期待age
保守
129 :
126:2007/08/20(月) 18:55:28 ID:???
ロックさんの投下待ちの間、暇つぶしとして読んで頂ければ幸いです。
それでは、始めたいと思います。
130 :
1:2007/08/20(月) 18:56:41 ID:???
逃げる、逃げる、逃げる。
ただただ、ひたすらに逃げる。
逃げているのか、もがいているのか、区別の付かない動作だが……。
そのポケモンは、日々平和に生きていた。
あまりに脆弱で、天敵の数など計り知れないほどだったが……。
確かに、その瞬間までは安穏とした幸せな暮らしを、心行くまで堪能していた。
事のきっかけは、ちょっとした興味本位だった。
無邪気な子供と同じ、些細な好奇心。
――……話は、数時間ほど遡る。
そのポケモンは、奇妙な物を見つけた。
普段……目にすることの無い物体を前に、少しばかりの恐怖心と、恐怖心を上回るほどの好奇心を抱いていた。
自然界には存在しない、人工的な物体。
食べることなど出来なさそうな、不思議な包みで包装された三角形の物体。
そんな物体が、突然……目の前に落ちてきた。
その特徴的な、頭頂部から延びる2枚の葉で、危険な物かどうかをビクビクと探る。
相手が動かないことを確認すると、そっと近づいて匂いを嗅いでみる。
どうやら……食べ物らしい。
順番のふられたビニールを、小さな口で剥がしにかかる。
131 :
2:2007/08/20(月) 18:57:42 ID:???
必死な作業の甲斐もあって、中身が姿を現した。
白い粒が固まり、その内側からも、食欲を誘うような香りが漂ってくる。
……と、口を付けようとしたその時、自身の周囲で……妙な影が蠢いているのに気が付いた。
途端に、そのポケモンの危険信号が赤ランプを照らし出す。
本能から悟る、身の危険に対する警鐘。
プルプルと震えながら、頭上を見上げてみた。
見上げた瞬間、痛烈な衝撃と、有り得ない浮遊感が体を襲う。
そのポケモンの特徴とも言える、2枚の葉っぱをくわえて、鋭い眼差しを浴びせ掛けてくる……。
そのポケモンにとって……1番の天敵。
オニスズメだ。
鳥ポケモンの中でも、『ポッポ』や『ヤミカラス』と同じぐらいポピュラーなポケモンだ。
しかして、ヒッチコックの映画『鳥』を彷彿とさせる、その異常な集団攻撃性により、体躯が小さく、攻撃手段の乏しいポケモンからは恐れられる存在。
旋回飛行するオニスズメ達の目には、明らかに餌が釣れたと言う、歓喜の色が宿っていた。
意識が飛びそうになるのを抑え、捕獲されたポケモンは必死に抗う。
だが、オニスズメ達は『その抵抗』を嘲笑うように鳴き声を上げる。
132 :
3:2007/08/20(月) 18:58:28 ID:???
自然界の酷なルール。
……弱肉強食。
そのポケモンも、そんな自然摂理の1部として、儚く消えていく運命だったのだろう。
よっぽどの事が無ければ、覆す事など出来ようはずもない、悲しい運命。
よっぽどの事が無ければ……。
よっぽどの……。
それは、その転機は、唐突に……余りに不自然にやって来た。
計り示したように、ジャストタイミングで。
ヒマナッツをくわえたオニスズメの視界が、突然失われる。
正確に言えば、「空を支配するのは自分達だ」。
……とでも言いた気なまでに、さながら暴走族のような集団飛行を行う群れの真正面から、相対するように飛来してきた『もう1つの群れ』。
黒と黄色の警戒色、独特の羽音。
オニスズメ以上の、数百単位の群れ。
濁流に飲み込まれるように、オニスズメ達は『その群れ』に巻き込まれ……。
その喧騒の中、哀れにも捕らわれた小さなポケモンは、ゆっくり地上へと……。
ゆっくりと、だが確実に。
新たな運命が待つ、1人の青年が住まう街へ……落下して行く……。
133 :
4:2007/08/20(月) 18:59:18 ID:???
