだ。目を凝らしてみてみると、体の奥のほうに、泥が混ざっているのが見える。
さっき受けた"どろばくだん"の泥が、水たまりに混じってしまったらしい。そのまま元の姿に戻ったから、こんなことになってしまったのだ。
この分だと、かなりの量の泥が混ざってしまっているようだ。シャワーズの、この苦しそうな様子からすれば・・・・・・。
"キズぐすり"や"なんでもなおし"でどうにかなるようなレベルの話じゃない。どうする、どうすればいい?
意味もなく、シャワーズの体を揺さぶる。苦しそうな呼吸音が聞こえてきた。
また涙が出そうになったが、感傷に浸っている時間はなさそうだった。ユンゲラーが、またスプーンを構えている。
「ユンゲラー、もう一度あいつに"でんじは"だ!」
「同じ手は二度も食わない!」
俺がそう叫ぶと、すぐにサンダースが俺の近くへ走ってくる。
自慢の俊足であっという間に俺の元へやってきたサンダースは、俺をかばうようにして、前に立つ。
青紫色の球体が、サンダースにヒットした。だが、サンダースは、"でんじは"を取り込んでしまった。
「サンダースの特性は"ちくでん"! 電気技は効かな・・・・・・がっ」
大声で解説を入れようとしたのだが、突然体が動かなくなった。クソっ、馬鹿の一つ覚えみたいに同じ手を使いやがって!
サンダースは、俺の隣で宙に浮かべられている。突然のことに戸惑い、手足をじたばた・・・・・・しようにも出来ないようだ。
「サンダースを放せ!」
「そんなに言うなら、解放してやるよ」
えっ――? あまりに意外な返事を聞いて、俺は一瞬思考停止してしまった。
直後、何かの"力"が、空間を捻じ曲げながら俺に向かってきているのが見えた。
「ぐわぁっ!」
"サイコキネシス"をまともに喰らって、俺は吹っ飛ばされた。殴られたような痛みが、全身に広がる。
しばらく地面を転がることになったが、俺は何とか立ち上がった。サンダースは、まだ宙に浮いたままだ。
「サンダースを解放しろ!」
俺は叫びながら突進した。一応叫んではみたが、あいつが解放してくれなくても、関係ない。今度こそ、この手でサンダースを救い出す。
「そんなに解放して欲しけりゃ、してやるけど?」
人を食ったような態度で、敵は答えた。どうせ嘘だ、信じはしない。
「地面に降りられるかはわかんないけどな」
ボソッとつぶやくように、敵が行った。その瞬間、地面が揺れる。突然の出来事に、俺はバランスを崩し、転んでしまった。
直後――
ベキベキベキベキィ!
すさまじい音をたてて、地面が二つに分かれていった。巨大な地震が起きた後のように、大きな裂け目が出来ている。
・・・・・・ちょうど、サンダースの真下に。
トリトドンの"じわれ"・・・・・・。
「さて、"かなしばり"を解いて欲しいんだって?」
「やめろ! やめてくれ! 頼む!」
俺は必死で叫んだ。
シャワーズもエーフィもリーフィアも、重症だが、まだ望みはある。だが、この裂け目に落ちてしまったら、まず助けることは出来ない。
「こいつを殺されたくなかったら、モンスターボールを全部出せ」
・・・・・・言うとおりにするしかない。俺は、腰のベルトからモンスターボールを外すと、地面に置いた。うち2個には、ポケモンが入っている。
「ポケモンを出せ」
俺は言われるがままに、ボールの開閉スイッチを押した。ブースターとブラッキーが現れる。
「よし、それでいい」
敵は短くつぶやくと、指を鳴らした。すると、目の前に置いた6個のモンスターボールが、全部同時に砕け散ってしまった。
「よく出来ました」
敵はパチパチと嫌味っぽく拍手をした。耐えるしかない。サンダースを生かすも殺すも、今は敵の自由なんだ――
サンダースが落下した。
音も無く、前触れもなく、突然、サンダースは落下した。
いつ落とされるかわからない。その恐怖を顔に貼り付けたまま、サンダースは落下した。
地面にパックリと開いた裂け目に、落下した。
「サンダアアアアアアアアアアアス!」
「"だいちのちから"!」
敵が短く叫ぶ。トリトドンが叫び声を上げた。
突然、足元の地面が盛り上がった。そんな感覚がしたのと同時に、地面からマグマが噴きあがる。
俺は狂ったように叫んだ。自分でも何を言っているのかわからない。おそらく、敵への罵詈雑言と、サンダースが死んだことへの、悲しみ。
もうめちゃくちゃだ。俺の足元の地面は、盛り上がり、噴き上がり、陥没し――。このあたり一帯の大地は、今はトリトドンに支配されている。
噴出するマグマと地盤沈下に苦しむ俺に、敵は更なる追い討ちをかけた。
「"だくりゅう"!」
またもや敵は短く叫ぶ。トリトドンが低く唸った。
茶色く濁った大波を、トリトドンは呼び寄せた。大波はまっすぐに、俺に襲い掛かる。
俺はなすすべも無く波に飲まれた。鼻や口に、容赦なく泥水が入ってくる。
「ガボッ、ゴボボッ、ゲボッ」
俺は苦しさにうめいた。
737 :
名無しさん、君に決めた!:2008/11/06(木) 20:10:28 ID:OR/BrrPT
サンダースを殺された。エーフィ、リーフィア、シャワーズを瀕死に追い込まれた。
俺の怒りは、こんな汚らしい波に飲み込まれてしまうのか。こんなに簡単に、飲み込まれてしまうのか。
濁流に乗って、大量の木片が流れてくる。木片は、俺の頭や腕を打ちつける。何度も、意識を失いそうになった。
ブースターとブラッキーはどこだ。朦朧とする意識の中で、そんな事を考える。ダメだ、もう、耐えられない――
そう思っていると、濁流が、徐々に収まってきた。俺は寒さに震えながら、痛みによろめきながら、泥水を吐き出しながら、みじめな姿で立ち上がる。
ハアハアと荒い呼吸をしていると、突然、何かに体が締め付けられた。
「ぐっ!」
濁流をモロに受けて、衰弱しきっている今、"かなしばり"を避けることなんて出来ない。俺はぐったりしたままの状態で拘束された。
泥水が目に入って、何度も意識を失いかけて、かすんでいる視界に、敵の姿が映った。敵に首根っこを掴まれてジタバタしているのは・・・・・・ブラッキー?
「や・・・・・め・・・・・ゴボッ」
もうずいぶん多くの水を吐いたのに、どこに残っていたのだろう。俺は泥水を大量に吐き出したせいで、最後まで言うことが出来なかった。
敵は、ブラッキーを地面に思いっきり叩きつけた。
「ブラッキー・・・・・・」
何度も何度も叫んだせいで、のどが痛い。それに加えて、体力を消耗した今では、もう叫ぶことなんて出来ない。
敵はブラッキーを踏みつけた。ガスガスと力強く、何度も何度もブラッキーを踏みつけた。
悲鳴を上げるブラッキーを、敵は思いっきり蹴り上げた。宙に舞ったブラッキーは、ユンゲラーによって空中に静止させられる。
ブラッキーの体は砂と血にまみれて汚れていた。どこかの骨が折れていてもおかしくない。ブラッキーは痛みにうめいている。
「おもしろいものを見せてやる」
敵は空中にいるブラッキーを殴った。"かなしばり"に拘束されているブラッキーは、びくともしない。吹っ飛ぶことが出来ないのだ。
「オラ、オラ、オラァ!」
敵は続けてブラッキーを殴った。蹴りも交えつつ、何度も何度もブラッキーを殴った。