「暑い……」
ひたすらに降り注ぐ、太陽の光。
広がる青空には、雲1つ流れていない。
アスファルトで舗装されたコンビニの駐車場に、1人の青年と1匹のポケモン。
「ロコン、あんまりくっつかないでくれ……夏のお前は……」
青年が悲願めいた口調で話しかけるのは、夏には似つかわしくない暖かそうな毛皮を纏うポケモン。
その欠伸越しに見える風景が、陽炎のように揺らめいている。
「あー……海にでも行きたいなぁ……でも、お前は海が大嫌いなんだよなぁ……」
半分愚痴になっている呟きを、聞いているのかいないのか……ロコンは青年の膝に体を預けて、『すぴすぴ』と寝息を漏らしている。
時折、耳や尻尾を痙攣させている寝姿は、実に可愛らしい。
可愛らしい……のだが……。
「暑い……」
元来の炎ポケモンである、ロコンの体温は……夏の照りつける太陽の元では、それこそ凶器に等しいものだった。
太陽とロコンの熱に、汗まみれで『うだって』いると、視界の隅に何かが映った。
『どちゃっ』と言う音と共に、それは空から降ってきたのだ。
あまりに突然の落下物。
「なんだ……あれ?」
134 :
5:2007/08/20(月) 19:01:09 ID:???
気づけば、ロコンも墜ちてきた『モノ』に視線を向けている。
「ポケモン……か……?」
見ると、微かに震えている。
黄色い球体から、向日葵の新芽のような2枚の葉が伸びていて、仕草を見る限りでは……起き上がろうともがいているような……。
「……ポケモンだ……こいつ、ヒマナッツ……とか言ったっけ?」
青年は見下ろしながら、ロコンに聞いてみる。
聞かれたロコンは……。
まぁ、そんな事など解るはずもなく、不思議な物を見る目で、墜ちてきたポケモンに鼻先を当てている。
ロコンが『つつく』度に、青年の言うヒマナッツは、ビクビクと反応を示すのだが……一向に、こちらを振り返る気配が無い。
「あ……葉っぱが……何だろう? 虫に食われたのかな?」
改めてヒマナッツの特徴を見ていた青年は、その2枚の葉に不自然な傷を見つけた。
まるで、かじられたような……痛々しい印象を与える傷を……。
「野生のポケモンに襲われたのか? ……ん、何の影……だ……」
ヒマナッツの葉に触れようと、手を伸ばす。
同時に、手元に無数の影が出来る。
1つ目は青年の手の影。
2つ目はロコンの影。
135 :
6:2007/08/20(月) 19:01:59 ID:???
……では、両手で数えても足らないほどに、自分の周囲を囲み始める……この影の持ち主は……?。
青年の頬に、1筋の汗が垂れる。
十二分に嫌な予感を堪能しつつ、ゆっくりと……ゆっくりと空を見上げた。
同時に、青年は叫んだ。
「ロコン! 逃げるぞっ!!」
青年達の上空を、オニスズメの群れが旋回していた。
数十羽の飛行軍隊。
数羽であれば、ロコン1匹でも対処出来たのだろうが、余りの数に青年は逃げる事を即決していた。
逃げ惑う頭上には、鋭い瞳で追いかけてくるオニスズメ。
その内の何羽かが、青年の抱きかかえたヒマナッツに向かって急降下をしてくる。
「あぶねぇっ!? 何だコイツら、尋常じゃねぇぞ!」
悲鳴にも似た叫びを上げながら、青年は逃げる先を考える。
「ああクソっ……コンビニに入っちまえば良かった……ロコン、着いて来てるか!? ……ロコン?」
青年は叫びながら振り返った。
しかし、声をかけた相手……ロコンの姿は、忽然と消えてしまっていた。
「嘘だろ……? ロコン! どこだロコン!!」
柵や、路駐の車の影を抜けながら、再びコンビニの駐車場へと駆け抜ける。
そして、青年は見た。
136 :
7:2007/08/20(月) 19:04:02 ID:???