とても、正視できる光景ではなかった。だが、"かなしばり"を受けている俺は、目をそらすことも、まぶたを閉じることも出来なかった。
何故――何故、止めることが出来ない。何で、俺は、こんなところで固まっている。
無力感に、胸を突き刺された。そのときだった。
ブースターが、どこからか走ってきた。そのまま勢いをつけ、敵に飛びかかる。
敵は途中でブースターの接近に気付き、ひらりと身をかわした。その目に、怒りが宿る。
パチン。敵は指を鳴らした。ユンゲラーがスプーンを降ろす。
ブラッキーの"かなしばり"は解除された。途端に、今までに受けた暴行の衝撃が、まとめてブラッキーを襲う。
ブラッキーはすさまじい勢いで吹っ飛んだ。木に背中から激突して、ズルズルと落ちる。
敵はブラッキーには見向きもせず、ブースターに飛びかかった。ブースターは避ける間も無く、首根っこを捕まれた。
ブースターは必死に暴れているが、敵は全く離そうとしない。
敵はブースターを捕らえたまま、歩き出した。そして、ある場所の前で、止まった。
"だいちのちから"によって、地面が陥没してしまった場所だ。"だくりゅう"の茶色く濁った水がたまり、小さな湖のようになっている。
「まさか・・・・・・まさか・・・・・・やめろ・・・・・・」
小さな声しか出ない。体も動かない。俺は、俺は、こんなにも、無力・・・・・・。
敵は首根っこをがっちりと掴んだまま、ブースターを湖に突っ込んだ。ブースターの沈められているあたりから、湯気が立ち上る。
ブースターは必死で抵抗した。手足をばたつかせ、水飛沫を上げて暴れているが、人間とブースターとでは、体格が違いすぎる。
「やめ・・・・・やめ・・・・・やめろ!」
やっと、俺は叫ぶことが出来た。敵は、ブースターを押さえつけたまま、こちらを見た。
「やめてほしいか?」
「あたり・・・・・・まえだ・・・・・・」
ブースターの抵抗は、だんだん弱まっていく。水飛沫が、さっきより小さくなっている・・・・・・。
「頼むから・・・・・・やめてくれ。お前は・・・・・・なんで・・・・・・俺達を・・・・・・襲う・・・・・・・」
俺は息も絶え絶えに言った。途端に敵は激昂した。
「なんで! なんで! なんでだと! あのことを、忘れたって言うのか! そんなことは許さない!」
突然豹変した少年に、俺は戸惑いを隠せない。
「俺の名前は・・・・・・いや、名前は言ってないな。覚えてないとは言わせない。
3年前・・・・・・瀕死のポニータを抱えて、ポケモンセンターにやってきた少年を、覚えているだろう」
徐々に、記憶がよみがえる。そうだ、そんなやつが、いた――。
「俺は必死だったさ。小さいころからずっと一緒だった、かわいいポニータが車に轢かれたんだもんな。
一生懸命走ったさ、センターまでな。助けてもらおうと必死だった。
だがお前はなんて言った・・・・・・病室が空いてないから、無理だのなんだのぬかしやがった!」
少年は当時のことを思い出したのか、激怒している。叫び声が、森にこだまする。
「俺は必死に頼み込んだよな。助けてくれ、ポニータを助けてくれって。
けどお前は軽くあしらいやがった。それどころか、信じられないことをしやがった。その後駆け込んできた金持ちのババア!!
あの腐れババアが、『ポッチャマの風邪に効く、いつもの薬をくれ、ついでに診察もしてくれ』とか言ったとき、お前は二つ返事で返しやがった!」
「あれは・・・・・・上からの・・・・・・命令で・・・・・・。
あの方は・・・・・・センターのお得意様だ・・・・・・。断れば・・・・・・ゴボッ、俺の首が飛ぶ」
「だから何だってんだ! ポケモンを助けるのがセンターじゃないのか!