冷風漂うコンビニ内で、のうのうと欠伸をするロコンを。
「ぅおいっ!? ……逃げろって言ったけどっ……っ……!!」
隙をついて、奇襲を仕掛けてくるオニスズメの嘴を避けながら、コンビニのドアまで転げるように駆け抜けた。
抱いたヒマナッツをかばいながらの動作で、腕や脚に軽い痛みが走る。
「……っ、はっ、はぁ……ロコン、お前逃げるの上手いな……ちくしょう……」
息もきれぎれに、ガラス越しの外を確認しながら声を出す。
突然の珍入者に、コンビニ内にいた客や店員は目を丸くして青年達の様子を伺う。
そんな周囲の白い目から逃げるように、青年はコンビニの奥……雑誌を取り扱うコーナーへと移動した。
外ではまだ、オニスズメ達が、青年達を監視するかのように飛び交っている。
「狙いは……やっぱりコイツだよなぁ……」
言いながら、改めて腕の中のヒマナッツを見やる。
相変わらず震えている。
青年の顔から目を背けるように、もぞもぞと足掻いている。
「何だか……随分と臆病なんだなぁ……」
青年は、ふと……あるポケモン達と少女の名を思い出し、苦笑しながら呟いた。
「俺も……ポケモンを助ける事になるとはね……」
137 :
8:2007/08/20(月) 19:04:46 ID:???
青年はコンビニの店員に事情を話し、しばらくの間、店内に隠れさせて貰えるように頼み込んだ。
助けを呼ぶ事も考えたのだが、「夜になればオニスズメ達の姿も消えるだろう」と、1度は取り出した携帯を、再び懐へしまい込む。
改めてヒマナッツを床に下ろし、青年は購入したミックスオレを飲みながら、その様子を伺った。
ロコンも、傍らから興味津々といった様子で見つめている。
あれだけ激しく落下したにもかかわらず、ヒマナッツは体に傷を負ってはいなかった。
ただ、明らかに嘴形の隙間にまみれた『葉っぱ』を除けばの話だが。
「食物連鎖ってやつか? 運が良かったな、お前……」
聞いているのか分からないが、青年はヒマナッツに語りかける。
「お前……野生のポケモンだよな?」
おもむろに、小さなボールを腰元から抜き取る。
赤と白のツートンカラーの球体。
野生のポケモンを捕獲するための、トレーナーの必需品だ。
……と、取り出したばかりのモンスターボールを、青年は直ぐに仕舞い込んでしまう。
白く清潔感漂う、コンビニの天井を見上げながら、軽く溜め息を吐き……。
震えるヒマナッツを撫でながら、優しい声で呟いた。
138 :
9:2007/08/20(月) 19:08:33 ID:???
「夜になったら、オニスズメが来ないような……遠くの草むらに逃がしてやるよ」
――……陽が沈み、時計の針が8時丁度を指し示す。
匿ってくれたコンビニの店長に礼を言い、おにぎりを『3つ』購入して、青年は店を後にした。
空にはまだ、わずかに陽の色が残っているが、オニスズメ達の姿はすでに無かった。
「うーん、買ったのは良いけど食べれるのかなぁ……コイツ……」
購入したばかりの『おにぎり』を見つめながら、青年はロコンに問い掛けた。
そのロコンは、何故か……不服そうな表情で青年を見つめている。
「……睨むなよ、油揚げなら、家にちゃんと買って置いてあるって」
『油揚げ』という単語に気を良くしたのか、足早に青年の前を行くロコン。
人間で言えば、スキップでもしているようなものなのだろうか。
青年は、自分の住むアパートに着くと、脇の駐車場から1台の自転車を引っ張り出した。
型は古く、少しばかり『ガタ』が来ているが、ちょい乗り程度ならまだ大丈夫といった風体だ。
前のカゴにヒマナッツを乗せ、後部に備え付けた子供用の座椅子に、ロコンを乗せる。
いつの間にか、ヒマナッツの震えは止まっていた。
139 :
10:2007/08/20(月) 19:09:38 ID:???
そんな姿に、青年は少しばかりの安堵を覚える。
オニスズメ達に襲われた恐怖が、少しでも和らいでくれているなら……と。
夏夜の生暖かい空気を切り裂くように、1台の自転車が国道沿いを駆け抜ける。
過ぎて行く景色。
電柱に備え付けられた、中途半端な光量を放つ街灯に、蛾や蝉がたむろしている。
国立自然保護区画と銘打たれた、壮大な風景。
草花が生い茂り、その名を記した立て看板すらも、蔓に巻かれてしまっている。
鬱蒼と広がる木々の海原を見つめながら、青年は自転車を柵の前に止めた。
そして……ゆっくりと、ヒマナッツを下ろす。
ハンドルにぶら下げたコンビニ袋から、『3つのおにぎり』を取り出し、手際良く包装を外していく。
「食えるのか分かんないけど、ほら……お前の分だ」
1つをロコンに、もう1つをヒマナッツに差し出す。
ヒマナッツは『何か』に警戒しながらも、恐る恐るおにぎりを口にする。
「うまいか?」と、青年が問うと、答えるように頭上の葉っぱが「くるくる」回る。
数分後、ヒマナッツが『おにぎり』を食べ終え、見上げた先には……誰もいなかった。
鬱蒼と生い茂る木々や草花を、生暖かい風が揺らす。
140 :
11:2007/08/20(月) 19:11:20 ID:???
ヒマナッツは、再び安全な暮らしを取り戻したのだ。
1人の青年のおかげで。
そして、独りの淋しさを知ってしまったのだった。
これもまた、1人の青年の手によって。
風が、せき立てるように吹き始めた。
今度は、自らの手で運命を変えろと……せき立てるように……。
強く、強く、その背を押すかのように……。
141 :
12:2007/08/20(月) 19:12:38 ID:???
「暑いっ……」
ひたすらに降り注ぐ、太陽の光。
広がる青空には、雲しか流れていない。
灼熱砂漠のようなコンビニの駐車場に、1人の青年と1匹のポケモン。
「暑いなぁ、ロコン……こう暑いのに、なんでお前は膝の上で寝るんだろうなぁ?」
愚痴る青年をよそに、素知らぬ顔で寝息を立てている。
「台風一過……流石に嵐の後は日差しが増すなぁ……」
周囲に散らばるゴミや木クズを傍目に、ぼそりと呟く。
同時に、『べちゃっ』っという音が耳に飛び込んだ。
「……白昼夢?」
青年がそう言うのも無理はなく、空から落ちてきたのは……間違いようもなく、あのヒマナッツだった。
「まさか……」と、頭上を見やるが、オニスズメの群れはいなかった。
視界に映るのは、青空と、風に流れる白い雲だけだ。
ヒマナッツはよたよたと起き上がると、周囲を挙動不審に見回して……青年に目を止めた。
「よぉ……昨日ぶり……」
軽く手を振り、青年が声をかける。
すると、そのトロ臭さが嘘だったかのように、ヒマナッツは青年の元へと飛び込んだ。
「うおっ!? 何だよ、どうしたっ?」
142 :
13:2007/08/20(月) 19:14:06 ID:???
予想外だった動きに戸惑いながら、青年はヒマナッツの体を改めてよく見た。
「……傷……増えてないか?」
安全な場所に逃がしたはずなのに、ヒマナッツの体には以前に出会った時以上の、かすり傷が増えていた。
しかし……今度の傷はオニスズメに襲われたと言うよりも……。
「……お前、台風に飛ばされたのか?」
枝や小石で傷ついたような、そんな姿を見て、青年は安直に答を出した。
間違いではないのだが、青年の予想には少しばかり足りない要素が残っていた。
――……時間は、青年がヒマナッツを逃がした直後に遡る。
『青年が帰ってしまった。』
それを理解したヒマナッツは、必死に来た道を戻っていた。
助けてくれた『彼』に、再び巡り会いたくて。
必死に、がむしゃらに、強く吹き荒ぶ嵐の中を進んでいく。
会いたい!
会いたい!
また、あの人間に逢いたい!!
潤んだ大きな瞳から、大粒の涙を溢れさせながら。
雨に濡れた体は重く、ぬかるんだ地面は歩みを縛る。
引き返せば、こんなに辛い思いはしなくて済むのだろう。
それでも……それでも尚、ヒマナッツは歩みを止めない。
143 :
14:2007/08/20(月) 19:14:46 ID:???
そして、台風の勢力が最大に達すると共に、ヒマナッツの体が宙を舞う。
空高く、天高く……。
吹き荒ぶ強風が、ヒマナッツの体を玩ぶように……嵐の空へと舞い上げる。
強い意志は、再び偶然をもたらした。
意識を失っていたヒマナッツの目に、遥か下方の街並みが映る。
どこかで聞いたような、独特の羽音が聞こえる。
意識がはっきりと覚めて行くにつれ、その羽音の主が……あの時、オニスズメの群れに相対したポケモンだと気がついたのだが……。
頭頂部の葉っぱを掴まれて、上を見る事が出来ない。
それでも……この独特の音は、聞き間違えようの無いものだった。
そして不意に……落ちた。
あまりに突然、葉っぱを掴む力が緩み、ヒマナッツの体は重力に従って落下して行く。
オニスズメに襲われた時もそうだったが……不思議な事に、落下の速度は上がらない。
緩やかに、ふわり……ふわりと、落ち葉が舞うように落ちて行く……。
パラシュートで降下していくように、風に流されながら……ふわり、ふわりと。
落ちて行くヒマナッツの目に、ある人影が映る。
145 :
ラスト:2007/08/20(月) 20:51:26 ID:???