それをお前らは金のために! お前らの勝手な都合のせいで、俺のポニータは死んだ! 死んだんだ!」
少年は涙を流しながら叫んでいる。まさか・・・・・・死んでしまったなんて。
「俺は復讐しないといけない。お前に復讐しないといけない。ポニータのために!」
「待て・・・・・・待つんだ。ポニータのためを思うなら・・・・・・そんなことしちゃだめだ」
「命乞いのつもりか? ふざけるな、あのときのポニータの気持ちを、思い知れ!」
「ダメだ・・・・・・俺が、悪かった。だが・・・・・・ポニータのことを思うなら、人殺しなんか、しちゃだめだ。
変わってしまった君を見たら、ポニータだってきっと悲しむ。
それに、俺に出来る償いがあるならなんでもするから・・・・・・ポケモンたちを、助けてくれ」
「ッ・・・・・・・」
少年の目が泳いだ。やっぱり、まだ若い。苦しんでいるポケモンの姿を見て、感じるものがあるのだろう。
本当に、申し訳なかったとは思っている。『死』以外に、償える方法は無いかもしれない。
だが、だが――。ポケモンたちは、関係ない。ポケモンたちは、助けなくてはならない。
「・・・・・・なんでも、するんだな」
「ああ・・・・・・出来ることなら、何でも」
「・・・・・・ポニータの墓参りに来るんだ。そして、謝れ。それから、それから――ぐわぁっ!」
突然、どこからか"こおりのつぶて"が飛んできた。"こおりのつぶて"は少年の顔面を直撃した。
少年は、地面に倒れこんだ。倒れた少年の向こうにいるのは・・・・・・グレイシアだ!
そうだ・・・・・・俺の手持ちはイーブイの進化系7匹。
1匹だけ留守番、だとかわいそうだから、手持ちの6匹に加えて、グレイシアの入ったボールを、こっそりバッグに忍ばせていたんだ。
今までの光景を、見ていたのか。それで、耐え切れなくなって、自力でボールから出てきたのか。
バッグはもうどこかに流されてしまっているが、グレイシアはここまで歩いてきたのだろう。
少年は、起き上がると、炎を宿した目で、こちらをにらんできた。
「てめぇぇぇぇぇぇ!」
少年は吠えながらグレイシアに向かっていく。グレイシアはあわてて俺の頭から飛び降り、逃げようとした。が、間に合わない。
「グギャァッ!」
少年は、今までで最高の、ブラッキーのとき以上の力をこめて、グレイシアを蹴った。悲鳴を上げて、グレイシアは宙に舞う。
「"サイコキネシス"!」
吹っ飛ばされたグレイシアに、容赦なく念動力が飛んでいく。グレイシアはサイコキネシスの直撃を受けて、遥か彼方まで飛んでいった。
「おまえ!」
俺はアゴを思いっきり殴られた。口の中に血の味が広がる。
「俺を、だまそうとしたな。うまいこと言って、助かろうとしたんだ。自分のポケモンを利用した!
死ぬのが嫌だから! ポケモンを助けるとか何とか言って、助かろうとしたんだ!」
少年は涙を流しながら俺を殴った。だんだん、体の感覚がなくなってくる。
"かなしばり"が解除されたらしい。俺は、ドタリと地面に倒れこんだ。
「そこで・・・・・・そこで、そのまま、死にやがれ。
ポニータは、何時間も苦しんだ。骨が折れて、折れた骨が内臓に刺さって・・・・・・苦しんだ。
飢えて、乾いて、苦しんで死ね! ポケモンの餌になって死ね! おまえみたいな腐った人間は、死んでしまえ!」
少年は力の限り叫ぶと、ユンゲラーとどこかに"テレポート"してしまった。
あたりを、静寂が支配した。
「リーフィア・・・・・・リーフィア、起きてくれ」
俺はリーフィアを抱いていた。"やけどなおし"か何かを使ってやりたかったが、バッグは濁流に流されてしまった。
「リーフィア・・・・・・リーフィアぁ」
ボロボロと、涙がこぼれてきた。俺はリーフィアを強く抱きしめる。
リーフィアの体の葉が、手に触れた。青々とした、美しい緑色だった葉は、真っ黒に焦げてしまっている。
「あ・・・・・・あ・・・・・・」
『しんりょくポケモン』の象徴であった葉は、軽く触れただけで、、ボロボロと崩れ落ちてしまった。
焼け爛れた皮膚に触れてみる。かつて感じられた命の鼓動は、もうどこにもなく、冷たくなってしまっている。
「うわああああああああああああ!」
俺は、リーフィアがこの世からいなくなってしまったことを悟った。
「ガ・・・・・グ・・・・・」
「!」
俺は振り向いた。倒れたままのシャワーズが、苦しそうにうめいている。
「シャワーズ、シャワーズ、シャワーズ。大丈夫か、しっかりしてくれ」
シャワーズは答えずに、水を吐く。内臓のどこかに異常があるのかもしれない。泥が混ざったせいで・・・・・・そうだ!
「シャワーズ、もう一度水になるんだ! そしたら・・・・・・そしたら、せめて、大きな土の塊くらいは、取れるかも」
完璧に透明な水に戻すのは無理だろう。だが、細かい砂は諦めても、大きい泥を取り除けば、だいぶ楽になるかもしれない。
シャワーズはうめきながら立ち上がった。必死に、精神を集中している。たとえ茶色く濁ってしまっても、その姿は美しい。
シャワーズは、すっと水になった。さっきまでシャワーズがいたところに、茶色の水たまりが出来る。
「よし! よくやった、シャワーズ。今俺が、助けて――」
明らかに、おかしかった。水たまりの量が、減っていっている。
「シャ・・・・・・シャワーズ?」
水たまりは何も答えない。水面には、波すら立たない。
「おい・・・・・・シャワーズ?」
水たまりは、地面に染み込んでいって――なくなってしまった。
シャワーズは、もう死んでしまった。わかりたくなかったが、理解してしまった。
「・・・・・・何とか、動くしかない」
俺は必死で立ち上がった。体のそこら中が痛い。
リーフィアとシャワーズに、ちゃんとした墓を作ってやりたい。だが、そんな余裕も、時間も無い。
何とかして、下山しないと。
俺はちらりとみんなを見た。
骨が何本も折れているブラッキー。
水に浸けられて衰弱しきっているブースター。
重度の火傷を負っているエーフィ。
特にエーフィは危険だ。このまま行くと、手遅れになってしまう可能性もある。
グレイシアは、比較的元気なほうだ。・・・・・・周りと比べて、だが。
俺は、殴られはしたが、動けないレベルではない。
だが・・・・・・他のみんなは、歩けるのだろうか。
エーフィは、俺が抱いていくしかない。グレイシアも、まぁ歩くことは出来る。
だが・・・・・・骨の折れているブラッキーに、山道を歩かせていいものか?
弱りきっているブースターを歩かせていいものか?
モンスターボールに入れて移動しようにも、ボールは全て壊されてしまった。
捕獲用のボールは、カバンにいれてあった。そのカバンは濁流に飲まれた。
何とか、歩いてもらうしかない。みんなで、この山を降りる。
俺はエーフィを抱き上げると、歩き出し――・・・・・・おかしい。
さっきまで火傷の痛みに苦しそうな顔をしていたエーフィ。
対して今のエーフィの顔は、痛みから解放された、安らかな顔だ。
そして、何より・・・・・・エーフィの肌からは、体温が感じられなかった。
俺は涙を流した。エーフィは、置いていくしかない。土に、還ってくれ。
規制されたか?取りあえず支援でもしといてやろう
続き読みたーい!!
わくてか
「ふう、しんどい」
俺の名前はレッド。こう見えても、医者だ。ポケモンセンターで働いている。
医者ってのは休みの少ない仕事だ。だから、少ない休日を、少しでも充実したものにしようと、努力している。
今日は、ポケモンたちと一緒にハイキングに来た。で、今は、山登りの真っ最中。
「お前らも疲れたか・・・・・・? そろそろ、他のメンバーと、交代しようか?」
俺の問いかけに、
>>726と
>>744は、そろって首を振る。やっぱり、ポケモンたちも、自然の中にいられるのはうれしいのだろうか。
「へへっ、俺もがんばらなくちゃな。さて、頂上への道は・・・・・・」
俺は地図を開いた。えーと、現在地は大体この辺で・・・・・・って、あれ、どうしたんだ?
突然、
>>726が道でもなんでもない茂みに突っ込んでいった。ガサガサと草木をかきわけて、進んでいく。
「な、なんだ?