オニスズメから救ってくれた……三角形の食べ物を与えてくれた……。
何より……優しさを与えてくれた、あの青年が……ヒマナッツの両目に、しっかりと映った。
落ち行くままに、重力にその身を任せていたヒマナッツ。
だが、青年の姿を目にして……一様に、2枚の葉っぱを羽ばたかせる。
空を飛ぶ能力など、はなから無いのは承知の上で……。
必死に着陸地点を変えようと、千切れそうな勢いで葉を振り続ける。
――……そして……
「暑い……」
ひたすらに降り注ぐ、太陽の光。
広がる青空には、雲1つ流れていない。
アスファルトで舗装されたコンビニの駐車場に、1人の青年と2匹のポケモン。
「お前らさ……あんまりくっつかないでくれ……見て分からないか? この汗の量……」
青年が悲願めいた口調で話しかけるのは、暖かそうな赤茶色の毛皮を纏う炎ポケモン。
それと、黄色い体に2枚の葉っぱを生やす、夏の象徴とも言えるような草ポケモン。
「……揃って人の膝で寝るなよなぁ……」
暑苦しさに文句を垂れ流し続けるが、青年の表情は……どこか幸せに満ちたような、そんな笑顔に彩られていた。
夏は続く。
楽しい予感を、向日葵の種のように撒き散らしながら。
146 :
陳謝:2007/08/20(月) 21:00:41 ID:???
>>144 レス感謝です。
それと陳謝です。
ラストの場面になって、いきなり間が空いてしまい申し訳ありませんでした。
投下間隔が早すぎたために、バイさるを食らってしまいました。
それと、段落を取りすぎたために、思いの外……スレを消費してしまった事を、重ねてお詫びします。
それでは、残り少ない夏ですが、皆さんにとって良い思い出が残ります事を……。
ノシ
>>130-146 乙です
いい話をありがとうございます!
ちょっと可哀相な所もありましたが…それ以上に萌えました
その弱さがヒマナッツの可愛い所ですよね!
よかったです〜
ヒマナッツ&キマワリは使われないからなぁ…
メジャーじゃないのを出されると感動しちゃう…
それはそうとエロスを出してくれる猛者はいないかのう…
>>148 ちょwww最後の一行で感傷吹っ飛んだwwww
保守!
保守!
頑張って!
>>121 わたし ま〜つ〜わ
いつまても ま〜つ〜わ
保管庫見たいなのはないの?
>>106氏の以前の作品を読んでみたいんだけど
>>155 ありがとう、でも残念ながら見れなかった。
ひげにみちた、し
んおおさかのよる
と、あなたのあか
けいとのはらまき
いちまいが、さか
たのくるしみをい
いかんじにやわらげる
さとうがほしいか
いいだろう
とっていくがいい
こんきがいるが………
がんばりゃみつかる
>>157 それは分かるんだが俺のでは見れないんだよ
やあ (´・ω・`)
ようこそ、バーボンハウスへ。
このヒントはサービスだから、まず読んで落ち着いて欲しい。
うん、「カラカラ」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このヒントを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「同盟」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このヒントを書いたんだ。
じゃあ、検索を始めようか。
カラカラ
ミミロル
ミズゴロウ
ロコン
リンナ
ポケモン
同盟
小説
港町
きっと見えなかった真実が見えるだろう。
では、健闘を祈る。
まあ要はソフトエロスレのログだが。
携帯からでも普通には見れない
ファイルシーク以外のも試してみた?
駄目だったら、一度ピンクに行ってから、べっかんこ通してみそ
ありがとうございます。
残念ながら読めませんでしたが、スレは見つけられました。
お手数おかけしました。
hozen
僕はタッツー。
今日も一人、マスターを見ている。
ううん、周りにはトサキントもスターミーもヒトデマンもニョロトノもラブカスもいて
みんなマスターを見ている。
でもこんな思いでマスターを見ているのはキット僕だけなんだ。
「使用するポケモンは2体!
先に2勝した方が勝者です!
なお、ポケモンの交代は挑戦者のみに許されています!
それではバトル開始!!」
あ、今日もまたバトルが始まった。
でも僕はここにいる。
それはつまり……僕は使ってもらえないってこと。
「いくわよー!マーイステディー!!」
「さっごぉ!」
いつものようにマスターの一番手は彼女だ。
彼女はマスターの指示を受け、小さい体ながらも果敢に挑戦者のポケモンに立ち向かっていく。
僕だって……僕だってバトルさせてくれれば……
彼女はいつものようにあっさりと挑戦者のポケモンを退けた。
「よくやったわサニーゴ!」
「さっごさっご♪」
マスターにほめられて彼女はうれしそうにしている。
そんなマスターと彼女を見ていると、いやな考えで頭がいっぱいになる。
(違う!僕はマスターが幸せならそれでいいんだ!)
僕はぶんぶんと頭を振る。
「あっ!」
「さっごーーー!」
そんなことをしていると彼女が挑戦者のフシギバナのソーラービームをまともに受けてしまった。
効果は抜群ってやつだ。
そりゃあそうだ。彼女は水タイプと同時に、岩タイプの特性も持つ。
草タイプの攻撃には一際弱いんだ。
彼女は吹っ飛び、プールの中に落ちていく。
「サニーゴ!!!!!」
マスターはすかさずプールへ飛び込み、彼女を救い上げる。
「サニーゴだいじょうぶ?ごめんね?
私の判断ミスね。ありがとう、ゆっくり休んで」
マスターは哀しそうに言うと彼女をボールに戻す。
僕はそのとき見た。
彼女の満足そうな微笑を。
そりゃぁ僕だって彼女は心配だ。
いつも仲良く遊んでいる彼女が傷つくのは見ていてつらい。
でも……それでも……
「お願い!マーイステディー!!!」
マスターが次のポケモンを出す。
ギャラドスだ。
マスターの切り札と言ってもいい。
そう、マスターのポケモンは大体この二人。
たまにスターミーやニョロトノを使うぐらいで僕なんかは……
挑戦者はすかさず草タイプの技で応戦しようとする。
当たり前だ。フシギバナは草タイプ、ギャラドスは水タイプ。
どう見たってギャラドスの方が不利だ。でも
「甘いわね、ギャラドス!火炎放射!!!」
ギャラドスの火炎放射がフシギバナに見事ヒット。
「フシギバナ、先頭不能!勝者ジムリーダー……」
「ありがとうございました。完敗です」
「そんなことないわ、いいバトルだったわよ」
「強くなってまた挑戦します」
「うん、待ってるわ」
マスターが挑戦者と握手をしている。
その笑顔は優しくって、暖かで、そして誇らしげで……
隣のギャラドスもマスター同様誇らしげに見えて僕は思わず視線をそらした。
「タッツーごはんよぉ」
夜、マスターがいつものようにご飯をくれる。
「タッツーおいしい?」
「たっつー」
「そう、よかったわ。じゃぁ次はギャラドスね。
いきましょ、ルリリ」
マスターは僕が答えるとすぐにその場を立ち去ってしまう。
どうして?どうしてマスターは僕のこと……
僕だって進化してキングドラになれさへすればギャラドスにだって負けないのに!
ううん、ギャラドスにはかなわなくてもサニーゴには……
そんなこと思ってもマスターは、僕にトレーニングもしてくれない。
マスターがトレーニングすると言えばいつもコダックばかり。
「あんたが泳げるようにならないと困るのよ」
そんなこと言いながらマスターはいつも彼ばかりトレーニングする。
進化もさせてもらえないならせめてマスターの胸の中に……と思っても
マスターの胸にはいつもノーマルタイプのポケモン。
分かってる……僕にだって分かってる。
僕は水がなければ生きていけない。
だからそれがかなわぬ望みだって分かってる。
一度そんな愚痴を僕はトサキントにもらしたことがある。
そのとき彼女はこう言った。
「あんた分かってないわね。
マスターがいつも一番にごはんをくれるのは誰?