>>726、どうしちまったんだ・・・・・・って、
>>744まで!?」
見ると、
>>744までもが、
>>726の後を追って茂みに入っていった。いったい、どうしたというのだろう。
・・・・・・このまま黙って見過ごすわけにはいかない。
俺は二匹を追いかけて茂みに入った。
俺は
>>726や
>>744と違って人間で、背が高い。なので、2匹には全く苦にならなかった木の枝が、容赦なく襲い掛かってくる。
3歩進むごとに悲鳴を上げるといったペースで、俺は2匹の後を追った。見失っちゃダメだ。
しばらく歩くと、広いところに出てきた。ここはどこなんだ?
「おーい、どうしたんだ? 急に野生に帰りたくなったのか・・・・・・って、どうした?」
いくつも出来た引っかき傷をさすりながら言う。すると何故か、2匹とも不安そうな目で、俺にすりよってきた。
「どうしちゃったんだ? おまえらが自分で来たって言うのに・・・・・・・」
「それは、俺のユンゲラーが呼んだからだ」
突然、誰かの声がした。はっとして声のしたほうを向くと、青いマフラーをした少年が立っていた。
「呼んだ? 何でそんなことを・・・・・・というより、君は誰だい? こんなところで、何をしているんだ?」
俺は出来るだけ友好的に聞こえるよう、言った。少年は、それに答えるよう、にっこり笑って言った。
「お前を、殺すためだ」
言葉の意味を理解するのに、しばらくかかった。
「・・・・・・殺す?」
「そうだ」
「ちょっと待ってくれ、俺は初対面の人間に、殺されるようなことは・・・・・・つっ!」
数歩前に歩み出た、その瞬間。目の前を何か黒いものが横切った。
なんとなく頬に触れてみる。何かヒリヒリするな・・・・・・そう思って手を見ると、血がついていた。
「――ッ」
見ると、少年の側に、ヘルガーとユンゲラーが立っていた。おそらく、ヘルガーの仕業だ。
「・・・・・・マジで、やる気だってのか?」
少年はそれには答えず、さっと俺を指差した。途端に、ユンゲラーがスプーンを構える。マズイ、本気だ!
「
>>726、でんこうせっか!」
俺が叫ぶと同時に、
>>726は猛スピードでユンゲラーに飛び掛った。
回避も間に合わず、ユンゲラーに命中・・・・・・するかと思われた。だが、
>>726は、突然空中で静止した。苦しそうな顔で、うめいている。
「なっ・・・・・・」
「攻撃が単調すぎるんだよ、バーカ」
見ると、ユンゲラーがスプーンを構えている。"かなしばり"か!
「
>>744、
>>726を助けるんだ!」
エスパー技に対しては、こちらもエスパー技で対抗するしかないだろう。
>>744は額の宝石に念力を集中させ、"サイコキネシス"を放――
「そううまく行くと思うか!」
ユンゲラーは、左手のスプーンで
>>726を拘束しつつ、右手のスプーンで"シャドーボール"を撃ち出した。
"シャドーボール"は、見事
>>744の額に命中した。悲鳴を上げて、
>>744が吹っ飛ぶ。
「
>>744!」
「余所見するなよ、しっかり見とけ」
はっとして振り向くと、敵のもう一匹の手持ち・・・・・・ヘルガーが、口の中に大量の炎を蓄えていた。
「や、やめろーっ!」
「そいつを黙らせろ!」
ユンゲラーがスプーンを俺に向けた。その瞬間、俺は凍りついたように、動けなくなってしまった。見えない力が、俺の全身を締め付けている。
「
>>726ーっ!」
ヘルガーは、口に含んだ大量の炎を、
>>726に向けて吐き出した。
動けないリーフィアに、容赦なく"かえんほうしゃ"が襲い掛かる。
「・・・・・・・!」
>>726の体は、炎に包まれて見えなくなった。"かなしばり"に拘束された
>>726は、声を出すことも出来ない。
真っ赤な炎の中に、黒い影が見える。痛みに耐えかねてじたばたすることさえ許されない。その悲痛な叫び声が、聞こえてくるかのようだ。
>>726は抵抗することも出来ず、炎を浴び続けた。10秒、30秒、1分たっても、ヘルガーは炎を弱めなかった。
「もう・・・・・・もう、やめてくれ!」
俺は必死に叫んだ。だが、それにもかまわず、敵は
>>726をなぶり続ける。