あなたでしょ?それが
マスターが一番に貴方を愛している証拠よ」
って。でもそうだろうか。一番の古参の彼女が言うなら間違いないのかもしれない。
でも……それでも僕にはただその順番がマスターにとって効率が良いだけだからのように思える。
そんなことを思っていると、せっかくマスターが僕のために作ってくれたごはんの
味も分からなくなり、僕は食事をとめ、ただ水面に映る自分の顔をを見つめていた。
そうだね、そうだよ。
こんなさえないポケモン、マスターが好きになるわけないよ。
トゲピーやルリリほどかわいいわけじゃない。
サニーゴやギャラドスみたいに強いわけでもない。
コダックみたいにかってにマスターの本へいって、甘えることができればどれだけいいか。
「タッツーどうしたの?ごはんのこしてぇ。
おいしくなかった?」
ふと顔を上げると心配そうなマスターの顔。
「たっつー」
僕はなんとなく視線をそらした。
「どうしたのタッツー、具合でも悪いの?」
僕はいたたまれなくなりマスターの手をかわすと水の中にもぐった。
だって僕……僕……
きっと僕はいらない子なんだ。
僕が弱いから……だから最後まで旅に連れて行ってもらえなかったんだ。
途中で置いてかれちゃったんだ
それでもマスターは優しいから僕を傍に置いててくれるんだ。
でも僕は……マスターの役に立てないなら……
マスターに愛されないのなら……
そんなことを思ったとき、僕の胸を暖かいものが包んだ。
それは僕を一気に水面まで引き上げた。
「タッツーどうしたの?本当にだいじょうぶ?」
僕を包んでいた暖かいものはそう言った。
僕は一瞬その顔を見ると、すぐに視線をそらした。
「何かあったの?あたしに話して」
その声音は穏やかで、優しくって……それでいて悲しくって……
その優しく哀しい音色は、僕の心のたがを一気に壊して……
「たっつー」
僕は思わず叫んでいた。
「たつ、たつたっつー」
マスターに伝わるはずないって分かってるけど、
それでも僕は今まで思い続けていた事柄を話し続けた。
マスターはそれにいちいちうなづいてくれる。
「たつ、たっつー、たっつたっつー!」
僕が胸の中のもやもやをすべて吐き出すと、僕の体を包んでいた力が増した。
「ごめんね、ごめんねタッツー。
貴方がそんなことを思っていたなんて」
僕はそんなマスターの言葉に半信半疑で顔を上げた。
「ごめんね、あたし……
ほら、タッツーって進化するとシードラに、そしてキングドラになるじゃない?
そうなると、コイキングやニョロモみたいに変わっちゃうんじゃないかと思って……」
僕が驚いてマスターの瞳を見つめると、僕と同じようにプールの水以外のものでぬれていた。
「あたし今のタッツーが好きだから……
でもそれはあたしのかってよね?
タッツーだって男の子、強くなりたいって当たり前だもの」
「たっつー」
僕は驚いた。僕の気持ちを分かってくれたマスターに。
そして、僕のことをそんな風に思っていてくれたマスターに。
僕はそんなマスターの言葉が嬉しくって、
そしてそんなマスターの思いも知らず、あんなこと思ってた自分自身が恥ずかしくって
マスターの柔らかな胸に顔をうずめた。
マスターはそんな僕の背びれを優しくなでながらこういってくれたんだ。
「タッツー、明日からトレーニングしましょうね」
って。
「おはようタッツー」
「タツー!」
次の朝、マスターが一番に声をかけてくれる。
「サァタッツー、トレーニングガンバルワヨー!」
「たっつー!」
僕も気合十分で答える。
だけど
「すみませえーん、ジム戦お願いしまーす」
外から聞きなれない声が聞こえてくる。
「ごめんねタッツー、トレーニング、後で必ずするからねー」
マスターはあわてて駆け出していく。
なんだよもう、こんなに朝早くジムなんか来なくてもいいじゃんか。
僕は挑戦者に毒づきながらもマスターの後姿を見送った。
でもだいじょうぶ。
だってマスターは僕の気持ち分かってくれたんだ物。
いつになるか分からないけど、りっぱなキングドラになって、
そしてマスターの夢、一緒にかなえるんだ。
FIN
お目汚し失礼しました。
大好きなポケモンだったのに活躍が少なかったので書いちゃいました。
各ポケモンの性別は個人的なイメージで決めてしまいました。
>>173 ありがとうございます。
こんなに早くレスいただけるとはびっくりしました。
>>175 俺も更新されてたから見たらリアルタイムでびくっりしたぜw
あと、お目汚しなんかじゃねぇぜ?スレの内容に沿った良いSSだし